やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】 作:ボッチボール
お化け屋敷と心霊スポットってわりと別物だと思う、最初から脅かされる仕掛けがあるのがわかってるせいなのかな?
「ではこれより肝試しの説明をする!各チーム毎に森に入り、ルートに沿って事前に我々が用意したお札を取ってくるのだ!!」
生徒会の三人が前に立ち、肝試しの説明が始まった。生徒会主催ということでどんなものかと思ったが、わりと普通…というかお決まりのものだな…。
「森とはいうが、いつも戦車道の訓練で使っている場所だな」
「肝試しの舞台となると些かもの足りんのではないか?」
ふむ、歴女グループの言う事も最もだ、今の状況は肝試しというより、いつも使ってる練習場に夜に来ただけだし。
「そうですね…私達もたまにバレーの練習場所が無い時に使わせて貰ってますし」
え?マジで?君達そんな事してたの?バレー部を奪われ、体育館を奪われ、運動場を奪われ、ついにはこんな所まで…、不憫すぎる。
「ふっふっふ、それはどうかねぇ~」
だが会長はなぜか自信満々だ、というかバレー部の連中勝手にここ使ってるみたいだけどいいのかね?
「みんな、大洗が昔は戦車道が盛んだった事は説明したよね?」
俺を含め全員が会長の自信に疑問を持っていると、小山さんが追加説明してくれる。
「確か、20年以上前に廃止されたんですよね?」
「そういえばなんで廃止されたんですかー?」
「それなんだけどね…、20年前にこの練習場で訓練中の事故で生徒が一人…」
…え?ちょ、これガチなやつ?監督はAnotherで反省して今回はそういうの無いって言ってたんじゃないの?
小山さんの雰囲気に戦車道メンバーがごくりと唾を飲み込んだ。この人、普段は温厚で優しそうな分、こういう事させると迫力ある。
「ま、もちろん冗談だけどね、他に良い場所が借りられなかっただけ」
…だよね!そうだよね!!あー、びっくりした、別に怖くねーけど、びっくりしただけ!!最近のホラー映画とかでも音で驚かすのって卑怯だよね、あんなの誰でもびっくりするもん!!
俺は監督を信じてるからね、ほら、迷う家とかでもちゃんとみんな生きてたじゃん?
「生徒会はあぁ言ってるけど、そんな事言われたら怖くて気になっちゃうよ」
「大丈夫ですよ、武部殿!準備はバッチリです!!」
そう言って秋山はどこから取り出したのか、自前の懐中電灯のスイッチを入れた、うぉっ!まぶしっ!!
「うわぁ、明るいね!!」
「これは米軍も使用しているLEDハンディライトです、11000ルーメンの明るさがあるのでどんな夜道も安心です」
「あの…ルーメンとは、なんでしょう?」
え?五十鈴さん知らないの?ルーメンってアレだよ、その、ラーメン的な…、中華そばもめんら~もハーメルンだってだいたいラーメンの仲間だからね。
「LEDの明るさの単位です、もちろん大きければ大きい程明るいんですよ」
さすがあきぺディア先生、というか米軍仕様の懐中電灯用意してくるとか、こいつ戦車に限らずミリタリー全般が好きなのか?
「って!そんなもの使わせるか!没収だ没収!!」
その話を聞いていた河嶋さんが秋山から懐中電灯を取り上げる、まぁそんな明るいもの使われたら肝試しもなにもないよな。
「えぇっ!?でもこれは五段階モード搭載でいざというとき、モールス信号も使えるハイテクなもので…」
「いいから渡せ!!」
「…はい、うっうっう、せっかく使えると思ってましたのに」
泣きながら懐中電灯を河嶋さんに渡す、というかガチ泣きですか…、そんなに使いたかったのね、子供じゃないんだから…。
「河嶋さん、その懐中電灯預かりますよ」
「ん?そうか比企谷、では頼む」
河嶋さんから懐中電灯を受け取り、スイッチを入れる、おぉっ!やっぱ明るいな!!
