とある投影の魔術使い〈エミヤシロウ〉   作:機巧

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遅れてすみません
アニメと原作ごっちゃだったので。
時間かかりました。


狂信の殺人者 Murderer of fanaticism

「うにゃーっ! カミやーん、やっと見つけたんだぜーい!」

 

 

アロハシャツの金髪サングラス、土御門元春が砂浜の向こうから、いきなり上条当麻に話しかけてきた。

土御門は、上条にとってクラスメイトである……らしい。

 

らしいというのも、上条当麻にはつい先月の終わりーー具体的に言うと7月28日以前の記憶がない。

インデックスという少女を助けてこうなったらしいのだが……。

 

そんなわけでクラスメイトの顔も、覚えていないのだ。

もっと言えば、自分の両親すら顔を覚えていなかったのだから、わかるはずもない。

ようやく再会して両親の顔が分かると思ったら、なんかこの姿形がちぐはぐになるという変な事態が起こっている始末。

海の親父がステイルで、

その息子が御坂妹で、

従姉妹の乙姫が美琴 で、

母の詩菜がインデックスで、

インデックスが青髪ピアスで。

 

 

もう訳がわからないよ。

 

 

インデックスと化した青髪ピアスは埋め立ててやったが(上条には記憶なし)、本当に何が何だかわからなかった。

 

 

しかし、それを差し置いて妙なことがあった。

学園都市の外に出るためには特別な許可が必要だ。よっぽどのことがない限り出られない。

なら何故、クラスメイトである土御門がここにいる?

 

 

「なんで学園都市の外に出れたんだ」

 

 

ひょっとして妹の舞夏も一緒なのかと問い掛ける上条。

 

 

「何気にウチの妹を勝手に呼び捨てにしないで欲しいんだが、そんなことを追求している暇もナシ。カミやん、一個確認するけど……お前は俺が土御門元春に見えてるぜよ?」

 

 

当然だ、何を言っているんだと言うばかりに肯定の意思を示す上条。それに対して土御門元春は速く逃げろと言った。

わけもわからず土御門を問い詰める上条、そこで……。

 

 

「見つけました、上条当麻……っ!」

 

 

鬼の形相をしている日本刀を持った女がそこにいた。

 

 

 

◾︎◾︎

 

 

 

 

 

上条当麻が神裂に襲われているのを見届けて、衛宮士郎はわだつみへと歩を向けた。

おそらく今頃はこの現象について説明を受けている頃かな、とおもいつつ。

 

ここで上条当麻たちに接触しない理由はただ一つだ。

 

 

 

ここがアニメ時空で無い事の確証が欲しかったのだ。

 

ここがとある魔術の禁書目録のアニメの世界ならここでわだつみに帰っても何も起こらない。

 

しかし、その可能性は今は低い。

 

何故ならミーシャと出会う前に土御門たちに上条当麻が出会ってしまったからである。

 

ここがアニメ時空ならば、ミーシャに襲われる上条当麻が土御門たちに救われ、土御門とファーストコンタクトということになるのだが

 

ここではラノベの原作通り土御門たちとミーシャに襲われる前に出会ってしまった。

 

ゆえに、ここでわだつみに帰ればアニメでは省略されてしまったあの人がいるはずであるのだ。

 

そしてその人がいれば原作準拠の世界だとわかる。

 

 

 

 

そしてわだつみにつき、一階の廊下をわざと音を立てて歩いた衛宮士郎は確かに聞いた。

 

 

「エンゼルさま、エンゼルさま」

 

 

という声を。

 

その声はいった。

 

 

「エンゼルさま、それでは今回もイケニエを捧げれば助けてくれるんですね?」

 

 

それからまた続けていった。

 

 

「エンゼルさま、エンゼルさま。それでは、イケニエはあの少年でどうでしょう」

 

 

ガリガリガリと木に何かを刻むような音が聞こえる。正直、今さっきまでただの人間であった衛宮士郎は、殺人者と対峙するのは恐ろしい。

 

