「やったぜ」
コメントが多すぎてびっくり。
美優さんヒロインは悩み中。これ以上増えたら黒ウサギの脳がパンクする可能性すら有りうる。
岩手県某市内。その市内で有名である料亭の一室に、ぽつねんと1人ボッチがいた。私です。
今日はお見合い相手との顔合わせの日となっている。わざわざここまで来るのにお店も休業して、何しに行くのか何処に行くのかと質問攻めしてくる2人を何とか誤魔化してここまで来たのだが
「来ない」
相手である三船さんが時間になっても来ないのだ。何かあったのだろうかと考えるが、仮に何かあっても俺にはどうしようも無いことなので諦める。
ただ、この豪華な部屋で1人待つのも少し心細い。飲み物を持ってきた中居さんに一服してくる事を告げて外に出る。
外に出て改めて思うのはこの料亭、塀に囲まれているためか物凄く密談に向いているんだろうな、と考えてしまう。
「しかし喫煙するにも外に出て吸わないとならんとは、喫煙者には住みづらい世の中になった事ですわ」
まぁ別に吸わなくても支障は無いんだけど、タバコを吸うと何も考えなくてもいい感じになるので愛好している。因みに皆大好き一ノ瀬印のフィルター付き。ニコチン何て取り込まないし、口内に匂いも残らない。今度1度何を使用しているのか訪ねて見たい所存。冷静に考えるとこれ凄い事だし。
禁煙するかなと残り少なくなったタバコを携帯灰皿に押し付けて火を消す。
ふと、視界の隅にウサミミが映った。何故にウサミミ、と言うかこんな所にウサギ?
疑問に思いつつ、見えたであろう場所の足を運ぶ
『アタシポンコツアンドロイド』
成程、ウサミンロボか。
池袋博士事業拡大してるもんだなと関心していると、中居さんに声を掛けられた。
「お客様、お連れの方が到着なさいました」
「わざわざありがとうございます」
キリッとして佇まいを崩すこと無く、中居さんは去って行く
「ん?ロボ消えた……」
少し視線を外しただけで消えたロボを不思議に思いながら、早足で部屋に戻ることにした。
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「危うくバレるとこでした……」
あと少しでウサミミを持ち上げられる!と思った時に、周子ちゃんが機転を効かせて喋ってくれたお陰で何とかなりました…。
「いやー危なかったねー。あ、ほら移動し始めたよ私達も部屋に向かうよ!」
「まだやるんですね……」
悠人さんが岩手に行くと告げた日に、周子ちゃんから持ち掛けられたお話が追跡でした。正確に言うと尾行である。
1歩間違えれば早苗さんが飛んでくるそのストーカーチックな行動に、若いって凄いなと感心しましたが流石にそれまずいのではとナナの中の天使が囁きます。
「まぁ私1人で行っても良いんだけど、ナナさんには一応言っておこうかなって」
ふと悩みました。ここで素直に周子ちゃんを見送った場合、もしかしたら2人きりでお出掛けとかしてくるのでは?悠人さんはやらなくても周子ちゃんならします。そんな行動力をこの子は持ってますし。じゃなかったらすっぱりアイドルなんて辞めないでしょう…
「ナ、ナナもついて行きます!」
だから、ナナのこの選択は間違いでは無かったはずです。2人きりにさせるわけには行きませんから!
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写真で見るよりもずっと美人で、目を離せなくなるようなとても綺麗な人だった。歩いてるだけでも人目を引き付けるであろうその美貌。両親サンキュー!見合いに来て良かったわ!
