「私のターン。“儀式の下準備”を発動。デッキからイリュージョンの儀式とサクリファイスを手札に。そしてイリュージョンの儀式を発動」
イリュージョンの儀式、か。まだ一応対応は可能だな。問題はどっちで来るか、だが……
「手札のサクリボーをリリース。サクリファイス儀式召喚」
再び降臨する怪物。そのウジャト眼はぐるりと相手の場を見回す。
「サクリファイスの効果発動。冥帝エレボスを対象にするわ」
なるほど、あくまでも火力で制圧を目指すか。ならあくまでも全力で応じるのみ。
「手札の天帝アイテールの効果を発動。墓地の帝王の深怨を除外し冥帝エレボスをリリース……現れよ、天帝アイテールをアドバンス召喚!」
これでサクリファイスの効果対象が不在……ここは一応こいつを出しておくか。今回はちょっとドローよりはコイツが残ればいいなという願望だけ思っておこう。
「天帝アイテールの効果発動。デッキから“帝王の烈旋”と“帝王の溶撃”を墓地に送り“天魔大帝”を特殊召喚」
サクリファイスは攻撃表示……このままターンを終わらせてくるとは思えないが……
「手札から“ミレニアム・アイズ・イリュージョニスト”の効果発動」
おっと、そういったカードを持っているのか。それはちと面倒だな……
「このカードを捨てることで、サクリファイスの効果扱いとして相手モンスターを装備する。これでアイテールの攻撃力2800はこの怪物のもの。バトルフェイズ、サクリファイスでヴェルズ・コッペリアルを攻撃」
LP6700→6350
自分のモンスターを怪物って……流石に言い過ぎじゃねーのかねぇ? まぁ、見た目的な意味では分からなくもないんだが……
「ヴェルズ・コッペリアルが相手によって墓地へ送られた時、効果発動。サクリファイスのコントロールを得る」
さて、これからどう回避するんだ……? 簡単にコントロールを渡してくるか……?
「速攻魔法“サクリファイス・フュージョン”! 手札・フィールド・墓地のモンスターからアイズ・サクリファイス融合モンスターを融合召喚する。フィールドのサクリファイスと墓地の〈バトル・フェーダー〉を除外することで、融合」
おっと、そう来るか……こりゃフィールドが全滅してしまうなぁ……
「“ミレニアム・アイズ・サクリファイス”」
ミレニアム・アイズ・サクリファイスATK0
まぁ、結果論だが……クライスでドロー変換にしても変わらなかっただろうし、その辺は気にするべきじゃないだろうな。
「メインフェイズ2。墓地のサクリファイス・フュージョンは除外することでアイズ・サクリファイス融合モンスターかサクリファイスに相手モンスターを吸収させるわ。天魔大帝をミレニアム・アイズ・サクリファイスに装備」
これで俺のフィールドはがら空きで手札もイデアとフィールド魔法の真帝王領域ののみ。対して相手は攻撃力2400のミレニアム・アイズ・サクリファイスが存在する。ライフで優っているとはいえ、怖いところだな。相手のカードの対象によっては負ける可能性がある……かな?
「ターンエンドよ」
さとりLP4400
手札2枚(ミレニアム・アイズ・イリュージョニスト)
ミレニアム・アイズ・サクリファイス攻撃力2400(天魔大帝を装備)
天魔大帝(ミレニアム・アイズ・サクリファイスに装備状態)
「俺のターン、ドロー」
……引いたのは汎神の帝王、か。そのままでは使えない、が……ここが一番の重要なタイミング。相手が何を対象にしてくるかで有利不利がハッキリする。
「天帝従騎イデアを召喚し効果を発動」
「ミレニアム・アイズ・サクリファイスの効果発動。相手がモンスター効果を発動したとき、相手のフィールド・墓地のモンスターを装備する」
っ……! やっぱり来た! でも、問題は効果対象……
「私は、墓地の冥帝エレボスを選択」
……え、イデアじゃなくて、エレボス? これはもしや……エレボスの墓地で発動する効果を忘れている? なら……!
「俺は墓地で対象になったエレボスの【1ターンに1度、自分・相手のメインフェイズに手札から帝王魔法・罠カード1枚を捨て、自分の墓地の攻撃力2400以上で守備力1000のモンスター1体を対象として発動でき、そのモンスターを手札に加える】効果を手札の汎神の帝王を墓地に送り冥帝エレボス自身を対象に発動! エレボス自身を手札に戻す事で吸収効果を回避する!」
これは完全に助けられた……これで墓地で発動する汎神の帝王のコストも既に準備が整っているし……行けるはず! ミレニアム・アイズ・イリュージョニストの効果は……チェーンで使ってくる様子はない、か。ならば突っ走るのみ!
