居酒屋で愚痴を聞くだけの簡単なお仕事です   作:黒ウサギ

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アーニャんにゃん(迫真)
という訳で、アーニャんにゃん続けます。
後活動報告にてヒロイン募集しております。誰も来なかった場合、アーニャからの美波の流れで書きます笑


アナスタシア:家族

何故か気を失ったアーニャちゃんを部屋に寝かしつけ、喧騒に包まれたままの居酒屋(喫茶店ver)に戻る。

 

「元警官のアタシの目の前で!セクハラやらかすなんていい度胸してるじゃない!」

 

「あだだだだだだ!!」

 

いやぁ、早苗さんユニット配置してて助かったわ。

今回の衣装なかなかに脚部の露出激しい感じがしてたのよ。アーニャちゃん天使だもん、そらセクハラかます奴の1人2人3人4人出ても可笑しくない。アイツらは基本1人目が出たら30まで出てくる可能性を考慮せねばなるまい。連鎖反応見たいなもんよね。アイツがやってるんだから俺も、みたいな。

ただ今回ばかりは警察沙汰にするのはよしておく。罷り間違ってアーニャちゃんの今後に何かしら支障が出たら困るのであるよ。逆恨みでグサーとかされたら笑えない。流石の神楽さんも刺されたら血は出るのだ、1mlくらい。

そんなこんなで、何故か追加で恍惚とした表情で鞭を振り回していた時子さんと早苗さんに下手人を任せて監督と話をする事に。

 

「今回はすみません」

 

「いえ、こちらこそ。こう言った可能性を考慮していなかったこちら側も問題でしたので」

 

大人な対応をしてくれる監督に感謝しつつ、次回のお仕事のお話も進めておく。特撮撮ろうぜ!見たいな仕事。

ライダーはV3こそ至高。といった所で今回はお開きになった。しかしあの監督わかってる。アマゾンは無駄に技術を使わない大切断が素晴らしいのだ。CG使うとなんかこう、インパクトに欠けるんだよね。もう個人的にお友達になりたいよあの監督とは。

 

「さてと…。まず片付けっかー」

 

お客さんにもお帰り願った訳なので、食器が残ったままである。アーニャちゃんが起きるまでまだ時間あるだろうしのんびりと始めますか。

 

「あ、私も手伝うよ神楽さん!」

 

法子ちゃんまじ感謝。今度お礼にドーナツを奢ってやろう。いやごめんタイム、奢るんだと端から端迄とかやりかねないから自作で勘弁な!

 

 

 

 

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目を覚ました時、嗅ぎなれた、優しい香りがしました。

ここは…?と辺りを見回すと、私の部屋では無く知らない場所。でも、何処か落ち着く雰囲気の場所でした。

 

(いい匂い…)

 

布団から発せれる、匂いに思わず顔を埋めてしまう。安心する匂いが呼吸をする度に体内に充満して、心がポカポカと温かくなる。

 

「ふふふふーん、ガーラースのおーりからー。お、起きてる起きてる。具合どう?お粥作ったけど食べれる?」

 

「………ユート?」

 

「悠人悠人」

 

美波の曲を歌いながら部屋に入ってきたユート。片手に持ったお盆からは湯気が立ち上り、そこから放たれる匂いにきゅるるとお腹が鳴ってしまう。

恥ずかしくなり慌ててお腹を抑えるが、その動きは明らかにお腹鳴ったから、隠してます。と言わんばかりの動きだった。でも彼は「俺もお腹空いたから少し頂戴ねー」と笑って聞かなかった事にしてくれた。

その姿が何処か可笑しくて、私もつられて笑ってしまう。

彼はそのまま、慣れた手つきで椅子に座り体調を訪ねてきた

 

「大丈夫かな?倒れた時におデコ触ったら熱かったから熱でも出たのかなって思ったけど今はそんなでもない感じ?」

 

「アー…、熱は無いです」

 

恥ずかしくて体温が上がったなんて言えません。

そこでふと、私が今いる場所について考える。

彼が遠慮なく部屋に入ってきた事、慣れた様子で部屋の中を動いていた事。つまりは

 

「ここは…ユートの部屋、ですか…?」

 

「ん、あーアーニャちゃんの部屋に寝かせたかったんだけど、流石に無断で入るのは不味いかなって事で俺の部屋に運んだんだー」

 

年頃の女の子の部屋に入ったのがバレたら何されるか分かんないしね。と言った彼の言葉は、殆ど耳に入ってこなかった

 

(つまり、これはユートの布団で…。私は、ユートの匂いを嗅いでいた…?)

