ROMANCE DAWN STORY   作:ヘビとマングース

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オレンジの町

 「島が見えたぞォ~!」

 

 日の出と共に航海を再開し、海の上での停泊を終えてから約二時間。

 朝の間に島を見つけたルフィは船の先端から大声を出した。

 舵輪を握っていたキリは当然気付いていたとして、船内のキッチンで皿を洗っていたシルクや、甲板で昼寝していたゾロもルフィの声に反応する。

 

 皆、前日とは服を着替えていた。

 そう提案したのは唯一の女性であるシルクだ。いくら船上の生活でも体を清潔に保つのは必要だろうと、毎日の風呂は勧めずとも服装くらいは変えた方がいいとの進言があった。

 

 ルフィは前日の物とは少し形が違う膝丈のジーンズを履き、フードがついたノースリーブの赤いシャツを着ている。いつも通り麦わら帽子をかぶって楽しげだ。

 シルクは長袖のTシャツを着て肘まで袖を捲り、脚を見せるショートパンツ。

 キリは白いパーカーと黒いジーンズ。今日は靴ではなくサンダルを履いている。

 ゾロは暗い色のカーゴパンツに青いシャツを身に着け、前を開いて厚い胸板を風に晒していた。いつもの如く緑の腹巻も外していない。

 

 服装が変わっただけで前とは見栄えが全く違う。

 一同は甲板の上に集まり、一様に前方の島の姿を確認した。

 

 「ようやくで次の島か。ちゃんと町はあるんだろうな」

 「気になるなら確かめてみれば? あそこならご所望の物も手に入ると思うよ」

 

 後からやってきたキリがゾロへ望遠鏡を投げて寄こした。受け取った彼はそれを覗き始める。

 キリはそれを使ってすでに町があることを確認した。

 正面にはちょうど船が入りやすい場所がある。このまま真っ直ぐ進めば港へ辿り着いて町へ入れるだろう。そうすればゾロが好きな酒の補充も、ルフィが求める肉も買い込める。

 ただそれはあくまでも何もなければの話。

 望遠鏡を下ろしたゾロは訝しむ顔で呟いた。

 

 「確かに町はあるな。だが妙なもんも見える」

 「どうしたの?」

 「ありゃあまさか、海賊船じゃねぇか?」

 

 尋ねたシルクに望遠鏡を手渡しながら答えられた。

 すぐに彼女もレンズを覗いてまだ遠い島を確認する。一目瞭然、港には大きな帆船が停まっていて商船の類には見えない。

 装飾は独特だがどうも海賊船に思えた。

 

 念のためにメインマストの天辺を眺めてみれば風にはためく旗は黒。

 間違いなくジョリーロジャーを掲げていて、町に海賊が入っていることがわかった。

 

 「本当だ。あれ、多分海賊船だね」

 「襲撃中かもな。こりゃあのんきに買い物してる場合じゃねぇぞ」

 「うん……やっぱりこういうのは日常的に起こってるんだ」

 

 望遠鏡を下ろしたシルクがぽつりと呟く。

 思い出すのは自身が住んでいた町の姿。ルフィたちが来たおかげで危ういところを守ってもらえたが、あんな偶然はどこにでもある訳じゃない。平和だと言われるイーストブルーでは比較的数が少ないだけ。世界的に見れば海賊の略奪に涙する者たちが多いのが現実だ。

 彼女の視線はルフィへ。真剣な表情で言う。

 

 「ねぇルフィ。何も起こってなければそれでいいけど、もしあの町が襲われてるんなら、助けてあげようよ。じゃないと私、何のために海賊になったのかわからない」

 「ん? いいぞ」

 「んな簡単に決めていいのかよ」

 「シルクはピースメインになるためにうちに来たからな。これで見逃してたら一生ピースメインになんかなれねぇだろ」

 「ありがとう、ルフィ」

 「いいさ。気にすんな」

 