天まで届くその懐中電灯から放たれるその光はまるでビームサーベルを思わせる。
そのままぶんぶんと振ってみる、ふっ…そう、俺がガンダムだ!!
「お兄ちゃん何やってるの?恥ずかしいから本当に止めて、小町的にポイント低いから」
…妹からガチの止めて発言を貰ってしまった…、しかもあの顔はポイント駄々下がりの顔だ。
「やってるうちにテンション上がって来ちゃったんだよ…、ほら。みんな一回はやっただろ?こういうの」
「…普通やらないよね?」
「やりませんね」
「懐中電灯の光を振り回すと誰かの目に入って危ないですよ」
うぐっ…、照れ隠しにあんこうチームの奴らに同意を求めたが誰一人賛同しないとは、男のロマンがわからん奴らめ。
「………」
「西住?」
ん?いや、なんか露骨に一人だけ顔を背けてるんだけど…、え?西住さんやってたの?
「ち、違うよ、やってないよ!」
「まだ何も言ってねぇだろ…」
そういえば…、姉住さん曰く昔の西住はやんちゃっ子だったらしいな、あんま想像できないけど。
「懐中電灯…没収されちゃったね」
「ご安心を、こんな事もあろうかと予備のものも持ってきました」
そう言って秋山はスチャッと懐中電灯付きヘルメットを被る、いつぞやか武部や一年共が学園艦内で遭難した時にも被っていたものだ。
…用意周到すぎんだろ、こんな事もあろうかとって、人生で一度くらいは言ってみてぇな。
「あんこうチームだけ有利にさせる訳にはいかん!それも没収だ!!」
「えぇっ!?」
河嶋さんに見つかりそれも没収される、まぁ…仕方ないね。
「秋山、お前まさか他にもいろいろ持って来ているんじゃないよな?」
「もちろんです!備えあれば憂いなし、ですからね」
「全て没収だ、懐中電灯は我々の用意した物を使え!!」
「はい、回収回収~」
秋山の持ってきた対肝試し用であろう秘密兵器の類いは全て生徒会に没収された、つーかその量何?その浴衣のどこにそんな量の道具隠してたんだよ。
「うぅ….試してみたかった道具がいろいろあったのに」
「お前は忍者かよ…」
もしくは未来の世界から来た猫型のロボットか、どちらにせよ秋山の収納術、恐るべし…。
「肝試しが始まるなら私達はそろそろ撤収するか…、もうここで店を出していても仕方ないしな」
アンツィオ校の皆さん…お疲れ様でした、明日も買って帰るから強く生きて下さい。
「ドゥーチェ、少しいいですか?」
「ん?どうしたカルパッチョ」
「たかちゃんに誘われて私も肝試しに参加したいんですが…、よろしいでしょうか?」
「もちろんだ、久しぶりに会ったんだ、こっちは気にせず楽しんで来い」
「はい、ありがとうございます」
特に考える事もなく即答で答える安斎さん、やだ格好いい!姉御肌!!
「あ!アンチョビ姉さん、私もいいッスか?バレー部の人達に誘われたんで面白そうだし、私も参加したいッス!!」
「そうか、ちゃんと角谷の奴に言っとくんだぞ」
え?君達いつの間にそんな仲良くなったの?そういえばさっきペパロニがバレー部連中に混ざってバレーしてたのはチラッ見えたけど。
これにもあっさりOKをだす安斎さんマジ格好いい、これはドゥーチェですわ。
「…ん?え?そうなると私一人になるのか?」
「あー、そういえばそうッスね、ちょっと終わるまで待ってて下さい」
「いや、その…だな、ここ結構暗いし…肝試しが始まるならみんなもう移動するんだよな?」
「はい、そろそろ森の中に入るそうです」
「アンチョビ姉さん、もしかして怖いんですか?」
「そ、そんな訳ないだろ!私を誰だと思っている!!」
怖いんだろうなぁ…やだ、ドゥーチェカッコ悪い、でもそういうギャップも素敵かも!さすがドゥーチェ!!
