「さてと、とりあえず俺の出番が回ってきたは良いものの……」
蓮はため息をつきながらチラリとフィールドを、というよりこの塾の惨状に目を移す。
見るからに部屋中ボロボロで、アクションフィールドも半分くらいヒビやら瓦礫やらが散乱、さらにアクションフィールドの管理をしていた遊矢まで目を回してノックアウト、これはもう酷いとしか言いようがなかった。
「……いったい誰がこんなことを」
「全くだな、どうしてこうなったんだか」
「「原因は間違いなくお前らだからな、二人とも」」
悪びれなく言う二人に蓮は柚子から借りたハリセンで共に二人をぶっ叩く。
「まぁ、さっき動作確認はしてみたが……一応動くようだし。壊れたら壊れたで不良品掴まされたってレオ・コーポレーションに文書送るから」
管制室から遊牙が姿を表すと苦笑いをしながらもシレッととんでもないことをいい放った。それに蓮は思わず苦笑いをしてしまう。
「物騒な事言うなよ……まぁ俺はデュエルできるなら別に良いけどさ」
「でも遊矢伸びてて、他に操作できる人いるんすか?」
「それなら私が行きますよ。お姉ちゃんもお願い!」
亮の問いかけに柚子が名乗り出ると、姉に助っ人を求め、杏子はそれを快諾した。
「そうね、ここはアタシ達が管制室に行くわ。デュエルはアクションデュエルを選ぶかしら?」
「当然アクションデュエルだ。それに、ペンデュラムの開祖の一人って言われてるくらいだ、どんなデュエルをしてくれるか楽しみだぜ」
「……蓮、負けたらアレはちゃんと受けてね?」
「ゲ、マジか……」
「アレ? アレってなんなんだ?」
蘭の発言に蓮は少し顔をしかめる。しかし、事情を知らない遊牙はそう問いかける。
「……蓮が、中々にタイトルを受け取ろうとしないから、私の前で一回でも負けたらタイトルを受けとるって言う賭けをしてるだけ」
「はあっ!? どういうことなんだ!?」
「まさか、2人目がいたとはね……」
「だから!! 俺はそんな賭けをした覚えはないし、それに俺は実力で取りたいんだよ、何が悲しくて譲り受けなきゃならないのさ」
そう言って蓮はデュエルフィールドに向かう。その様子はややイラっとしている様子であった。
「……まぁ、俺のデュエルは父さん譲りのエンタメデュエルではないから満足させれるかは分からないが、俺のゼンリョクを出させてもらうよ」
遊牙は蓮の様子を見ながら苦笑いをするもそう小さく言葉を漏らしてデュエルフィールドへ蓮の後ろを追いかけるように向かう。
『それじゃあ行くわよ。アクションフィールド、オン! 『クロスオーバー・ザ・ゲート』!!』
杏子がデュエルフィールドを展開すると、そこは沢山のステップと巨大な荒野、さらに空にはまるで星座が浮かんでそうな夜空……ぶっちゃけ言うとバトスピのブレイブの後半のバトルフィールドに変な足場が付いただけのそれだった。
「さてフィールドは……ってマジか!!」
「……? こんなアクションフィールドあったか……?」
「……いや、無いだろ……」
蓮はため息をもらしながらも、デュエルディスクを展開する。そして
「寧ろ俺達の戦いにこれ以上無い程に相応しいものは無い!! だから、全力で相手をさせてもらう!!」
俺のとてつもないやる気な発言に感化されたのか、遊牙も一瞬呆けるが、すぐに獰猛な鋭い目に変わる。
「まぁ、こちらとしても負けるつもりはないのでな。チーム遊勝塾の大将として最終戦は勝利させていただくぞ!」
そして、アクションデュエルではお馴染みになっている口上を蓮と遊牙は二人同時に告げた。
「「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が、モンスターと共に地を蹴り、宙を舞い、フィールド内を駆け巡る!! 見よ、これがデュエルの最終進化系!! アクショーン……デュエル!!」」
蓮LP4000 vs 遊牙LP4000
「先行はもらう!! ……俺は早速だが手札から魔法カード“壺の中の魔術書”を発動!! 互いに三枚ドローだ!! ……いいカードだ。俺は永続魔法を3枚発動する!! 来い、“神樹の切り株都市”、“聖者の樹の実”二枚!!」
その瞬間、フィールド内に巨大な樹の根と、白い霊樹が二つ現れる。
「また知らないカード……一体どんな効果があるんだか……」
「ここまでは序ノ口、俺は手札から“幻のグリフォン”を通常召喚!!」
幻のグリフォンATK2000
「俺はカードを二枚伏せて、エンドフェイズ時に“切り株都市”の効果発動!! デッキトップのカードを確認し、そのカードがレベル4以下の風属性モンスターならば、特殊召喚する」
そう言いながら、俺はデッキトップのカードを確認する。そして、ニヤリと顔を歪める。
「カードはレベル3チューナーモンスター“チューニン・ツバメ”!! よって特殊召喚!!」
チューニン・ツバメATK1500
