八咫烏は勘違う (新装版)   作:マスクドライダー

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今回よりあの人が登場します。
若干ポンコツっぽい描写が目立っているかも知れません。
けれど、私に決して他意はない事をご理解ください。


第66話  生徒会長推参!

「お、おはよう黒乃!今日から2学期だけど、良い朝―――」

「っ……!?」

「あ……。く、黒乃ぉ……!」

 

 例の件から数日が経過し、IS学園は2学期へと入った。……のは良いんだが、あれから黒乃とギクシャクしてしまっている。今も廊下で見かけて話しかけたのだが、俺の声を聴くなり身体をビクリとさせるような反応を見せると、何処かへと走り去って行った。

 

 ……次の日に目が覚めると、IS学園に向かったらしく居なくなっていて驚いたもんだ。怒っているというよりは、怖がられているとかそんな感じか?ある意味で怒っているより性質が悪い……。なす術もなく逃げられるという状況に、俺は白昼堂々と両手両足を地につけた。

 

「あら、一夏さん。おはようござい―――って、どうかなされましたの!?」

「嫁よ、身体の調子でも悪いのではあるまいな。」

「ああ、2人共……おはよう。いや、う~ん……少し、な。」

 

 盛大に項垂れていたせいか、普通に心配されてしまう。俺に声をかけたのはセシリアとラウラの2人組。個人的には珍しい組み合わせな気もする。とにかく、体調不良は否定しておいた。そして少しだけ顔を上げると、チラリと走る黒乃の様子が映る。ラウラはそれを見逃さなかったようだ。

 

「あれは、姉様か……?嫁よ、まさかとは思うが―――」

「……そのまさかだ。」

「まぁ、それは……。喧嘩……は、黒乃さんの場合したくてもできませんわよね。……一夏さん、彼女に何をしたんです。」

「俺が何かしたのは前提なのな……。間違っちゃいないけども。」

 

 俺と黒乃が仲違い状態と聞くと、2人は訝しむ様子を見せた。まぁ……黒乃だしな。セシリアの言う通り、こういう状況が出来上がるのがまず珍しい。……俺はそれだけの事をしてるって証拠になるんだがな。セシリアの目にこもる若干の非難が突き刺さる……。

 

「まぁとにかく立て、話はそれからだ。」

「おう、サンキュー……。」

「で、姉様に何をした?」

「それは、だな……。う~ん……。」

 

 小さなラウラの手を取って立ち上がる手助けをしてもらうと、間髪を容れずに結局何をしたのか問い詰めて来た。飴と鞭って奴なのだろうか。しかし、どうにも歯切れが悪くなってしまう。逃げられたからキスが悪かったというのは解っているんだ。けれど、明らかに黒乃も求めてきていたわけで……。

 

 それが俺を混乱させる。もしかして何かの勘違いかとか考えてみたけど、いつもの黒乃だったらとりあえず話くらいは聞いてくれるはず。謝罪すらさせてくれないなんて、それこそ初めての事だ。取り付く島もない。今の状況を例えるならこんなもん。しかし、こんなのを人様、しかも女子に聞かせるのもなかなか……。

 

「一夏さん、ハッキリ言ってくださいな。」

「その、決して言えないような下種な事をしたわけじゃないんだ。そこは信じてくれ。けど、身内とか以外には相談できないっていうかさ……。」

「む、私はお前の婿―――」

「はいはい、ややこしくなるからお止めなさい。そういう事ならば、わたくし達が干渉するのは避けますわ。けれど、一夏さんがその気なったのならばいつでもご相談してくださいませ。」

「解ったよ、その時は頼りにしてる。」

 

 どう説明して良いか迷っていると、痺れを切らしたセシリアからお達しが。とりあえず俺の考えが纏まらない内は、千冬姉あたりにしか話せない事案だと判断しそう告げた。瞬時に間違った日本文化によるラウラのリアクションが帰って来たが、セシリアが口をふさぐ事によってそれは回避に成功。

 

 とりあえずこの場は、俺と黒乃の仲違いが認知されるだけに留まった。……が、本当にいつまでもこうしていられない。ちゃんと謝って、ちゃんと好きだって伝えないと。2人の気遣いに心持を取り戻した俺は、釈然とした様子で教室を目指した。

