やはり俺の戦車道は間違っている。【完結済み】   作:ボッチボール

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秋山殿の浴衣姿はフィギュアを参考にしています、どんなのか気になる人は調べてね。

さーて、俺ガイル12巻がようやく手元に来た、読むぜぇ~、超読むぜぇ~!!


【番外編】肝試し・ウォー3

「やっほー!お兄ちゃん!!」

 

「おー、来たか小町、遅かったな」

 

アンツィオ校の三人を迎えに行くため、俺の方が先に家を出たのだが…、それにしても遅れての登場だ。もう生徒会を除いた他の戦車道メンバーはあんこうチーム以外全員来ているのに。

 

「どう?小町の浴衣姿?ときめいちゃう?」

 

「あー、ときめくときめく、世界一可愛い」

 

「うわー、適当だなぁ…」

 

まぁ小町の浴衣姿なら去年も見たからな、なんなら家でもずっと着てても構わんよ、ほら、ラララ木さん家の下の妹さんもそうじゃない?

 

「じゃあお兄ちゃん、あんこうチームの皆さんの浴衣姿はどうかなー?」

 

小町の後ろ、西住達あんこうチームの面々がなんかもじもじしているのがチラリと見えた。

 

「…いや、知らんし、あれだから、お兄ちゃん今仕事中だから」

 

「もー!普段あれだけ働きたくないって言ってるのに、こういう時だけ仕事を理由にして逃げるのってどうなの?」

 

仕事を理由にしてって…、逃げた先に仕事があるってどうなの?どうやっても仕事からは逃げられないのかね…。

 

「…おっす、悪いな小町が世話になって」

 

まぁあれだ、小町の相手してもらってる訳だし…、礼くらいは言っとかないとな。

 

「ん?全然大丈夫だけど、小町ちゃん楽しいし」

 

「えぇ、とてもアクティブで、私も見習いたいです」

 

「いや、そこは見習わない方が良いと思うが…」

 

武部は彼女らしい明るいオレンジの色合いの浴衣、五十鈴は落ち着いた紫の浴衣だ、五十鈴の方は普段の華道でも着物を着る事はあるだろうが、浴衣姿はまた新鮮だな。

 

「ほら、西住殿もどうぞこちらに!!」

 

「は、恥ずかしいよ…」

 

その二人から少し離れた所に秋山と西住がいる、…西住のやつ、なんか木に隠れてるけど…どうしたんだ?

 

「つーか秋山、お前のその浴衣、どっかで見た事ある気がするんだが?」

 

「さすがは比企谷殿、戦車倶楽部で購入しました!少し高かったんですけどね」

 

やっぱり戦車倶楽部で前に売ってた奴か。いや、どんだけ探したとしても、戦車やキャタピラ跡の柄の浴衣売ってる店なんて、あそこくらいなもんだろう。

 

「あの、やっぱり変…でしょうか?」

 

「別に変じゃないだろ、違和感もないし」

 

戦車やキャタピラ跡の柄といっても、デカデカと目立つようなものではなく、然り気無いものだ。なんで男物は売ってなかったのかね?いや、もし買ってたら秋山とお揃いになっちゃってたけどね。

 

「あ、ありがとうございます!!」

 

あの~秋山さん?今のは戦車倶楽部の仕事の素晴らしさを言いたかったんですよ?いや…まぁ、秋山らしくて本当に違和感ないんだけどね。

 

「…んで、西住はさっきから何してんだ?」

 

さて、西住だがまだ木に隠れている、別にこのままスルーしても良かったんだが、そこにいたら虫に刺されない?

 

「えと…、その、笑わないでね?」

 

恥ずかしがりながら木から出てくる西住だが、なんだ、別に普通…でもないな、うん。

 

五十鈴から浴衣を借りたせいかサイズが若干合わなかったのだろう、少し大きめで袖が長い為、手を覆ってしまってる。

 

「………」

 

これはあれだ、どう見ても世に広く伝わる萌え袖である。

 

え?広く伝わってない?ばっかお前知らねぇの?萌え袖の起源は平安時代からあるんだぞ、…今も昔も変わらねぇな。

 

「黙ってられると余計恥ずかしいだけど…」

 

そう言いながら顔を赤くする西住、いや、たぶん今俺が口を開くとこの言葉しか出てこないから…。

 

『あざとい…、さすが西住、あざとい』

 

