IS 復讐の海兵   作:リベンジャー

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半年ぶりなのに短くて申し訳ないです

今年の最後にどうしても投稿したかったもので

休暇中に頑張って書きます。


食堂での出会い 更識簪

鈴音が帰った後、山田先生が入ってきてホームルームが開始された。山田先生はソレイユをチラリと見たが、直ぐに視線を戻した。ホームルーム中に山田先生がセシリア・オルコットが諸事情によりしばらくの間休学してイギリスに戻る事になったと伝えた。

 

「皆さん、セシリアさんが戻ってきたら温かく迎えてあげてくださいね。それではこれでホームルームを終わります」

 

その後は特に何の問題も無く、ソレイユもストレスを感じる事無く午前中の授業を終えた。これは先日のソレイユの専用機強奪未遂事件により、千冬信者の教師と女尊男卑主義者の教師達が何人かを除いて駆除された為である。

 

午前中の休み時間になる度に鈴音が教室を訪ねてきたが、その時は馬夏に用があったようでソレイユも特に興味を持たず、本音やタンジェントと話したり、読書をして過ごしていた。

 

昼休みになったのでソレイユは昼食をとる為と約束を果たすために本音とタンジェントを伴って食堂に向かっていた。

 

「そういえば布仏さん。俺に紹介したい子がいると言っていたな。それは一体どんな子なんだ?言っておくが変な意味でではないからな」

「え~どんな子かって~う~ん・・・良い子だよ」

「おいおい、それじゃ分からないぞ。まあ、会えば分かるか」

 

雑談しながら歩いていると食堂に着いた。ソレイユは本音に席を取っておくように頼み、タンジェントと一緒に券売機に向かった。

 

「ん、鳳さんじゃないか。券売機の前で何してるんだ?」

「あ、ソレイユ少将。今日ここで久しぶりに会った幼馴染と食事の約束をしておりまして。今その幼馴染を待っている所なんです」

「そうか。久しぶりに会ったんだ。いろいろ話したい事があるだろう。あと、俺と話す時はそんなに畏まらなくていいぞ。何ならため口でもいいけどな」

「いえ、流石にそれは・・・」

「そうか、まあ無理に敬語は使わなくてもいいぞ。それともう一つあるんだが」

「なんでしょうか?」

「券売機利用しないのなら先に使っていいかな?頼む量が多いから早めに買っておきたいんだ」

「はい。どうぞ」

 

その後いつも通り大量の食事を注文したソレイユ(鈴音がソレイユの注文の量を見て驚いていたのは余談である)とそれなりの量を注文したタンジェントは本音の待つテーブルに向かった。見れば初めて見る女生徒も同じテーブルに座っていた。恐らくは彼女が本音の言っていた紹介したい子なのだろう。

 

「ソーソー紹介するね。彼女はかんちゃん。私の幼馴染なんだ~」

「初めまして、更識簪と申します」

 

簪は椅子から立ち上がり頭を下げた。それを見たソレイユも軽く会釈した。

 

「もうご存知だろうが俺は海軍本部少将のソレイユだ。よろしくな」

「私も自己紹介しておきましょう。ソレイユさんの護衛のタンジェントです。以後お見知りおきを」

「しかし学園の殆どの人間が敬遠する俺達を紹介されても更識さんも困るんじゃないか。自分で言うのも何だが、俺の学園での評判はあんまり良い物じゃないぞ」

 

ソレイユは苦笑しながら、簪に尋ねた。ソレイユも学園での自分の評判は理解しており、そんな自分と関係を持っても良い事などあまり無いと分かっている。

 

「ち、違うんです。私から本音に頼んだんです。ソ、ソレイユ少将にどうしても聞きたい事があったもので」

「俺に聞きたい事?一体何を聞きたいんだ。答えられる範囲の事なら答えるが」

 

簪は少し言い淀んでいたが、意を決して訪ねた。

 

「あ、あの・・・クラス代表決定戦でどうしてあんな事を言ってたのか気になりまして」

「あんな事・・・思い当たる節がありすぎるんだが。どの事を言ってるのか詳しく言ってくれないか?」

「は・・はい。ISをオモチャと言ってた事です・・・」

「ああ、あの事か。オモチャと吐き捨てた理由か・・・まあ俺達男にはガラクタ以下の物でしかないからな。くだらない差別の根本的原因の一つであるわけだしな」

「で、でも貴方はISに乗れるし専用機まで持っています。固有能力だって足からカマイタチを出せたり、強烈な突きを打てたり出来てます。一番凄いのはシールドバリアーを無視した攻撃が出来る事と炎を操れることです。そんな強力なISがあるのにどうして・・・」

「俺は海兵の仕事をする時にはラーを使ってないんだ。本国の女性海兵達も同じだ。皆自分の体や剣術、体術、能力を鍛えて海賊に立ち向かってるんだ。ISのような兵器に頼るような軟弱な奴らは海兵にはいないよ。それは敵である海賊達も例外じゃない。懸賞金で億を超えるような大物でISに乗っている奴らは見た事無い。一部の雑魚海賊達はISを欲しがる奴らもいるみたいだけどね」

「・・・そうなんですか」

「あと君はいくつか誤解している事があるから訂正しておくよ」

「誤解ですか・・・それは何でしょう?」

「それはだな・・・」

「ソレイユ君、料理が出来たから持ってきたよ」

 