 あっさりした様子で作戦会議は終わったらしい。呆気ない姿にゾロは理解に苦しむ。すると彼の隣に並んだキリが二人のやり取りに補足するように言った。

 

 「古い話でね。相手を選ばずただ略奪を繰り返すのがモーガニア。そのモーガニアを専門に狩るのがピースメイン。昔の海賊はそう呼ばれてた」

 「なるほど。海賊を狙う海賊か」

 「そう言えばゾロも海賊狩りって呼ばれてたし、奇遇なもんだね」

 「フン。別に望んだ名じゃねぇがな」

 

 話している間にも船は進み、徐々に陸地が近付いて来る。

 キリの指示に従って全員が着港準備に入った。

 張っていた帆を畳み、速度を落としてゆっくり港へ侵入する。辺りに人の姿はないらしい。大型の帆船がやってきても町は奇妙に静まり返っていた。

 

 無事に船を停泊させることができた。タイミングを見計らってゾロが錨を下ろす。

 全ての工程を終えて停泊が完了しても町の人間の姿は見えず、驚くほど静かな街並みに違和感を持つ。やはり近くに停まる海賊船が理由となって静まり返っているのだろう。改めて旗を確認すればドクロマークも確認できる。

 状況を見れば良くない事態なのは簡単に理解できた。

 

 一同はひとまず甲板で集まり、町へ出る前に話し合いの場を設けることにした。

 皆の顔を見回して口火を切ったのはキリだ。

 

 「やっぱり妙だね。あまりにも静か過ぎる」

 「だけど攻撃されてる様子もないよ」

 「どっかを占拠して集まってる可能性もあるな。前に捕まえた奴らもそうだった」

 「んじゃ探してみっか。多分その辺にいるだろ」

 

 早々に告げてルフィは歩き出してしまうのだが、あいにく三人は真剣に話している最中。予想外な行動を取った彼に気付けず深く思案してしまう事態となった。

 

 「まだ確定したわけじゃないけど、この活気の無さを見る限り襲撃はほぼ間違いないと言っていいと思う。問題はどうやって海賊を排除するかだ。望遠鏡で確認したら向こうの船に人気はない。多分全員か、そうじゃなくても大半が町に居るだろうね」

 「よっぽど自信があるか、もしくはバカかのどっちかだな」

 「キリ、マークで敵が誰かわからないの?」

 「う~ん、どっかで見た気がするんだよなぁ……あの赤っ鼻」

 

 問われたキリは目を閉じて考えていた。

 確認したジョリーロジャーには特徴がある。ドクロに鼻がついていてそれが赤くて丸いのだ。

 それだけ珍しい身体的特徴は手配書を見た時に確認した気がするものの、なぜか思い出せない。

 思い出せそうで出てこない感覚が気持ち悪く、喉の奥に何かがつっかえた感じを味わい、困った顔になるキリは思い悩む羽目になった。

 

 しばしキリが話せなくなったため、自然とシルクとゾロが目を合わせる。

 こちらは四人。対して敵船は大きく、船員も多そうだ。

 確実に人数の差はあるだろうと理解しつつ、正面衝突は避けるべきではないかと考える。しかし慎重に行動しようとするシルクの考えに対して、ゾロは正反対の考えだった。

 

 「これからどう行動しようか。敵の人数もわからないし、とりあえず町の人に会って情報収集からした方がいいんじゃない?」

 「面倒だ、正面からやっちまえばいいだろ」

 「それじゃ危険が大き過ぎるよ。ケガする可能性だって高くなる」

 「時間をかけりゃそれだけ町の被害が増える可能性もあるぜ。その前に敵を斬っちまった方が早く済むだろ」

 「それはそうかもしれないけど……」

 「こんなとこで負けるようじゃ海賊王も大剣豪も夢のまた夢だ。突っ切って勝つ」

 

 意見が割れて二人ではどうしようもなくなった頃、悩むのをやめたキリが顔を上げる。

 結局思い出せない。よって考えることをやめた。

 いつもの緩んだ微笑みを見せる。その顔を見て二人は同じタイミングで理解した。

 この表情の時、彼はきっと何も考えていないと。

 

