コラボで2番目に長いですね。(最長は当小説のとある高校生達との決闘目録(全18話))
コラボの番外編だけで40話も使っている小説があるってマジ?しかもコラボの話数が本編より多いってマジ?
改めまして、あんぷら様、長編コラボ有難うございました。
剣君のデュエルカウンセリングのお話を受けたときは大変驚きましたが、重要な役回りにうちの小説が一枚噛めた、という点ではとてもとてもありがたいお話でした。
今後とも剣君、そして氷乱の皆や幻想郷の登場人物たちの織り成すストーリーを楽しみにしております。
今回は本当にありがとうございました!!また次回があれば、その時にはどうぞよろしくお願いいたします!(楽しいデュエルのデュエルカウンセリングが必要でしたらうちのコナミか雄牙を派遣しますので←)
デュエルが終わり、ソリッドヴィジョンが消えていく様子を見て、改めてデュエルが終わったんだな、と感じる。本当に終わったんだな、と若干物足りなくなる。ここまで強く感じるのは……初めてかもしれないな。
「ありがとう。楽しかった」
立ち上がった剣の声は最初のころと違って、本当に楽しそうだった。
「あぁ、俺もだ。すげぇ楽しかったよ」
ただただ純粋に楽しいデュエル。終わってしまったのが勿体ないけど、デュエルで笑顔を伝えれてよかった。
「コナミとのデュエルで、色々わかった。デュエルって、楽しいもんね」
剣の目の色が変わった気がするけど、それでもあまり気にならない。まだ高揚しているからなのだろう。
「また、デュエルしよう」
剣君の言葉にまた物足りない部分が少しずつ、確実に満たされていく。
「あぁ、またデュエルをしよう」
また、やりたい。剣君とのデュエルは何度もやっても楽しい。それは間違いないだろう。
「剣君とのデュエルは本当に楽しいからな。この世界に来て一番の収穫だったよ」
最初は驚きすらもあったけど、剣君とのデュエルはいつでも楽しいものだ。けど、この世界から離れることになったらいずれ忘れてしまうかもしれないし……あ、そうだ。
「これ、よかったら剣君に。ラッキーカード、って訳じゃないけどこの楽しいデュエルを覚えておくために、ってね」
俺は剣君の方に歩み寄っていつも持ち歩いているHEROデッキのエクストラデッキ候補カードケースの中からそこまで使うわけではなかったがあったら便利だったエクシーズモンスターカード1枚を取り出して剣君に手渡す。
「ありがとう。大切に使うよ」
少し訝しく俺の手渡したカードを見ていた剣君だったけど、俺の方を見た剣君の表情は和らいでいた。
「コナミ別の世界から来たの?」
……あ、そういえば黒霧にも詳しく話してなかったな。
「あぁ、そういや言って無かったな……そうだよ。俺と他にもあと2人居たんだが……とあるカードショップを見つけて、そこに入ったと思ったんだが……気が付いたら俺はこの町の入り口にいて、他の二人の姿が見えなくてな」
俺は肩を竦めてそう告げる。別に嘘を付く理由もないし、色々の事情を説明する事にした。
「あーあるよねそういうこと。僕もPLATINUMってカードショップ入ったら湿気った洞窟みたいなとこに出て、クラゲみたいなのが……ごめん」
プラチナム……? まぁ、きっと別のお店なのだろうな。
「じゃあ迷い込んだんだ」
剣の言葉に俺は頷いて返す。異世界に迷い込んだのだから多分そうなのだろう
「まぁ、そうなるな。俺たちの場合はfanntaziaっていうカードショップなんだよな」
まぁ、剣君が知ってるとは思わないが一応、な。
「Fanntazia? それなら知ってるよ。あそこ品揃えがよくて、一日中ストレージ漁りできるんだよ」
ほぉ、知っているのか……
「どうだろうな、中に入ろうとしたときにこの世界に来てしまったからな……」
肩を竦めてそう返す。正直、同一カードショップなのかは定かではない。ただ、同一名のカードショップってそんなあるとは思えないけどな。ましてや異世界となれば余計に……
「さてさて、とりあえず色々足跡は残したものだけど、これからどうしたものか……」
そう呟いていたところで誰かが駆けてくる音が聞こえてきた。
「あれコナミの知り合い? なんか似てるけど」
剣君の声に思わず振り返って見る。するとそこにいたのは……
「遊輔さんか!」
「やぁ、無事に会えてよかったよ……衣音君は?」
遊輔さん、だけか。衣音はまた別の場所に飛ばされたのか?
