IS 復讐の海兵   作:リベンジャー

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最初に申し上げます。

皆様、申し訳ございませんでした!

正直に申します。エタっておりました。

書かなきゃいけないとおもっても書く気になれない状態でした。

そんな時に一人の方が私に「スランプを言い訳にすればいいと思っていますか?」という言葉をかけてくださいました。

それにより目が覚めました。

今は1日200文字をペースに頑張っております。

お待たせして申し訳ございませんでした。



8式使い タンジェント登場

決着がつく少し前のことだった。

 

学園長室で先程学園前にいた男と学園長夫妻が机を介して話していた。男は鞄から書類を取り出すと学園長・・・轡木十蔵の前に差し出した。

 

「ではこの書類にサインをお願いします」

「はい。・・・・これでよろしいでしょうか?」

「大丈夫です。ではこれであの件はお終いという事で」

「今回の件は本当に申し訳ありませんでした。まさか仮にも教師ともあろうものが生徒の部屋に盗聴器と盗撮用カメラを仕込むとは・・・」

「いえいえ、貴方が謝る事ではありません。悪いのは女尊男卑という腐った風潮に、それに追随する同じように腐った牝どもですよ」

 

男は書類を鞄の中に仕舞い、また学園長に向き直った。

 

「それでも、教師の教育ぐらいはきちんとして欲しいものですね。私がこちらに来た時にも女尊男卑主義者の教師に絡まれました。今日私がこちらに来ることを知らせていなかったのでしょうか?」

「いえ、きちんと会議で言った筈なのですが・・・」

「そうでしたか。ではあの牝が無視したのでしょうね。全くISなどというものが出来てから下等な牝は増える一方ですね~」

「重ね重ね申し訳ありません」

 

轡木十蔵は再び男に頭を下げた。

 

「解ってもらえればかまいません。あと私に絡んできた牝は殺処分しておきました」

「・・・そうですか」

 

轡木十蔵は渋い表情を浮かべた

いくらその教師が女尊男卑主義者であったとしても、流石に自分の学園で働いている教員が殺されたと聞くのは辛いものであろう。

 

「まあまあ、そう気を落とさずに。害虫が一匹減って綺麗になったと思えばいいでしょう。ニャハニャハニャハ」

 

男はそう言って笑っていたが、ある事を思い出した。

 

「ところで今日は何やら決闘のようなものがあると聞いていたのですが、こちらで拝見することは出来ませんでしょうか?」

「え、ええ。出来ますよ、ご覧になりますか」

「ではお願いします」

 

学園長はモニターを操作し、アリーナにあるカメラをモニターと繋いだ。

モニターに映像が映ると、ソレイユが織斑に対してヨウヨウの暴風雨を放ったところであった。

 

『うおおおおおおおおお!!!!』

 

「おお、あれを出しましたか。どうやら決める気ですね」

「分かるんですか?」

「ええ。あの技は彼の技の中でもトップクラスの威力を持つ技です。まあ、それでも・・・手加減しているようですがね」

「あれで手加減しているのですか!?」

「ニャハニャハニャハ。彼を甘く見ないでください。仮にも彼は海軍本部所属の少将ですよ。それもただの少将ではありません。海軍発足以来、最年少で少将になった強者なのですから」

 

男はそう言って笑っていたが急に顔色を変えて、席を立った。

 

「これは・・・すいませんが失礼します」

「どうかされましたか?」

「いえ、どうやら下等な牝が小賢しい事をしようとしているので阻止してきます。それでは」

 

男はそう言うと部屋から出て行った。

 

男が部屋から出ていくと轡木十蔵は息を吐いて力を抜いた。

 

「ふぅ~やっと終わったか・・・」

「貴方、大丈夫ですか?」

「ああ、しかしあの海軍将校は異様な男だったよ。人一人を殺したというのに、笑いながらまるで虫でも潰したように言うとは」

「ええ。・・・ねえ貴方、本当にあんな内容の書類にサインしてもよろしかったのでしょうか?」

「・・・仕方ないよ。今回の事はこちら側に非があることだ。それに女尊男卑主義者が幅を利かせすぎているのも本当の事だ。あの国の海兵達なら何とかできる力がある。私は其れに期待することにするよ」

「つまり「「毒を持って毒を制すですか」」

「えっ!!!」

「なっ!!!」

 