 

 

 

 

 

 

(はぁ……また逃げちゃった……。)

 

 さっき廊下で話しかけられた途端に、身体が勝手に走り出してしまったといった感じだろうか。本当は、どうしていきなりあんな事をしたのか……その説明をしてもらわないとなんだけど。どうにも気まずくてイッチーとの距離を置いてしまう。怒ってるとか怖いとかじゃなくて、本当にただただ気まずい。

 

 俺だっていろいろ考えたさ。有力候補に挙がったのが、イッチーは俺の事が……その……好きだから、だけど。い、いやいやいや……ないないないない。だ、だって、無表情&寡黙のダブルパンチだよ?何考えてるか解らんとかダイレクトに言われた事あるし、俺だったら友達にはなれても恋愛対象には見れんよ。

 

 ましてや、イッチーはずっと俺の兄ないし弟なんだ。普段は完全に弟だけど、いざって時には兄貴してるなーって感じだし。イッチーからしたって、普段の俺は姉、そうじゃない時は妹って認識のはずだもん。確かにこの夏はやけに一緒だった気はするけど、学園に居た反動的なもんだと思う。

 

(う~ん、サッパリ解らぬ。困ったなぁ……2学期からはあの人も仕掛けてくるんだろうし……。)

 

 原作における5巻より登場する生徒会長殿は、とある組織の頭なわけで。単にからかいたいだけなのか真意は不明だが、各専用機持ちはそれなりの被害を被っている。俺も代表候補生で専用機持ちとなると、彼女と接触しないはずがない。ましてや二次移行してんだからなおの事だ。

 

(あれ、そう言えば妹ちゃんて……?……ヤバッ、これは恨まれてるパターンかも……。)

 

 件の生徒会長殿なんだが、妹ちゃんがいたりする。原作では日本の代表候補生だ。そう、原作では……。俺も日本代表候補生。いったいどれだけの枠があるのか知らないが、もし1枠しかないなら妹ちゃんを蹴落とした形になる。生徒会長殿はシスコンの類な故、貴重な1枠を奪っていたとしたら……?

 

(いぃ……ど、どうしよ……どうしよ……!?オ、オーケー……落ち着け、落ち着くんだ俺氏。)

 

 なるべくイッチーの事を最優先にしたいけど、やっぱり彼女の対応に関しても気にかけておくべきだ。そう、イメージしろ!俺は既に監視下にある……。例えば、俺のさっき通り過ぎた曲がり角とかに潜んでる……とか。シミュレーションってのは大事だ。俺はそこに例の彼女が居るつもりでバッ振り返り―――

 

「……そこの人。」

 

 お、おし……ファッキンゴッドよ、お前らの事は大嫌いだがこういう時に喋らせてくれるのはマジ感謝。ま、あくまで今はイメージトレーニングですけど……。……うん?そこの人、出てきなさいって言って……その後はどうすれば良いのかな。…………ま、まぁ良いよ!何度も言うけど、今のはただのイメージ―――

 

「あらあら、ごめんなさいね。他意はないのよ?ただちょっとイタズラのつもり?みたいな?」

(ホ ン ト に 居 た よ。)

 

 な、なんだこの偶然は!?ええい、ファッキンゴッドめ……やっぱりお前ら大嫌いだ!曲がり角からおどけた様子で出て来たのは、IS学園生徒会長、即ち学園内最強を誇る……更識 楯無さん。外にはねた短めで水色の髪と、ルビーのように赤い瞳が特徴的である。気になってはいたけど、どう考えたって日本人だけの血じゃないよね……?

