遊戯王ARC-V 風纏いの振り子   作:瑞田高光

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とある高校生達との決闘目録-10

遊輔LP4000

手札5(内1枚アクションマジック)

天帝アイテールATK2800

 

 

蘭LP4000

手札1

レッド・リゾネーターDEF200

レッド・スプリンターDEF1200

共鳴破

 

(アイテール召喚後、効果発動前)

 

「更に、アイテールの効果も発動。デッキから“帝王の凍気”と“真帝王領域”を墓地に送る事で、デッキより……光帝クライスを特殊召喚するが……どうする?」

 

「……特にチェーンはしない。それで、クライスの効果でどれを破壊するの? 貴方のフィールドにはクライスとアイテール、私のフィールドには共鳴波、レッド・リゾネーター、レッド・スプリンターが存在してるけど?」

 

「では、クライスを特殊召喚し…………どうせエンドフェイズにはバウンスされてしまうからね……ここはクライス自身と共鳴波を破壊。そして互いに1枚ずつ破壊されたことでお互いに1枚ドローだ」

 

「結構……でも、アレを私の決め札だと思ってるなら早々に諦めた方がいい。というより、アイテールを引いてるのは何となく分かっていたから」

 

「ふむ、流石にバレてたか」

 

「見せてあげる、私のエースの一角を。私は残ったレベル4ゴブリンドバーグにレベル2レッド・リゾネーターをチューニング!! シンクロ召喚!!

 

現れろ!! “レッド・ライジング・ドラゴン”!!」

 

レッド・ライジング・ドラゴンATK2100

 

「レベル6……攻撃力は劣っているが……なにか突破できる効果でも備わっているのかな?」

 

「“レッド・ライジング”がシンクロ召喚に成功したとき、墓地からリゾネーターを特殊召喚する。私はレッド・リゾネーターを特殊召喚!! レッド・リゾネーターの効果、特殊召喚されたとき、このカード以外の自分フィールドのモンスターの攻撃力……つまりレッド・ライジングの攻撃力2100分、ライフを回復」

 

蘭LP2000→4100

 

「私はレベル6レッド・ライジングにレベル2レッド・リゾネーターをチューニング!!

 

魔界を統べる決闘竜、今ここに姿を現せ!! シンクロ召喚!!

 

“えん魔竜 レッド・デーモン”!!」

 

えん魔竜レッド・デーモンATK3000

 

「ほう、さっきのと似ている竜か。先程のは効果も見ずにリリースさせて貰ったが……今度は効果を見せてもらえるのかな?」

 

「……残念だけど、この子の効果は使わない。私は手札から今引いた“命削りの宝札”を発動し、デッキからカードを五枚になるようにドロー」

 

 引いたカードを確認した蘭は少しだけにやりとする。

 

「私は手札を一枚墓地へ送り、“ライトニング・ボルテックス”を発動、相手フィールドの表側表示のモンスターを破壊する」

 

「アクションマジック、“ミラー・バリア”を発動……俺が破壊から守るのは邪神トークンだ」

 

「フィールドにSモンスターが存在するとき、手札の“シンクローン・リゾネーター”を特殊召喚!!そしてレベル8レッド・デーモンにレベル1“シンクローン・リゾネーター”をチューニング!!深淵より来たれり、その憤怒は天をも焦土とかす!!シンクロ召喚!!現れなさい!!“えん魔竜 レッド・デーモン・アビス”!!」

 

えん魔竜 レッド・デーモン・アビスATK3200

 

「シンクローン・リゾネーターの効果で、墓地のレッド・リゾネーターを手札に戻す」

 

「ほう、進化形態か。となれば……その効果も強化されていると見るが……あっているかな?」

 

「バトル!! アビスで邪神トークンを攻撃!!」

 

 そしてそのうちにアクションカードを探しに走る。何かのお陰か、まわりにあった邪魔なオブジェクトが消え去り、難なくアクション魔法を手に入れる。

 

「アクションマジック“回避”。これで戦闘を無効にさせてもらう」

 

「レッド・デーモン・アビスの効果!! 1ターンに1度、フィールド上の表側表示のカードの効果を一枚、ターンの終了時まで無効にする。これにより回避を無効!! ……そしてアクション魔法“フレイム・オーラ”攻撃力を200下げる代わりに、モンスターに貫通効果を与える!!」

 

「っ……!」

 

遊輔LP4000→2000

 

「さらにこの瞬間、レッド・デーモン・アビスの更なる効果発動!! このカードが戦闘によって相手にダメージを与えたとき、墓地のチューナー一体を守備表示で復活させる。私はダーク・リゾネーターを復活」

 

ダーク・リゾネーターDEF400

 

「……私はこれでターンエンド、そしてこの瞬間、レッド・デーモン・アビスの攻撃力は元に戻る」

 

蘭LP4100

手札1(レッド・リゾネーター)

レッド・デーモン・アビスATK3200

ダーク・リゾネーターDEF400

 

 

 

 

 

「すごい……」

 

「さっきまで遊輔さんが有利だったのに……あの蘭って奴がたった1ターンで返しやがった……」

 