突然の声に驚いた学園長夫妻が扉の方を見ると、男が扉から首だけを出していた。

 

「全く毒とは失礼ですね」

「ま、まだ居たのですか?」

「いえ、なにやら悪口のようなものが聞こえてきましたので戻って参りました。学園長さん。我々海軍は正義の味方なのです。決して毒などと仰らないようにお願いします」

「わ、解りました」

「では、失礼いたします。ああ、盗聴器類などは仕掛けてありませんからご安心を。ニャハニャハニャハ」

 

そういうと男は再び扉を閉めて去って行った。

 

「・・・ふう~~~今度こそ行ってくれたみたいだな」

「ええそうね。・・・ねえ貴方、あの人はああ言ったけど一度この部屋に何か仕掛けられて無いか、検査したほうが良いんじゃないかしら」

「・・・その必要は無いだろう。仕掛ける必要など無いだろうしな」

「じゃあ、どうしてあの人はあんな会話をしている事が、解る事が出来たのかしら?」

「噂でしか聞いたことが無いが、あれは恐らくあの国に伝わる「覇気」というものだろう」

「覇気・・・ですか?」

「ああ、噂でしか聞いたことが無いが、防御機能などを無視した攻撃や人の心を読むことが出来るようになるらしい」

「そんな馬鹿な・・・信じられません!?」

「だが先程の海軍将校の行動を見れば、信じざるを得ないだろう」

「・・・そうね。貴方、この先どうしましょうか?」

「それも含めて今から決めていこう」

 

その後学園長室では夫妻による今後どうするかの話し合いが行われた。

 

同じ頃教員席にも動きがあった。

 

「織斑先生どちらに行かれるのですか?」

「ソレイユの所だ。あいつの持つISは強すぎる。なにか違法な改造を施している可能性があるので、一度没収する必要が出てきた」

 

その言葉を聞くと、麻耶は椅子から立ち上がった。

 

「いけません!学園長からもお達しがあったはずです。海軍将校の持つISにはいかなる理由が有ろうとも手出しをしてはならない。また手出しをした結果、怪我を負ったとしても学園側は感知せず、治療費などの支援も行わない。万が一死亡したとしてもそれは本人の責任となり学園は一切の責任を負わないと。そう言われたことをお忘れですか!?」

「ふん!そんなもの関係ない。抵抗されても力ずくで取り上げてしまえば良いことだ。ましてや私はブリュンヒルデだ。あんな奴に抵抗されようが負けるわけがない」

 

そういうと織斑千冬は教員席から出ていった。

 

「織斑先生・・・貴方という人は・・・」

 

山田麻耶は力なく椅子に座ると先程ソレイユが叫んでいたことを思い出していた。

 

「(「お前みたいな女尊男卑主義者のせいで世界中の男達がどんなに苦しんでいるのか知っているのか!?なあ、俺達男が何かしたのか!?オモチャに乗れない事がそんなに罪深い事なのか!!?」・・・ですか。その言い方だとソレイユ君、貴方もかって女性から、何か酷い事をされた事があるのでしょうか)」

「(思えば、最初の自己紹介の頃からそうでした。何か壁のような物を作っていましたね君は。授業などではきちんと受け答えはしてくれていましたが、君が女生徒と話しているのは、布仏さんや彼女の友人を除けば殆ど見たことがありませんでしたし、女尊男卑の考え方を持った生徒や教員などに対しては露骨に嫌悪感を出していましたね)」

「(ソレイユ君・・・貴方の過去に一体何があったんですか?)」

 

観客席でも本音と一人の女生徒が会話をしていた。

 

「すごかったね~・・・ソーソー」

「・・・うん」

「海軍の少将さんとは聞いてたけどあんなに強かったなんてね~・・・」

「・・・うん」

 

本音の言葉に女生徒はただ相槌を返すのみであった。それほどまでにソレイユが彼女達に与えた衝撃は大きかったのだ。

 

「・・・ねえ、本音」

「何~簪ちゃん?」

「ソレイユってどんな人なの?」

 

本音と一緒にいた女生徒・・・更識簪は本音にソレイユについて尋ねた。

 