「これにて俺のターンは終了だ」
蓮LP4000
手札1枚
幻のグリフォンATK2000
チューニン・ツバメATK1500
神樹の切り株都市
聖者の樹の実
聖者の樹の実
伏せカード
伏せカード
「攻撃力2000の通常下級モンスター……中々珍しいモンスターを使ってくるようだが……幸いにも手札は潤沢だ。こちらも全力を尽くさせてもらおう。俺のターン、ドロー!」
手札
8→9
デッキよりカードを1枚引くと、己の手札を見てはふむ、と小さく言葉を漏らす。
「とりあえず、まずはこいつからだ。“マジェスペクター・フロッグ”を召喚!」
マジェスペクター・フロッグATK1300
「【マジェスペクター】……なるほど、妨害されるのは厄介だな」
「マジェスペクター・フロッグのモンスター効果! デッキから“マジェスペクター・テンペスト”をセット! フロッグ、行くぞ!」
遊牙はモンスターの召喚と同時に共に走り出す。そして1枚のアクションマジックを手に入れた。
「これは……(一応、残しておくか。あの3枚はあるけど……意識が飛んでしまう事は……なさそうだな)とりあえず、相手の罠に突っ込みに行くしかないか。俺は“オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴン”と“オッドアイズ・ペルソナ・ドラゴン”でペンデュラムスケールをセッティング!」
「来たなペンデュラムスケール……さぁ!! ペンデュラム召喚してみろ!! もっとも、今のお前には何もできないがな!!」
「何……? どういう事だ……『Error! Error!』なっ……!?」
遊牙はペンデュラム召喚を行おうとするも……デュエルディスクはエラーを吐き出した。
「そのままの意味さ、永続魔法“聖者の樹の実”の効果。相手のメインスェイズ1に、相手が二回目の魔法カードを発動したとき、発動終了後、そのメインスェイズ1を強制終了させ、バトルフェイズに強制移行させるのさ。Pカードの発動は即ち、魔法カードを発動するのと同じ扱いだ、そしてその効果で、今のお前はメインスェイズではなくバトルフェイズだから、ペンデュラム召喚は当然できない!!」
「まさか、そんな効果があったとはな……!」
「言っておくが、この程度はまだ序の口だぜ? 俺は伏せていた罠カード“魔術師の交換”を発動する。自分のフィールドに魔法カードが表側表示で一枚以上存在するとき、その永続魔法をリリースして発動する!! デッキから永続魔法を発動する。俺は二枚あるうちの“聖者の樹の実”の一枚をリリースし、デッキから“端末世界”を発動する!!」
あのカードは……!
「っ……! そのカードは悪いが通さない。端末世界発動後に手札から速攻魔法“サイクロン”! 端末世界を破壊する!」
ったく、どんな詰め方してきやがる……! 幸いにも手札にあったから良かったが……なかったらかなりヤバかった……! アイツが良く使う手だからな、端末世界のロックは……覚えててよかった……
「ち、そうは問屋が下ろさないってことか……まぁ除去カード一枚使わせたと考えれば良いか。あぁついでだからもう一つ教えておくぜ、“聖者の樹の実”にはもう1つ効果がある。それは俺が戦闘ダメージを受ける度に、デッキからカードを1枚ドローできるっていうな、下手なダメージは身の危険だぜ? さぁどうする?」
「どうするもこうするも……正面から突き進む! 俺はアクションマジック“究極のゼロ”を発動し風属性を選択する! そしてデッキトップが風属性のモンスターだったらそいつを特殊召喚できる!」
「……マジェスペクターは風属性魔法使い族のカテゴリー、選ぶのは当然か……」
ひとまず、このカードでバトルに必要なカード……マジェスペクター・ユニコーンを引き当てなければ……
※この段階では、『マジェスペクター・ユニコーン』はまだ禁止になってません。禁止カード使ってんじゃねーよという質問は受け付けておりませんので、ご了承くださいませ。
究極のゼロ
アクションマジック(コラボオリジナル)
自分は属性を一つ選択する。その後デッキの上からカードを一枚公開してそのカードが選択した属性のモンスターの時、フィールドに特殊召喚する。違う場合はそのカードをデッキに戻し、シャッフルする。
「デッキトップは……!?」
……何でだ?俺がデッキを最終確認した時にはこんなカードは入ってなかったはず……
「ん? どうした? カードは?」
……いや、ここで戸惑っていても仕方ない。それに、こいつの効果を見てみたが、中々に強力だ。
「……安心しろ、今見せてやる。デッキトップは、こいつだ!
闇夜を羽ばたく鷲よ、その獰猛なる爪で敵を切り裂け!
“ナイトイーグル”を特殊召喚!」
ナイトイーグル ATK2000
「んな!? ち、鳥獣だと!? ていうか、なんでそのカードを!! 俺らの専売特許が!?」