 

そう導き出された答えで体温が上がり、顔がリンゴの様に真っ赤になる。慌てて布団を剥がし、ユートの目が足元に向いていることに気がついた。

 

「先に謝っとくね、ごめんなさい」

 

何故?と疑問に思い、やけに涼やかな足元をみる。寝ていたことで捲り挙げられたのか、はたまた神様(黒ウサギ)が「ラッキースケベって良いよね」なんて考えたのかは分からない。私のちょっとしたお気に入り、美波と選んだ薄い青の下着がコンニチハしていた。

何とも言えない空気が流れる。

急いでスカートを直し、恥ずかしさで泣きそうになるのを堪えながら部屋を飛び出して自室に飛び込む。その際に「布団臭かったのかな…、やっぱりパパの下着と一緒に洗わないでの精神が外国でも存在するのかな…」と聞こえてきたけど、訂正する余裕が無い私は自分のベットに潜り込んだ。

 

(恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!!!)

 

枕に顔を押し付けて、声にならない声を吐き出す。

以前ユートは私の事を家族見たいだと言っていたが、パパに下着を見られたくらいではここまで動揺する事は無かった。じゃあ何で?ユートに見られて恥ずかしいの?そう考えて、アッサリと結論が出る。

 

「ユートが、好き…」

 

言葉に出した途端に、心臓がこれまで経験した事のない勢いで動き出し、それに伴い心のポカポカも強くなる。

 

「好き…」

 

もう一度、自分に言い聞かせるように呟く。

 

「アーニャは、ユートが、好き…」

 

このポカポカは、幸せの気持ち。優しいユートが好き、側にいて励ましてくれるユートが好き。ユートの事を考えるだけで、嬉しくて、楽しくて…幸せになる。

枕を抱きしめながら、ゴロゴロとベット上を転がる。と

 

「アーニャちゃーん?お粥置いておくから、食べれそうなら食べてねー」

 

聞こえてきたユートの声で現実に引き戻されて、何も言わずに部屋を飛び出した事に申し訳なく思う。

階段を下りる音が聞こえて、少し経った頃に顔を出してお粥を食べる。まだ温かいお粥はを何度も往復させてその味に舌鼓を打つ。大半を食べ終えた頃に、鍋の下に手紙が挟まれている事に気がついた。

 

『今日は色々大変だったから疲れてると思うし、夜の営業は出なくても大丈夫です。ゆっくり休んで、元気になってください。あと質問なんだけど布団臭かったかな。もしあれなら新しいのに買い換えるから!』

 

その優しさが私をまた幸せにしてくれる。こんなにも私の事を考えてくれて、心配してくれて

 

(嬉しいです、ユート…)

 

でも、ユートは私の事を家族だと言ってました。家族…ユートは、家族の中でも私の事を妹だと思っているハズです。

 

(奥さんに、なりたいです…!)

 

まずは妹の立場を脱却し、奥さんポジションを目指します!

 

(その為にも、美波と蘭子に相談してみましょう…)

 

そう決意して、私は2人に連絡をするのでした。

 

 

 

 

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「闇に飲まれよ!」

 

「おじゃましまーす…」

 

「取り敢えず生、それと鶏ハム」

 

「待って今夜ってお前だけじゃないの?」

 

仕事、つまりはセクハラ問題があった夜。その報告と食事をする為にPがここに来ることは聞いていたけど。蘭子ちゃんと美波ちゃんが来ることは聞いていなかった。

 

「何でもアーニャが2人を呼んだらしいぞ?」

 

