居酒屋で愚痴を聞くだけの簡単なお仕事です   作:黒ウサギ

81 / 91
デレステイベント蘭子と楓さんやったー!
ガチャ美波可愛いやったー!
番外編になります。相変わらず原作崩壊気味ですが気にしないでくださいませ


番外編:熊本民謡

夏。

燦々と照り付ける日差しが凶器となり、人の肌を焼き、体温を上げて殺意を持ち出す季節。

毎日のように暑い日が続き、太陽のテンションが上がって地球温暖化が進んでいると実感する今日このごろ

 

「今度は神崎、しかもソロと来た」

 

神崎のデビューが決まり大忙しである。

部長から知らされた翌日。CPメンバー全員が集まったのを確認してから投下されたその話。当然騒がしくなった。前回のラブライカ、ニュージェネレーションズの時とは違い、神崎一人だけのデビュー。また前川や城ヶ崎が何か騒ぐかと思っていたのだが、予想は外れて待っていると言った。

 

「プロデューサーが約束したしね、あたし達のデビュー」

 

「そうにゃ、何時までも我侭言ってる場合じゃないのにゃ」

 

その言葉に少し感心して、武内君を見る。彼はよく見なければ分からないほどの、僅かな笑顔を浮かべていた。

 

(嬉しいなら素直に喜べば良いものを…)

 

と言ってもそうすることが出来ないのが彼らしいところなのかもしれない。

伝える事を伝えて、神崎と武内君は別室で話し合いをすることになった。残された面々は、レッスンに向かったり、そのまま談笑を始めたりと、チームの仲はいいご様子。

先が楽しみだ。そう思いながら、自分も仕事に戻ることにした

 

 

 

 

-----

 

 

 

 

車から降りて、一服。

あの後、自身が担当しているアイドルを迎えに行くために車を走らせて郊外にある大学へ向かった。

補足しておこうと思う。何故CPに関わっている俺が担当のアイドルがいるのかというと。そもそも担当アイドルはCP発足以前からのものである。そんな中で、武内君に一悶着起きて、色々と悩んでいる時にプロジェクトの話が持ちかけられた。

自分はどうすればいいのでしょうか。そんな疑問を打ち明けたかったのか、久しぶりに飲みに行ったその夜、相談された。

 

ー本当に自分何かに務まるのか

-適任者は他にもいるのではないか

 

などなど。

珍しく弱音に近い疑問を話されて、当時の俺は酒が不味くなるのを嫌ったのだろう

 

ーやる後悔よりもやらない後悔の方がキツイ

 

なんて何様だと思われるがそんな事を言ってしまった。

くよくよしていても何も変わらないし、そんなのはらしくない。とやけに饒舌だったと思う。

そんな言葉を受けた武内君は、そうですねと笑いながら呟き

 

ー自分はまだ未熟です、先輩もこの企画に参加してもらえないでしょうか。

 

と言ってきたのが始まり。まだその頃は元気ハツラツ病気なんて知りませんな状態だったので二つ返事でOKして。担当アイドルの仕事も、CPの仕事もどちらもやっていた。

 

そして今に至る。

今は昔ほどアイドル達も手のかかる存在ではなく。一人で仕事を取ってきたりとこちらの負担が減るように動いてくれている。有難いことである

 

フィルター近くまで燃え尽きた煙草の火を消して時計を確認する。時刻はそろそろ待ち合わせの時間に近づいており、先程からちらちらと下校中の生徒が見かけられる

 

「お待たせしましたー」

 

「すみません、遅れてしまって…」

 

声が聞こえて振り向く。

 

「鷹富士と鷺沢か。気にすんな、待ってないし」

 

担当の鷹富士茄子と鷺沢文香である。

二人共同じ大学に通う先輩後輩の仲で、今日のように迎えに来ると大抵セットでいる事が多い。

そんな中睦まじい彼女達、何故かジャンケンをしている

 

「うふふ、今日も私の勝ちですね文香ちゃん」

 

「運が絡むジャンケンは…、私勝てる見込みが無いのですが…」

 

鷹富士の幸運は多くの人が知っている事である。

聞いた話では福引をやれば一等特等当たり前。病気にも患う事も無く、今まで事故や不運に見舞われたことは無いらしい

 

「そんな鷹富士と何でジャンケンを?」

 

「それは…、どちらが隣に座るかを…決めていて…」

 

「勝った人が助手席に座るんですよー♪」

 

よく分からないが、そういうことらしい。

勝者である鷹富士は嬉しそうに助手席に座り、敗者である鷺沢は少し恨めしそうに後部座席に座った。

二人が乗車した後に俺も運転席に座り、ニコニコ笑顔の鷹富士を不思議に思いつつも車を走らせた。

 

 

 

 

-----

 

 

 

 

二人を仕事先に送り届けて、翌日の事である。武内君の仕事の進み具合を確認する為に部屋に向かう事にしたのだが部屋が騒がしい。相変わらず騒がしい部屋の様子に少し苦笑しながら、扉を開ける

 

「武内君、ちょっとアイドル達にそういった事をやらせるのは如何なものかと…」

 

武内君が両手にアイドルを座らせてお菓子を食べていた。飲み物もしっかりと置かれており、まるで夜のお店見たいである。

そこでふと思う。もしかしてこれは俺お邪魔虫なのではないか。よくよく見ればアイドル達は楽しそに彼を囲んでいるし、武内君も満更ではないご様子。

お邪魔虫じゃないですかこれ。

 

「ごゆっくり…」

 

「待ってください先輩!話を聞いてください!」

 