「いや、遊輔さんと一緒じゃなかったんですか?」
「俺は一人だったな。と、なると全員バラバラだったか……」
衣音は別の場所、か……探しに行く、のは流石になぁ……そう思っていた時、また声が聞こえてきた。でも、今度の声は衣音、ではなく女性のような声だった
「こんにちは。突然ですがこの男……あんたはもしかして」
「誰?」
青と白で彩った長袖とロングスカートの着物に、何故か大振りの鎌を肩にかけた女性が俺に声をかけてきたかと思うとこの男って……
「雪影剣だろ。噂は聞いてるよ」
「へー」
思わず目を丸くした。何故ならソイツの後ろに居たのは
「コナミさん、それに遊輔さんも!」
「衣音!」
探していたもう1人である衣音当人だった。気が付いたらもう3人が揃ってた。とりあえずこれでいつでも帰れるけど……
「ってか、こっからどうやって帰ります?」
衣音、それを今考えているんだよ……
「俺たちは舞網市だな」
「そこにあったFanntaziaってカードショップを衣音が見つけて……」
「あとはさっき俺が剣君に話した通り、だね」
まず衣音が場所を、最初の経緯を遊輔さんが。最後に俺が締める形になった。しかし、ここからどうしたものか……ん、待てよ? 確かお店を知ってるようだったよな……
「剣君、この世界でのカードショップFanntaziaってどこにあるかわかるかい?」
「Fanntaziaはえっと、左にずっと行ったところに、門を潜って道を歩いていると道があって」
……んーと、これは聞くのは間違えたかな? 少し迷ってる……
「里の南東だよ。ずっと歩くだけでいい」
「あーくろぎりぃー」
急に歩いてきて、ため息交じりに助け船を出す黒霧に余程こんがらがってたのか剣君が安堵の声になっていた。そしてキョロキョロとしだしたところを見ると南東の方向がいまいち分からないらしい……うん、ここは
「それじゃあ、もし良かったら剣君、一緒に行く? 結局俺たち潜った瞬間にこっちに来ちゃったからFanntaziaの店内の様子とか分からないんだよね……それに、どんなカードがあるか楽しみだし、もう少し剣君との話も楽しみたいからね。あと、黒霧。良かったら道案内を頼めるか?」
別に不安というわけじゃないけど、折角行くのであれば大人数の方が良いしな。黒霧にも声をかけてみる。
「いいぜ。剣はどうせ迷うからな」
「あー噂通りだねえ。そうそう黒霧、あんたとも知り合っておいた方がよさそうだ。あたいは小野塚小町っていうんだ」
衣音と一緒にやってきたツインテはどうやら小町、というらしい。
「そうかい」
お、フードを被ったな、黒霧。パッと見だと不審者だなぁ、うん。アイツら程じゃないが
「そうだ、小町も一緒に行こうよ。知り合っておきたいでしょ?」
「Fanntaziaに? まあ、いいよ」
小町がやや喜色を帯びた返事をすると背負っていた鎌を手品みたいに消した……いや、どうやって消したんだよ、それ……まぁ、考えてても無駄だな。
「じゃあ行こうよ。こっちこっちー」
剣君が先導しようと駆け出すと、すぐに黒霧に襟首を掴まれた。
「逆だ」
うーん、見事に方向音痴の可能性高いな……
「それじゃあ、いこっか」
思わず二人の様子を見てクスクス笑いながらそう言ってみんなで移動する。
「なーなー、剣だっけ? 俺は衣音、道田衣音。宜しくなぁ?」
「俺は星野 遊輔。一応衣音と勝太が所属するデュエル塾の教師をさせてもらってるよ。宜しくね」
二人が歩きながら剣君に自己紹介をする。二人もどことなく感じてるのかな? 衣音は素で対応してるし……
「よろしく! 遊輔と衣音」
どうやら普通に仲良くなれそうだよなぁ、まぁ、雄牙と似てるからってのもあるんだろうけど。
「二人も強い? 楽しい? デュエル」
……んー、遊輔さんは……どうなんだろうな。
「そーだなー、俺は楽しいぜ。まぁ、俺の楽しいってベクトルはコナミさんやアイツとは違うけど」
……まぁ、衣音の場合は間違いなくベクトルが違うな。ただ、いまいち分からないのは……遊輔さんだ。
「俺は楽しいぜ。デュエルが好きだしな」
遊輔さんもうなずく。まぁ、うん。別に嘘ではないんだろうけど……何とも言えないな。
「でも、楽しむってデュエルならやっぱアイツだよなぁ。コナミさんの弟子だし?」
「あぁ、確かにね。アイツは俺のデュエルの弟子だし」
衣音の言葉に間違いないと頷いてそう呟く。雄牙は律儀に俺のデュエルを継承してるからなぁ。多分楽しむデュエルはアイツの得意分野だろうしな。
「アイツ?」
あぁ、そう言えば雄牙の事は言って無いんだよな。
「弟子か……」
黒霧の声が聞こえたけど、黒霧にもいるのかな?
