遊戯王ARC-V 風纏いの振り子   作:瑞田高光

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とある高校生達との決闘目録-9

「……次は私がデュエルさせてもらう……」

 

 四人がフィールドから退出すると、軽く屈伸をしながら蘭が立ち上がる。

 

「……そっちからは誰が出るの?」

 

「ふむ、では俺が相手を承ろう。アクションデュエルとスタンディング……どちらを選択するかな?」

 

 蘭が出てきたのを見てこの場に残っている遊勝塾メンバーの中から遊輔が一歩前に出てそう告げる。

 

「……当然アクションデュエル、ついでに勝って蓮の出番を失わす」

 

「おいこら蘭!!」

 

「ふむ……そこまで言い切るとはね……とんだ実力者とお見受けした。朱志那蘭……か、聞き覚えはないが……もしやどこか俺の知らない場所……外国でのプロデュエリスト……とかかな?」

 

 蘭と蓮の掛け合いを見て遊輔は蘭の言葉に相当な自信が漲っていることから、自分の考えを投げかける。

 

「……!! ……そうね、なら改めて名乗らせて貰うわ、私の名前は朱志那蘭、海外リーグのタイトルが一つ、『デーモン』の最年少カテゴリータイトルホルダー!! そして私のことをこう呼ぶ……『紅蓮の魔龍』と!!」

 

 その瞬間フィールドがアクションフィールドへと変貌する。そこはマグマと火山が特徴的な、薄暗いフィールドに……

 

「おや、やはりか……そして。こちらはしがないデュエル塾臨時講師の身。胸を借りるつもりで挑ませてもらうかな……!」

 

フィールドが変わると、遊輔の眼差しも鋭くなる。

 

「冗談、臨時とはいえ講師デュエリストがしがないわけがない……。全力で来ないなら……()()()()()()()

 

 二人のその様子に一瞬にして控え室ですらピリピリ感じるほどの雰囲気がフィールドを襲う。その状況はまるで相対する二人の背後に龍と虎のオーラが見えるようであった……

 

「ご安心を……その燃え盛る炎が貴女に災いを呼び込まないことをお祈りしますよ…………」

 

「「デュエル!!」」

 

蘭LP4000 vs 遊輔LP4000

 

「私も一端のプロ、先行は貴方に譲るわ、挑戦者(チャレンジャー)?」

 

「では、お言葉に甘えて……俺のターン! とりあえず、これから行くか。手札を1枚捨てて……“炎帝家臣ベルリネス”を特殊召喚! 更に今墓地に送った“代償の宝札”の効果によりデッキから2枚ドロー!」

 

炎帝家臣ベルリネスDEF1000

 

手札

5→4→3→5

 

「……【帝】ね、それで、どんな帝王を呼び出すのかしら?」

 

「まぁ、そう言いながらも大体の目星は付けているのでしょう?」

 

「……さぁ、なんのことかしらね?」

 

 そう惚けるように言った蘭はアクション魔法を探しに走り出す。

 

「手始めはコイツから。炎帝家臣ベルリネスをリリースし……“炎帝テスタロス”をアドバンス召喚! テスタロス召喚時効果に何かチェーンは挟みます?」

 

「……チェーンは組まない……けど、アクション魔法は手に入れさせて貰ったわ。さぁ手札をシャッフル……さて、貴方はどの手札を選ぶの?」

 

「おや、そちらが何もないならこちらの処理が残っている。ベルリネスの効果をテスタロスにチェーンし……さらに速攻魔法“サモンチェーン”をチェーンして発動だ。これで処理するが……構わないかね?」

 

「……構わない、チェーン処理どうぞ」

 

「では、サモンチェーンの処理によりこのターン、自分の通常召喚権は3つとなり……ベルリネスの効果処理。相手の手札を確認し、1枚をエンドフェイズまで除外。どのような手札をお持ちかな……?」

 

「……この中からどれを選ぶ?」

 

公開された手札

奇跡(アクション魔法)

バイス・ドラゴン

コール・リゾネーター

デモンズ・チェーン

代償の宝札

超電磁タートル

 

「では、代償の宝札を一時的に除外してもらいましょう。そしてテスタロスの効果で手札を1枚墓地に……」

 

 遊輔は、蘭が手札をシャッフルしたのをしっかり確認してから対象を告げた。

 

「貴女から見て左から2番目を墓地に送ってもらいましょうか。モンスターカードなら、そのレベル×200のダメージを与えますが……」

 

「カードはアクション魔法“奇跡”……よって効果は不発……」

 