 

「……もしかして、怒ってる?」

(ああ、それは全然。まだ実害もないですし。)

「そう?ありがと、優しいのね。お姉さんの名前は―――」

「更識 楯無。」

「……あら、知ってくれてるの。そっちに関してもありがと、お姉さん嬉しいゾ☆」

 

 なんというか、こっちはいろいろと知っちゃってるから……たっちゃんが身を潜めてた理由もなんとなく解る。理由があれば良いって事でもないが、とりあえず怒る必要は何処にもない。……んだけど、先だしで名前を言ったら少し眉を潜めたのはどうしてですか?……言葉を遮ったのが悪かったかな。

 

「そ・れ・に・し・て・も~……聞いてたよりも美人さんね!お姉さん、前々から一目見なきゃって思ってたの。」

(いやいや、たっちゃん程じゃないっす。つーか、黒乃ちゃんの身体なんで。)

「プロポーションもすっごいわねぇ。こう……ボンッ・キュッ・ボンッて感じで!」

(おおふ、たっちゃん式スキンシップの被害者第1号はあたくしでっか。……ってあれ、おかしいな?)

 

 たっちゃんは目にも止まらぬ速度で俺の背後に回ると、ボンッ、キュッ、ボンッのリズムに合わせて胸、腰、尻を触る。しかし、何故だか喘ぎ声が出なかった。いや、白状するなら感じてはいますとも……。けど、何時もならそれが抑えられないんだけどな。毎回ノーリアクションなら俺も助かるんだけど。

 

「…………。」

「…………。」

「…………。」

「…………。」

「「…………。」」

 

 それ以降、背後に居るままたっちゃんは沈黙した。変だな、もっとガンガン弄ってくると思ったんだけど……。あ、そういう意味じゃないからな?胸とか物理的って意味じゃないからな?まぁからかいってのは相手がリアクションすることによって成り立つのであって、俺の扱いがまだ解らんのだろう。

 

「……ごめんなさい。」

「別に。」

 

 謝っちゃったよこの人……。裏の顔はあれど、快活な人ってイメージが強いから逆に申し訳ない。別に俺はガンガン来てくれて構わないんだけどな。今回はドMとかそういうのなしで。だって、単純に仲良くなりたいじゃん?たっちゃんとはいい友達になれそうな気がするんだけど。

 

「で、でもでも、貴女と仲良くなりたいのは本当なの!なんというか、私なりに考えたなりの結果って言うか……。」

(わ、嬉しいな。方法はどうあれ、俺も同じ気持ちだよ。)

「ええと……握手、かしら……?」

「今後ともよろしく。」

「え、え、えぇ!よろしく、黒乃ちゃん!」

 

 オレサマオマエマルカジリ。俺が握手を求めると、たっちゃんは妙に驚きながら手を握ってくれた。おいおい大丈夫かい?なんか、コミュ症っぽく見えちゃうよ。まさかとは思うけど、相手をからかう事でしかコミュニケーションを取る方法を知らんとかじゃないよね……?

 

「って、そろそろ授業が始まっちゃうわね。それじゃ、お互い遅刻しないようにしましょ?フフ、また会えるのを楽しみにしてるからっ。」

(うす、こちらこそ。バイバ~イ。)

 

 そう言いながらたっちゃんが扇子を開くと、再会の2文字が。おお、開くたびに文字が変わる謎扇子だ!何気に生で見ると感動しちゃうな。俺的にはパススロットとイメージインターフェースを応用して、イメージ力から扇子の文字を変更……って、推理は後で良い。

 

 たっちゃんも行っちゃったし、2学期初日から遅刻はマズイ。……ちー姉が担任の時点で、いつ遅刻したって地獄なんだけどね。なんか、思ってたのと全然違ったな……仲良くなりたいとか言ってくれたし。たっちゃんは警戒せずに、たっちゃんにからかわれて暴走した皆を宥めるのを念頭に置いとこう。

 

 良し、じゃあそろそろ急ごう。今なら走らなくったって間に合うだろ。最悪の場合は刹那で移動すればいい。ちー姉もバレないようにやればそれで良いって言ってた気がするし。そんなわけで、たっちゃんとの会合を果たして教室に向かう俺であった。

 

 

 

 

 

 

『本格的に動き始める……ですか?』

「ええ、私がと言うよりは……アチラさんが、ですけれど。」

『なるほど、それに合わせてという事ですね。判断は貴女に委ねますが、変に刺激はしないよう願います。特に藤堂さんは。』

「彼女に関しては、下見が必要だろうから最優先……って感じかしら。まぁ大丈夫ですよ、上手くやります。」

 

 2学期が始まる朝、私は十蔵さんと携帯越しにそんなやり取りを交わした。ホウ・レン・ソウは大事にってね……。彼なりに思惑があるかも知れないし、後からいろいろ言われても困るもの。向こうも私の好きにすればいいって体のようで安心、安心。

 

 それにしても、変に刺激はしないように……ね。ん~……あの子を除けば、皆とてつもなく弄りがいのありそうなイメージしかないのだけれど。特に織斑くんが関わるとそれはもう。逆に、あの子は織斑くん関連でも1歩退いてるから解りづらいというか……。

 

(噂をすればなんとやら、かしら?)

