デュエルが開始され、ランダムによる先攻後攻決めが行われた。その結果……
「先攻は俺だ! 俺のターン!」
星史が先攻となった。星史は己のターンであることを宣言すると即座に走り出し、その最中に手札を見て少し思案をする。
「……ま、手堅くいくか! モンスターをセット、カードを4枚セットしてターンエンド!」
少し眉をひそめていたがすぐに笑顔になれば手札全てを伏せ、そのままターンを相手へと明け渡し、入口を通過していった。
「何が手堅く、よ……羽箒されたらダメじゃない…………」
観覧ブースで見ていた他のメンバーであったが、星史の行動に杏子は思わず溜め息をついた。
「俺のターン!! ……よし、カードを1枚伏せて、魔法カード“手札抹殺”を発動するぜ! これによりお互いに手札を全て捨てて、その分ドローする!!」
「その手札抹殺にチェーンしてリバースカードオープン! “便乗”!!」
「墓地に捨てられたカード、“シャドール・リザード”、“暗黒界の術師 スノウ”、“暗黒界の龍神 グラファ”の順番で効果発動!! グラファで伏せカード1枚を破壊!! スノウの効果で“暗黒界の門”を手札に加え、リザードの効果で“シャドール・ビースト”を墓地へ送る。更に墓地へ送られたビーストの効果で1枚ドロー!!」
破壊された伏せカード
奈落の落とし穴
「へぇ、便乗破壊しないんだな。他の奴は便乗を狙ってくるってのが殆どなのに」
「うっせえ!! こっちにも戦術があんだよ!! てか、ビーストの効果でドローしたんだから、そっちもさっさと2枚引きやがれ!!」
「んじゃ、お言葉に甘えて相手がカードをドローしたから2枚ドロー」
星史 手札0→2
「伏せてた魔法カード“無の煉獄”を発動!! 手札が三枚以上の時、デッキからカードを一枚ドローし、エンドフェイズに手札を全て捨てる!!」
星史 手札2→4
「そんでもってフィールド魔法“暗黒界の門”を発動!!」
「……へえ、フィールド魔法か。珍しいな」
「珍しいって、別段フィールド魔法なんて誰でもよく使うだろ?」
遊輔の呟きに蓮が問い返すと、遊輔はキョトンとして肩を竦め説明しようとする……と
「ん、忘れたのかい? アクションフィールドでは……」
『ギャァァァァァァァ!?』
「!?」
ちょうど良いタイミングかどうかは分からないが亮のライフが1000減った。これは好機と言わんばかりに遊輔は続けて説明をする。
「……ご覧の様にライフに1000のダメージを受ける。それに、アクションデュエル中にフィールド魔法を貼った状態でアクションマジックを使おうもんなら使うと同時に1000の追加ダメージ。しかも“加速”とかでのダメージ遮断も許されない。まぁ、要するにアクションデュエルでフィールド魔法を使う人物は滅多に居ない、と言うわけさ」
「……マジか」
「イタタ……」
亮 LIFE 4000→3000
亮が自ら受けたダメージに頭を少し抱えながらも復活する……が、星史の笑いのツボにハマったようで、星史はゲラゲラと大爆笑していた。
「ダッハッハ! お前……いくらリアル……ソリッドビジョンだ……からって漫……画みてーなことする……んじゃねーよ! あー、腹いってぇ……」
「(このクソガキ、絶対にいっぺん絞める!!)俺はフィールド魔法“暗黒界の門”効果発動!!墓地のスノウを除外して、手札の“暗黒界の尖兵 ページ”を墓地へ捨てて一枚ドロー!!」
星史 手札4→6
「さらにページは墓地へ捨てられた時、墓地から自身の効果で特殊召喚する!! こい、ページ!!」
暗黒界の尖兵 ページ ATK1600→1900
「このままページを戻しても良いんだが、その前に魔法カード“ツインツイスター”で、手札の“暗黒界の狩人 ブラウ”を捨てて、伏せカード二枚を破壊!!」
「……そんなの通すわけねーだろっ! カウンター罠“大革命返し”でツインツイスターを無効にして除外する!」
「けどブラウを捨てたから一枚ドロー!!」
星史 手札6→8
「(ここでこれか……なら)俺はページを手札に戻して、墓地のグラファを特殊召喚する!!」
暗黒界の龍神 グラファ ATK2700→3000
「バトルフェイズに入るけど、そっちは何かあるか?」
「いや、今んとこはないな……強いて言うなら……」
