遊戯王ARC-V 風纏いの振り子   作:瑞田高光

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第4話-2

『私は……レベル10の攻撃力の半分となった重機貨列車デリックレーンと深夜急行騎士ナイト・エクスプレス・ナイト2体でオーバーレイ! エクシーズ召喚!

 

鉄路の彼方より、地響きともに定時で到着! 現れろ、ランク10! “超弩級砲塔列車グスタフ・マックス”!!』

 

超弩級砲塔列車グスタフ・マックスATK3000 ORU2

 

「エクシーズ召喚……! 雄飛や素良、ユギトと言い……最近はどうしてこうも珍しい召喚法を扱う人間が増えてんだよ……」

 

「……それは遊矢さんや遊牙さんにも言えますからね? 珍しいどころか初めて見る召喚方法でしたよね?」

 

 俺のつぶやきに火無菊がボソリと返す。いや、確かに俺は言える立場じゃないな。火無菊も融合召喚は使うけど、一応古参メンバーだしなぁ……

 

 

『グスタフ・マックスの効果発動! 1ターンに1度、オーバーレイユニットを1つ使う事で相手に2000ダメージを与える! 発射オーライ・ビッグ・キャノン』

 

『なんだと……!? どわああああああああっ?!』

 

修造LP4000→2000

 

 出たよ、グスタフ・マックスの真骨頂。戦闘を行わないからガッツマスター達のロックをすり抜けちまう。ってか、もう1体いて、塾長が“加速”とかを引かなかったらそれだけで終わっちまうじゃねーか……

 

『まだまだ。こんなもんじゃねぇ! 墓地に送ったデリックレーンのモンスター効果! オーバーレイユニットのこのカードがエクシーズモンスターの効果を発動するために取り除かれ墓地へ送られた場合、相手フィールドのカード1枚を対象として発動でき、そのカードを破壊する。私は守備表示のガッツマスター・ファイヤー1体を選択し、破壊!』

 

『くぅっ……(だが、念には念をで自分の場のモンスターを守備表示にする“砂漠の光”を伏せてある。それにさっきアクションマジックの“加速”もある。守備表示にしたら戦闘ダメージも受けない、このターンは凌げる……!)』

 

『……この手札2枚で通せるとこまで通させていただく! 魔法カード“アドバンスドロー”を発動! フィールド上に存在するレベル8以上のモンスター……デリックレーンを1体リリース。そしてデッキからカードを2枚ドロー!!』

 

手札

2→1→3

 

『(必要なカードは来た。問題は伏せカードがフリーチェーンの場合だけど……)……来ました。必要なカードはすべてそろいました。魔法カード“サイクロン”を発動。その伏せカードを破壊します』

 

『っ……攻撃を考えてるんだろうが、ダメージだけは通さない! リバースカードの砂漠の光を発動! その効果で自分フィールド上のモンスター全てを守備表示に!』

 

『なんと……そういった効果の伏せカード、でしたか。ですが、伏せカードがそれであるなら何の問題もない。装備魔法“機関連結”をグスタフ・マックスに装備。これにて攻撃力を2倍にします。その代わり、このモンスター以外は戦闘を行う事は出来ません』

 

超弩級砲塔列車グスタフ・マックスATK3000→6000

 

 あ、終わった。塾長、敗北のお知らせ……いや、あのアクションマジックが回避でその後に加速を引けば……って、あれ? 俺もフラグ立ててる?

 

『こ、攻撃力6000……し、しかし守備表示だからダメージは通らないぞ!』

 

『ご心配なく。機関連結には装備したモンスターに貫通効果を付与する効果もあります。バトル! グスタフ・マックスでガッツマスター・ヒートを攻撃! グスタフ・ハンマー!!』

 

 グスタフの砲塔がヒートの脳天に直撃……これは痛いな。そしてその爆風が塾長を襲う…………

 

『うおおおおおおおおおおっ!?』

 

LP2000→0

 

win TETTA

 

 

「ゆ、遊矢お兄ちゃん……!」

 

「おっと」

 

「アユ、大丈夫か!? どうしたんだ?」

 