 

 道の外れに隠れていたおかげか、とりあえず見つかるのは避けられたみたい。というか、なんでか知らないけど走っているから注意が散漫になっているのかも。だとすると、付け入る隙はあるという事ね。それが解っただけでも収穫よ、藤堂 黒乃ちゃん?

 

(……とりあえず、後を追ってみましょう。)

 

 彼女の通称は八咫烏の黒乃。圧倒的な戦闘力を誇る彼女だけれど、いろいろと不明瞭な点が多すぎるのよねぇ。勿論だけど、彼女が精神病の一種を患っている事は理解しているつもり……。けど、私の役職上ハッキリと敵か味方か解ればそれ以上の事はないもの。

 

 まぁ噂ほどの危険人物でないという裏は取れているし、軽く尾行でもしておきましょう。敵であるにしろ味方であるにしろ、それを判断する材料は多い方が良いに決まってるわ。私は隠密の心得を最大限に駆使し、走って突き進んでいく彼女の背を追った。

 

(おっと、危ないわね。)

 

 私も急いで後を追っていたのだけれど、彼女は走るのを止めて歩き始めた。それに合わせて、私も一気に距離を詰めるのを止める。ここからが勝負ってところかしら。まぁ?何があっても見つかる事はないと思うけど。一応は尾行したけど、収穫が見込めないのも解っていた事ではあるし……。

 

 至って普通の足取りの彼女を、ヒョコヒョコと追いかける。けれど、もうすぐ教室に着いちゃうわね。当たり前だけど、めぼしい事は起きず終いか……。今後は何か彼女の事を知れれば良いけれど。……と、私が尾行を終了しようとした時の事だった。

 

「……そこの人。」

(は……ちょっと、嘘でしょ!?)

 

 彼女は急にこちらへ振り返り、明らかに私へ向かってそう告げた。油断はしていたかも知れない。けど、私は決して彼女を嘗めていたわけじゃない。普通の人間……いえ、その道の人だって私の尾行に感づける者はほぼ居ないって自負している。それをこんなアッサリ……。いったい、いつ気づいて……?くっ、とにかくここは姿を現すしかないようね。

 

「あらあら、ごめんなさいね。他意はないのよ?ただちょっとイタズラのつもり?みたいな?」

「…………。」

 

 私は精一杯におどけながら、黒乃ちゃんの前へと登場して見せる。一方で、黒乃ちゃんは私を無表情で見据えるばかり。そ、それはそうよね……だって尾行してたんだもん。警戒はされていると見て間違いはないとして、どうにかこうにかこの状況を切り抜けないと。

 

「……もしかして、怒ってる?」

「…………。」

「そう?ありがと、優しいのね。お姉さんの名前は―――」

「更識 楯無。」

「……あら、知ってくれてるの。そっちに関してもありがと、お姉さん嬉しいゾ☆」

 

 無言で無表情だから怒っているように見えたせいで、ポロリとそう零してしまった。きっと、黒乃ちゃんからすればよく聞かれる質問でしょうね……。実際に、黒乃ちゃんは怒っていないと首を横に振ってくれたし。怒ってはいなくても、疑問は尽きないってところかしら。

 

 ……それに関しては全然良いのよ。けれど、こちらの説明はつかない。どうして黒乃ちゃんは私の事を知っているの?同学年ならまだしも、私はまだ1年生の前に姿を現した事はないはず。それなのに、黒乃ちゃんはさも当然のように私の名を先に答えて見せた。まるで、自己紹介なんて最初から必要ないですよ……とでも言うかのように。

 

(誰かの入れ知恵……?)

