IS 復讐の海兵   作:リベンジャー

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何か会議って感じじゃなくなったかもしれません。

タイトル詐欺だと感じたら申し訳ないです。

今年中に何とか後1話投稿します。


2つの会議 反省会と凰鈴音への厳命

時間は少し戻って、学園を早退したソレイユはサカズキ元帥に今回の件を報告した後、時間が丸々空いてしまったので、趣味の畑仕事を行った後にタンジェントと一対一の鍛錬を行っていた。

 

鍛錬を終えたソレイユは息も絶え絶えの状態であったが、タンジェントは汗をかいてはいたがまだ余裕のある態度であった。

 

「ハァ、ハァ、やっぱり・・体が少し鈍ってたな・・・」

「ニャハニャハ、そのようですね。海軍本部に居た頃の貴方はもう少し体にキレが有りましたよ」

「こっちでは・・・俺以上の奴なんか居なかったからな・・・一人でやれる範囲でやってたんだが・・・やはり限界があったか・」

「それはそうでしょう。鍛錬というものは自分より強い人間に教えてもらいながらするのが一番効率よく出来るのものなのですから。まあ、これからは私がいますのでご安心を。徹底的に鍛え直してあげますから。ニャハニャハニャハ」

「ああ・・・よろしく頼む」

「ええ、お任せください。まあ、今日はこのぐらいにしてお風呂にでも行きましょう。汗もかきましたし、ゆっくりと湯船にでも浸かって疲れを落としましょう」

「そうだな・・・その後は・・・食事しながら一杯やるか」

 

2人は連れだって大浴場に向かった。この海軍基地には大浴場とシャワールームの2つがある。勿論海軍将校専用大浴場などは無く、一般海兵も同じように利用している。がソレイユが利用しているのは専ら大浴場の方であった。実はソレイユは能力者でありながら風呂好きであり、シャワーは本当に忙しいときにしか使っていない。

 

「ソレイユ少将にタンジェントさん。訓練お疲れ様です」

 

海兵がタンジェントを階級では無く、さん付けで呼んだのはタンジェント本人の希望によるものである。タンジェント曰く「階級で呼ばれるのはあんまり好きじゃないので」とのことである。

 

「ああ、ありがとうな。そっちこそ見回りご苦労さん」

「ハッ、ありがとうございます。ところでお二人はどちらに?」

「風呂だよ。鍛錬して汗もかいたしな。大浴場でゆっくり浸かろうと思ってな」

 

ソレイユの言葉を聞いた海兵は顔色を変えた。ソレイユが能力者である事はこの基地にいる海兵全員が知っている。(因みに最重要機密である。もし口外した場合は即座に軍法会議なしの銃殺刑に処される事になっている)

 

「大丈夫ですか?ソレイユ少将は水に浸かると力が抜けて・・・」

「大丈夫だ。それにシャワーでは疲れが取れないからな。今日はいろいろあったから俺は風呂に浸かりたいんだ」

「そうですか・・・でもやっぱり辞めといたほうが・・・」

「大丈夫ですよ。私もいますから」

「タンジェントさんも一緒ですか・・・解りました。でも一応はお気をつけて」

「おう、ありがとうな。行こうぜタンジェント」

「はい」

 

大浴場に着いた2人は体を流した後、湯船に浸かり、一日の疲れを癒していた。

 

「はぁー癒されるなータンジェント。体から力が抜けて来るみたいだ~」

「そうですね~ソレイユさん。私も力が抜けてくるみたいですよ~」

「ああ~そうだな~ブクブク・・・」

「そうですね~ブクブク・・・」

「ソレイユ君!タンジェントさん!本当に抜けてますよ!?しっかりしてください!!」

「タンジェントさん。貴方も能力者だったんですか!?」

 

湯船に浸かっていた二人は力が抜けすぎてしまい溺れかけ、一般海兵に叱責されるという失態を演じてしまったが、これもソレイユがたまにやってしまう事なので周囲の海兵はまたかと笑っていた。

 

海軍少将がこんなことで良いのかと思う人もいるかもしれないがソレイユ曰く

「プライベートのときぐらい目を瞑ってくれ。ずっと力を入れてると疲れてしまうんだ」

とのことである。

 

少しゴタゴタがあったが、体をサッパリさせて風呂から上がったソレイユとタンジェントは酒盛りをする為に、食堂で料理を作って貰い、ソレイユの部屋にいた。酒は今度は二人ともワインである。

 

二人がグラスに注がれたワインを飲もうとしたときであった、急にデンデンムシが鳴り始めた。それはサカズキ元帥との直通のデンデンムシであった。ソレイユは慌てて受話器を取った。

 

電話の内容は今回の件の賞賛。イギリスへの損害賠償及び要求内容の連絡。そしてソレイユへの特別ボーナスとして1000万ベリーが送られるという事だった。

 

