遊戯王ARC-V 風纏いの振り子   作:瑞田高光

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このデュエルは幻想決闘録-7,8の続きです。ですので幻想決闘録-7からお読みくださいませ!








デュエルカウンセリング回を遊戯王小説の定番にしたい今日この頃(真顔)


幻想決闘録-9

「僕のターン。剣聖の影霊衣―セフィラセイバーをペンデュラム召喚」

 

 セフィラセイバー……通常召喚に何を使用するか、かな。

 

「“EMプラスタートル”召喚。プラスタートルはモンスターを2体まで選択して、そのレベルを1つ上げる。プラスタートルとセフィラセイバーをレベルアップ」

 

 レベル5……この状況だとヴォルカの直火焼きか……火力での突破をしてくるなら……

 

「レベル5となった2体のモンスターでオーバーレイ! 溶け落ちた氷雪よ。浄化の光に晒されて、聖なる水流となれ! エクシーズ召喚! 現れて、“No.73激瀧神アビス・スプラッシュ”!」

 

No.73激瀧神アビス・スプラッシュATK2400

 

 火力のごり押しのアビス……でも、召喚してきたところが狙い時。そこを撃ち抜く!

 

「エクシーズ召喚成功時、リバースカードオープン! “強制脱出装置”! 悪いけどアビス・スプラッシュにはお帰り頂くよ?」

 

 召喚権もペンデュラム召喚もこのターンに使用済み。そして伏せカードがこれを返してくるカウンターじゃなければ……

 

「くぅぅ、ターンエンド」

 

 

剣LP5000

手札0

混沌帝龍―終焉の使者ATK3000

秘竜星―セフィラシウゴDEF2600

氷結界の龍トリシューラATK2700

伏せカード

伏せカード

 

フィールド魔法

セフィラの神託

 

竜星因士―セフィラツバーン:スケール1

覚星輝士―セフィラビュート:スケール7

 

 

 そのままターンが来る。でも、剣君はどこか悔しそうな様子だ。デュエルはそんな気持ちでやるものじゃないだろう……?

 

「剣君、君はデュエルをどう思っている?」

 

 俺は君が心の底から楽しめてるとは、思えない……

 

「楽しいよ。楽しくないはずない。だって僕は」

 

 じゃあ、なんでそんなに悲しそうな声になってるの?

 

「楽しいに決まってるよ」

 

 そんな声で、そう言い聞かせてるようじゃあ……

 

「本当に楽しいなら、≪楽しいに決まってる≫なんて言葉ですまないよ。それに、心からそう思えるなら、もっと、俺の心を……俺のデュエルを楽しむ心を燃え上がらせてくれるはずだ! 君になら、絶対にできる!」

 

 根拠なんてどこにもない。それでも、気持ちは色んな人に伝播する。君の不安な気持ちが……本当に楽しめてるのか疑問に思う心の声が聞こえる。だったら、俺がもっと楽しいという気持ちを伝えるべきだな。

 

「俺はどんなデュエルも楽しい! たとえ絶望的なアドバンテージの差があっても!」

 

 たった一枚でそれをひっくり返せるかもしれない。

 

「自分の行動がとことん遮られても!」

 

 次にどんな手で突破しようか考えれる。

 

「突拍子のない展開で負けたとしても!」

 

 次には負けないようにデッキを見直して次のデュエルに生かせる。

 

「偶然出来たコンボを試合中に決めれたら!」

 

 次はそれを狙ってできるように工夫できる。

 

「俺は色々な可能性を考えると楽しくて楽しくて仕方ないんだ! デュエルは可能性が未知数だ。俺はそんな未知数のデュエルが大好きで、どんな展開が来ても楽しめる。君はどうだい?」

 

 俺は剣君に問いかける。君も最初は本当に楽しかったんじゃないかい? 何があって、君がそうなったのかは……そこまでは俺も知らない。でも、楽しさを、思い出してほしい。負けても楽しい、そう思える心を……!