 蘭と遊輔さんの攻防に、遊勝塾メンバーが感嘆の言葉を呟く。

 

「……蘭のやつ、少し手を抜いてるな……」

 

「え、手を抜いてるって……アレでですか!?」

 

「『共鳴波』の効果……あいつ自身あのアイテールというのが分かっていたなら、除去効果の対象をエレボスじゃなくて、レッド・デーモンの効果の対象外の邪心トークンを狙えば、少なくとももう1200のダメージを与えることはできたはずだ」

 

「いや、あの場面は寧ろアレこそが最善の策だ。例え邪心トークンを狙ったとして、それをリリースしてアイテールをアドバンスするとは限らない……ならばエレボスの破壊で無理矢理にでも出させて、そこを先のプレイで堅実に削る……最善かつ最大の攻撃をする、それが彼女だと、君も分かっている筈だろ?」

 

「けどあのクライスの場面でシンクローン・リゾネーターを引くとは限らない、別のカードの確率だってあった、そうなれば一気にフィールドはがら空き、2ターン後には敗北だった」

 

「それを引き込めるからこそ、最年少タイトルホルダーなのさ。さぁ、デュエルが動くぞ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、管制室にいる遊矢と遊牙はというと……

 

「……ダメだ、どうすればペンデュラム召喚ができているのか分からないや……」

 

 遊矢のデュエル映像を何度も手元のタブレットで確認をしていたのだが……遊矢はもうお手上げ、というような感じだった。

 

「(もう、良いかな……次の試合に出る必要あるし……)…………もしかして」

 

「え、兄さん。分かったの?」

 

 それを見ていた遊牙はポツリと呟いてはもう一度デュエルのシーンを巻き戻す。その言葉に遊矢が思わず問い返す。遊牙はそれに頷けばそのシーンで再び止める。

 

「このシーンだけど……」

 

 

『俺はスケール1との星読みの魔術師とスケール8の時読みの魔術師でペンデュラムスケールをセッティング!』

 

『これで、レベル2から7のモンスターが同時に召喚可能!』

 

 

「ほら、このスケール、って言う数字の間にある数字分のレベルのモンスターが召喚できるんでしょ?」

 

「え、まって……たしかあの時って……」

 

 遊矢はこのデュエルが始まる前に使用しようとしたモンスターカードとペンデュラムカードを取り出した。

 

EMオッドアイズ・ユニコーン スケール8

EMファイア・マフライオ スケール5

 

EMヘイタイガー レベル4

EMフレンドンキー レベル3

 

「うん、あの時はスケール8とスケール5……つまり、レベル6とレベル7のモンスターなら特殊召喚出来た。でも、遊矢が出そうとしたのは……レベル3とレベル4。だからエラーが出たって訳だ」

 

「そ、そうだったんだ……「ただ……」……ただ……?」

 

 納得していた遊矢だったが、遊牙はまだ何かを見ている様子だった。

 

「ちょっと、ここのミニSVデュエルテーブル使ってデュエルするぞ」

 

「え? う、うん」

 

※ミニSVデュエルテーブルとは・・・家庭用に発売されているソリッドヴィジョンで投影できる最小サイズのデュエルテーブル。初めてデュエルをする時にデュエルの手順を覚えたりカードの動き方を覚えるのに使える。もちろん、1人だけでなく2人でも出来るが、手札を公開するシステムの為対人戦ではなく、本当に初心者用である。対象を選ぶのは手元にあるタッチパネルを使うので、タッチミスには注意が必要であるが、2回タッチしないと選ばれないのでその点では安全である。金額は5万円(税抜き)

 

 

 

 

「「デュエル!」」

 

遊矢 vs 遊牙

 

「俺のターンから。オッドアイズ・ミラージュ・ドラゴンとオッドアイズ・ペルソナ・ドラゴンでペンデュラムスケールをセッティング。これで2から7の召喚可能。ペンデュラム召喚。ラクーン、フロッグ、キャットをペンデュラム召喚。ラクーンとフロッグの効果でフォックスを手札に、それとマジェスペクター・ストームをセット。フォックスを召喚して効果でマジェスペクター・スーパーセルを手札に。これをセットしてエンドフェイズ時にマジェスペクター・クロウを手札にこれでターンエンド」

 

「俺のターン! えっと……うん。時読みと星読みでペンデュラムスケールをセッティング。これでレベル2から7のモンスターが召喚可能だから、ペンデュラム召喚。オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン、EMウィップ・バイパー」

 

「このままバトルしてみてくれ」

 

「うん、バトル。オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンでラクーンを攻撃」

 

 遊矢が攻撃対象を選択する。そしてその後、遊牙のターンになり、遊牙が再びペンデュラム召喚を試みる。すると……

 

「えっ……」

 

「…………まさか、こんな性質があるなんてな。遊矢、この性質の説明を塾生たちにするのはお前に任せるぞ」

 

「え? な、なんで……」

 

「…………俺はデュエルを楽しみたいからな、説明をしながらでは楽しめそうにない」

 

「……分かった」 


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