「本当ですか!ありがとうございます。義父さん」

「ソレイユ!今は公務中じゃろうが!!元帥と呼べ、バカタレが!!」

「も、申し訳ありません!元帥」

「まあええわ。これからもしっかりな」

「はい!」

「じゃあ切るぞ。ソレイユ・・・元気でおれよ」

「!、ありがとうございます!元帥!!」

 

サカズキから自分を気遣う言葉を聞いたソレイユは嬉しかった。なんだかんだ言ってもサカズキはソレイユの事を気にかけているのである。

 

デンデンムシの受話器を切ったソレイユは酒盛りを始めるために上機嫌でタンジェントが待つテーブルに戻った。

 

「待たせたな、タンジェント。すまない」

「お気になさらず。元帥からの連絡は大事な事ですから」

「ありがとう。さあ、一杯やろう」

 

2人はワインを一気に呷った。風呂上がりだったことも有り、一際美味しく感じた。

 

次の一杯を注ぎながらタンジェントはソレイユに話しかけた。

 

「ふぅーそれにしてもやってしまいましたね~ソレイユさん」

「ああ・・・すまない」

「まあ、貴方がやらなければ私が切り殺していましたがね。相変わらず女尊男卑主義者には感情の制御が効きませんね」

「申し訳ない。どうしてもあのゴミ共に対しては憎しみが止まらなくなってしまうんだ」

「貴方の唯一の欠点がそれですね。それを直すことが出来ればすぐにでも中将に昇進出来るはずなんですが」

「ああ、その通りだな」

 

ソレイユは強さだけなら中将に匹敵するほどの実力を持っている。しかし精神の未熟さ(一度頭に血が昇ると周りを一切見る事が出来なくなり、怒りに任せて行動する)が仇になり、まだ少将のままなのだ。

 

「あの時の契約が役に立ちましたね。ソレイユさん」

「・・・そうだな」

 

契約・・・これはタンジェントが学園長夫妻と会談している時に海軍とIS学園との間に交わされた物である。その内容とは

 

・ 海軍少将ソレイユに対して女尊男卑主義者が危害を加えようとしたとき、もしくは暴言を吐いた場合には武力をもって制圧すること(出来る限り死なない範囲で)を許可する。

というものであった。

 

ハッキリ言って無茶苦茶な内容であろう。しかし政府は相手側に非がある事と自国の武力を誇示することによりこの契約を交わすことに成功したのである。

 

「ま、終わった事をクヨクヨ考えてもどうしようも無いですよ。気を取り直しましょう」

「・・・ああ、そうするよ」

 

ソレイユは気を取り直して頑張ろうと思い、いつの間にか空になっていたワインのお代わりを持ってこようとした時にタンジェントがしばらく教室に残った事を思い出した。

 

「そういえば、教室で俺を先に行かせてたが、何か用でもあったのか?」

「はい。あのような事をソレイユさんが起こしたので少々フォローをしておりました」

「グッ!・・・それは苦労をかけたな・・・」

「いえいえ、フォローと言ってもあの眼鏡の先生と、服がダボダボの生徒と話しただけですから」

「・・・あの2人とか。どんな話をしたんだ?」

「騒がしてしまったお詫びを兼ねて、お二人からの質問に1つずつお答えしただけですよ。ソレイユさんの過去については一切話していませんのでご安心を」

「・・・そうか。二人はどんな事を聞いたんだ?」

「お二人ともソレイユさんの事でしたよ。眼鏡の先生はなぜ貴方が女尊男卑主義者をあんなにも憎むのかを。服がダボダボの生徒はソレイユさんは女尊男卑主義者じゃない女性も憎んでいるのかを聞いてきました」

「成程・・・タンジェントはなんて答えたんだ?」

「差しさわりの無い答えを返しておきました。二人にはきちんと口止めをしておきましたのでご安心ください。ソレイユさんの居ない所で勝手な事をしたかもしれませんがご容赦を」

「構わない。タンジェントが必要だと思ったんだろ。お前ならいい」

「ありがとうございます。ソレイユさん」

「気にするな。俺とお前の仲だ」

 

ソレイユとタンジェントはしばらくの間、無言でワインを飲んだ。ボトルにして3本程空いた頃にソレイユは再びタンジェントに話しかけた。

 

「一つ聞くが、タンジェントはどうしてあの2人にだけフォローしたんだ?」

「ああ、それはあの二人はあの教室の中で特にマトモだと思ったからですよ」

「確かにな。布仏さんの友人もマトモなのが多いが、これは類は友を呼ぶというものなんだろうな」

「それと・・・あの二人はソレイユさんと比較的仲がよろしいみたいでしたので」

「ブッ!!?」

 

タンジェントの言葉にソレイユは飲んでいたワインを吹き出してしまった。

 

「ニャハニャハニャハ、冗談ですよ」

「タ、タンジェント、お前なあ・・・」

「ニャハニャハニャハ、ソレイユさんも感情豊かになりましたねえ。私は嬉しく思いますよ」

「まあな。これもお前らのおかげだよ(それとルフィさんも・・・な)」

「お礼なんて良いんですよ。私達は仲間なのですから。それに・・・」

 