「ですよねー!じゃあ姉さん!ちょっと行ってくるッス!!」
「あっ…お、おい、本当に私一人なのか?」
ペパロニとカルパッチョは俺達と一緒に森の中に、安斎さんは…、まぁ待っていれば夜の見回りに出てる風紀委員の人達にでもすぐ会えるだろう。うん。
ーーー
ーー
ー
さて、肝試しが始まる訳だが、今回の俺の役回りといえば肝試しをする側ではなく、脅かす側、つまり運営側である。
肝試しをするとなればトラウマだらけではあるが、脅かす側となるとまた勝手が違ってくる。どうしたもんかと考えていると、生徒会の人達がなにやらいろいろ入った段ボール箱を持ってきた。
「なんですか、これ?」
「サンダースの映画部で使ってる小物だって、いやー肝試しやるって話したらケイが送って来てくれてね、本当は本人も来たがってたんだけどさすがに遠いしねぇ」
サンダースの学園艦は長崎県に母港があるもんな、いくらアクティブなあの人でもこんなちょっとした肝試しでわざわざ来れないだろう。
…来ないよね?秋山の話じゃサンダースにはスーパーギャラクシーまであるらしいし、あの人の事だからそれに乗って平然とやって来そうでもあるんだけど。
「肝試しで使えそうな物がいくつか入ってるらしいから、比企谷君も何か持っていってもいいのよ」
「そうですか…」
小山さんに言われて段ボールの中を少し覗いてみる、まず目に入ってきたのがチュパカブラのマスクだった。
俺はそっと段ボールを閉じた。
「どうしたの?比企谷君」
「いや、ちょっと感傷に浸ってまして…」
チュパカブラ王国は解散したのだ、難民はどこに行けばいいのだろう…。
「何を訳のわからん事を言っている!そろそろ最初のチームがスタートするぞ!さっさと持ち場につけ!!」
「はいはい…」
河嶋さんに言われて適当に返事を返し、とぼとぼと歩いて自分の持ち場に向かう、俺の担当は生徒会の人達より前だ。
サンダースから送られた段ボール箱の中を確認しなかった事からもわかるだろうが、はっきり言ってやる気は全く無いのだ。
何度も言うが肝試しの楽しさが俺には理解出来ない、夜中に幽霊等が出そうな場所にわざわざ集まって驚かしたり、驚かされたり、そもそもそれ自体不謹慎ではなかろうか?
例えばもしこれがリア充カップルウェイウェイ集団が相手であれば、なんとかして破局までもっていけないか全力で考える所だが、相手はうちの戦車道チームの連中だ、適当にサボって済ませよう。
あぁでも、俺が何もしなかった事がバレたら後で生徒会の人達が煩そうだな…、せめて通る奴らに声でもかけて口裏くらいは合わせて貰うか。
「昼間はなんともないけど、夜だとやっぱり雰囲気あるね…」
「梓怖いんだ~」
肝試しのトップバッターはウサギチームの一年共である、リーダーの澤を先頭におっかなびっくり歩いている。
「さっきの生徒会の話って本当かな?」
「冗談じゃないの?だって生徒会だし」
うちの生徒会の扱いっていったい…、一年共にさえそんな認識されてるのかよ。
「もし幽霊とか出てきたらどうしよう?」
「お経唱えるとか?」
「塩投げるんじゃなかったっけ?」
これこそが塩対応の語源である。…いや、たぶん違うけど。
と、このまま素通りされるとサボってるのがバレるな、とりあえず声をかけとくか。
「おい、お前らーー」
特に脅かす事もせず、物陰から立ち上がると一年共に声をかけた、それと同時に懐中電灯を浴びせられる、本日二度目のうぉっ!まぶしっ!!。
「ひっ!出たッ!!」
「…は?」
「どうする?どうしよう?」
「逃げよ逃げよ!!」
一年共は蜘蛛の子を散らすが如く、わーっと叫びながら走って行ってしまった…、なんだろ、すごく悲しいんだけど。
肝試しやる側だけじゃなく、脅かす側でもトラウマ作っちゃうとかどういう事なの?もう充分俺の肝は試されてるだろ…。
「…ん?」
悲しみに立ち尽くしていると服の袖をくぃくぃっと引っ張られた、え?一年共は全員走ってったよな?じゃあこれは誰が?