アーニャちゃんが?何かあったのだろうかと疑問に思うが別に人を呼ばれて困るものでも無いしと考えを終わらせ、2人を招き入れる。

 

「階段上がって右側がアーニャの部屋だから。あ、飲み物出しに行けないから、好きな物注いでって」

 

「あ、ごめんなさいわざわざ…。行こっか蘭子ちゃん」

 

美波ちゃんはそう言いながら注ぎ階段を上っていった。というか蘭子ちゃん。あんたジュース混ぜるタイプなのね。

なんて思いつつ、俺も生ビールを注ぎ鶏ハムを切り分ける。

 

「今日は大変だった見たいだな」

 

「大変も何も、早苗さんから少しは聞いてるだろ?まぁ監督さんも気にしないように言ってたから、また仕事が回ってくることはあるだろうけど」

 

「問題は、アーニャか」

 

そこで1口ビールを飲み、無言で頷き話し始める。

 

「アーニャちゃん、多分ああいった事されるの初めてだろうしさ。今後男性に対する苦手意識とか出ちゃったら、仕事にならんぞ…」

 

「かと言って、無理に仕事させる訳にも行かないし…」

 

二人揃って溜息を漏らす。

懸念するべきは男性への苦手意識だ。

女性だけで構成される仕事、頑張れば出来ないことは無いだろうが、それを実行に移すとなると多大な労力がかかるであろう。

如何した物かねぇ…。と2人で悩んでいると

 

『『キャーキャーキャー!!!!!』』

 

二階から悲鳴が上がった。

すわ何事かと身構えていると、ドタドタと急いで階段を下りる音が聞こえた。奴でも出たのかと俺の中に緊張が走る!

まず降りてきたのは美波ちゃんだった。

 

「どうした美波ちゃん!何が「キャー!!」ラクロス!?」

 

バシンと平手打ちを貰った。

何故なのかと考えていると彼女は階段を駆け上がり、今度は蘭子ちゃんが現れた

 

「ね、ねぇ…何が「闇に飲まれよ!」ぶりゅん!?」

 

美波ちゃんが叩いた頬とは逆側に蘭子ちゃんとからも平手打ちを貰う。訳が分からない、助けろP。

 

「なんかしたの?」

 

「したなら普通アーニャが叩きに来ると思うんだけと」

 

「だよなぁ…」

 

ヒリヒリと痛む頬を撫でながら、何か思い当たることが無いかと考えを巡らせる。

 

「お猪口でちょこっとやりに来ました♪」

 

「ナナはここでなら飲んでも大丈夫なんです!17歳でもここなら許されるんです!」

 

「わからないわ」

 

よく訪れる3人が暖簾を潜り入店してきた。それと同時に、紅葉を咲かせている俺を目にし、近づいてきて

 

「えい♪」

 

-パシン!!

 

「わかったわ」

 

-パシン!!

 

「えーと…え「痛いわ!」あ痛ぁ!?」

 

-ズビシ!

 

と、わけも分からず叩かれた。

 

「何でだよ!」

 

「綺麗な紅葉だったので、つい♪」

 

「場の流れかな、って」

 

「な、何でナナだけ叩かれたんですか!」

 

理不尽この上ない。騒ぐウサミミを根元から引きちぎり、涙を流す。そんな中でPは勝手にサーバーからビールを注いでいた。

 

「まぁ今日は女性運が無かったって事で諦めれば?」

 

「誠に遺憾である」

 

「そんなことより、私獺祭が飲みたです」

 

「あら!イイわね獺祭。神楽さん、獺祭とたこわさ、それとチーズ揚げお願いね」

 

「えーとナナはですね「ウサミン星に帰れ」神楽さんナナに冷たくないですかね!」

 

色々と思うことがあるが、今はこの騒がしさを楽しもう。

しばらくして、二階にいた3人も下に降りてきて、騒がしさは更に加速していく。

そんな中で、蘭子ちゃんと美波ちゃんが俺を見る目が、何とも言えない嫌悪感を孕んでいるのが分からなかった。




久しぶりの居酒屋神楽。書いてて気持ちいいですね、ボケさせるの。

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