いや、浴衣も五十鈴から借りたものだし、単純にサイズが合わなかっただけで、絶対本人にはその気はないんだろうが…、狙ってやってないのが余計厄介なんだよなぁ。

 

「ふふん、どうお兄ちゃん?あんこうチームの皆さんの浴衣姿は?」

 

なんだよ小町、そのドヤ顔とグッと立てた親指止めろ、見てて腹立つから。

 

「…あんこうチームって言うけど、冷泉のやつが居ないな」

 

こうなったら無理矢理にでも話題転換だ、実際最初から気になってたが冷泉の奴が居ないのだ。

 

「麻子も連れてこようと思ってたんだけどね…」

 

「結局お布団にくるまって出てきませんでした…、それで集合時間も近くなってきましたので仕方なく」

 

「絶対に行かないっていう硬い意志が感じられましたね…、あれは」

 

「あぁ…、そう」

 

なるほど、西住達が遅れて来たのは、ギリギリまで冷泉を連れて来ようとしてたからか。

 

来なきゃあんこう音頭らしいが、冷泉の中ではあんこう音頭と肝試しを天秤にかけて、あんこう音頭の方がマシだと判断したようだ、どんだけお化け怖いんだよ。

 

「お兄ちゃん、麻子さんって?」

 

「ん?あぁ…、Ⅳ号の操縦してる奴だ」

 

そういや小町はまだ会った事ないのか、冷泉以外のあんこうチームの面々とはわりと長い付き合いなのに。

 

「ほほう…まだまだ小町の知らないお姉ちゃん候補の人がいるなんて…、他の人達もチェックしないと」

 

「何ぶつぶつ言ってるんだ?お前」

 

「ん?いやほら、今日お世話になる訳だし、他の戦車道やってる人達に挨拶しないとって」

 

そういって小町は一番そこが目立ったのか、屋台の方に向かっていった。いや、残念だけどそこに居る人達そもそも大洗の人じゃないからね。

 

しっかし…周りが知らない年上ばっかりの環境で、よく積極的に行動できるよな…あいつ。

 

「む、へルマン、彼女は誰だ?」

 

そんな小町を見ていたら、歴女グループに声をかけられた。

 

「妹の小町だ、今日の肝試しに参加したいんだと」

 

「ほほう…へルマンに妹が居たのか、それにしても小町とは…」

 

「平安時代の女流歌人、小野小町からとったのか…、八幡といい、へルマンのご両親はなかなかに良い趣味をしているな」

 

むしろ俺は自分の両親のセンスを疑っちゃうけどね、こいつらと同レベルなのかよ…。

 

「え?あの子比企谷先輩の妹さんなんですか?」

 

俺と歴女グループの会話が聞こえていたのか、一年共も声をかけてきた。

 

「まぁな、来年大洗で戦車道やりたいから挨拶したいんだと」

 

「来年って事は…私達の後輩になるのかな?」

 

「先輩って呼ばれちゃう~」

 

「じゃあここは先輩らしく振る舞わないと」

 

「どうすればいいのかな?」

 

先輩らしく振る舞うって言われても、今まで後輩とかもった事ないし、俺にはさっぱりわからんな、いや、わっかんね☆

 

「どうすればいいんですか?比企谷先輩」

 

「え?あ、いや…知らんけど」

 

…いや、こいつらは一応後輩にはなるのか?よくわからんが…。

 

「比企谷先輩に聞いたのは間違いだったね」

 

「うんうん」

 

訂正、やっぱりこいつら後輩っていえる程可愛くねぇ…、ちょっと先輩へのリスペクトが足りてないんじゃない?

 

「まぁ仲良くしてやってくれ、ちなみに後輩いびりとかし出したらしばくからな」

 

焼きそばパン買ってこいとか言い出したら俺が買って来てやる。…俺が買って来るのかよ。

 

「そんな事しませんけど…、比企谷先輩ってもしかしてシスコンなんですか?」

 

「え?じゃあ私達も危険なんじゃ…、年下だし」

 

「なんでだよ…」

 

こらそこ、勝手に危機感を感じない、あとシスコンとロリコンを同列に語るな、いや、俺はただ妹が大切なだけでシスコンじゃないけど。

 

「ふふっ…、比企谷先輩、年下は嫌いですか?」

 

「え?あ、いや…別に嫌いじゃねぇけど」

 

