居酒屋で愚痴を聞くだけの簡単なお仕事です   作:黒ウサギ

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朝霞さんがお気に入りしてて嬉しい嬉しい
一話投稿時から見てるお方なので大先輩ですねー


第30話

「……」

 

「……すみません」

 

棟方愛美。

ある界隈では師匠と呼ばれる彼女。

現在は俺の目の前で正座している。

Pも今回ばかりは手を出すことなく、仕事に出かけて行った。

 

「Pも言ってたかもしれないけどさ、時と場合を考えようよ」

 

「はい……」

 

「揉むなとは言わないよ?寧ろ願わくば俺の目の前で揉んで欲しいよ?」

 

「いや、それってセクハラ」

 

「違います」

 

「いやでも」

 

「違います」

 

セクハラじゃないし(白目)ロマンがそこに詰まってるから追いかけてるだけだし。

 

「例えばさ、愛梨ちゃんの乳を揉んだ時に形が変わる時とか良いだろ」

 

「とっても素晴らしいです!」

 

揉んだことあんのか。そこんとこ詳しく聞かせろ。

 

「夢が…詰まってただろ?」

 

「触った時に艶かしい声だしてました…っ」

 

揉んだんですね(血涙)

あのロマンメロン揉めるんだったら俺だって揉みたい。

何てこと考えてたら楓さんにハリセンで叩かれた。心読むの辞めてください。

 

「じゃあなんでさ」

 

「……はい」

 

「赤羽根さんと一緒に来てた千早ちゃんを揉みしだくかなぁ!」

 

千早ちゃんが72したよ。あの時の凍った空気思い出すだけでも怖いわ。

 

「しかもなんで、赤羽根さんも揉んだ?」

 

「そこに…山があるからです…」

 

ねぇよ!どっちも壁だよ!赤羽根さんがちょっと変な声出して千早ちゃん鼻血出して走り去ったわ!

 

「気持ちよかったか?」

 

「其れなりに…」

 

「お前マジか」

 

驚いて何も言い返せない。流石棟方愛美、流石師匠。俺たちに出来ないことを平然とやってのけるとは…

 

「何かもう凄すぎて説教してる俺が間違ってる気がしてきたわ」

 

「そ、そうだよ!神楽さんが間違ってる!胸があるのに揉まないなんて人として…男としておかしいよ‼︎」

 

女なのに揉んでるお前もおかしいよ。

しかし逆転の発想である。なるほど、揉まない俺が間違ってたのか。

 

「ほら、雫さんの胸を想像してご覧。あれはそう、スイカだ。スイカなんだ!スイカなのに弾力があるんだ!」

 

ゴクリと。思わず唾を飲み込んでしまう。

スイカなのに弾力がある?まずメロンじゃなくてスイカだと…?

 

「早苗さんの胸を想像してご覧。酔っ払った時に偶然、そう偶然触る機会があったんだけど。ツヤもハリも抜群なんだ」

 

はだけた浴衣から少しだけ、そう偶然見る機会があったがあれはとても三十路前とは思えない形だった…

 

「胸が呼んでるんだよ私を!触れてくれと、揉んでくれと!」

 

「胸が…呼ぶ…?」

 

そんな事があるのか…。いや、他でもない師匠の言葉だ。疑う必要なんてない!

 

「じゃあ、俺も揉んでも良いんですか…?」

 

「良いんだよ!登山家は何故山を登るのか。そこに山があるからだ!私が胸を揉むのも同じ、そこに胸があるからだ!」

 

……参ったな。この歳で初めて気づかされるなんて。それもこんな小さな子供にだ。

世の中は広い。師匠の目を見てみろ、何も間違ったことはしていないと訴えているではないか。

そう、胸を揉むのは自然の摂理だ。胸を揉んでこその人生なのだ。

 

「人に指があるのは揉むためだ。揉んでその温もりを、その感触を楽しむためだ!」

 

「揉まない人生なんて私は耐えられない!そんな人生認めない!」

 

「だから私は自分を曲げない!猫キャラなのに魚が嫌いな前川さんとは違うんだ!」

 

「にゃんか変なタイミングで侮辱されたにゃ…」

 

いや実際お前キャラブレブレじゃねぇか。猫が魚食わなくてどうする。お魚咥えたどら猫いなかったらサ○エさん成り立たないかもしれないぞ。

 

「だから私が前川さんの胸を揉むことはおかしく無いんだ!」

 

「にゃ!?」

 

おぉ!ルパンダイブ…いや、あれは愛美ダイブ!