「………」
「うぉっ…、なんだ丸山か」
警戒しつつ見てみると丸山だった、あぁ、こいつ逃げなかったのか…、やべっ、すげぇ嬉しい、まるで天使のようだ、あと二人居ればバンドが組めるね。
「………」
ん?丸山が無言で…、いやいつも無言なんたが、何か袋を差し出してきたぞ。
「…くれんのか?」
「………」
聞いてみるとこくこくと頷く、なんだろう?まぁくれるというのなら貰っておこう、天使からの施しだ、受け取らない理由はない。
「そっか、ありがとな」
「………」
礼を告げると丸山は無表情のまま先に進んでった一年共を追いかけていった、結局なんだったんだ?と思い貰った袋の中を見てみる。
塩だった、いや、本当になんなの?先輩いじめなの?
とりあえず捨てるのもなんなので塩の入った袋をポケットに入れていると、向こうの方から懐中電灯の光が見えた。
やべ、あまりの悲しみに立ち尽くしてたせいか後発のチームが来ちゃったよ。
しかしなんだかえらい焦ってないか?走ってこっちまで来てるみたいだが。
「む!見つけたぞヘルマン!!」
やって来たのは歴女チームとカルパッチョのチームだ、走ってここまで来ていたせいか息が荒い。
「そりゃまぁ、見つかるだろうが…、なんだお前らそんなに慌てて」
「それがだな…、ここまで来る途中、なんと人魂を見つけたのだ!!」
「…は?」
ちょっと待て、ここまで来る途中のルートなら生徒会はノータッチだぞ?つまり仕掛けなんてしていないはずだが…。
「それよりお前ら…ちゃんと順番くらい守れ、確か二番手はバレー部の連中だぞ」
そもそもだ、今歴女チームの連中が来てるのがおかしい、一年共の次に出発するのは歴女チームじゃなくてバレー部の奴らだ。
「…バレー部の皆さん、まだ来てないんですか?」
カルパッチョも歴女チームも俺の言葉に驚いている、え?何?なんか変な事言ったか?
「おかしい、アヒルさんチームなら我等より先に出発したはずだ」
「しかも猛ダッシュでスタートダッシュ決めてたぜよ…」
…バレー部の奴らはまだここにを通っていない、じゃああいつら、どこに行ったんだ。
「…とりあえず、その人魂が出たって所に案内してくれ」
「あぁ、こっちだ」
歴女チームに連れられてその現場へと向かう、そこには暗闇の中を怪しく漂う光る球体があった。
「…マジかよ」
あんな仕掛け、生徒会でもしていないはずだ、じゃあ本当に?
「あれぞまさしく、関ヶ原の戦いで敗れた西軍の未練だろう」
「いや、キンブリ・テウト戦争にて貴族の犠牲となった者達の怨みだな」
「池田家事件にて襲撃された攘夷浪士の無念ぜよ…」
「独ソ戦だな…、あの戦いは死者が多すぎた」
「え?えーと、えーと…、い、イタリア戦争…とかでしょうか?」
「「「「それだ!!」」」」
カルパッチョさん、無理してこいつらのノリに合わせなくていいからね…、ただでさえ貴重なツッコミの出来る人なんだから。
いや、今はそんな事より目の前の人魂だ、今も尚暗闇の中を上下にふわふわと漂っている。
…ん?上下に?あの軌道、なんか見覚えあるな…。
「ヘルマン、無闇に近付くと危険だぞ!!」
エルヴィンが止めるが俺は特に気にする事なくその人魂に近付いた、同時によく耳にするあの掛け声が聞こえてくる。
「そーれ!」
「そーれ!!」
「よっと!ははっ!楽しいッスね!!」
バレー部連中とペパロニがバレーのパス回しをしていた…、ちょっとこいつら何やってんの?
