居酒屋で愚痴を聞くだけの簡単なお仕事です   作:黒ウサギ

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タイトルに初の単語が!
天使だから仕方が無い。
でも内容的には天使要素が少ない。


アナスタシア:天使

水着の仕事、制服の仕事。

そのままライブ、そのまま仕事。

やっぱりアイドルというのは忙しいものだなと改めて実感し、プロデューサー業任せてきたPに軽い地獄を見せる事を決意したある日の事。

 

「うちの店での撮影…ですか」

 

なんて事をいい始めたお得意先がいた。

なんでも次の仕事に使う『ハイカラメイド』の衣装に合う背景として撮影を頼んでいたお店の店主の一人娘が家出をしてしまい、捜索に専念するためとかなんとか。

一人娘の行動力に驚きながらも、向こうの申し出を考える。ぶっちゃけた話出来ないことはない。メニューを外して困った時のあきえもんに頼めばそれっぽい雰囲気の仕上がりになるだろう。

しかし問題は別なのだ。

 

「?」

 

チラリと助手席に乗っている彼女を見ると、小首を傾げてこちらを見つめてくる。

基本的にアーニャちゃんの仕事風景と言うのを俺は見ないようにしている。何と言うか…妹とか娘が肌を晒したり、頑張ってる姿を見てしまうと心が落ち着かない。まぁよく分からん気持ちになってしまうからである。今回仕事風景も撮影したいと言われてしまってはもう見ざるをえない。脳内の天使と悪魔が『存分に見てもいいんですかヤッター!』なんてハイタッチを繰り広げていたが気にしない。

しかしここで断ってしまうのは今後、彼女の仕事に影響が出てしまうのではないか?そう考えてしまうと答えは1つしか無いのだ…

 

 

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メイドの仕事と聞いて、アーニャは勉強しました。

まずは長年メイドをして来たであろうナナにメイドの極意を教わりました。これをナナに伝えたら突然震えだしたのですが、近くにいたきらりの力により元通りになりました。ユート曰くウサミンパワーときらりんパワーが合わさり最強に見えるって言ってましたが。日本語は難しいと言うことがわかりました。

 

アナスタシアは『ご奉仕』を学んだ!

 

ご奉仕…。奥が深いです。

他にも幸子からは可愛く映るポーズを学び、かな子からはお菓子を貰い、美波にはエールを貰いました。「が、がんばれ♡がんばれ♡」と頬を染めて言ってくる美波を見て、ユートと二人で親指を立てていました。美波はエロいです。

 

「ハイカラメイド…初めてこんな服着ます」

 

着付けを手伝ってくださったアシスタントの人が鼻を抑えながら笑顔でこちらを見てくる中、私は鏡の前で自身の姿を確認します。その場でくるりと回ってみたり、ナナから教わったメイド殺法『☆(ゝω・)vキャピ』を実演して見たり。メイド…やはり奥が深いです。

着替え終わり、監督からは何時も通りにしていればいいと言われたので、何時も通りにテーブルを拭いたり、お客さんに水を出したりと過ごしていた時、不意にお尻に何かが触れた気がしました。

 

 

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普段では出すことの無いメロンクリームソーダやナポリタンなど、喫茶店で頼むような注文がバンバン飛んでくる。

 

「やー忙しいね神楽さん!追加でコーヒーもお願いね!」

 

アーニャちゃんと、一緒に仕事をする事になった法子ちゃんが手伝ってくれるから何とかなってはいるが。

 

(これがアイドルのパワーか…)

 

二人のアイドルが一日限定で働く。その力を少し甘く見ていたようです。来る人来る人カメラで二人を撮影していく。

あ、ちなみにお得意さんと打合せして、写真撮影はちゃんと仕事の支障にならない程度で、尚且つ注文をした人にのみとなっている。利益出ないで店内占拠とかされたら流石の俺でもPを殴るかもしれない。P関係無いけど

 

「アーニャちゃーん!こっち向いてー!」

 

「法子ちゃん見てると…何か心がぴょんぴょんするっていうか…」

 

「わかる、一日中甘やかしてたい」

 

ファンの反応も良好で、このまま撮影も順調に行くものと思ってたけど

 

「ひゃっ!」

 

アーニャちゃんの短い悲鳴が聞こえた。

 

 

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お尻を撫でられたと思い振り向きましたが、人が多すぎて間違ってぶつかったのかも知れません。そんなことを私にする人なんていない。自分にそう言い聞かせて私はアイドルとして仕事を続けていきました。

だけど触れる頻度が段々と多くなって行き、誰が触れているかも分からない。何を考えているのか分からない。何故、何故、何故?

アイドルとしてのアーニャではなく、一人の女の子としてのアーニャがこの時を怖いと感じました。体が自然と震えます、段々と寒くなっている気がしました。法子が何か言っ来ましたがそれも耳に入らずに、次第に意識が段々と遠のいていき、ふらりと倒れそうになったとき

 

「すみません、アーニャちゃん具合が悪いみたいなので休憩させてあげてください」

 

彼が優しく抱きとめてくれたのです。

薄れていた意識が、霧が晴れる様に取り戻されていきます。

しっかりと私を支えてくれる彼。ユートに抱き抱えられる形になっているとわかった時、胸のポカポカが一段と大きくなり、全身が熱くなった気がしました。

彼は監督と二三言葉を交わすと「ちょっとごめんね」一言私に謝り持ち抱えました。

お姫様だっこと言うやつです。一層ユートとの距離が近づいてしまい、私の脳が限界を超えたのか

 

ーぼふん

 

私はそこで意識を落としました




相変わらずの急展開だってハッキリ分かんだね。


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