からかい混じりに微笑みながら宇津木が聞いてくる、あれ?なんだか危機感を感じる…、なんだよその言い方卑怯じゃない?何が嫌いかじゃなくて、何が好きかで自分を語れよ。

 

話題の中心である小町だが…、チラリと見るとバレー部の連中に絡まれてた、あかん、一番厄介な集団だ。

 

「小町ちゃん、バレーの経験は?」

 

「えと、バレーですか?えーと…あんまりですけど」

 

ナイスだ小町、バレーなら体育の授業とかでやった事あるだろうが、ここで下手にそんな事言うとバレー部に勧誘されるからな。

 

「我々バレー部は未経験者でも大歓迎、大洗に入学した際には是非ともバレー部に!!」

 

「お友達もたくさん誘ってくれると嬉しいな」

 

…どっちみち勧誘するのかよ、ならなんでバレー経験者かどうか聞いたの?ドラクエのループする選択肢じゃないんだから。

 

「はいそこ、人の妹を勝手に勧誘しない、セールスお断りだから」

 

「そんな!バレー部復活の夢が…」

 

「来年新入生が入らなければ…それこそマズイんじゃ」

 

あれ?逆を言えば新入生さえ入ればバレー部って戦車道やらなくても復活できるんじゃないか?キャプテンの磯辺もまだ二年で他の三人は一年なんだし、人数不足は解決する。

 

…気付いてないならいいや、黙っとこう、うん。

 

「試合後の宴会では見なかったと思ったが…、比企谷の妹だったのか」

 

「あれ?皆さんは確か二回戦の…」

 

「アンツィオ高校のアンチョビだ、ドゥーチェと呼べ」

 

「お兄ちゃん、ドゥーチェって?」

 

「確かイタリア語で『総帥』って意味だった気がする」

 

よくよく考えたら自分で言っててどうなんだろ…この人。

 

「比企谷の妹なら仕事を手伝って貰ったからな、サービスしとくぞ、ペパロニ!」

 

「はい、姉さん!!」

 

「わぁ!ありがとうございます!!」

 

もう騙された事は切り替えたのか…安斎さん達の屋台も通常営業だ、この切り替えの早さはさすがだな。

 

「うまっ!なにこれ美味しいです!!」

 

「はっはっは!そうだろうそうだろう、なんせ我がアンツィオ校自慢の絶品パスタだからな、うちに来れば毎日食べられるぞ?」

 

「それマジですか!小町、ちょっと気になるかも…」

 

チョロい…、チョロすぎるぞ小町。

 

「だからセールスお断りだって、人の妹を勝手に勧誘しないでいただきたい」

 

将来笑うセールスの人にドーンッ!とかされそうで心配になってくんな…。

 

「人材は常に不足しているからな、将来有望そうな奴には今のうちに声をかけておくものだろ?」

 

「期待している所悪いけど、小町は未経験者だから…」

 

なんかそこだけ切り抜くとエロく聞こえるな…、いや、小町は未経験だけど。

 

「ふっふっふ、甘いよお兄ちゃん、今なら小町を勧誘すると…なんと特典として兄がついてきます!!」

 

「ちょっと小町ちゃん、お兄ちゃんの事を通販番組のオマケみたいな扱い方するの止めなさい」

 

「ほう、比企谷か…」

 

え?そこ悩むの?そもそもアンツィオ高校って女子校じゃなかった?

 

「しかも一年分!!」

 

「おぉ!そりゃお得ッスよ!アンチョビ姉さん!!」

 

お前はいったいどこにお得感を見出だしたんだよ…、つーか来年なら卒業まで一年だし当たり前なんだけどね。

 

「まぁ気が向いたらいつでも連絡してくるといい、アンツィオはいつでも歓迎するからな」

 

「だってさ、やったねお兄ちゃん!アドレスが増えるよ!!」

 

「なんでそんなに嬉しそうなんだよ…」

 

そもそも今のは小町に対して言ったと思うんだけど、なんか流れで俺まで連絡先交換する事になってしまった。

 

「比企谷も飯はまだだったろ?後は私達でやっておくからお前も食べとけ」

 

「…どうも、いただきます」

 

安斎さんから鉄板パスタをいただいて小町と一緒に適当な所に座り、二人で食べる事にする。

 

「はぁ…、美味しい、アンツィオ校の人達って料理とかすごいね、これならいつでもお店出せるよ」

 