イイって事よ。なんて幻聴が聞こえた気がするが、これ以上黙って見ていたら失礼に当たる。
「本日はこの様な場を設けて頂き、大変ありがたく」
「あ、いえ!申し込んだのはこちらですし、それにわざわざ御足労頂いて……。こちらこそありがとうございます」
着物姿の三船さんは、礼儀正しく、どこぞの事務員にも見習って欲しい程である。
しかし、この人本当に未婚なのかと改めて思う。なんと言うか……そう美波ちゃんと似た雰囲気があるんだ。新田だけに似たってか笑
すみません、取り乱しました。
まぁ美波ちゃんの醸し出す新妻的サムシングに、三船さんも似てる。寧ろ三船さんは完全に人妻感ある。
美人局とかそういう危険なやつじゃないかと少しビクビクしながら会話を続ける。
「えーと……。何を話せば良いのやら……。ご趣味は?」
取り敢えずお見合い定番台詞とも言われる、趣味についてたずねる
「アロマテラピーに、嵌っています」
アロマテラピー、確か精油とか使って匂いを楽しんだりするやつだっけか。
「匂いを楽しむんでしたっけ?うちですとなかなかそう言った匂いは楽しめないんですよね」
「確か、神楽さんは飲食店を経営なさって…。確かに、お店には似合わない匂いもありますしね。ですが、自室で楽しむ事も出来ますし、落ち着きたいと思った時に嗅ぐと心が安らかになるんですよ」
そう言って、三船さんはカバンからハンカチを取り出してこちらに渡してくる。
「私ったら何時も匂いを焚いてるものですから、ハンカチ何かにも匂いがついてしまって……。でも、いい香りだと思いませんか?」
意図を組み、少しだけ失礼して匂いを嗅がせてもらう。
ミントの匂いがするハンカチを嗅いで、三船さんの部屋の匂い嗅いでる!と直結させるあたり自分の脳内を心配してしまう。完全に変態である
「どうですか?私のお気に入りなんです、この香りを嗅ぐと頭もスッキリして考えとか捗りますし」
確かにスッキリする匂いである。幾分か冷静になった頭でそう思い、部屋に置くのもありかなと考える。
「休日なんかも、専門のお店に行って新しい香りを探したりするのが多いんですよ」
「あーでもその気持ちはわかるかも知れません。新しい物を探すのって結構楽しいですよね。色んな発見したりしますし」
「この前は少し遠出して違う県まで出向いたのですが、そこでリンゴの香りがする物を見つけて思わず買ってしまって」
この後も、途切れることなく趣味の話、休日の過ごし方、色んな思い出などなど、会話がスムーズに進んでいく。
お互い話疲れたのか、1度飲み物で喉を潤して。本題とも言える話題に映る。
「三船さんは、何で自分とのお見合いに参加することにしたんですか?自分で言うのも何ですが、居酒屋とかって一定の収入とか無いですし、不安定な仕事ですよ?」
「正直、私も母に勧められただけで、乗り気では無かったのですが…。ここに来るまでの話ですよ?でも、今は神楽さんと会えて、楽しく会話出来て、素晴らしい時間だと思います。確かに神楽さんの仰る通り、居酒屋は不安定な仕事かも知れませんが…、やりたい事をしっかりとやれている。それだけで、私は尊敬に値すると思います」
誇らしいじゃないですか。と笑顔で言われてしまい、思わず恥ずかしくなり顔を伏せてしまう。
面と向かって誰かに褒められるなんて、それこそ今迄無かった経験かも知れない。なんか凄い包容力あるわこの人。
「それに、会って分かったことですけど、神楽さんは優しい人ですし、少しだけこの場を設けた両親に感謝です」
女神や。
と言うか待ってくれ。これもしかしなくていい雰囲気ってやつじゃないか?このままお付き合いに流れるムードなんじゃないか!!
どうしよう、P。俺一足先にゴールするかも。
改めて三船さんを見ると、彼女は少し恥ずかしそうに顔を赤らめており、とても色っぽい。
これ確実にゴールできますよ私!なんて思ったのが悪いのか
「神楽さん、携帯鳴ってませんか?」
「ん、あぁ本当だ。すみません、少し席外します」
携帯が鳴っている事に気付かずかないほど、浮かれていた自分に少しだけ笑えてしまう。誰からだろうかと画面を見ると周子ちゃんからだった。何かあったのか出てみると
『ごめん悠人さん、邪魔する様で悪いけど助けて』
『周子ちゃん、走って!』
『あ、ナナさん前!』
『え、きゃあ!?』
「………邪神様が見ている」
意味深な言葉を残して途切れた電話に、思わず呟かずにはいられなかった。
ヘイヘイヘイヘイ!黒ウサギ焦ってる!ヘイヘイヘイ!風呂敷広げて焦ってる!ヘイ!
ギャグ9割にする予定だったんだけどなぁ…
書いてて何か美優さんの好感度高めに設定ささってるし……どうしてこうなった