星史はそう呟くと辺りを見渡す……そして1枚のカードを拾い、拾ったカードの内容を見ると少し笑みを浮かべて、拾ったカードをそのまま差し込んだ
「コイツをくれてやる! アクションマジック“伏魔殿の魅災硫”を発動! 相手プレイヤーに1000のダメージを与える!」
伏魔殿の魅災硫
(漫画版オリジナル)
相手プレイヤーに1000のダメージを与える
「ぬぉぉ!?」
亮 LIFE 3000→2000
「くそったれ!! グラファで伏せモンスターを攻撃!!ダークネスブレス!!」
「甘い甘い! リバースカードオープン! “攻撃の無敵化”! これでバトルフェイズ中の破壊を無効に! そして……」
セット→ブレイン・ジャッカー
「“ブレイン・ジャッカー”のリバース効果、発動! コイツをグラファに装備してコントロールを得る!」
「……メインフェイズ2に入り、俺は手札から“暗黒界の取り引き”を発動!!互いにカードを一枚引いて、一枚捨てる。俺はこの効果で二枚目のグラファを墓地へ捨て、その効果でブレイン・ジャッカーを破壊する!! 既に伏せカードを全て使いきったお前に発動できるカードはねぇぞ!!」
星史 手札8→10
捨てられたカード
幻影の壁
「そして俺はカードをさらに二枚伏せて、今引いた“墓穴の道づれ”を発動!! 互いに互いの手札を全て確認し、相手のカードを選んで墓地へ捨てる!! その後一枚ドローだ!!」
「ッチ、ピーピングか……まぁ、良いぜ。俺の手札はこれだ」
星史の手札
デーモン・ソルジャー
神の恵み
砂塵の大竜巻
死霊ゾーマ
ダーク・ネフティス
デーモン・ソルジャー
エンド・オブ・ザ・ワールド
ポルターガイスト
高等儀式術
ニュードリア
「……なぁ、俺の見間違いだよな? なんかだいぶ片寄った手札してないか?」
蓮がやや茫然自失になりかけつつもそう呟くと、蘭が優しく右肩に手を乗せる。
「……大丈夫、これは現実だよ?」
「……ウン、シッテル……」
「うん、やっぱりアイツは何であのデッキをしっかり回せるのかやっぱわっかんねぇ」
「まぁ、あれでも勝率6割ですし……私も何度か負けてますからね……」
驚くデュエル部の面々をよそに苦笑いをする遊輔に、火無菊はウンウンと頷いて返す。
「……うん、まぁ……砂塵で」
対戦相手のデッキに唖然としつつも、落とすカードを決めた亮。因みに亮の手札にはページしか居なかったため、簡単に割愛させてもらう。
星史 手札 10→12
「(よし、ここでこれなら)墓地へ捨てられたページを復活させ、手札に戻して二枚目のグラファを墓地から特殊召喚!! そして俺はモンスターをセット、ターンエンド。この瞬間、無の煉獄の効果で手札を捨てる。捨てたページを復活!!」
亮 LIFE2000 手札0
フィールド
『暗黒界の龍神 グラファ』×2 A 3000
『暗黒界の尖兵 ページ』 A 1900
伏せモンスター
伏せカード二枚
「よし、俺のターン! ドローカード!」
手札 13
ドローしたとき、少し亮が笑ったように見えた星史だったが、気のせいだと割り切ることに。
「うーん……まぁ、手始めに“ポルターガイスト”を発動。メインデッキ側の伏せカードを手札に戻す! このカードの発動と効果は無効化されないぜ?」
蓮はその台詞を聞くやいなや足下のアクション魔法を手にした。
「なら俺は選ばれたカードを、“レインボー・ライフ”発動!! アクション魔法をコストに、このターンのダメージを一切無効にし、その数値分ライフを回復する!!」
「ま、そう簡単にはいかねぇよな。けど、こいつぁどうだ? 俺は儀式魔法“エンド・オブ・ザ・ワールド”を発動! 手札のデーモン・ソルジャー2体を儀式素材とする!
現れろ! “終焉の王デミス”」
星史は壁に挟まっていたアクションカードを手札に加えると、そのままの流れで儀式召喚を行った。デーモン・ソルジャーが8つの炎となり、魔法陣の周りを灯す……すると、その中央の部分より、斧と槍が合わさった武器を両手に持った悪魔が姿を現した。
終焉の王デミスATK2400
「は、ドーザーが居ないデミスなんてチャーシューのないラーメンも同じだ!! 行くぞ、グラファ!!」
俺がそう言うと、グラファは分かったように俺を掴み挙げて……
「リアル人間大砲!! 発射ぁ!!」