「お前ら…、何やってんだよ」
人魂の正体見たりバレーボール、どうやら暗闇で光る塗料が塗られているらしい。
「あ、コーチ、これはですね、トス!!」
「肝試しで度胸が鍛えられるなら、そこでバレーの練習をすれば…レシーブ!!」
「バレーの技術も度胸も根性も身につけられる!これが私達の考えた…肝試しバレーだ!!」
いやおかしいでしょ…、夜は墓場でバレー大会なの?お化けも逃げ出しそうである。
「いいからさっさと肝試しに戻れ、これ以上生徒会に目を付けられてみろ、バレー部復活も遠退くぞ」
「ぐっ…、それは」
俺の言葉に動揺したのか、磯辺は飛んできたバレーボールをキャッチし損ねてボールはそのまま森の奥に転がっていった。
「しまった!根性が足りなかったか!!」
慌ててボールを追いかけようとする磯辺であるが。
「…?」
だが、バレーボールは森の奥からポンポンとバウンドしながら磯辺の所に戻ってきた。
「キャプテン…、今のって」
「あぁ…、間違いない」
戻って来たバレーボールを拾うとその感触を確かめるように触りながら磯辺が答える。
「これは…新技だ!回転をかける事でまるで生きているかのような軌道がバレーボールに生まれたんだ!!」
「さすがはキャプテン!!」
「これをマスター出来れば相手のリベロも翻弄できますね!!」
「よーし!今の感覚を掴む為にも、もう一回やるぞー!!」
「へー、なんだかよくわかんねーけどすごいッスね!!」
「いやお前ら肝試ししろよ…」
だいたい、どんだけバックスピンかけてもあんな風にボールが戻ってくる訳ないんだから、おおかた木にでもぶつかっただけだろう。
…木?あのボールの転がった先にそんなのあったかな?
ーーー
ーー
ー
「本当に私一人になってしまったじゃないか…」
現在肝試しの会場となっている大洗の戦車道訓練場の入り口にて彼女、安斎…、いや、アンチョビは体育座りで膝を抱えていた。
「いや、別に怖いとかそんなんじゃないが、一人だと退屈だなー、誰か戻って来ないかなー」
気を紛らわす為か独り言を呟いてみるが、当然それは空しく辺りに響くだけであり、響く分余計に恐怖心が生まれてくる。
「うおっ!!」
ガサリと何やら物音までしてくる始末。
「お、落ち着け、とりあえず…、そうだ!パスタを茹でよう!!」
ドゥーチェアンチョビはこんらんしている。
「あなた!いったいここで何をしているの!!」
だがその物音の正体を知ったアンチョビは安心し、一息ついた、風紀委員にして夜の見回り中だった園 みどり子である。
「なんだ…、良かった、人か」
「あなた、見た所大洗の生徒じゃないわね…、ここでいったい何をしてるの?そんな店まで出して」
「あぁ…私は角谷の奴にーーー」
「問答無用よ!風紀を乱そうとするなら許さないわ!風紀委員!集合よ!!」
園がピーっと笛を吹くとぞろぞろと集まってくる風紀委員のメンバー達。
ちなみにその全員がおかっぱ頭であり、夜中ではパッと見て判別がつかないだろう。
「う″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″あ″!なんかいっぱい増えたぞぉぉお!!」
そのあまりの恐怖にアンチョビは叫び声を上げながら一人、森の中へ走り出した。
「あ!ちょっと待ちなさいよ!!」