 「あーだめだ。やっぱり思い出せない。よし、じゃあとりあえず行こう」

 「お前、おれたちの話聞いてなかったのか」

 「今作戦を立てようって話してたんだよ」

 「へぇ、そうなんだ。ところでルフィは?」

 

 今になってルフィの不在に気付いたらしく、辺りを見回した三人は肩を落とす。

 気をつけようと思っていたのにこれだ。目を離してはいけないと思っていたのに、気付けば居なくなってしまっている。

 

 ルフィも含めてお互い変化がないことを自覚して多少なりとも落ち込んだ。今でこれなら一体これから何度繰り返すのかわからない。

 ゾロは呆れた顔で、シルクもやれやれと首を振る。

 そんな状況でもすぐに気を取り直してキリが肩をすくめた。

 

 「またこうなるのか。しょうがない。状況もわからないからとりあえず町へ入って行動しよう。ボクがルフィを探すから、二人は町を調べてくれる?」

 「わかった」

 「もし敵に会ったら?」

 「暴れていいよ。ただし本隊にはバレないようにね」

 「難しい注文だな。まぁ、問題ねぇ」

 

 好戦的な笑みを浮かべて答えたゾロに頷き、次いでシルクを見る。

 真剣な彼女もまた何かを察した様子で頷いた。

 

 「ゾロのことよろしく。特に迷わせないようにね」

 「うん。任せといて」

 「人のことばっか言ってんじゃねぇよ。ルフィも同じだろうが」

 

 文句をぶつけてくるゾロに笑顔だけを返し、先にキリが船を降りていった。その後で二人も港へ降りて町を見る。キリは先に通りを歩いていて、声をかける人影など一つもない。

 

 大きな町だった。それなのに静か過ぎる。

 その静寂はいっそ恐怖を感じるほどで、シルクは腰に差したサーベルを確認しつつ不安を抱く。

 ルフィたちがタイミングよく島を訪れなければ、彼女の故郷もこうなっていた。或いはこれよりもひどい可能性だってある。たまたま漂流してきただけだったが今にして思えば本当に救いだ。

 

 だからこそ気合いを入れ直す。

 今度は自分が、この町の人にこれ以上嫌な想いはさせない。

 力を漲らせてシルクが歩き出し、少し遅れてゾロも隣へ並んだ。

 

 目にする横顔は真剣そのものだが体に力が入り過ぎているような気がして。

 町を眺めながらゾロがぽつりと口にした。

 

 「あんまり力入れ過ぎんなよ。もしもの時に反応が鈍くなる」

 「あ……うん。ただ、この町を見るとどうしても緊張しちゃって」

 「あいつらに故郷を守ってもらったって話か。色々思うところあるだろうが集中しろ。海賊を追っ払おうって言ったのはおまえだ」

 「そうだよね。うん、一旦落ち着こう。このままじゃみんなの役に立てないよね」

 

 歩きながら深呼吸して気持ちを入れ替える。

 真剣な状態と緊張は違う。無駄な力が体にあれば十全の力を引き出すことなど不可能だろう。

 強くなりたいと思ったばかりなのだ。これではいけないと肩の力を抜く。

 わずかではあるものの顔つきは変わった。

 にこりと笑ったシルクはゾロへ笑顔を向けて、自然に礼を言う。

 

 「ありがとう。心配させたかな」

 「別にそういうわけじゃねぇが。足手まといになられても困るんでな」

 「大丈夫。それだけはないように気をつけるから。自分の身を自分で守れるだけでも、ゾロは思う存分戦えるもんね」

 「まぁな……」

 

 ゾロが気まずげに頭を掻いた。

 珍しい表情を目にして不思議に思ったところ、そっぽを向きながら言われる。

 