 ちょうど鉄太さん(漢字はこっちの方だったらしく本名は山路(やまじ)鉄太というらしい)達が戻ってきたとき、アユちゃんが足をもつれさせて入ってきた。ちなみに支えたのは俺な? ちなみに、泣きじゃくってて喋りづらそうにしている……おい、フトシと素良とユギト。アイスが溶けてるのが問題じゃないだろう? 凍らせればいいだろう、こっちが問題だ。

 

「アユちゃん、ゆっくり深呼吸して……何があったのか、ゆっくりでいいから教えてくれないか? それに、柚子は? 一緒に帰ってこなかったのかい?」

 

 アユちゃんはゆっくりと深呼吸すると話し始めた。内容は以下の通り

 

・帰り道に河原を通っていたら沢渡の取り巻きのうち1人を発見。話している内容から俺と遊矢を恨んでいる様子だったので柚子と一緒に追いかける事に。

・途中で見失ってしまったけど、偶然また見つけたので追いかける

・倉庫がいっぱいの場所にある倉庫の1つに入っていったのを見つけ、柚子はアユに帰ってこの事を伝えるようにお願いをした。

・不安だったけど、がんばって走って帰ってきた

 

 …………どう記憶を思い返しても沢渡vsユートです。本当にありがとうございました。

 

「分かった、知らせてくれてありがとうな、アユちゃん」

 

「兄さん……」

 

「当然だ。杏子、アユちゃんをお願い」

 

「……気を付けてね?」

 

「無論。一度ボッコボコにしてもしたらないようだし……」

 

 まぁ、俺らが到着したころには……すべてが終わってる気しかしないわけだが……

 

「行くぞ、遊矢!」

 

「うん!」

 

 せめて決着だけは……見てみたいものだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アユの話から分かった倉庫へと向かう遊牙と遊矢。辺りはすっかり暗闇へと変化していき、太陽も殆ど沈んでおり……月も見え始めている頃……ようやく目的地が近づいてきた。

 

「柚子ちゃん!」

「柚子!」

 

 目的である倉庫の扉は開いていたために2人は中を確認する。そこには柚子の姿、そしてその隣で柚子と話をしていたのは……染めた明るい茶髪を短く刈り上げ、切れ目に空色の瞳、黒の制服を着崩していてピアスを両耳に着けている青年と、刈り上げている黒髪に黒瞳でシャツとジーンズというラフな格好をしていて、頭にはDAという黒文字のロゴ入りの赤い帽子を目深に被った180cmとみられる高身長の青年の2人……その2人が遊牙や遊矢の方を見る……すると……二人は揃ってその名を発した。

 

「雄牙!?」

「雄牙! お前、どうしてここに!?」

 

「「……え?」」

 

 突然の呼び名に戸惑いを隠せない柚子と遊矢は遊牙の方を見る。遊牙はポカンとしていて……

 

「…………ひ……」

 

 小さくそう呟くと一瞬目を伏せたがすぐにバッと顔を上げると僅かばかりの冷や汗を浮かべていたその笑顔はやや焦りがあるようにも見えた。

 

「ひっさしぶりだな、衣音(いおん)! コナミさん! 二人とも、【いつコッチに帰って】きたんだよ!!」

 

「「…………は??」」

 

 遊牙が笑顔になって放った言葉は青年2人を戸惑わせるのには十分であった。しかし、その間にも遊矢と柚子が遊牙を問い詰めていて……

 

「え、兄さん。どういう関係なんだ?」

 

「あぁ、あの二人は【従兄弟】でな、あっちの赤い帽子の方……小浪 勝太(コナミ かった)さん…………もう呼びなれてる方で言えばコナミさんは俺のデュエルの第2の師匠だよ」

 

「え、あの二人とはいつごろから!?」

 

「小さい頃、だな。小学校の頃は隣の学校だったんだが家はそこまで遠くなくって、俺がよく遊びに行ってたんだよ! 俺が8歳の頃に二人とも遠くに引っ越しちゃったんだけどな……あ、因みにコナミさんはいっつもあの赤い帽子被ってるから、たまに赤帽子さんって呼んでるんだよ」

 

