「……では、第2試合目ですね。遊勝塾は私、火無菊が行かせていただきます。対戦相手となられる方はアクションデュエルとスタンディングデュエル、お好きな方をお選びください」
先程まで対戦していた二人がデュエル場より出てくると目を軽く閉じていた火無菊がスッと一歩前に出て軽く会釈をした。
「ふむ、では二番手はこの私、黒霧劔菜がお相手奉ろうか? 最も、私は運動は苦手なため、スタンディングデュエルを選ばせてもらおうか」
そう言って劔菜先輩は微笑みながら前に出る。
「スタンディングデュエルですね、畏まりました。遊矢、背景だけ変更してくれます?」
火無菊の問いにデュエル部のメンバーで返答したのは部長を務める黒霧劔菜。そして劔菜の希望を受けて火無菊はゆったりとしたお辞儀をしては管制室にいる級友の遊矢へと伝え、遊矢もそれに頷く。
「……ところで、君は本当に男子かい? 見た目がどうも女子のそれに見えて仕方ないのだが……というより男の娘なのか?」
「私は一応正真正銘の日本男子ですよ。まぁ、私自身が身に付ける着物も女性ものでも背丈は合いますし遊矢や星史みたいな口調は苦手ですから、余計にそう感じられるのでしょうね……しかし、それはそれです。星史の弔い合戦と参らせていただきます!」
デュエル場に移動したあと、劔菜のストレートな問いかけに苦笑いをしつつも真剣な表情になって言い放つ。当の本人である星史は「俺は死んでねぇって! ……まぁ、アイツは優しすぎるからな」と突っ込みを入れるもすぐに笑って火無菊を評価する。
『それじゃあ、次のデュエルでは背景だけ変えます!』
そして遊矢の声に伴いデュエル場に映し出されたのは街中のデュエル場……否、近くに見えるのは対の『青眼の白龍』の銅像、そして1棟の高層ビル……そしてそのビルの入り口上部に書かれた社名は《海馬コーポレーション》。つまり、海馬コーポレーション前のデュエル場である。
「……なるほど、まさかかの有名なK.C.社前にするとは……いっそのこと海馬タワーの屋上でも良かったのだが……まぁ背に腹は変えられんか」
そう言って劔菜はデュエルディスクを展開する。そしてそれに呼応するように火無菊もデュエルディスクを展開する。
「「デュエル!!」」
劔菜 LIFE4000
火無菊 LIFE4000
「では、私の手番からです。私は“伝説の黒石”を通常召喚致します。そして伝説の黒石をリリース……デッキより現れてください。レベル7、“真紅眼の黒竜”!」
真紅眼の黒竜ATK2400
「そして魔法カード“レッドアイズ・インサイト”をデッキより“真紅眼の黒炎竜”を墓地に送り発動します。デッキより……“真紅眼の鎧旋”を手札に加えます。更に“紅玉の宝札”を手札の真紅眼の黒炎竜、デッキより2体目の真紅眼の黒竜をコストに発動しまして2枚ドローします。そしてカードを2枚伏せてこれにて私の手番を終了致します」
火無菊LP4000
手札2
真紅眼の黒竜ATK2400
伏せカード
伏せカード
「私のターン、ドロー!! ……ふむ、【レッドアイズ】……確かそれなりに貴重価値が高いうえに、バーン戦術も取れるデッキだったな……ならば私は手札から永続魔法“水銀海に浮かぶ工場島”と“闇の聖剣”を発動!!」
「……? どちらも初めて見るカードですね……」
「最もこの二つのカードは今は効果が適用されないから放っておいてくれて構わないさ。さらに私は“氷盾の守護者オーシン”を攻撃表示で召喚!!」
氷盾の守護者オーシンATK100
「オーシンは召喚、特殊召喚に成功したとき、守備表示になる。そして私はカードを二枚伏せて、ターンエンドさ」
剱菜 LP4000
手札1
氷盾の守護者オーシンDEF1800
闇の聖剣
水銀海に浮かぶ工場島
伏せカード
伏せカード
「出てきたモンスターも初めてみますね……まぁ、そこまで気にするものでもないですかね……私の手番ですね。ドロー!」
手札2→3
「……あまり使いたくはありませんが、仕方ありませんね。魔法カード“真紅眼融合”を発動!」
「げ、融合!?」
「【レッドアイズ】だからあるとは思ってたがなんつーレアな物を……」
蓮と亮は発動されたカードを見て思わず苦笑いをする。それもそのはず。舞網市では融合やシンクロ、そして最近出てきたエクシーズ……これらの関係するカード軍はどれも数はそれほどなく、どれも高価なものである。
「火無菊ん家は金持ちだからな、必要なカードはあっという間に集まっちまう。遊勝塾の中でもアイツだけだよ、融合召喚を使うのは……」
「へ~」
驚くチーム決闘部の様子を見て星史はフッと笑ってそう説明をする。
「私はデッキの真紅眼の黒竜と“真紅眼の凶星竜-メテオ・ドラゴン”を墓地に送り、融合!
紅き目を持つ黒竜よ、紅き目の凶暴なる竜と混じりて、今ここに降臨せよ!
融合召喚! レベル8! “流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン”!」
流星竜メテオ・ブラック・ドラゴンATK3500
「流星竜……なるほど、いきなり最高火力か……といっても伏せカードはまだ使わないがな」
「融合召喚に成功した流星竜のモンスター効果です。デッキより“真紅眼の凶雷皇-エビル・デーモン”を墓地に送り、その半分、1250のダメージを与えます!」
剱菜LP4000→2750
「……く、その効果の終了時罠カード“プレゼントカード”を発動!! 相手は手札を全て捨てて、手札が5枚になるようにドローする!!」
「わざわざ、相手の手札を5枚に……?」
捨てたカード
・黒炎弾
・真紅眼の飛竜
「この瞬間、“水銀海の工場島”の効果が発動する!! 相手ターンに相手の手札がドローフェイズ以外で増えたとき、増えた枚数分、相手は手札からカードを墓地へおくる……墓地アドは怖いが、レッドアイズで手札0ならダムドもレダメも無いだろう?」
「なるほど、そういう事でしたか。これでほとんどのドローソースの意味は無くなってしまった、と……まぁ、今引いたのはすべてモンスターですから、こちらとしては圧縮できた、と捉えさせてもらいます……バトルフェイズです! 真紅眼の黒竜で氷盾の守護者オーシンに攻撃! 黒炎弾!」
捨てたカード
・真紅眼の飛竜
・真紅眼の飛竜
・レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン
・真紅眼の凶雷皇-エビル・デーモン
・黒鋼竜
「攻撃に対してカウンター罠“攻撃の無力化”を発動する!!」
「ふむ……メイン2に移行しますがこのターンは手札もないですし、真紅眼融合のデメリットの効果で何も動けないですね……このままターンを終えます」
火無菊LP4000
手札0
真紅眼の黒竜ATK2400
流星竜メテオ・ブラック・ドラゴンATK3500
伏せカード
伏せカード
「私のターン!! ……私はモンスターをセット、さらに“一時休戦”を発動する。まぁ、最も、オーシンには水銀海と同じく、相手の手札が増えたときその枚数分捨てさせる効果がある。しかも相手ターンのみ指定が無いから、そちらは引けないがな」
「ふむ、実質そちら有利になるだけのカードと変貌しますか……心底胸糞悪くなりますね……潰したくなりますよ」
「私はカードを一枚伏せてターンエンド」
剱菜LP2750
手札0
氷盾の守護者オーシンDEF1800
セットモンスター
闇の聖剣
水銀海に浮かぶ工場島
伏せカード