「本当にな、あぁでも…最近なんか小町も料理の腕が上達してないか?」

 

味はもちろんだが、レパートリーが増えた気がする。

 

「お兄ちゃん気付いてたの!?」

 

「まぁ毎日食べてるんだし…」

 

小町の作ってくれた料理だぞ?この俺が気付かない訳ないだろ。

 

「もー、気付いてるなら言ってくれないと、作りがいがないなぁ…」

 

「そういうもんか?」

 

「そういうもんだよ、最近沙織さんがお料理講座始めたから、小町もたまに参加してるの、あんこうチームの皆さんも居るよ」

 

「あいつはいったいどこに向かってるんだよ…」

 

いや、武部の料理の腕前なら講座の内容も心配する必要はないだろうが、一年相手に恋愛講座やって料理講座まで始めるとか…、早く誰か貰ったげて!このままじゃ手遅れになっちゃうよ!!

 

というか小町ちゃん、お兄ちゃんの知らない所でわりと西住達と楽しくやってるのね…。

 

「でも良かった、大洗の戦車道のみんなって楽しそうで」

 

小町がわいわいやってる戦車道チームを見てほっとしている、遠目で見てるぶんにはアンツィオ校の屋台もそこそこ売れているようで良かった。

 

「これは騒がしいっていうんだけどな…、まぁ小町が気に入ったならなによりだ」

 

「んー、それもあるけど、お兄ちゃんがちゃんとやっていけてるか心配だったから」

 

「お前は俺のかーちゃんかよ…」

 

「やだな~お兄ちゃん、これは妹の愛だよ、でも…大丈夫そうで安心かな」

 

「はいはいそうですか…」

 

いや…何をもって大丈夫なのか知らんけど小町が安心してるならいいか、うん。

 

「じゃあ小町、また大洗の皆さんに挨拶してくるね」

 

鉄板パスタを食べ終えて小町が立ち上がる、相も変わらずコミュ力が高い。

 

「おぉ行ってこい、…あんま迷惑かけるなよ」

 

「大丈夫大丈夫、お兄ちゃんの事もしっかし売り込んで来るからね!!」

 

「余計な事すんなよ…」

 

どこの敏腕営業マンだよ、俺ってそんなに売れ残りが心配されてるの?そうなったら家に引き取って貰おうかな。

 

遠くから一年共や歴女達、大洗戦車道メンバーと楽しそうに会話を弾ませる小町をぼーっと眺める、来年小町が大洗に入学すればまたこうやって集まる事もあるだろう。

 

こういうのも、まぁ、悪くない…のかもしれない。

 

「全員揃ってるか?」

 

そんなこんなでようやく今回の言い出しっぺ、というかいつもだいたいは言い出しっぺの生徒会の方々が到着したようだ。

 

「冷泉以外は来てますよ」 

 

「なんだと!冷泉の奴め…、あれほど言ったのに欠席とはたるんどる!!」

 

残念ながら冷泉に関しては諦めた方がいいだろう、あんこう音頭を選ぶ程に肝試しが嫌だったみたいだし。

 

そもそもお化け、早起き、ばぁさん以外の事なら冷泉は基本的に動じないし、度胸を鍛えるって話なら肝試し自体、そんなに必要ないと思える。

 

「仕方ないね、じゃあ小町ちゃんはあんこうチームにいれようか」

 

そこら辺の切り替えの早さはさすがだな…、あんこうチームなら小町も一番気心が知れてるだろうし、俺も安心できる。

 

「って!ちょっと待てその前に角谷、私達を無視して話を進めるんじゃない!!」

 

と、肝試しの前に当然だが安斎さんが会長に向けて抗議した、まぁわざわざ学園艦移動して来てくれたんだし、そりゃそうだ。

 

「おー、チョビ子、出店ご苦労様、私もパスタ貰っていい?」

 

「おぉ!毎度あり…じゃない!私達は祭りがあると聞いてわざわざ来たんだぞ!それとアンチョビだ!!」

 

「まぁまぁ…、明日校門の前で店出していいからさ、生徒会の方でも宣伝しとくから」

 

「本当だろうな…」

 

一応考えてはいたのね、これでアンツィオ校の人達も少しは報われるだろうか…。

 

「それじゃあ始めよっか、第一回!大洗納涼肝試し大会~!!」

 

…ん?あれ?第一回って何?まさか二回も三回もやるつもりじゃないよね?


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