 

 私は真っ先にその可能性を視野に入れた。十蔵さんは信頼に足る人物だとか言っていたけど、近江先生ならやりかねない気もする。……いえ、考え過ぎね。黒乃ちゃんが私の正体を知ったところで、あまり関係のない話ではあるし。違和感は拭えないけど、今は気にしないでおく事にしましょう……。

 

「そ・れ・に・し・て・も~……聞いてたよりも美人さんね!お姉さん、前々から一目見なきゃって思ってたの。」

「…………。」

「プロポーションもすっごいわねぇ。こう……ボンッ・キュッ・ボンッて感じで!」

「…………。」

 

 しっかりと本音を交えつつも、何とか場を誤魔化そうと黒乃ちゃんにセクハラを仕掛けてみる。上から順番に女性らしさの象徴を触ってみたのだけれど……完全に選択ミスだったわ。黒乃ちゃんは微動だにしない。ど、どうしましょう……?今度こそ怒らせちゃった?なんだか私はだんだんとテンパってきてしまう。

 

「…………。」

「…………。」

「…………。」

「…………。」

「「…………。」」

 

 いつもの私ならこんな窮地を脱する手くらい思いつくのに、テンパっている証拠なのかふざけた態度すら取れない。黒乃ちゃんは当然ながら無言でしょう?そうなると……痛いわ、凄く沈黙が痛々しいの……。な、何か言わなきゃ……何か言わないと……!

 

「……ごめんなさい。」

「別に。」

 

 沈黙に耐え切れずについ謝ってしまった。というか別に!?別にって!こ、これはマズイような気がしてきたのはお姉さんだけ……じゃないわよね。ああ、困ったわ……今までおちゃらけていればどうにかなった分、こんな状況になるととっさに策が思いつかないなんて……。お、落ち着きなさい17代目更識 楯無……!私はやれば出来る子なんだから!

 

「で、でもでも、貴女と仲良くなりたいのは本当なの!なんというか、私なりに考えたなりの結果って言うか……。」

「…………。」

「ええと……握手、かしら……?」

 

 ……結局のところ思いついたのが全力弁明って、本当にどうなのかしらね私。だけれど黒乃ちゃんは無言で数泊開けると、スッと私に右手を差し出してくる。や、やったわ!握手!シェイクハンズ!やっぱり噂や世論だけの子じゃないのよ。私が内心でホッとしながら黒乃ちゃんの右手を握ると―――

 

「今後ともよろしく。」

「え、え、えぇ!よろしく、黒乃ちゃん!」

 

 ……終わったかもしれないわ。今のってあれよね、完全にターゲットロックオン的な意味での今後ともよね?……終わったかも知れないわ。だって、今後って言ってるもん!よくよく考えれば、強者を求めているもう1人の方の人格が……一応は学園最強を名乗らせてもらってる私を知らないはずないじゃない!

 

 あれ?もしかして、私が対応していたのも八咫烏の黒乃だったりするのかしら!?……ダメね、近いうちに彼女との戦闘は避けられないでしょう。くっ、最初に気づかれた時に勘付くべきだったわ……!彼女はどう見たって国家代表レベルのIS操縦者。私でも勝てる保証なんてどこにもない。

 

「って、そろそろ授業が始まっちゃうわね。それじゃ、お互い遅刻しないようにしましょ?フフ、また会えるのを楽しみにしてるからっ。」

「…………。」

 

 とりあえずはミステリアスなお姉さんみたいな印象は残しつつ、足早に黒乃ちゃんの前を去った。……私が凄く疲れてるのとかもお見通しなのかしらね、あの子。あ~……完全に失策だったかしらねぇ。誰か経由で仲良くなればそちらの方が断然良かったでしょうし。

 

 ……まぁ良いわ、遅かれ早かれ黒乃ちゃんとは戦う事になるんだもの。それこそ私は学園最強なんだから、2代目ブリュンヒルデ最有力候補の黒乃ちゃんにも負けていられない。いつでも黒乃ちゃんと戦っても良いように、コンディションは万全にしておかないとねー……。

 

 

 

 

 




黒乃→偶然にも隠れてるたっちゃんを発見とかすげぇな。
楯無→見破られた……!?完璧な尾行だったはずなのに……。

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