 「おまえは真面目過ぎんだよ。少しはあいつらを見習ったらどうだ」

 「いいの? あの二人を見習っても」

 「……よくはねぇな。厄介なのは二人でも多いくれぇか」

 「ふふ。でもそうだね。もうちょっと気軽に考えた方がいいのかな」

 

 誰も居ない大通りを歩いて、十字路へと差し掛かる。

 その時、穏やかだったゾロの目が突然鋭くなった。

 腰の右側に提げた刀へ手を伸ばし、臨戦態勢と思える姿勢。いつでも刀を抜ける状態で一方向をじっと眺める。その変化には当然シルクも気付いていた。

 

 「どうしたの? 敵?」

 「かもな。誰か居る」

 

 視線が向けられたのは左手にある曲がり角。違和感を感じたのはそこだった。

 気配を感じたのだろうと信じてシルクもまた柄を掴み、いつでも抜けるよう身構える。

 

 敵は確かにその曲がり角から飛びだしてきた。

 ただ一つ予想が違ったのは、どう見ても海賊ではなく、申し訳程度に武装した町人らしき人物。しかも老人だ。髪は白くなって体は細くなり、顔には皺も見える。

 戦えそうにない風貌の男が槍を持って立っていた。

 ゾロとシルクは警戒をやめて、そっと武器から手を離す。

 

 「海賊どもめ、わしらの町に立ち入るな! これ以上何を望む!」

 「誰だ、あのおっさん」

 「町の人だとは思うけど……警戒されてるね」

 「そりゃ襲撃受けてんなら当然の行動だろ」

 

 槍の切っ先が向けられた状態で言葉をぶつけられていた。

 冷静さは感じられず、大きな怒りだけを感じる。物々しい雰囲気は彼によって醸し出されて、たとえ二人が話し合いに応じようと考えても受け入れてはもらえなさそうだ。その様子を見ていても海賊の襲撃は起こっていたのだと判断できる。

 

 シルクとゾロは武器を下ろして戦意がないことを伝えようとするも、老人の怒りは収まらない。

 町人に襲われかけるというまさかの事態に、思わずシルクは慌ててしまった。

 

 彼を落ち着かせる必要がある。

 シルクが前に出てゾロを隠すようにしながら、危険でないことをアピールし始めた。

 その後ろでゾロは表情を変えることなく腕を組む。

 

 「この町はさながらわしらの宝! もう好きにはさせん、たとえわしの命に代えても!」

 「ちょ、ちょっと待ってください。私たち確かに海賊ですけど、この町を襲った奴らじゃ――」

 「無理だな。完全に目が血走ってる。落ち着いて聞いてくれってのも無理な話だ」

 

 ぎこちない動きで槍を回し、再び構えて男が走り出した。

 素人が扱う様は達人が使うよりも危険だろう。放っておけば彼ら二人はおろか、持っている本人さえも傷つけかねないと考え、仕方なく溜息がつかれた。

 咄嗟にゾロが前へ出る。

 

 「町長はこのわしじゃ! 何も知らん小僧どもの好き勝手にさせるかァ!」

 「へぇ、おっさん町長か」

 

 馬鹿正直に正面から走ってくる様はどう見ても素人。武術を扱う者ではない。

 一気に距離が詰められ、全力で槍が突き出される最中も、ゾロは笑って彼の言葉を聞いていた。

 真っ直ぐに頭を狙った槍を回避し、瞬時に懐へ潜り込んで、おもむろに柄が掴まれる。腕力の差はあった。ゾロは迷わず彼の槍を持って体を捻りながら思い切り引っ張る。

 

 頑として槍を手放さない町長を武器ごと背負い投げたのだ。

 勢いよく背中から地面に叩きつけられた町長は息を呑み、呼吸が乱される。

 

 痛みが全身へ広まってすぐには動けないらしい。

 町長はその場でぐったり倒れ、一瞬の攻防とはいえ人が投げ飛ばされる光景を見たシルクは慌てふためいた。あれではダメージも相当だろうと思えたせいだ。

 一方でゾロは全く心配する素振りさえ見せず、奪った槍をその辺へ捨てている。

 荒々しい方法だったがひとまず危機は去った様子だった。

 

