また説明です。
次回で多分戦闘入りますので、ご了承下さい。
7狂人の目覚め
Awakening of A Madman
入れ替わっていない男、火野神作。
その男のことについて、朝方に放送されていたニュースから、今日の出来事までをまとめて言う。
「つまりはこの男は殺人犯でな、『エンゼルさま』と言う謎の言葉を唱えて殺人をしていたらしい。なんか儀式殺人、とかニュースでは言ってたっけ。いうまでもなく、エンゼルってのは天使(ANGEL)だ。そして先程もそう言っていた。この状況で、入れ替わってなくて、天使ってこととなると偶然の一致とは」
「ーー考えにくい。そういうことですね」
今までの話を総括した衛宮に、神裂が言葉を続ける。ひとまず、説明はし終わった。みんな納得しているようだ。
ずっと話していた気疲れと、聖人やマジカル八極拳の如き殺人拳の使い手、天使を前にした緊張感もあり、衛宮士郎はふう、と息を吐く。
ただ、納得顔の中、ただ1人浮かない顔の人物がいた。不幸少年上条当麻である。
「カミやーん、何浮かない顔してるんだにゃー?」
「いや、土御門の話だと幻想殺しを持っている俺を除けば、『距離』と『結界』がないと防げないって事だったろ? ウインザー城とかだっけ? の結界で時間を稼いだんだろ? じゃあミーシャと衛宮はどうやって回避したんだろうなって」
「否定。ロシア成教の秘密に触れるので解答を拒否する」
ミーシャはそう回避した方法を黙秘した。あくまで冷静なまでに。
それも、至極当然なことだ。土御門や神崎の所属するのはイギリス清教でミーシャの所属するロシア成教という違いがある、
「カミやん、ロシア成教と俺たちイギリス清教はいわば十字教という宗教の中の違う派閥なんだにゃーー」
「そもそも魔術師としては自分の魔術は秘匿するものですから」
土御門と神裂がご説明に入る。
と言ってもこれは魔術師として当然のことだ。
というのもーー。
例えばジークフリートを模した魔術を使う魔術師がいたとしよう。
悪竜ファフニールを倒した英雄ジークフリートは、その竜の血を全身に浴びた。
そのことによって不死身の肉体を得た。ただ一枚の木の葉に遮られて血を浴びなかった背中を除いては。
そのことからジークフリートは背中が弱点である。
そしてそのジークフリートを模した魔術を使う魔術師の弱点も背中となる。
つまり、弱点がわかってしまうのだ。
本来敵対すべき二つの派閥が協力しているのは、この天使を堕とす術式のせいであり、この事件が解決できたら再び対立派閥であるので弱点はあまり晒せない、とのことだった。
ちなみに土御門たちがウインザー城の事を出したのは、それで防いだことがわかったからと言って、どう防いだかはわからないからである。
と、いつまでたってもわからない不幸な少年に土御門は説明をする。ようやく疑問符だらけだった上条当麻がよくわかったようだ。
その話の流れで、
「じゃあ、衛宮も、聞くのは無理か……」
と言った。しかし、防いだ原因(?)は自分から晒しているし、インデックスがそれを見たという証拠もある。故にここで言っておいた方がいいと思い、
「うん? 俺のは別にいいぞ? 別に隠すもんじゃないしな。 と言っても答えは晒しているけどな」
そのように答えた。すると上条当麻は困惑した顔で案の定、
「はぁ?」
と疑問符を頭の上に浮かべた。
その様子を見て衛宮士郎は少し苦笑しつつ、
「これだよ。この左手に巻いてるやつ」
そう言って衛宮士郎は、左腕を見せる。そこには先程と同じ、赤い布が巻かれていた。
と、言っても魔術に関しては何もわからない上条当麻には何が何だかわからなそうなので、説明する。
「こいつは、とある聖人の聖骸布でな、効能は外界からの守りだ。外敵じゃなく外界な」
「……外界と、外敵?何が違うんだ?」
「敵じゃなく、世界からの干渉を軽減する、ということだな」
そう、Fateで、第五次アーチャーがこの聖骸布をつけていたのは主に固有結界という世界を侵食する大禁呪に対する世界からの修正を少しでも軽減する効果である。もっとも守護者となった彼にはもはや必要のないものであったかもしれないが。
そして上条への説明に入る。
術式が発動したときには、衛宮士郎は確かに日本にいた。
強力な聖骸布でも、自分は距離が近すぎたせいで完全には回避できなかったこと。
これは、この聖骸布をつけていても、アーチャーの肌が浅黒くなったのが完全には防げないことを示している。
そのため、衛宮士郎には、入れ替わる前の姿と入れ替わった後の姿が重なって見えている。
これは、これこそは完全に回避できなかった事実である。
そして伝える。そんな自分にとってもこの男は、何も重なっていない火野に見え、先ほども「エンゼルさま」をいっていたと言うことを。
一応上条にも、火野神作に見えるかどうか確かめてもらったら、見えるとの事だった。
まぁこれで警察に、殺人犯として突き出すことが確定したのだが、術式の犯人だとしたら突き出す前に確認しなくてはならない。
「まぁそういうことです。赤髪のーーじゃなくて神裂さん」
全てを説明し終えた衛宮士郎はそう言う。もちろんアーチャー云々のことは隠したが。
ここで言う事は、何一つ嘘などないので安心して話せる。
まあ、赤髪と間違えて言ったせいか、神裂がギロッと睨んでくるという事はあったが。
……聖人の殺意って物凄いですね。
そんな場違い……じゃなくて正しいけれど正しく思えないような殺意の満ちる空間での感想は、上条当麻の空気の読めない一言によって終わった。
「そう言えば、何だが」
「また質問なんだけど、さっきの剣弁償とかされませんですよね」
「いや、大丈夫だって……」
そんな上条の家の心配の種の宥めをしている間に、みんなが気持ち無沙汰にしていたが。神裂と土御門が静かに、と言った。そして神崎は腰の刀に手をやる。
その理由は簡単だ。
「うっ……」
ついに、火野神作が、目覚めた。
むしろ新約の方が構想が進んでいると言うわけのわからない事態に……。
まぁそんなことは置いといて、師匠ピックアップの時に、2回も槍で金が出たんですよ。
あーこれは来た、よっしゃ。と思ってたら両方ともエリザと言う悲しい事態でした。
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