たが、こうしていられるのは、型月魔術を使えるようになったという高揚感と、魔術師達に追われると言った恐怖心の結果であろう。

 

 

そしてーー

 

 

「エンゼルさま。それでは、私は今日もエンゼル様を信じます」

 

 

その言葉か衛宮士郎の耳に届くと同時、ぶつんといきなり電気の全てが消えた。

何もわかっていないものが、見たら停電かと思っただろう。

それくらい声の主は小声だった。

がさり、と。

足の下、床板の底から、木の板を軽く引っ搔くような音が聞こえた。

 

そしてその次の瞬間。

 

 

ガスん‼︎ と。三日月のようなナイフの刃が、足元の床板を貫通して突き出てきた。

 

 

それを余裕をとって回避して、衛宮士郎は、投影をする。

 

作ったのは干将莫耶。そして身体強化による身体能力向上の力を使って、床をぶち破る。

 

そして迫ってくるナイフをかわしつつ、腹の襟をつかんでわだつみの床の上と投げ飛ばす。そして衛宮士郎は自分も70センチほどの段差を登り、襲撃犯、火野神作に相対する。

 

火野は、エンゼルさま、と呟きながら衛宮士郎に突撃してくる。

 

突き出されるナイフを横になって躱し、衛宮士郎は莫耶の腹を火野のナイフを持っている手に叩きつける。

 

血を流すのはまずいと思って腹で殴ったが、それでも火野の手からゴキリ、と言う嫌な音がした。

 

 

「びゥイ‼︎」

 

 

手の骨をおられた中年男の三日月ナイフの動きが止まる。そしてそのナイフは床へと落ちた。

そして火野は慌ててそれを拾い、エンゼルさまと何度も繰り返し言った。

 

 

「エンゼルさま、どうなってんですか。エンゼルさま、あなたに従っていや間違いないはずなのに。どうなってんだよエンゼルさま、あんたを信じて28人も捧げたのに!」

 

 

そんなことを言った。

 

 

正直、衛宮士郎は、この男が恐ろしい、と思った。今の今まで、平和に暮らしてきたものだ。すぐにでも逃げ出したい。だが、湧き上がるような何かが、衛宮士郎をこの場にとどめていた。

 

 

「答えろよー」などと変なことを言っている火野。正直早く終わらせたく、このままやっていてもらちがあかないと思い、衛宮士郎は思いっきり腹にきつい一発をいれ、思いっきり足で蹴り飛ばした。

 

するとわだつみの壁にものすごい大きな穴が空いた。

 

そこから火野が飛んでいった。

 

そのあまりの威力の高さに呆然となる衛宮士郎だったらすぐに正気に戻った。

 

 

「ああ。……やべえどうしよう」

 

 

弁償かなと思って、なんとはなしにFateのガラスを直す初級呪文を唱えてみた。

 

すると、周りの床や壁は治った。

 

 

「これは……」

 

 

こーゆー現象を起こすためには、魔術刻印が必要なはずだ。

そう思った衛宮士郎は聖骸布を少しめくってみた。

 

するとそこには刻印があった。それの形はくしくも衛宮家の魔術刻印であった。

 

 

「……どうしたんですか、お客様?」

 

 

ドタドタとそのような言葉が聞こえてきたので、咄嗟に割れた皿を投影し、

すみません、皿を割ってしまって……と言い訳をした。

 

 

その後話し合いで店員さんが片付けてくれることになったので、すぐに衛宮士郎はわだつみの外に出て行った。

 

 

 

外には、倒れ伏した火野神作と、それを取り囲むように、帰ってきていた上条当麻一向、そして赤い色の者ーーミーシャ・クロイツェフがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「金髪サングラスの一一一〈ひとついはじめ〉?」
「何もんだてめえ」

ーー科学と魔術が交差する時、物語は始まる。

次回 不幸な連続



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