 「うぅっ、ゲホッ――」

 「ちょっとゾロ! やりすぎっ!」

 「これくらいやらねぇと頭に血が上ってしゃべれねぇだろ。死にゃしねぇよ」

 

 放り捨てられた槍がカランと音を立てて転がる。

 痛みを堪えて目を開けた町長の視界に、覗き込んでくる顔が二つ。

 しゃがみ込んで心配するシルクとは対照的に、冷ややかな目を向けてくるゾロは腕組みし、強かな態度で声をかけてきた。

 

 「今ならおっさんを殺せたが、おれたちはそうしなかった。ちょっとは理解できたか? おれたちは敵じゃねぇ」

 「もう、荒っぽいんだから。違う方法だってあったんじゃないかな」

 「こうしなきゃおれたちが刺されてた」

 「確かにそうだけど……あの、大丈夫ですか? 心配しないでください、私たちはあなたの味方です。この町を襲ってる海賊をやっつけに来ました」

 「お、お前たち、さながら奴らの仲間じゃなかったのか」

 

 シルクの手を借りながら起き上がり、その場で座った町長は潔く頭を下げる。

 危うく無関係の人間を殺してしまうところであった。

 土下座せんばかりの勢いで、後悔を抱いて謝罪の言葉が告げられる。

 

 「申し訳なかった……! わしはてっきり、あの道化のバギー一味かと」

 「道化のバギー?」

 「それが町を襲った連中か」

 「そうじゃ。ある日突然やってきて酒場に陣取り、わしらから金品を巻き上げた。町民は避難させたため被害は少ないが……町はそうもいかなかった。奴らは強力な砲弾を使い、家屋をいくつも吹き飛ばしてわしらへの威嚇とし、抵抗を封じ込めたんじゃ」

 

 頭を垂れて語る町長を目の当たりにし、シルクの表情は暗くなる。

 

 やはりこれが海賊だ。ルフィたちがどれだけ異質かよくわかる。

 無力な町民は暴力に屈して逃げ出す他なく、たとえ宝の如く町を大事に思っていても、それを守る力と手段がない。だから涙を流して耐え忍ぶことしかできないのだ。

 

 痛いほど拳を握り締めて歯を食いしばる気持ちは、嫌というほど伝わった。

 彼女はそっと町長の背に手を添え、安心させるようにやさしい声で言う。

 

 「安心してください、もう大丈夫です。私たちがなんとかしますから」

 「なに……? そうじゃ、お前たち連中を倒しに来たと言ったのか? 一体何者……」

 「私たちも海賊なんです。ただし船長は別の人。無抵抗な人たちを襲ったりしない人なんです。彼ならきっと助けてくれるはず」

 

 にこりと笑う彼女の言葉はにわかには信じ難く、町長は言葉を失った。

 それでも気にせずシルクが語り掛ける。

 

 「私の宝も彼らが守ってくれたんです。だから今回もきっと大丈夫」

 「う、うむ。そうか……」

 

 妙に力強く言われたことで半ば無理やり頷かせられたが、まだ理解は及んでいない。

 困惑する町長から目を離したゾロは無人になった町を見ながら呟く。

 

 「ま、それもあいつらと合流できればの話だけどな」

 

 今はこの場に居ない二人を思えば溜息が出そうになる。

 彼らが単独で動いて問題を起こさず合流できる可能性がどれだけあるだろう。ルフィがどこで何をしでかすかわからないのはすでに理解したし、キリでさえ勝手に海辺で転んで死にかけるような人間だ。一口に信用できるとは言えない性質である。

 

 果たしてこの町を出るまでにいくつの事件を起こすのか。

 彼らを理解しつつあったからかすでに心配事が思考を占め、ゾロは我慢できずに溜息をついた。

 


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