ソレイユに対して恐怖心こそ少なからずあるが、それ以上にソレイユの見せた圧倒的な強さと彼の乗っているIS(実際はピースだが)の持つ炎を出す(本当はソレイユの食べた悪魔の実による力であるが)能力に興味を抱いたのだ。

 

「え~どんな人かって~、ん~~ソーソーは~いつも何か皆に壁を作ってるって感じの人かな~」

「壁?」

「うん。ソーソーは~私が話しかけるとちゃんと返してくれるけど~自分から誰かに話し掛けてるのを私は見たこと無いんだ~。いつも教室では本読んでるよ~」

「本・・・どんな本読んでるの?」

 

ソレイユがどういった種類の本を読んでいるかが解ればそこから会話の糸口が掴めると思った。もし彼が自分の好きなヒーロー物が好きであればなお嬉しかった。

 

「え~と確か~「キングオブデビル」っていう本だったと思うよ~前にちょっとだけ読ませてもらったけど~プロレスの技とかそういった事が書いてあったよ~」

「そう・・・他には何か知ってること無い?」

「ん~そうだね~あ、そういえばソーソーは~食べ物をよく食べて、残さないんだよ~」

「?」

「偶にソーソーと一緒に食べるんだけどね~ソーソーは普通の人の3倍ぐらいの量を注文してるよ~」

「3倍!」

 

本音の言葉に簪は驚いた。ソレイユは身長180cmを超えており、なおかつ体もガッシリしているものの流石に常人の3倍の量を食べるというのは想像できなかった。

 

「うん。私も最初に見たときは驚いたよ~それでソーソーに~そんなに食べられるの~って聞いたんだけど~「これぐらい余裕だ」って言ってペロリとたいらげてたよ~」

「そ、そうなんだ・・・他には何か知ってる?」

「え~、う~んソーソーは~あんまり自分の事話さないからこれ以上は解らないな~ごめんね~」

「う、ううん。別に良いよ」

「それにしても簪ちゃん急にどうしたの~もしかして~ソーソーに興味持ったの~」

「ち、違うよ!いや、違うとも言えないんだけど・・・変な意味じゃなくてあのソレイユさんの持っているISに興味があるの!」

「ふ~ん。じゃあさ~今度一緒にご飯食べよ~よ~。ソーソーには私から紹介するから~」

「いいの?本音」

「うん。でもソーソー女尊男卑主義者みたいな考えは大嫌いだから~そこだけは気を付けてね~」

「・・・それは解るよ」

 

対セシリア戦と対織斑で放ったあの言葉は衝撃だった。そして特に簪が印象に残った言葉はISをオモチャと言い放ったことだった。

 

「(あのソレイユという人はISの事をオモチャと吐き捨ててた。あの人はISに乗れて

専用機まで持ってるのに・・・どうしてそんな事が言えるの?)」

 

戦闘が終わったアリーナ。

 

周囲に音と呼べるものはなかった。

 

先程までのソレイユに対するブーイングはおろか、物音一つたっていない。

 

観客はただひたすら恐怖していた。ソレイユの圧倒的な力を。

 

誰もが言葉を発せずにいると一際大きな音がガチャンと鳴った。

ソレイユにぶっ飛ばされた織斑一夏が落ちて来たのである。

どうやら織斑一夏は気絶しているようだ。

 

「ふん。玩具の防御機能に救われたか」

 

織斑が出てきたゲートから医療スタッフの人間達が現れた。スタッフ達は織斑に応急処置を済ませるとタンカに乗せ、急いでアリーナから出て行った。

 

「信念のしの字もねえような奴との戦いは萎えてくるな・・・」

 

ソレイユはそう吐き捨てるとアリーナを出て行った。

 

「(ルフィさんは実力こそ発展途上だったが、腹にくくった一本の槍のような信念だけはあったぞ。・・・いや、ルフィさんとあの馬夏を比べたらルフィさんに失礼か。・・・ルフィさん。アンタは俺を恨んでるでしょうね)」

 

「ソレイユ」

 

ソレイユが通路を歩いていると織斑千冬が待ち構えていた。ソレイユは警戒して録画用の隠し電々虫を作動させた。

 

「何です?織斑先生」

「貴様のISには違法な改造がされている可能性が出てきた。よってこちらで検査する必要がある。こちらに渡してもらう」

「ふざけたこと言わないでください。そもそも許可は取ったのですか」

「許可なら取った。解ったのなら早く渡せ」

「簡単に解るような嘘などつかないで欲しいですね。これは俺が軍から直接いただいた物ですよ。仮にも国家機密に至るようなものを渡すような事を許可するわけがないでしょう」

