一年と半年。
思えばだいぶ長く店を開けていたものだ。ふと思い立ち、自分を見直す旅(北海道とか各地の美味しい食べ物食べる旅)に出たのが、つい最近のことに思える。しかし、旅に出たことは無駄では無かったと実感出来た。自身の店にて再現出来るであろう、新たなメニューを追加することも可能である。今からPの驚く顔が浮かぶ。常々「あ、そういえば飲食店の店長だったね、変質者じゃないんだもんね」とか「愚痴を聞くだけとか言ってるけど、聞いてくれたこと少ないですよね。あ、スタドリ買ってくださいよ」とか言うあの事務所のメンツに一泡吹かせてやれるってもんよ。
そして、皆さんお忘れかと思うが俺こと神楽悠人。一年と半年の歳月を経て戻ってまいりました。
あぁ、懐かしきこの事務所。いやまぁ俺が所属しているわけでも無いし、懐かしむべきはお店の方だと思うけど。階段を登り入り口に近づくに連れて姦しい声が聞こえてくる。いつもの笑い声である。その中に混じって千川やPの声が混じっているあたり、あいつはまたハーレムを築き上げたのこもしれない。心なしか事務所でっかくなってね?もしかしてまた所属アイドル増加したの?壁の中にみくにゃんが埋まってるとかなんとか…。一転してホラーな事務所になってしまう可能性がある。
ま、まぁそんなことがあるわけない。などとのんびり妄想していたら事務所前にたどり着いた。きっと俺が戻ってきたことで驚くに違いない。何故なら何も伝えていないから。驚く顔が見たいから!手土産もいっぱいあるし、俺の期間を皆心待ちにしてくれているはず!はず…
「さぁ、驚け、刮目せよ!神楽悠人のご帰還………」
「あら、五月蝿い豚が増えたわね。貴方のお友達かしら?」
「か、神楽!助けてくれ!」
「人の言葉をつかうなんて賢い豚ね!」
鞭を持った女性に叩かれている友人がいました。
「で、いつからどMに目覚めたの?ままゆか渋凛あたりがSにでも目覚めた結果なの?後頼むからあの女性止めて、さっきからヒュンヒュン鞭がしなる音が聞こえてきて俺の心労がマッハ」
「目覚めてないし、目覚めさせてないし、止められない」
「杏杏、飴あげるから盾になって」
「いやだ!杏はソファの上から動く気無い!」
これだからニートは…。ごめん、俺がニートだとしても鞭を防ぐ事は嫌だわ。
ふと、周りを見回してみる。懐かしい17歳(自称)や25歳児(他称)、自称カワイイや前川さん。いつも通り狂ったようにPのそばに立っているままゆ、クンカーの渋凛。あとなんか俺も白衣を着たスタイルぐんばつの女の子にクンカーされてます。加齢臭はまだセーフなはず、きっと、多分…
「帰って来るんでしたら仰ってくれれば、出迎えくらいしましたよ?Pさんが」
「え、いや、まあそれぐらいなら別にいいですけど。というかなんで連絡なかったの?」
「驚かせたかった、でも寧ろ驚かせられた。この恨み必ず晴らす」
月夜だけだと思うなよ…
しかしこの巫山戯たやりとりも久振りである。そして久しぶりに見る美優さんマジかわ、新田ちゃんマジラクロス、茄子っぱい。
素晴らしき我が事務所、いや、俺のじゃ無いけど。きっといつか社長がティンと来てくれると信じてる。
「そんなこんなで久しぶりにお店を開けたのに貸し切りにされた店主の表情がこちら」
「千川おもてでろ」
まじ、解せぬ。ゆっくり過ごそうと思った矢先料理を振る舞う側になるなんて、誰か労ってくれ。
「労うも何もお前勝手に旅出たわけで、そんな必要も無いわけで」
「神楽さん、焼き鳥盛り合わせと刺身盛り合わせ」
「まって渋凛、俺今日帰宅したの。材料ないの。」
「大丈夫、材料は皆で持って来たから。ただ作るのが手間だから神楽さんにお願いするの」
「346プロの渋谷さんまじ外道」
ちひろの目にも涙という諺が霞むくらいに外道
でも、そんなこと言われても料理作るあたり、この空気が大好きです。楓さん結婚しよ。
「では、乾杯!」
カンパーイ
至る所からお帰りだの、お土産だの、様々な声が聞こえる。でも俺は厨房から出られません。何人分焼き鳥焼けと申すか、総勢何人いるんだよ346。あれだ、こんなに人数いるときはカニを出せばいいのだ。みんな黙る、それはそれで淋しい。
「ところでpさんなんか変わったことないかい?」
「特にない、と言いたいところだけど。むっちゃある。アニメ化とかしたしな」
メタい。でもアニメ化おめでとう。あーにゃんと中2ガールが動いてるのを見ただけで満足です。
「他にはCDが40人くらい発売になった。」
ふみふみまじ天使!縦セーター着てください、是非に!
「あとは…凛が三代目になった」
Jソウル?
ごめん、冗談だから。素直におめでとうっていうの恥ずかしいんだよ馬鹿野郎
「一年くらいでみんな大物になったもんだねー、おじさん淋しい。」
「お前はどんな立場の人間だ…。まぁ、淋しいってのは理解出来るかな、なんか皆がさ、あんなに有名になると、俺が着いて行く必要無くなる気がするんだよ。独り立ちしていく子供を見送る気分だ」
お前こそどんな立場だと、冷やかす。
しんみりした空気が流れてしまった。渋谷さんなんとかしてください。本妻の力見せてください。と、アイコンタクトを送って見る。
「大丈夫だよプロデューサー。私は死ぬまで離れるつもりないから」
愛がヘヴィである
「うふふ、凛ちゃん?プロデューサーさんと永遠に過ごすのはまゆの仕事ですよぉ?赤い糸で繋がっているんですからぁ…」
赤い糸(首輪)
そっからは更にカオスに。第二次告白大戦が勃発したり、ビール一気飲みが始まったり。
それでも、この空気が大好きです
めっちゃ短編、そして久しぶり過ぎて申し訳ないです。