凄えよ師匠…。

 

「ちょ、やめるにゃ!…神楽さんも見てないで止め….と言うか見るにゃ!!」

 

げへへ、こんな美味しいシーンを見ないわけ無いじゃないですか(ゲス顔)

 

「あぁ前川さんの甘い匂い、柔らかな感触!」

 

「まっ……て、直は駄目っ……!」

 

前川さんの服が捲られ、臍が見えて…

 

「だーれだ?」

 

あっは、前が暗くなったぞー。不思議だなー

 

「何故隠す楓さん!桃源郷がそこにあるんだぞ!」

 

「未成年の肌なんて見ても何もないです。」

 

何ですかそれ。成年なら良いんですか!

またもや逆転の発想である。なるほどこの場にいるのは師匠と前川さんと楓さんのみ。つまりは遠回しな私の胸を揉めと言うアピールか!(混乱)

立ち上がり振り向き楓さんの肩を掴む。なんて彼女は細いのだろうか。

 

「楓さん…」

 

呟きながら段々と引き寄せる。当然揉む気はない。日頃からかわれたりするのでその仕返しだ。

 

「え…、神楽さん近いですよ…」

 

掴んだ腕を離そうと抵抗して来るがそうはさせない。

 

ーードンッ

 

逃げられないように彼女を腕の間に入れ、覆いかぶさるようにする。普段は白く、透き通るような肌の色が今では赤く、紅葉のように染まっている。

それでも彼女は逃げようとする。

でも逃がす気はない。

 

「きゃっ!神楽さん…何を!」

 

彼女の足の間に自身の足を入れて、動きを制限する。

やけに静かだ。気がつけば師匠も前川さんもいない。

楓さんと二人きり。そう意識したら心臓が大きく動いた。

やばい、何やってんだろ俺。完全に犯罪一歩手前じゃん。

 

「す、すみません!」

 

一気に頭が冷え、慌てて離れる

 

「待って!」

 

が、その腕を掴まれた。

 

「え?っとっとぉ!?」

 

いきなり掴まれバランスを崩してしまう。そのまま体制を崩してしまい倒れてしまう。

 

「きゃっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目がチカチカする。

倒れた際に楓さんの悲鳴が聞こえたのだがまさか巻き込んでしまったのだろうか。

晴れてきた視界で、最初に映ったのは彼女だった。

 

「なんか…前もこんなこと有りましたね…」

 

「看病に行った時ですね…?狼さんに食べられるのかと思いました」

 

クスクスと笑う彼女の髪が肌に触れる。

 

「この体制なら狼は楓さんですよ」

 

笑ながら、壊れ物を扱うように優しく、彼女顔に触れる。

心臓の音がうるさい。楓さんにも聞こえているのではないだろうか。

 

「神楽さん…私は…」

 

段々と顔が近づいてくる。ヤバイヤバイヤバイ!

 

「楓さん近いです!これ以上はシャレになりません!」

 

「冗談でこんなことする程…安い女じゃないですよ」

 

艶かしく美しく、それでいて可愛らしさが残る顔が。

瑞々しく、ハリのある唇が。

楓さんが、近づいてくる…

 

「〜〜っ!ごめんなさい!」

 

「え?きゃっ!」

 

力任せに楓さんを押し退けて逃げるように事務所を飛び出す。これ以上ここにいては狂ってしまう。俺だけではなく、楓さんを狂わせてしまう。

 

「意気地なし……」

 

最後に楓さんが何かを言っていたが、何かはわからなかった。

 




あれ…
なんか終わりに向かってる…?

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