「つべこべ言うな!さっさと渡せ!」

 

ソレイユのはその言葉に激しい激情を覚えた。

 

「(・・・このテロリストは俺から全てを奪っただけでは無く、俺が元帥から授かったピースまで奪うつもりか!・・・ふざけるな・・・ふざけるなーーーー!!!!!!!!!)」

「おい!聞いているのか!早く渡せ!」

 

織斑千冬はそういうとソレイユの待機状態のピース(腕輪の形)を奪おうとした。

その瞬間だった。近づいてきた織斑千冬の顔面をソレイユは渾身の力で殴りつけた。

 

「ガッ!」

 

殴られた織斑千冬は吹っ飛び壁に激突した。殴られた顔の右側は膨れ上がっていた。

 

「き、貴様・・・抵抗する気か!」

「当たり前だ!クソ教師が!!!」

 

ソレイユは織斑千冬に再び殴りかかった。織斑千冬は回避しようとしたが、避けきれず今度は顔の中心に強烈な一撃を食らった。

 

「グッ・・・ガハッ!・・・き、貴様!こんなことをしてただで済むと思っているのか!!」

 

鼻が折れ、顔が変形し状態でも織斑千冬の高圧的な態度は変わらなかった。自分がブリュンヒルデだという自負がそうさせるのだろうか。

 

「アアッ!ただで済まないようなことが起きるってのか!起こせるもんなら起こしてみやがれ!!」

 

ソレイユの言葉に織斑千冬はニヤリと嫌な笑みを浮かべると、ポケットからスイッチのようなものを取り出した。

 

「これが何か解るか!これはな向こうに待機させているIS教師部隊に対して「即座に来るように」という合図を知らせるスイッチだ。その人数が何人になるか解るか!?10人だ!ISを纏った10人もの人間がこちらに援軍として来るという事だ!」

「・・・・・」

「ははははは!怖気づいたようだな!これ以上抵抗してみろ!!10人ものIS教師部隊が貴様に対して攻撃を仕掛けるぞ。理解したか。理解できたのならばこちらに貴様のISを寄越せ。それとも10人ものIS部隊に対して抵抗する度胸があるとでもいうのブガッ!!!!」

 

ソレイユの覇気を纏った強烈な一撃がまたも織斑千冬の顔面に直撃した。覇気を込めていた分、今までの攻撃よりも強烈であり、織斑千冬の顔面は完全に凹み、前歯は何本も折れていた。

 

「き、貴様!どういう事か解っているのか!IS部隊に喧嘩を売るという事だぞ!それがどういうものか理解してブゴッ!!!」

「 ・・・そんなチンケなもんに今更俺がビビると思ってんのか!こっちはそんなオモチャに頼らなければ何もできないような奴らなんぞでは無く、本物の化物共を相手と殺し合いをしてきたんだ!喧嘩を売るってことがどういうことか解っているかだと!?こっちはそんなもんいくらでも売って来たし、買って来てんだ!」

 

織斑千冬に覇気を込めた強烈な蹴りを入れ、ソレイユはそう啖呵を切った。ソレイユは頂上戦争に参戦した過去がある。世界最強と謳われている白ひげ・・・エドワード・ニューゲート率いる白ひげ海賊団と渡り合い、白ひげにも果敢に立ち向かい、顔に一太刀を浴びせられるも生き残った。そんなソレイユが今更IS部隊などに怖気づくわけがないのである。

 

「くっ、いいだろう。そこまで言うのならこのスイッチを押してやろう。死んでから後悔しろ!!」

 

蹴りを入れられたせいで益々顔が変形した、織斑千冬がフラフラと立ち上がると手元のスイッチを押した。スイッチは赤く点滅し始めた。

 

「ハハハハ!これでお前は終わりだ。10人のIS部隊を相手にしてどこまで戦えるか見物だな。ブリュンヒルデである私を傷つけた報いを受けるがいい!」

 

・・・3分が過ぎたがなにも起こらなかった。

 

「おい、即座に来るんじゃなかったのか?」

「どうなってるんだ!あいつらはどうしたんだ!何故来ない!」

 