部屋を去ろうとしたら、勢い良く立ち上がった武内君に肩をつかまれ抑えられてしまう。勢い良く来たものだから顔も近く、息遣いまで聞こえてくる始末

 

「武内君、近い近い」

 

「まず、話を聞いてもらえませんか!」

 

何で君こんな時だけそんなキリッとした顔するかね

 

「ん…、ミナミ?何故目隠しするですか?」

 

「きらりちゃんも、前見えないよー?」

 

「アーニャちゃんは、染まらなくて良いからね?」

 

「みりあちゃんも〜、少しだけ見るのは早いかな〜って」

 

ほらみろ、いらんこと考えてるぞあいつら。

 

「止めろ渋谷睨むな」

 

「に、睨んでないしっ!」

 

「城ヶ崎、写真撮って姉ヶ崎に送るのは止めろ」

 

「もう送っちゃった☆」

 

城ヶ崎ィ!

魂の叫びは届くこと無く、ドタドタと姉ヶ崎が扉を開けて入ってきた

 

「ちょ!二人共離れて!男同志とか非生産的だからやめなよ!」

 

「お前落ち着け、そんなんじゃないから」

 

何とか武内君に離してもらうように説得してから、誤解を解く。

因みに侍らせていた訳では無く、敬語使うの止めようぜ!って事であの様な形でコミュニケーションを取っていたらしい

 

「んで、見た感じ効果無いように見えるけど」

 

「それがさー、プロデューサー堅くて堅くて…。頑張ってるんだけどなかなか敬語抜けなくてさー」

 

「その結果が両手に花と」

 

何だその状況。羨まけしからん

 

「俺そんな事一切言われないけど」

 

「神楽さんはその、最初から砕けた感じですし…」

 

新田の一言に確かにと思いながらも、少しだけ悲しい。武内君だけそうして親しくなっていく一方、こちとら一定の距離が離れている気がする。

新田とアナスタシアはまだ気安く話しかけてくれるが、他のメンバーはまだ少し堅い感じ。赤城は別だ。あいつは親しさの中に毒を含めてくる。無意識に。

 

「さて、武内君の方はともかく何か小物増えた?」

 

「皆で一つずつ持ち込んで来たんです。プロデューサーさんからは許可得てますし、それに何も無いままですと殺風景でしたし…」

 

否定はしない。置いてあったのテレビとソファーくらいだし。

そこでふと、神崎に目が映る

 

「どした神崎、元気無さそうだけど」

 

そう声をかけると、彼女はびくりと体を震わせて少しだけ俺から距離をとる。

流石にそんな風に反応されると傷つくものがあり、少しだけ涙が出そうである。

助けて新田と目線を移すが、あははと苦笑されるだけである。

姉ヶ崎助けろと見てみると、赤城と楽しそうに触れ合っている。フヒヒなんて不気味な笑いしてるのが怖い。

しょんぼりと(´・ω・`)こんな顔しながら、トボトボと部屋を出る。

ウサミンパワーに癒されようと思い、喫茶店を目指すことにした

 

 

 

 

-----

 

 

 

 

「ほー、多くの品々があって悩んでしまうのでー」

 

「何食わぬ顔で同席して注文しようとすんな部外者」

 

当然の様に相席してメニューを見始める芳野にため息を1つ。

しかしそんな事にも慣れてしまい、商品を選んだ芳野を見て自分も頼むことに

 

「この和風パスタなる物を1つー、それと食後にエベレストパフェをー」

 

「お前残したら説教だからな、俺は取りあえずサンドイッチで」

 

エベレストパフェは何故アイドル事務所の喫茶店にあるのかと不思議に思う程のパフェである。

50cmを超えるそれを食後に食べるとか言うから不安で仕方が無い

 

食後に出てきたそれを見て、芳野が零した

 

「満腹なのでしてー」

 

「どうすんのこれ…」

 

まさかパスタだけで満腹を訴えるとは思ってもいなかったため、この塔をどうしたものかと悩む。

三村を呼んで食べさせるのもありかと考えたが、そんなことしたら聖さんに怒られてしまうので止めておく。

試しにと一口掬って芳野の口元に運んで見るが、開ける気配はない。結局自分で一口食べてみたが普通に上手い。問題は量であるが…

 

「あ、神楽さん。こんにちは」

 

「こんにちはー」

 

声をかけられ、そちらを見ると北条と神谷が立っていた。見れば二人共学校の制服を着ている。これからレッスンなのかと思ったがどうやら違うらしい

 

「レッスン終わって、少し甘いもの食べようって話になってさ」

 

「制服なのは午前中に少し学校に用事があったからなんだ」

 

なるほどと理解して、ちょうどいいからとパフェを勧める。最初こそは奢られることに渋っていた二人だが、遠慮するなと一言伝えると喜んで食べ始めた。

スプーン一つでは足りないと思い、通りかかったウサミンにもう一つ持ってきて貰い、美味しそうに食べる二人を少し眺める

 

「そなたー、浮気は許容しないのでー」

 

「ずっと気になってたけど、その子神楽さんの彼女なの?」

 

「あっはっは。まさかー」

 

笑って返したら腹部を箸で刺された。箸は凶器じゃありません。

親戚と答えて、二人に食べろ食べろと話題を逸らすように告げる。神谷はともかく、北条線が細すぎるから食べて太れと言いたい。言ったら睨まれるから言わないけど。

黙々と食べ進める二人を眺めながら、平和を満喫する。

そもそも俺ここに何しに来たんだっけ……

 

 

 

 




速度6のイベント曲で死亡確認。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。