「アイツって?」
雄牙について剣君に質問された。
「榊遊牙って言ってな。俺たちと同じデュエル塾に所属してて、俺のデュエルを継承している……エンタメデュエリスト、だな」
代表して俺が説明する。俺たちの世界での本名ではなく、あの世界での名前。別に本名で言っても良いんだが、それだとどうしても近くに居る遊輔さんが名前が違うことを指摘してくる恐れがあるからな
「多分、コナミさんと同じかそれ以上だよなー、遊牙の笑顔のデュエルは」
衣音がそう呟く。まぁ、アイツのデュエルはあの世界でより一層エンタメデュエルの要素も取り入れてるから確かにそれもあるかもしれない。
「エンタメデュエリスト?」
まぁ、あの世界だからこその肩書なんだろうけどな。
「そんな人いるんだ。いつかデュエルしてみたいなぁ」
「もしかしたら、いつか会ってデュエルが出来るかもしれないさ。いつになるかは分からないけどね」
多分剣君の事を話したら雄牙も同じこと言うかもしれないなぁ。これは話すのが楽しみになってきたね。
あれからデッキの事とか色々話していると、異世界に来たはずなのに見覚えのある建物が見えてきた。
「着いたよ!」
剣君の声に改めて周囲を見渡すとだだっ広い野原が広がっているだけで、その中にぽつんと建物が1軒立っている。それはあの時見た建物と全く同じ。
「道案内はほぼ俺だったけどな」
「黒霧がどんどん言うから、僕が喋れなかっただけだもん」
黒霧の言葉に頬を膨らませる剣君。二人の掛け合いを見ていると、どことなく兄弟の様子を見ているようだった。どっちが兄か、何てことは考えるのは野暮なんだろうけど。
「さて、どんな感じの中なんだろうね?」
あの時は見れなかったからねぇ。どんな感じなのかやはり少し楽しみだ。
「どんなカードあるんだろうな」
衣音も心なしか声色が弾んでいる。遊輔さんは何とも言い難いけどやっぱり楽しみ、なのかな。カードについては結構詳しいし、カードプールが豊富だからよく子どもたちのデッキ構成を一緒に考えてあげたりカードを手渡したりしている。
「なんでもあるよ。幻想郷のカードは全部ここに集まるんだ」
幻想郷、か。この世界の事なんだろうな
「よし、それじゃあ入ってみようか」
どうやったら帰れるか、それを楽しみに剣たちと一緒にお店の中に入る。
「「「……え?」」」
Fanntaziaの店内に入ったハズの俺たちだったんだが、気が付いたらそこは街の裏路地……そして、俺たちが向いている大通りの方向に見える看板はどう見ても俺たちのいた世界である舞網市にあるデュエルスクールの看板、そしてその隣に見える一回りも二回りも大きな看板はLDSの看板だ。
「……帰ってこれた、のか?」
衣音の言葉に少し考え事をしていたがふと後ろを……Fanntaziaの店がある場所を振り返ってみる……が、そこにあったのはシャッターの降りており、そのシャッターには【ご愛顧有難うございます。本店は誠に残念ながら閉店いたしました。ご連絡などは此方】と書いており、連絡先の電話番号、そして最後に店名が書かれてあったが、そこには『現京堂』としか書かれておらず、ふと上の看板を見上げてみるも、そこにFanntaziaの名前はなく、現京堂と書かれた木の古びた看板があるだけだった。
「幻想……か」
俺は小さくそう呟くも、あの時のあのデュエルは忘れれそうにない。ふと、エクストラデッキのカードを入れているカードケースを見てみる……と、彼に手渡したカードが1枚ちゃんと減っていたのが分かった。
「……いや、あれは幻想なんかじゃない、現実だな」
「まぁ、またカード探しに行くか。俺の知ってる店、行こうか」
遊輔さんの言葉に俺と衣音は頷いて大通りに戻る。また会えたらいいな、剣君。その時はまた……楽しいデュエルをしよう!