同じ頃、海軍将校の男が汚れた手袋を外して一息ついていた。

 

「フゥー、偶には運動するのも悪くないですねぇ」

 

男の周りにはIS部隊の死体が転がっていた。死体は首を握りつぶされた者が3人。首を切られた者が3人。心臓の部分に穴が開いた者が3人。1人だけだが両足を圧し折られながらもまだ生きていた。

 

「あ・・・あ・・・あ・・・」

「さてどうして海軍少将の持つISを奪おうとしたのか教えていただけませんかね」

 

男は部隊の生き残りに新しい手袋をはめながら笑顔で尋ねた。とてもこの惨劇を引き起こした人物とは思えないような笑顔であった。

 

「だ、誰がアンタみたいな・・・下等な・・・男何かに・・・」

 

女はこのような状態になっても女尊男卑の考えを捨てていなかった。男が惨殺した部隊の女は皆このような考えを持っていたが、この女も同類のようである。

男はその言葉聞くと、手を体の前に構えた。

 

「腕刀(ワントゥ)!」

「ぎゃああーーーーーーー!!!」

 

男が手を振った瞬間に女の手は切り落とされた。女は汚い悲鳴を上げながらのた打ち回った。全くもって醜い。

 

「さて、もう一度聞きましょう。どうして海軍少将の持つISを奪おうとしたのですか?」

 

男は先程と変わらぬ笑顔で女に尋ねた。女は恐怖に負けて目的を語り始めた。

 

「ち、千冬様が・・・あの海軍少将の持つISは危険だから・・・没収する必要があるって・・・仰られて・・・私達にも・・・手伝えって・・・」

「なるほど、それでこの様な愚行を行ったのですね」

 

男は頷きながらにこやかな笑顔で聞いていた。

 

「お、お願い・・・私は・・・ただ命令された・・・だけなの。全ては・・・千冬様・・・織斑千冬が・・・元凶なの・・・悪いのは・・・全部・・・織斑千冬・・・なの・・・い、命だけは・・・」

「砕掌(サイショウ)!」

 

男は見苦しく命乞いする女の首を握りつぶして殺害した。男は手袋を投げ捨てると、晴れやかな顔で呟いた。

 

「いやー。ゴミ掃除はいつしても気持ちいいものですねぇ」

 

男は懐からゴミ袋を取り出し、牝共の死体を片付け始めたが、見聞色の覇気で感じ取った良くない何かに顔を険しくした。

 

「これは・・・少々不味いですね。急ぎませんと」

 

男は早足で急いでゴミを片付けるとその場を立ち去った。

 

IS部隊が既に男によって惨殺されている事など知らない織斑千冬は苛立ちと焦りからスイッチを何度も押していた。

 

「この!この!おい、呼んでいるんだぞ!どうしたんだ!さっさと来い!」

 

その様をソレイユは冷めた目で見ていた。

 

「(何という無様で滑稽な姿だ。醜いな)」

「ふぅー。もういいか。ハッタリには充分付き合ってやったぞ」

「ま、待て!これはハッタリなどでは無いぞ!本当にIS部隊が、ゴボッ!!」

 

ソレイユは必死にスイッチを押している織斑千冬に剃で近づき、腹に強烈な掌底を打った。織斑千冬は膝を突き、悶絶した。

 

「ぐぅう!ゴホッ、ゴホッ!!き、貴様ーーー!!私はブリュンヒルデだぞ!!世界最強の女なのだぞ!!こんな事をして覚悟は出来ているのだろうなーー!!」

 

膝を着いた状態であってもこのような態度である。世界最強の女が膝を着くとは思えないが。

 

「ウルセェ!!このテロリストが!!!!!」

 

ソレイユはもう限界だった。自分の家族、友達、故郷といった全てを奪ったこの女が。あまつさえ自分からピースまで奪おうとし、抵抗すればIS部隊を嗾けようとするこのテロリストが。自分の目の前にいるという事に。

 

「ぶっ殺してやる!!」

 

ソレイユはそう叫ぶと織斑千冬に殴り掛かった。織斑千冬は抵抗しようとしたが、何度も殴られているうえに、いくら一般人レベルでは強いと言えども現役の軍人とではレベルが違いすぎた。

 

