遊戯王ARC-V 風纏いの振り子   作:瑞田高光

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ということでこちらのコラボはこの話で終了です。

改めましてコラボ有難うございました。
自分がメモを取り忘れていたせいでコラボ投稿が遅れた件など、誠に申し訳ございませんでした。
ですが、本当に書いているときに楽しかったです。

もし、これを見て頂けた際には無理にとは言いませんが、是非ご一報をくださいませ。改めてお礼をお伝えしたいです。


兄たちの苦悩と意地-5

「クッソォォォォ! 負けちまったぁ!! 真澄、非力な兄を許してくれ……!!」

「遊矢……俺は勝ったぞ……! 兄としてのお前への愛情が勝ったんだぞ……!!」

 

 俺は無事に勝てた安堵感から思わずこの場に居ない弟の遊矢へ報告をしていた……ってま、すみ……?

 

「「……ん?」」

 

 ますみ……って俺の知ってる範囲だとあのLDSの融合コースの首席しか知らないんだが……

 

「なぁ、遊矢ってもしかして榊遊矢のことか?」

 

「そうだけど……真澄って光津真澄の事か?」

 

「あぁ! 俺は光津真澄の兄、光津真也だ! しかしなるほどな、確かに遊矢は良いやつだよな!!」

 

 なるほど、光津真澄か。確かまだだけど……柚子にカード譲ったりしてくれる意外と良いヤツだからなぁ……

 

「そうだったのか、俺は榊遊矢の兄の榊遊牙。そっちこそ、確かに真澄は良いヤツだもんな……だが、可愛さで言うならやっぱり譲らないがな」

 

「ははは、別の世界じゃあ同じ奴でも多少性格の違いがあるだろうし、そこは気にしない事にするぜ! いつかこっちの真澄に会わせてやりたいもんだ!!」

 

 まぁ、確かにパラレルワールドである真也の世界の光津真澄と俺の世界の光津真澄は多少なりとも違うかもしれんな。

 

「だな。うちの遊矢は兄である俺の事をも目標にしてくれる可愛いヤツだからな! 俺は父さんとは少し違う方向のエンタメデュエルだけど……それでも、俺の事を目標にしてくれるもんだから、頑張れるわけさ」

 

「やっぱ話合うなー!! わかるわかる、弟とか妹が慕ってくれることほど励みになることは無いぜ!! ウチの真澄な、普段キリッとしてるしっかりした子なんだけど偶に「兄さんのことは尊敬してる」とか可愛い事言ってくれるもんだからもう!!」

 

「良いよなぁ! 普段キリッとしててのそのデレは兄としてはヤバいな! こっちもさ! いっつもは笑顔を見せてくれる遊矢なんだがこの前、諸事情でチーム戦をした時の表情がキリッとしててカッコよくて良かったんだよ!! 『デュエルは喧嘩の道具じゃない! デュエルはもっと楽しいもんなんだよ! だから、俺は戦う!』って! あの時の表情はカッコよかったなぁ……!」

 

「なるほどなぁ!! 遊矢もカッコいいこと言えるじゃねえか!!」

 

「だろ! いやぁ、やっぱり兄弟って本当に良いものだ。それに聞いてくれよ! 俺が中1になった頃で遊矢が小学校3年生の頃だからもう5年も前の話なんだがよ、LDS主催のデュエル大会で優勝した時なんて部屋から出てきた時に俺の胸に飛び込んできて満面の笑みでこっちの顔を見て「兄ちゃん、優勝おめでとう!」って言ってくれた時に俺はもうこの笑顔は守らなきゃと確信したさ!」

 

 けど、あの時……俺はアイツを守れなかった……俺は自然とあの時の事を思い出して顔を俯かせ、デュエル中からずっと絶やさないでいた笑顔をやめて呟いていた。

 

「……まぁ、結局3年前のあの時、俺は遊矢の笑顔を守れなかったけどな。すっかり塞ぎこんで、半年以上も遊勝塾にも顔を出さなくなってしまってなぁ……あの時は辛かった、かな」

 

「榊遊勝の失踪か。確かに大きな事件だ、遊矢も辛かっただろうな」

 

 やっぱり、知ってたか。あの時の遊矢の様子は今でも思い出す……食事や風呂のためにしか部屋から出てこず、出てきてくれてもほとんど会話もできないし……正直俺も(臆病者の息子と言われるよりも遊矢と会話できないことの方が圧倒的に)キツかった。

 

「あぁ、『臆病者の息子』ってのがやっぱり辛かったみたいでな…………俺も言われたけど……確かにあれは中々キツかったよ。あの時は遊矢はまだ小学生だったからな、俺以上に辛かったんだと思う」

 

「気にすんなとは言わねえけどさ。転生者だって神様じゃないんだ、守れない物も、避けられない事もあるだろ?」

 

「……まぁな。けど俺は、あの事があったからこそ遊矢に二度とあんな思いはさせない。そう、思ったんだ」

 

「そうそう、やらかして反省したらあとは前向いてりゃいいんだよな。これからもさ」

 

「だな……そうだ、折角だし遊勝塾に来ないか?今は誰もいないけど、もっと色々話したいしさ」

 

 なんか、予定があった気があするけど何だっけなぁ……

 

「おぉ、そいつはいいな!! 俺の方の世界にはいない奴もいるだろうし、お邪魔するゾ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……それに、俺もストロング石島じゃないけどプロデュエリスト相手に戦ったことあるからさ、その時のビデオもあるんだぜ…………って、アレ?」

 

 俺が振り返ると、そこに真也の姿は既に無かった。辺りをキョロキョロと見渡してみるけど、誰かがいた形跡なんて、一切合切見当たらなかった。

 

「……まぁ、良いか」

 

 俺はとりあえず頭を切り替えることにした。多分、真也は元の世界に戻れたのだろう。そう考えれば、アイツにとっても良いのだろうな。

 

 俺はそう割り切ると、今いる公園を出ることにした。でも、何だっけ、今日の予定……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 因みにこの後、家の前にLDSの迎えの車があってそれで漸く今日は色々聞かれるために零児に呼ばれていたのを思い出したのだった……勿到着してからそのことを素直に話したら零児に睨まれた。でも後悔はしていない。何せあのデュエルがとてもいいデュエルだったからだ。


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