 

「僕はどうして楽しいのかなんて考えたことないよ」

 

 そう、俺も最初はそうだった。ただ楽しいからデュエルをしていた。それだけだ。

 

「みんなと巡り会えたのがデュエルで、たった1つだけあったのがデュエルで、僕は、僕は失いたくない」

 

 俺もみんなとより繋がれるための手段がまずデュエル……遊戯王だった。

 

「僕は、楽しいからデュエルが好きなんじゃない。デュエルが楽しくて好きなんだ。それに」

 

 その続きこそが、彼の本心のはず。それなのにその続きが来ない。何かが彼の心を縛っている、そんな気がした。

 

「ねえ、もしデュエルが楽しくなくなったら、それでも君は続けるの?」

 

 もしもデュエルが楽しくなくなったら、か……

 

「そうだな、続ける続けない。そんな答えは俺にはない」

 

 そう、もしもデュエルが楽しくなくなったら、俺の答えは一つ。そして、それは皆にも聞かれたときに答えている。

 

「もしもデュエルが楽しくなくなったら、また心から楽しめるように色々試すんだ。別のデッキがあるならデッキを切り替える、今まで組んだことのないデッキを組んでみる。今まで使ったことのないデッキを知り合いから借りて、それでデュエルをしてみる……そうしてまた、デュエルが楽しい、そう思えるための手段を試すかな」

 

 勿論、俺自身もそうだ。楽しいからデュエルが好き、ではなくてデュエルが楽しいから楽しくて仕方ないから好き。

 

「これが俺の答え。デュエルが楽しいから大好きだし、もし仮にデュエルが楽しくなくなったとしてもまた楽しくなれるように頑張る。大好きだから、また楽しくなれるように頑張れるんだ。俺にとってデュエルは人生のうちの1つでもあるから、代わりになれるものなんてないからね」

 

 楽しいから皆に勧めれるし、みんなも楽しいから続けてくれる。俺の楽しいって思いが剣君にもしっかり伝われば良いんだけど。

 

「そっか」

 

 どうやら、俺の思いは届いたようだ。

 

「ありがとう、コナミ。よく、わかったよ」

 

 その言葉だけで俺のデュエルを楽しむ思いはより一層高まっていく。

 

「僕はデュエルと共にいる。だから、絶対に手放さない! 楽しいんだから!」

 

 あぁ、そうだよ。その最高の笑顔。それこそ俺のデュエルの原点でもあり、みんなにデュエルを教えるときに見ることを心掛けている表情だ。

 

「さて、行くよ。俺のターン! ドロー!」

 

 本当に楽しい。ドローをするのがこれほどに楽しみになったのはいつ以来だ……雄牙にデュエルを教えたとき以来、かな。何だか、昔の遊戯王を覚えている途中の雄牙とデュエルをしているみたいだ。その時も常に全力で相手をして、全力出し過ぎって笑って怒られたっけ。

 

「“魔力の泉”を発動! デッキから相手の場の表側の魔法・罠カードの分だけドローし、自分の場の表側の魔法・罠カードの分だけ手札を捨てる!」

 

 剣君の場には揃っているスケールとフィールド魔法の3枚、俺の場には発動処理中の魔力の泉。

 

「デッキからカードを3枚ドローして1枚捨てるよ」

 

 引いたのは魔法カードと同一罠カード2枚……正直引きは良くない。それでも、どれを捨てるか考えるだけで楽しい。と言ってもほぼ決まってるけどね。俺はダブった罠カードを手札から捨てて魔法カードを発動した。

 

「“平行世界融合”を発動! 除外されているアシッドとシャドーミストをデッキ及びエクストラデッキに戻し融合!」

 

 実は除外に能動的に送るカードはデッキにないけど除外ゾーンに送られたときのためにピンで刺していた。それが引けるなんてやっぱり面白い!