ソレイユは殴った。ただひたすら殴り続けた。相手の顎が砕けようが、歯が何本も折れようが殴り続けた。ソレイユの頭にあるのは憎悪。いや、憎悪という言葉すら生温いのかもしれない。10年間も待ったのである。あの日、全てを奪われて、行くあても無く彷徨い続け、生きるためにゴミまで漁り、時には石を投げつけられることすらあった。とうとう限界を迎え、ギリギリの所でサカズキに拾われ、海軍で生きる場所をもらい、そこで政府の情報機関から白騎士事件の黒幕は織斑千冬と篠ノ之束であると教えてもらったその日から。ずっとずっとソレイユは待っていたのである。織斑千冬と篠ノ之束をこの手で殺すことを。

政府の許可は既に得ている。白騎士事件の影響は日本だけでは無かった。ソレイユの帰化している国にも被害はあった。聖地マリージョアに誤作動を起こしたミサイルが被弾したのだ。それにより聖地マリージョアに住む天竜人達の50%が死去する事態になった。国宝は無事であったが、政府は当然怒り、世界に散らばるCP(サイファーポール)達に情報を集めさせ、織斑千冬と篠ノ之束がこの事件の黒幕だという事を掴んだのである。織斑千冬と篠ノ之束の両名は既に犯罪者としてソレイユの国では認知されている。

 

「(殺す殺す殺す殺す・・・・)」

 

ソレイユの頭の中は其れだけであった。それほどまでに織斑千冬の事が憎くてたまらないのである。

 

「そこまでです。ソレイユさん」

 

ただひたすら拳を振るい続けているソレイユの腕をつかむものが現れた。

 

「誰だ!邪魔をするな!!・・・お前は!?」

「それ以上やると死んでしまいますよ。その女」

 

正気に返ったソレイユが織斑千冬を見ると、織斑千冬は顔が変形し、顎は砕け、元の顔の原型は無くなっていた。口からは血と吐瀉物が出ており、恐らく骨も何本も折れているのだろう。

 

しかしそれでもソレイユは攻撃を続けようとした。

 

「止めるな、タンジェント!こいつだけは!こいつだけは今ここで!!」

「ソレイユ!!!」

 

IS部隊を壊滅させた男・・・タンジェントは激情に駆られるソレイユを一喝した。

 

「貴方の気持ちは痛いほど解ります!貴方がこの女をどれほど憎んでいるのかも知っています!軍の兵器を強奪しようとしたという点は、情報漏洩を防ぐために殺害するというのに正当な理由にはなりましょう。

しかし、この女にはまだ社会的地位が有ります。今この場で殺してしまっては少々面倒な事になります!

殺すのならばこの女の社会的地位をもっと落とした時にこそです。非常にキツイことを言いますがそれまでは耐えるべきです。そのための準備も進んでいます。CP達も白騎士事件の黒幕がこの二人というのを探ってくれています。もう少しです。もう少しだけ耐えなさい!」

 

タンジェントのその言葉にソレイユは、力を抜き、構えていた手を降ろした。

 

「申し訳ない・・・頭に血が昇りすぎていたようだな・・・タンジェントの言うとおりだ」

「お気になさらず。貴方の気持ちは解りますから。解っていただければかまいません。

「ありがとう。タンジェント」

「いえいえ、良いんですよ」

 

そう言うとタンジェントは姿勢を正しソレイユに敬礼を行った。

 

「それでは改めまして・・・タンジェント、これより貴方の部隊に復帰します!!」

「ああ!よくぞ戻ってくれたタンジェント!!」

 

ここにソレイユの部隊の一人・・・副長のタンジェントが復帰した。

 

二人はその後今回の件を学園長に報告。録画していた映像と監視カメラの映像もあり、今回の一件は全面的に織斑千冬とそのシンパのIS部隊に非があるとなり、ソレイユとタンジェントは御咎めなし。殺害と暴行も正当防衛とみなされた。その後織斑千冬は病院に緊急搬送された。

 




ソレイユに半殺しにされたセシリア・オルコット

ソレイユに恐怖心を抱くセシリアにイギリス政府から緊急の電話がかかってきた。

それはセシリアに対して無情な現実を突き付けた。

次回、IS 復讐の海兵
「セシリア・オルコット破滅!愚かな行為の代償」
あいつらは必ず地獄に落とす!!

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