「天帝従騎イデアの効果処理でデッキから“冥帝従騎エイドス”を特殊召喚し効果で通常召喚権増加……墓地の汎神の帝王の効果を帝王の烈旋と共に除外して発動! 次に公開するカードはこれだ!」
●帝王の深怨
●帝王の深怨
●進撃の帝王
「帝王の深怨を選択」
ふむ、迷わなかったな……まぁこうするしかないだろうからね。それに俺の場に2体が出た瞬間、勝利への道筋は確実に整っている。
「それじゃ、帝王の深怨を手札に。エレボスを公開し帝王の深怨を発動し進撃の帝王をサーチしそのまま発動する。そして、イデアとエイドスをリリース、再び来い、冥帝エレボスを召喚」
ここまで来たら、もう勝てる……進撃の帝王でエレボスは効果の対象にとられない……
「エレボスの効果をチェーン1、イデアの効果をチェーン2で発動だ。イデアの効果で除外ゾーンの汎神の帝王を手札に加え、エレボスの効果で真源の帝王と帝王の凍気を墓地に送りミレニアム・アイズ・サクリファイスをバウンス。バトルフェイズに移行しエレボスで直接攻撃」
相手のライフが1600を刻む。そしてそのままターンエンドを宣言する。これで完全にボードとライフのアドバンテージを取れた。ハンドアドバンテージは取ることは難しいけど、これだけリードをしていれば余程の事が無い限りは大丈夫だろうな。
遊輔LP7500
手札1枚(汎神の帝王)
冥帝エレボスATK2800
進撃の帝王
フィールド
真帝王領域
「“金華猫”召喚。墓地のミスティック・パイパーを特殊召喚し、リリース。ドローしたクリボールを見せてさらにドロー。ターンエンド。金華猫は手札に戻る」
さとりLP1600
手札5枚(ミレニアム・アイズ・イリュージョニスト,金華猫,クリボール)
あっという間のターンエンドだった。フィールドにモンスターこそ存在しないが手札誘発のクリボールと不明のカード……次で仕留めきれるかなんて考えれなかった。だからこそ、ドローから考えるしかない。
「俺のターン、ドロー」
ドローしたのは……帝王の烈旋。相手の場にモンスターがいない上にそもそも手札には上級以上のモンスターが存在しない。今は手札の汎神のコストにするしかないか。ドローで考えることに変わりはない。
「手札の汎神の帝王の効果発動。帝王の烈旋と共に墓地に送って2枚ドロー……!」
手札を入れ替えてドローした2枚を見て思わず口角が上がってしまう。何せ、相手の手札がどうであれ、一番なんとかなりそうな手札に変化したからだ。だからこそ、この宣言ができる。
「アンタの手札に何があるのかは知らないが……その手札によっては、このターンで決着をつけさせてもらうぞ?」
「曖昧な自信を虚勢に変えていては、いつか痛い目を見ますよ」
確かに、まだ完全な確定からの自信からではない。だが、手札を5枚のうち3枚が分かっている場面、かなりの高い確率で相手を倒せる可能性はある。
「次は私が勝てますよ。貴方に、貴方個人にどんな特効があっても。次の私はミスを犯さない」
特効? 何の事だかわからないが……まぁ、気にするほどでもないだろう。
「そうか。ならば、ターンを進めさせてもらおう。墓地の冥帝従騎エイドスの効果を発動。墓地の冥帝従騎自身を除外し、天帝従騎イデアを特殊召喚。そして、イデアの効果により“炎帝家臣ベルリネス”を特殊召喚」
俺がデッキから呼び出したのは家臣カードの中でも一番効果が微妙な家臣であるベルリネス。手札1枚をコストにして自身を特殊召喚する効果の家臣だが、他の家臣とは違って特殊召喚のために手札コストが1枚要求される。あまり手札を増やすのは得意ではないこのデッキにとって少し特殊召喚には難しいのだ。だが、その第2の効果は……他を置いてでも今のタイミングに丁度良かった。
「イデアとベルリネスをリリースし“爆炎帝テスタロス”をアドバンス召喚! テスタロス、ベルリネスの順でチェーン発動! テスタロスは手札のピーピング&ハンデスをし、モンスターを捨てた場合そのレベルに応じたバーン、炎属性のモンスターである、ベルリネスをリリースしたことにより追加効果で1000のバーンが発生させる効果を持ち、そしてベルリネスは同じく手札のピーピングを行い、相手の手札1枚を除外する効果を持つ。さぁ、見せてもらおうか……あなたの手札を、な」
多分だが、俺の表情は悪役系のあくどい笑みを浮かべているかもしれないな。まぁ、3枚以上直接攻撃を防ぐフェーダータイプのカードがあると面倒だが……どんな手札だ?
相手が公開する。そのソリッドビジョンが相手の頭上に浮かび上がる。クリボール、“パラサイト・フュージョナー”、バトル・フェーダー、金華猫、ミレニアム・アイズ・イリュージョニスト……丁度良く攻撃を防げるカードが2枚。ならば選択肢は決まったようなもの。
「それじゃ、ベルリネスの効果でバトルフェーダーを除外、テスタロスの効果でクリボールを墓地に。クリボールのレベルは1、よって200の効果ダメージ、更に追加効果1000ダメージ」
これで確か攻撃を防ぐものはないハズ……
「ラストバトル……エレボスで直接攻撃。
win 遊輔