タンジェント1つの間を置き、ハッキリと言った。

 

「私は貴方の泣き顔が見たいのですから」

「ハハハッ当分は無理だろうけどな」

「気長に待ちますよ」

 

タンジェントは新しいワインボトルをソレイユのグラスに傾けながら笑った。

 

「さあどんどん飲みましょう。どうせ明日と明後日は休みなんですから」

「そうだな。どんどん飲もうぜ。そして明日は競馬に行こう!!」

 

ソレイユとタンジェントの飲み会は夜遅くまで続き、途中で基地の海兵も何人か参加し、気付けば宴会になっていた。

 

 

IS学園に編入する為に来日する予定の中国の代表候補生・鳳鈴音は党の幹部から呼び出しを受けていた。

 

「鳳鈴音代表候補生!只今参りました」

「鳳鈴音代表候補生、君がIS学園に編入するにあたって一つ言っておかなければならない事がある。IS学園には今かの国の少将が在籍しているのを知っているな」

「はい。存じております」

「ならば話は早い。かの国の少将は名前をソレイユというらしいが、決して怒らせるな。これは命令だ。もし怒らせれば、最悪我が国は滅ぶことになる。我が国の属国である2つに分かれた国は、かの国を怒らせたことにより滅ぶことになった。まあ、あんな国が滅ぼうと我らは痛くも痒くもなかったがな」

「・・・はい」

 

国が滅ぶという事は多くの人が死ぬという事だ。幹部の言葉はあまりにも命を軽んじている。その事に鈴音は嫌悪感を抱いたがなんとか感情を表さずに返事をすることが出来た。

 

「そして、これは極秘情報なのだが、今かの国とイギリスは緊張状態にあるらしい。切っ掛けはイギリスの代表候補生が、かの国と少将に対して暴言を吐いたからだそうだ。かの国は激怒して、イギリスと戦争をすることも辞さないようだ」

「せ、戦争ですか!?」

「そうだ。そしてかの国はイギリスに対して戦争を防ぎたいなら、かの国の実質的な植民地となれと言ってきているそうだ。イギリスはその要求を呑む方向らしい。イギリスに潜ませているスパイからそのような報告を受けた」

 

党の幹部は座っていた椅子から立ち上がると、窓を眺めた。

 

「鳳鈴音代表候補生。君はかつて我が国が他国によって侵略されていた事は知っているな」

「は、はい。存じております」

「その口火を切ったのはイギリスだ。イギリスが持ち込んだアヘンを取り締まったのが原因でイギリスと戦争になり、我が国は敗北した。そこからだ、我が国が他国からの侵略を受けることになったのは」

 

鈴は高官の言葉を黙って聞いていた。言葉を入れる事が出来ない空気がそこにあった。

 

「私の父から聞いた話だが、その後は正に地獄だったそうだ。他国の人間による破壊行為に略奪。道では他国の人間が堂々と歩くのに対し、我ら中国人は道の端を歩かなければならない。自分たちの国であるのにだ。極めつけは他国からの一方的な領土の割譲に不平等条約の締結だ」

 

高官の手には力が込められていた。今にも血が出そうなほどである。

 

「我が国をそこまで落とした切っ掛けを作ったイギリスが今では我が国と似たような立場にある。皮肉なものだな。そう思わんかね、鳳鈴音代表候補生」

「は、はい。そう思います・・・」

 

彼女本人はイギリスに対して全く思う所は無いが、高官に逆らう訳にはいかないので、力なく同意した。

 

「我々はもうあのような屈辱を受けることがあってはならない。その為にはイギリスの二の舞になる事は絶対に避けなければならない。鳳鈴音代表候補生!君に改めて厳命する。かの国の少将とは絶対に敵対するな!もし君がこれを破った時には我々は君と君の一族全てを[国家反逆罪]とする」

「こ、国家反逆罪ですか!」

「そうだ!くれぐれも忘れるな!話は以上だ。下がっていいぞ」

「は、はい!」

 

鳳鈴音は慌てて部屋から出ていった。部屋からでた後、自分に科せられた命令の重さに心を重くしていた。

 

「(IS学園にはアイツがいるから行きたかっただけなんだけど・・・こうなるなんて思っても見なかったわ。ソレイユ少将ね。とりあえず態度には気を付けて、絶対に機嫌を損ねないようにした方がいいわね。後、何か手土産でも持っていったほうが良いかしら)」

 

鳳鈴音はそう考えながら、帰路に着き、IS学園に向かうための準備を始めた。

 

 




IS学園に付いた鳳鈴音
彼女はすぐにソレイユの元を訪れ挨拶をする。
ソレイユはそんな彼女の挨拶を快く受け取る。

次回、IS 復讐の海兵
「中国代表候補生 鳳鈴音登場」
あいつらは必ず地獄に落とす!!

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