ソレイユが説明しようとしたタイミングで、食堂のおばちゃんが達が料理を持って来てくれた。ソレイユは頼む食事の量が普通の生徒と桁違いな為、おばちゃんが料理が出来次第持ってきてくれているのである。

 

「おっ料理が来たか。更識さん、悪いが説明は食事をした後で良いか?料理は熱いうちに食べてしまいたいんだ」

「ど、どうぞ・・・」

「ありがとう、それじゃいただきます」

 

簪は本音から聞いていたとはいえソレイユの食事の量に圧倒されていた。ソレイユは来た料理を片っ端から食べていき、あっという間に平らげた。

 

「ああ、美味しかった。待たせてすまなかったね、更識さん」

「い、いえ・・・気にしないでください」

「本当にソーソーはよく食べるね~」

「海兵は体が資本だからな。たくさん食べるのも必要なことなんだよ。さて更識さん、さっき君に訂正したい事というのは、俺がこのラーのおかげで足からカマイタチを出せたり、強烈な突きを打てたり、シールドバリアーを無視した攻撃が出来るという事なんだ」

「えっ・・・だってそうでしょう」

「あれは俺が長年の修行の末に習得した戦闘技術だ。ラーのおかげといわれるのは少々心外だ」

「う・・嘘です!?あんな事を普通の人間が出来るわけがありません!!?」

 

ソレイユの言葉に簪は立ち上がって反論した。簪の常識からすればあのような凄い力はIS抜きでは出来るわけがないのである。

 

「まあ、いきなりこんな事を言われても信じられないのは当たり前だよな。論より証拠だ。ちょっと待っててくれ」

 

ソレイユはそう言うと、立ち上がって厨房の方に歩いて行った。

 

「すいません。ちょっとお願いがあるのですが」

「ソレイユくんどうしたの。追加注文かい?」

「いえ、廃棄する予定のフライパンか何かがあれば頂きたいのですが」

「えっ、何でそんな物を?」

「ちょっと事情がありまして。お願いします」

「急に言われても・・・あ、ちょっと待っててね」

 

おばちゃんは厨房の奥に引っ込んだ。しばらくすると手にボロボロのフライパンを持って戻ってきてくれた。

 

「これ、最近焦げ付きが酷くなって捨てようと思ってたの。これでいい?」

「はい。ありがとうございます」

 

ソレイユはおばちゃんに一礼して本音達がいるテーブルに戻った。

 

「待たせたな。これでさっきの言葉が嘘じゃないことを証明するぜ」

「そんな物で、どうやってですか」

「先ずは更識さん、これに何もタネも仕掛けもない事をチェックして欲しい」

 

ソレイユはフライパンを簪に手渡した。簪はフライパンを注意深くチェックし、その後で本音もフライパンをチェックした。

 

「どうだ、異常は無いだろ」

「無いです」

「無いよ~」

「よし、タンジェントこれを持ってくれ」

「はいはい、ソレイユさん」

 

タンジェントにフライパンを持ってもらうとソレイユはフライパンの正面に立った。この光景に簪と本音だけではなく周囲の生徒達も何が始まるのかとザワザワし始めた。

 

「更識さん。よく見てな・・・指銃!!」   ガンッ!!

「「「「!!?」」」」

 

ソレイユの放った指銃はフライパンをいとも簡単に突き破った。周囲は常識的にあり得ない光景に何も言うことが出来なかった。

 

「どうだ、これで分かっただろう。さっきの言葉が嘘じゃないことを」

「は、はい」

「ソーソーって本当に凄いんだね~」

「ハハハッありがとう布仏さん。ここは実内だから見せられないけど、いつか足からカマイタチも出すのも見せるよ」

「で、でもシールドバリアーを無視した攻撃は・・・」

 

簪は絞るような声で反論した。先程の光景を見て突きとカマイタチに関してはある程度納得したがシールドバリアーを無視する攻撃はIS無しでは出来ないとまだ思っているのである。

 

「んー中々疑り深いな君は。ではこれでどうかな」

 

ソレイユは意識を集中させて右腕に武装色の覇気を纏わせた。代表決定戦の時と同じ光景に簪は眼を大きく開き、息を呑んだ。

 

「どうだ、今度こそ納得してくれたか」

「は、はい・・・」

「なら良かった。流石に自分の努力をラーのおかげと思われているのは武人としては面白くないからな」

 

そう言うとソレイユは食後のお茶をすすった。その後しばらくは誰も話すことは無く、無言の時間が続いたが、ソレイユが簪に話しかけた。

 

「更識さん。俺からも一つ質問があるんだが良いか?」

「は、はい。何でしょうか?」

「君は何故ISにそこまで拘りを持っているんだ?」

「えっ・・・」

「先程から君は俺の持つラーの性能にかなり興味を持っているようなので少し気になってな。何か事情があるのなら教えてくれないか」

「・・・・・いえ、何もありません!!」

「そうか・・・ならいいが」

 

その後は何も話さないまま昼休みは終了した。別れ際にソレイユは簪に「なにか悩みがあるのなら話してほしい。海兵として助けられる事があるかもしれないぞ」と声をかけた。簪は小さく頷いて別れた。

 




一日の授業を終えて基地に帰ろうとするソレイユ

帰る途中ソレイユは泣いている少女を見つける

泣いている人間を見捨てておけないソレイユは少女に声をかけるのだった

次回、IS 復讐の海兵
「悲しみの代表候補生 鳳鈴音」
あいつらは必ず地獄に落とす!!

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