Snow House 作:卯猫
今回は結構フリーなペースで書いていこうと思っています。
はっきりいって見切り発車ですw
気分転換がてらくらいの気持ちで読んでいただけるとありがたいです。
「これはやばい」
無事大学受験を終え、第一志望の千葉大学に受かった俺。…後期でギリギリだったんだけどね。後期に合格が決まったからか下宿所がほとんど開いていない。マジやばい。
これから花の一人暮らしが始まるっていうのに暮らせる場所がないってのがな…大学から帰ったら一人で好きなことできるとか一人暮らし万歳とか思ってたのに。
心残りがあるとすれば、小町を見ることができなくなること。あと戸塚に会えなくなるのも。この二大生きる意味をなくしてしまって俺は生きていけるのだろうか?
ちなみに戸塚はテニスに関係したい職に就くからといって都内の体育大学に行ってしまった…あぁ戸塚、俺の戸塚ぁ…
「しょうがない、もう一回千葉市の不動産屋に行くとでもしますか。」
財布をポケットに入れて俺は家をでた。
外に出るとまだ肌寒い。なんでこんなくそ寒いんですかね。
「コートでも着てくるか。」
曇り切った空を眺めているとまだ冬なんじゃないかと思えた。
電車を乗り継ぎ、20分くらいだろうか。昼間の空ききった電車は居心地がよく寝てしまうところだった。
『次は千葉駅~お降りの方は荷物のお忘れのないようお願いします~』
うし、着いた。とりあえず駅近の不動産に行きますか。通い過ぎて、あそこのおじちゃんと仲良くなってしまう。
「運よく4年生が出て行った物件がありますように。」
願掛けのようにちょっと口に出してみる。はぁ何回目の願掛けだろうか。
「やっほ~」
「うぼぁ!?」
「ひゃっ!!」
びっくりした…。殴られたみたいな声出ちゃったよ。外で声かけられるなんて警察以外で初めてだわ。って、
「城廻先輩!?」
「ひさしぶり~比企谷君。もう!驚かさないでよ!」
「いや、それはこっちのセリフなんですけど…」
この人は城廻めぐり先輩。めぐりんパワーの所有者。いかなる相手もめぐりんパワーで頷かせちゃう。特に男子には効果的。
「あはは~まさかこんなに驚くとは思わなくて…ごめんね~。まさか比企谷君が千葉駅にいるなんて思わなかったから。物件がどうとか言ってたけど、どうしたの?」
「実は、俺千葉大学に行くことになったんですけど、下宿先がまだ決まってなくて…」
「えぇ!?千葉大学にくるの!もう受かったんなら先輩の私に報告しないとダメだよ!それにしても、まだ下宿所が決まってないのはちょっと危ないかもね…」
ちなみに城廻先輩は去年千葉大学に進学して現在二年生。確か看護学部。
ナーズ服のめぐりんとか考えただけでもやばいな。お金とってもいいレベル。あら、やだ。いけないお店みたい。
「恥ずかしいことにその通りです。だから不動産に行ってみようかなと。」
「・・・・・」
何やら考え込むめぐりん。考えてるだけで惚れちゃいそうになる。なんですかそのしぐさ。しまいには「うーん」と唸ってる。ホント天然って怖い。
「ねぇ、比企谷君。私に下宿所の心当たりがあるんだけど話だけでも聞いてみる?」
「え!ホントですか?できれば是非お願いしたいんですが、今どこか出かけるところですよね?」
千葉駅にいるのだからどこか電車で出かけて行くところなのだろう。折角の話だが、引き留めてしまうのは気が引ける。
「うん。ちょっと待ち合わせをね。あ!そうだ!」
何か思いついたように手をポンッと合わせる。この世で手を合わせてこんな擬音を出せる人この人くらいだろう。
「比企谷君も一緒においでよ!下宿所にも関係してる人だからさ。」
「え、でもこんな不審者が会ってもいい人なんですか?」
「うん!むしろ喜んでくれるかも!」
え、笑顔が眩しい。めぐりんスマイルに勝てる男子などいるわけないじゃないか!