 

「融合召喚! 来てくれ! 絶対零度のHERO“E・HERO アブソルートZero”!」

 

E・HERO アブソルートZero ATK2500

 

 Zeroはこのデッキで唯一の属性融合HERO。アシッドとの相性がいいから採用している。今回はその出番はないけどね。

 

「Zeroは自分以外に場に水属性モンスターがいるとその数×500攻撃力が上がる」

 

 俺の場にはエアーマンしかいない。でも、剣君の場にいるトリシューラが水属性。だからこそ、攻撃力は上がる。

 

E・HERO アブソルートZero ATK2500→3000

 

「バトルだ! アブソルートZeroで混沌帝龍へ攻撃!」

 

 勿論、他を攻撃する手段もある。でも、それは混沌帝龍の効果を発動させることになりかねない。ライフの少ない今はそのバーンダメージすらも気を付けないといけない。だからこそのこの自爆特攻。これで一気にとまではいかないが、それでも確実にこれまで奪われていたアドバンテージを取り戻しに行く!

 

「Zeroの場から離れたときの効果発動! 相手の場のモンスターをすべて破壊!!」

 

 Zeroの効果も無事に通って相手の場のモンスターがすべて破壊される……よし、これでエアーマンの直接攻撃が通せる!!

 

「破壊された〈セフィラシウゴ〉の効果。〈セフィラの神託〉を手札に。やっぱりやるね。こっちのモンスターをすり抜けてくる」

 

 手札の内容的にも凄くギリギリの攻防。でも、これがやっぱり楽しい!

 

「俺も結構ギリギリだからな。だが、こういうのも楽しくて仕方ないんだよ。エアーマンで直接攻撃!」

 

剣LP5000→3200

 

 ようやくだ。漸くライフ差をある程度縮めれる事が出来た。ここからどんな展開になるのか……それが楽しみだ。

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンド!」

 

 

勝太LP1500

手札1(E・HERO オネスティ・ネオス)

E・HERO エアーマンATK1800

伏せカード

 

 

「僕のターンドロー。〈秘竜星―セフィラシウゴ〉をペンデュラム召喚。〈セフィラの星戦〉を手札に」

 

 こればかりは仕方ない。でも、守備表示ならまだ何も問題はない。

 

「発動済みのセフィラの神託の代わりに、別のセフィラの神託を発動。新たに加わった覚星輝士―セフィラビュートをこのまま召喚。効果発動、ペンデュラムゾーンのセフィラビュートと伏せカードを破壊」

 

 と言っても俺自身が発動した魔力の泉の効果で破壊されるのは俺の伏せカードだけ……本来なら圧倒的なデメリット。でも、それが今回ばかりはデメリットばかりではなかった。

 

「破壊された運命の発掘の効果発動だ。墓地にある同名カードの数だけドローする。俺の墓地には2枚ある。だから2枚ドローだ!」

 

 そう、見てわかる通りさっき魔力の泉で墓地に送ったのも、伏せカードも運命の発掘だ。そのおかげもあって手札は3枚。バレているオネスティ・ネオスを含めずとも2枚の不明カードが剣君からしたら増えることになる。さぁ、ここからどうする? どんな風に動いてくる? もっとこのデュエルを楽しもうよ!

 

「ならこっちはセフィラの星戦発動。僕の覚星輝士―セフィラビュートと君のE・HEROエアーマンを破壊する」

 

 残念ながらあれを防ぐ手立ては手札にない。エアーマン、すまない。今は墓地にいてくれ

 

「さらに“金満な壺”。墓地の剣聖の影霊衣―セフィラセイバーと竜星因子―セフィラツバーン、エクストラデッキの覚星輝士―セフィラビュートをデッキに戻し、2枚ドロー」

 

 手札は2枚に増やされた。でも、このターン中はペンデュラムしか特殊召喚はできないし、通常召喚もペンデュラム召喚ももうしている。動かれることはもうないそうだ。

 

「ターンエンド」

 

 

剣LP3200

手札2

秘竜星―セフィラシウゴDEF2600

伏せカード

 

フィールド魔法

セフィラの神託

 

竜星因士―セフィラツバーン:スケール1

覚星輝士―セフィラビュート:スケール7

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

 引いたカードは……よし、何とかモンスターを引けた。でも、展開できるモンスターじゃないし、攻撃表示にはできない……さっき運命の発掘で引いたカードも罠カードだけ……やれることは限られていた。

 

「手札のモンスターカードをセット、カードを2枚伏せてターンエンド!」

 

 

勝太LP1500

手札1(E・HERO オネスティ・ネオス)

???

伏せカード

伏せカード


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