「では2回目の通常召喚権を使用して……テスタロスをリリース。現れよ、レベル8……“爆炎帝テスタロス”! 爆炎帝の召喚時効果。貴女の手札のバイス・ドラゴンを墓地に送り、そのモンスターカードのレベル×200……1000ダメージを与え、炎属性をリリースして召喚したため追加で1000ダメージを与えます!」

 

 遊輔はそう言いながら駆けていき何やらアクションカードを手にした。

 

蘭LP4000→2000

 

「……この程度かしら?」

 

 平然としながらも蘭はさらに近くのアクション魔法を手にかける。

 

「アクション魔法“フレイムウォール”!! このターン、このカードが発動するまでに受けた効果ダメージの数値以下の効果ダメージを受けない……」

 

「(このアクションマジックでは意味がない、か……)まぁ、最初ですからね。軽いジャブですよ……さて、手札も少々心許ない事だ。そろそろ補充させてもらうかな……まぁ、その前に……3回目の通常召喚権を行使。爆炎帝テスタロスをリリース……現れよ、“冥帝エレボス”!」

 

冥帝エレボスATK2800

 

「エレボスの召喚時効果。デッキより帝王カード…………“真源の帝王”2枚を墓地に送り、貴女の真ん中の手札をデッキへバウンス! 更に魔法カード“命削りの宝札”を発動し、手札が5枚になるようにドロー。カードを2枚セットし、ターン終了。代償の宝札は貴女の手札に戻り……貴女のターンですよ」

 

遊輔LP4000

手札3(内1枚アクションマジック)

冥帝エレボスATK2800

伏せカード

伏せカード

 

「私のターン、ドロー!! ……私は今引いた魔法カード“壷の中の魔術書”を発動、互いにカードを三枚ドローする」

 

「ふむ、ではそのドローはありがたく頂戴しましょうかね」

 

 

蘭手札

3→6

 

遊輔手札

3→6

 

 

「……魔法カード“ツイン・ツイスター”を発動、手札の“代償の宝札”を墓地へ送って、その伏せカードを二枚破壊……」

 

「……仕方あるまい。速攻魔法“帝王の烈旋”を発動する。もう片方は“黄金の邪神像”だ。黄金の邪神像の効果で俺のフィールドに“邪神トークン”を特殊召喚」

 

邪神トークンDEF1000

 

「“代償の宝札”の効果で二枚ドロー……さらに今引いた永続魔法“共鳴破”を発動、これにより私がリゾネーターモンスターを使ったシンクロ召喚を行ったとき、相手のフィールドのカードを一枚破壊する」

 

「ふむ、シンクロ軸のデッキか……」

 

「私は手札から魔法カード“死者転生”を発動、手札の“ダーク・リゾネーター”を墓地へ送って、墓地の“バイス・ドラゴン”を手札に加え、バイス・ドラゴン自身の効果で特殊召喚!!」

 

バイス・ドラゴンATK1000

 

「そして魔法カード“コール・リゾネーター”を発動、デッキから“レッド・リゾネーター”を手札に加える。さらに手札から“暗黒界の取引”を発動、互いに一枚ドローして、互いに手札を一枚捨てる。私は“超電磁タートル”を手札から墓地へ送る」

 

「では、俺は今引いた“光帝クライス”を墓地に送らせてもらおうか」

 

「私は“ゴブリンドバーグ”を通常召喚、その効果で、手札の“レッド・リゾネーター”を特殊召喚!! そしてアクション魔法“紅蓮の誘い”!! 墓地のモンスターを選択し、アドバンス及びエクシーズ素材にできない条件に特殊召喚する!! 墓地の“ダーク・リゾネーター”を特殊召喚!!」

 

「ほう、中々の展開だな……」

 

「私はレベル5バイス・ドラゴンにレベル3ダーク・リゾネーターをチューニング!! 悪魔の炎、闇を纏いて龍となれ!! シンクロ召喚!!

 

現れろ“レッド・デーモンズ・ドラゴン”!!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴンATK3000

 

「共鳴波の効果により、冥帝エレボスを破壊!!」

 

「ふむ、ところで……なぜ俺がさっき【烈旋をわざわざ発動させた】と思われるかな?」

 

「何を…………そう、既に手の中にあったわけね……」

 

「そう、私は烈旋の効果とコイツの効果で墓地から真源の帝王を除外し……俺の場の冥帝エレボスと貴女の場にいるレッド・デーモンズ・ドラゴンをリリース。闇ある場所に光が射し込む。こい、レベル8、“天帝アイテール”」

 

天帝アイテールATK2800


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