でも不審者なのは否定してくれないんですね。いや別にいいんだけど。
「じゃ…よろしくお願いします。」
「うん、まかせて!」
うわ!眩し過ぎる!めぐりんパワーのレベルが上がってる…だと!?大学に行ったことで成長してるとでもいうのか!?
「どうしたの?比企谷君。」
「あ、いや、なんでもないです。それでどこに行くんですか?」
「すぐそこの喫茶店だよ~。あそこTVで紹介されて結構人気らしいんだ。今日はそこでお茶会する予定だったの。」
「なるほど…余計俺がいてもいいか分からなくなってきましたよ。」
「だから、大丈夫だって~。ほら行くよ比企谷君。」
ちょ、めぐりん!?
手が、手がぁぁぁぁあ!!
なんとこの天然娘は。俺の手を握って、なにこれ柔らかい!暖かい!癒される!
しかも近いからダイレクトに天使の香りが…やばい、いいにおい過ぎる。
俺はかわいい先輩に連れられて駅に隣接した喫茶店に向かう俺達。
「ふふふ~ん♪」
機嫌がいいのか鼻歌を歌うめぐりん。やめて!周りの視線が!
「え、まさかこの目が死んだ奴。」的な目で見られてるから!もしくは「彼女さんかわいそう」。お前らめぐりんに失礼だろうが!俺が彼氏なんて烏滸がましいにもほどがある。
店に着くまでの5分。俺には一生分の羞恥心を味わった。あーしばらくこんなに人目を気にしたことなんてなかったから、余計ダメージを受けた。
「着いたよ比企谷君。」
うん。すばらしい笑顔ですね。でもそろそろ俺限界です。
「あ、あの~手を。」
「あ!ごめんね~。ついつい」
やっと、天使から身を離すことができた。
ついついで握ってきちゃうのかよ。そんなことされたら俺以外の男ならころっといっちゃうよ。めぐりんファンクラブ開設まである。
・・・もしかしたらすでに千葉大学はめぐりんに支配されているかもしれない。
「じゃ入ろっか。」
はい。動揺してるのは俺だけですね。
つかつかと中に入っていくめぐりん。そのあと追うように俺も中に入った。
中に入ると結構な人が…というかほぼ女性。うわ場違い感が。
一通り周りを見渡してみる。やっぱり大学生らしき人が多い。スタバ的な存在なのかもしれない。
あ・・・れ。
あふれる女性客の中から一際オーラを放っている人が。
もしかして・・・あの人は
「あ、いたいた、はるさーん!」
げ。やっぱり雪ノ下さんかよ。
一緒に入ってしまった手前一緒に行動してないと他の客に怪しまれてしまう。
しかたなくめぐりんと同じ方向へ。この道の先は地獄かもしれない。
「久しぶりめぐり。・・・へー面白いお客さん連れてきたね。」
「うん!さっきそこで偶然あったんだ~」
「お、お久り振りです。雪ノ下さん…」
なにもかも見据えたその瞳を久々に見た俺は思わず、かしこまった。馴れたはずの瞳が今の俺に対してはとても痛い。
なるべくこの人のことは避けてきたんだけどな…
「ま、二人とも座りなよ。積もる話もあるようだし。」
この人はホント変わらない。これからもこのままだろう。
誰のことも信用せず、すべてを自分の思い通りにしてしまう姿勢。
・・・仕方ない今回は相手を選んでる時ではない。生活が懸かっているんだ。
「実はお願いがあるんです。」
「うん。お姉さんが聞いてあげる。」
「もう!私もいるんだよ!」
ごめんね。めぐりん。フォロー入れている余裕がないです。
これから先、俺の人生を大きく変える出来事が待っていることを俺はまだ知らなかった。
いかがでしたか?
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よければご参加ください。そのキャラ2、3人の出演を考えております。
現在「やはり折本かおりは選択肢を間違えない」も連載しております。
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ではまた次回お逢いしましょう!