ということでプロローグは無事完結しました。
次からアニメの時間軸に参ります。(更新がいつになるか不安ですが)頑張っていきたいと思っております。
よろしくお願いいたします。
「俺のターン、ドロー!」
手札は6枚。必要なカードはすでに3枚は俺の手の内に。後はあのカードさえを手の内に引き込みさえすれば…………!
「……魔法カード“強欲で謙虚な壺”を発動。デッキトップ3枚を確認し、1枚を手札に加える」
これで何か良さそうなのが来れば……!
・強欲で謙虚な壺
……違う。これじゃない。今はこれは確実に必要ない……
・手札抹殺
……これも違う。三枚目によってはこれを選択せざるを得ないな…………
・封印されしエクゾディア
「なっ…………!?」
『な、なな……何と……あのカードはっ…………!』
…………漸く、来たか。流石に60枚デッキだと中々デッキを圧縮しても来ないからな……
「……俺はこのカード“封印されしエクゾディア”を手札に加える!!」
『な、ななな……何とっ! ここに来ての封印されしエクゾディアっ!! 公式大会でエクゾディアによる特殊勝利は既に引退なさって、現在はレオ・コーポレーションにてカード研究をされている門揃エータ元プロがプロ時代に決めて以来、実に3年ぶりでしょうか!』
え、そんなに昔なのかよ……っつーか、使ってたプロ居たのか…………
「さて、まずは1枚だ! 次はリバースカード“貪欲な瓶”を発動。我が身を盾に・魔力掌握3枚・魔法族の結界を戻して1枚ドローっ!!」
……そう簡単には無理か。まぁ、必要なカードも残り少ない…………それにこんな風に……無理矢理にでも持ってくればいい。
「俺は“青竜の召喚士”を召喚し……伏せていた“激流葬”を発動!」
「っ……!(クソッ……俺のターンさえ来れば…………奴を仕留めれるのに…………!!)」
さて、ボードアドバンテージを捨ててまで持ってきたかったカードは当然……
「青竜の召喚士と俺が伏せていた“冥界の使者”のモンスター効果発動する」
「……っ! リバースカードオープン、連鎖爆撃! 1200のダメージを受けろっ!!」
……残念、このAカードは自分のモンスターの破壊を守るだけだ……甘んじて受けるしかないな……!
遊牙LP1450→250
「っく、冥界の使者の効果で互いにレベル3以下の通常モンスターを手札に加える。俺は“封印されし右腕”をサーチ!」
「……俺のデッキに該当モンスターはいない」
「続けて青竜の召喚士の効果によりデッキからドラゴン族・戦士族・魔法使い族の通常モンスターを1枚手札に加える! 俺はこの効果で“封印されし左足”を手札に加える」
これで残り2枚……なんだけど、残念なことに残り2枚はどちらも墓地にあるんだよなぁ。
「魔法カード“闇の量産工場”発動。墓地の通常モンスターを2枚手札に加える」
…………だから、これを使うんだけどな
「何? …………ま、まさか……」
「残念だったな。貪欲な瓶のドローで青竜の召喚士を引いた時点で俺の勝利はほぼ確定的だったんだよ
俺は墓地の“封印されし右足”と“封印されし左腕”を手札に加える。これで…………全てのパーツが俺の手札に加わった…………」
「そ、んな…………!」
「楽しいデュエルをありがとう。俺からできる最大のお返しをもって……このデュエルを終結させる。エクゾディアよ!デュエルに終焉を! 地獄の業火エクゾード・フレイム!」
win yuga
『勝者! 榊、遊牙っ!! 最終戦をエクゾディアによる特殊勝利で見事勝利をおさめたぁぁ!! そして惜しくも敗れてしまったがチェーンバーンデッキの実力を魅せてくれた火野鉄鎖! 一進一退のデュエルを見せてくれた二人に、改めてエールをっ送ろうじゃありませんかあっ!』
大会も無事に終わり、表彰式も終わったあと、俺はレオ・コーポレーションの社長室に呼ばれた。大会を見に来てくれた遊矢は今は社長室前で待ってくれている。手っ取り早く遊矢と一緒に帰りたいんだけどな…………
「実に興味深いデュエルをしていたな。よきものを見せてくれて感謝する」
そして、俺の目の前にて椅子に座っているつるっぱげの男性……この人物こそがこの大会を主催していたレオ・コーポレーションを一代で急成長させた張本人である社長……赤羽零王、その人だ。
「これが君に授ける新規カテゴリとなるシンクロカテゴリーのデッキだ。受け取るが良い」
……少々高圧的な部分があるのが非常に不愉快だけども、俺はそれをおくびにも出さず笑顔で机の上に置いてあるデッキを手に取った。
「ありがとうございます。弟を待たせているので、これで失礼しても……?」
「その前に一つ問いたい。君はLDSに入る気は無いかね?」
俺がデッキを新品のデッキケースに入れて立ち去ろうと零王社長に背を向けると思わぬ問い掛けに思わず足が止まる。
「……どういう、意味ですか?」
「君の実力ならばシンクロをマスターする日もそう遠くはあるまい。ならば、我がLDSで様々な勉学を学ぶ気は無いか、と問うている。今の君ならば授業料も特待生として免除「お断りします」…………何? LDSに何か不満でもあるのかね」
断ると思ってなかったと言わんばかりに言葉に驚愕の念が隠った問い掛けに社長の方を向いて俺は自分の意思をいい放つ。
「シンクロ召喚に関しては今日のデュエル相手の1人のプレイングを見て明白です。それに、LDSの勉学環境はすばらしい、それは分かりますが俺は父を尊敬しています。そして、俺と同じく父を尊敬している弟を愛しています。俺はあそんな父と弟を置いてLDSに来る、そんなことは出来ないだけです」
俺の言葉にポカンとしている社長に再び背を向けて「それでは失礼いたします」と言って、社長室を出る。すると、遊矢が俺の胸に飛び込んでて、満面の笑みでこちらを見上げていた。
「兄ちゃん、優勝おめでとう!」
遊矢の言葉に、思わず自分も笑みがこぼれる。そして一緒に手を握りながら帰路に着くこととなった。
それから、色々あった。遊勝塾に数人ではあるが入塾者が出たり、俺の(この世界での)初めてのシンクロ召喚ギミックのデッキを遊勝塾内でのデュエルで見せたときには歓声があがったものだ。俺はそれから様々なカードを組み合わせたりして自分として満足のいくデッキに改造することが日々多くなった。
そして、運命の時は徐々に近付いていた。
この日から5年ほど経ったある日……俺がアニメで見ていた光景が少し違った流れで始まるのであった。