 話に入る間もなくなぜかどんどん進む話についていけず呆然とする衣音と呼ばれた青年とコナミと呼ばれた青年の2人……しかし、遊牙が話をしている最中にチラリと視線を送る……

 

「……いやぁ、つい最近引っ越してきたばっかでな!」

 

「コナミさぁ、んいっ!?」

 

コナミはその視線に気づいたのか、咄嗟に笑って遊牙の発言に合わせる。衣音は合わせようとしたコナミの名を呼ぼうとしたがコナミに足を踏まれた事でフッとコナミの方を見る。すると、その表情はニコやかではあったが……

 

「こっちに戻ってきたときに偶然衣音とも会ってさ……な?」

 

「あ、アハハ……そ、そうなんだよぉ! 俺も最近こっちに1人で戻ってきてさぁ!(あ、後で色々問い詰めてやる……!)」

 

 その表情を見た衣音は笑顔を張り付けて同意しつつも内心では絶対に色々話を聞こうと誓うのであった…………




遊牙「あ、遊矢。俺ちょっと衣音とコナミさんと久しぶりに話したいから先に柚子ちゃんと一緒に帰ってて?」

遊矢「うん、わかった!」



~衣音&コナミの家~

衣音「……えーと、とりあえずいろいろ聞きたいけど……何でお前遊矢の兄なんだよ!?」

遊牙「こっちが聞きたいよ……ってか、それより、ニュー・沢渡のデュエル見てたんだろ?」

衣音「ん? あぁ、俺もデュエルしてたからな」

遊牙「……は?」

コナミ「あぁ、実は俺たち……雄牙、お前を探してた時に変な穴があってな。それに入ったらあの港の陰に着いたんだよ……それで、どういった場所か探そうとしたら柚子と柚子を見ている黒遊矢を見付けてな。それで黒遊矢が入った後に俺たちも入ったんだよ。そしたら衣音がデュエルしたくなったらしくって一緒にデュエルしちゃったんだよ」

遊牙「……聞くけど、内容は?」

衣音「俺が最初でドラゴンフライセットの端末世界発動で魔封じセットだな」

遊牙「……あぁ、あのデッキか」

衣音「あぁ。んで、黒遊矢が手札5枚全部セットで……」

遊牙「……いい加減聞きたいんだが、黒遊矢って……そんな似てたか?」

衣音「んー……似てると言えば似ている?」
コナミ「まぁ、パッと見は似てたかな」

遊牙「……そうか、続けてくれ」

衣音「あぁ、それで沢渡は原作通り、って感じだ。俺は完全放置されてたけどな。んで、その後も展開も変わらず……あ、でも端末世界の効果知らなかったみてぇだったな! 何かメイン2行おうとしてたからそれ指摘したらすっげぇ顔真っ赤にしてたな!」ケラケラ

遊牙「はいはい、んで2巡目は?」

衣音「ったく……つれねぇな。俺は特に動く気ねぇもんだからゼピュロスセットして、折角だからご隠居の猛毒薬で沢渡にダメージ与えて終えたよ。んで、黒遊矢のターン以降はお前も知ってるだろう?」

遊牙「なるほどね、ダメージはお前が与えてたから問題ないという訳か」

衣音「そーいうこと!」ケラケラ

コナミ「……さて、これからどうするかな…………」

衣音「は、どうするって決まってんだろ? 遊勝塾に入るんだよ!」

遊牙「いうとは思った……ところで、持ってるデッキは?」

衣音「俺はいつもの3種類だな」

コナミ「俺はこの前新しいカードを入手したからな。それを利用したデッキ……とメタルフォーゼだ。メタルフォーゼは新しく作った」

遊牙「……メタルフォーゼがどんなデッキか知らねぇけど……ペンデュラムは基本使わないでくれ」

衣音「はぁ? 使うに決まって「特定の時期まで、ツカウナ。イイナ?」アッハイ……」

コナミ「……一応聞くけど、理由は?」

遊牙「んなもん、遊矢の精神衛生上に決まってんだろ。【この世界で今のところ使えるのは遊矢と俺だけ】なんだから」

衣音「……その話詳しく」

遊牙「おうともよ」


こんな会話が夜中まで続いて、結局遊牙は親に事前に報告して一泊した模様……

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