居酒屋で愚痴を聞くだけの簡単なお仕事です   作:黒ウサギ

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デレフェスなんて無かった、良いな。


城ヶ崎美嘉と言う名のバカ

「淫ピンビッチ、勉強するぞ」

 

「待って何その呼び名」

 

 プロデューサーの武内さんの頼みを聞くことになった俺は仕方が無く、本当に仕方が無く城ヶ崎に勉強を教える事となった。決して金に釣られたとか欲に目が眩んだとかでは無い。試しにと謝礼はいくらなのかと聞いてみて提示された金額で欲しかったものが買えるからとかそんな不純な動機では断じてない。

 

「勉強すっぞ勉強。お前が勉強するんだよ!」

 

「いや待って可笑しいじゃん、昨日はあんなに断ってたのにどうして急にやる気になってるのさ・・・」

 

「何でってそりゃ・・・」

 

 金の為ですと素直に答えられるわけも無い。そう答えてしまったら俺の輝かしい高校生活は無に帰る。

 どう答えた物かと頭を悩ませていると自称カリスマJKギャル(笑)の処女ヶ崎がにやにやと笑っていた。

 

「も、し、か、て~。私と二人っきりで勉強出来る事のありがたみを分かったんだ!」

 

「寝言は寝て言え処ビ」

 

「スッゴイ不名誉な略され方した・・・」

 

 こちとら美人は見慣れてるんだぞ、私生活だらしない酒好きの美人だけど!今更こんな小娘と一緒に勉強会する程度でココロオドル訳ないじゃないですか。

 なんて事を本人に伝えたら涙目プルプルしそうだから心の中に秘めておく。まぁ確かに城ヶ崎は可愛い部類に入る。だけど如何せん比較する相手が悪かった

 

「まぁこっちにも色々と事情があるわけだ。本来ならばお前の残念な頭の事とかどうでもいいし、留年しようが俺には関係ないわけだ。」

 

「割とさっくり酷い事言うよね・・・」

 

 事実だし否定した所でどうにもならんし。

 

「ま、まぁ教えてくれるってんならありがたく教えて貰っちゃおうかな!」

 

 何故か上から目線の城ヶ崎に定規でデコピンをお見舞いしておく。デコからプスプスと煙が上がっているがアイドルはそんなギャグみたいな事が出来るのかと戦慄してしまう。

 さて、勉強を教えると言った者の城ヶ崎は現役アイドルである。当然の様に仕事の為に放課後と言う時間を仕事に浪費したり、授業に出ない事だってある。となれば何時勉強を教えるのが良いのかと言うと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言う訳なんですけどどうするのが一番なんでしょうね」

 

 相談するならプロデューサーである武内さんや!と言う訳で、彼に連絡をしてみた所近くのカフェで待っていると言われたので行ってみる事になった。向かうのは別に良いのだがでっかい会社の中にあるカフェに呼ぶとかちょっと驚きである。部外者なんですけど入っても良いのか悩んだが何食わぬ顔で入る事に。

 そして武内さんとカフェで落ち合い、夕食を食べるのに良い時間でもあるのでお互い何か頼むことになった。

 そんな武内さんであるが、現在運ばれて来た2ポンドハンバーグに舌鼓を打っている。2ポンドって何だよ、ぼちぼち1kgハンバーグじゃねえかそれ。そんな物を置いてある店も店で何してんだよと思わないでもないが、頼む人も頼む人で割とぶっ飛んでる気がする。

 幸せそうにハンバーグを口に運び続ける武内さん。一向に返事が来ない事から食事中に何を言っても意味は無いのだろうと判断し、此方も頼んでおいたパフェを口にする。運んで来たメイドが「キャハ☆ラブリービームで美味しくなぁれ☆」何て言ってきたから思わずスプーンを取り落としそうになった。見た目17歳近くの少女なのだが行動が17歳に見えないのは何故なのか・・・。

 

「ご馳走様でした。それで、城ヶ崎さんに何時勉強を教えれば良いのか、でしたよね」

 

「ですです、何だかんだ言って城ヶ崎って売れっ子アイドルなんですよね?となれば向こうのスケジュールに俺が合わせるしかないと思うんですよ」

 

 ビryの為を言うと少し思わない所が無いわけでは無いがこればかりは仕方が無いだろう。なんせ向こうは売れっ子であるし。

 

「でしたら、スケジュールを教えますので貴方が大丈夫な時間に此方の会議室で勉強会を行って貰えれば此方としては問題は無いかと」

 

「いや、そんな簡単に社外の人間にスケジュールとかほいほい教えちゃダメなんじゃ・・・?」

 

「本来ならば駄目なんでしょうが、現在城ヶ崎さんは軌道に乗って来た所でして。そこでテストの点が悪く補習が行われ仕事に出れない。なんて事が起きた方が問題です。それに社内で行う方が、いらぬ噂が立つ必要も無いですしね」

 

 確かに、仮に二人きりで勉強会を行っている所を事情の知らない第三者が目撃すればそこから有らぬ噂飛び交う可能性もある。社内で行えば事情が知ってる人がいる訳だし何かしらの問題が起こる事も無い。

 

「ビルに入るためには社員証が必要ではありますが、そこは私が何とかしますので問題は無いでしょう」

 

「そこらへんは自分が出来る事って無いんでお願いします」

 

「因みに、城ヶ崎さんは勉強はどれくらい・・・」

 

 と武内さんは言いよどんだ。まぁ担当プロデューサーがどれくらいやばいのかって素直に聞くのも躊躇われたんだろう。ぶっちゃけ城ヶ崎の成績を教えてもらった感じかなりやばいとだけ伝えておく。武内さんは首に手を当て天を仰いだ。

 

「まぁ完全にダメって訳じゃないんで、最低限のレベルになる様に頑張りますよ」

 

 金の為にも!なんて欲に塗れた事は口に出さない。ここで信用を失っては欲しい物が買えなくなってしまうのだ。

 

「よろしく、お願いします・・・」

 

 こうして、俺の家庭教師生活が始まるのであった。

 

 

 




短いけどのんびり書くぞい

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