八咫烏は勘違う (新装版)   作:マスクドライダー

64 / 154
今更ですが、タイトルが「一夏の~」となっているものは半ば一夏が主役です。
まぁ大半が一夏の心内を明かす回になってしまいますけれど。


第60話 一夏の愛情

 夏休みに入ってしばらくは、二次移行の影響で学園に行ったりする時間も多かった。……が、今は黒乃と2人暮らし状態になっている。そして思った……これは半同棲なんじゃないかと。そう思うと、俺にとっては当たり前だった事なんて次々と特別な事に変わっていく。

 

「「…………。」」

 

 例えば今。朝食を終えた所で、黒乃と並んで台所で食器を洗っている。こんなのは良くある話……だったのに、なんというか……夫婦とかほら、調子の良い事なんか言っちゃったりして。……なんだこのキャラは、緊張しておかしくなってしまっているのだろうか。おかしいのは元からだって?やかましいわ。

 

 あぁ……そうか、好きだったのにこんなの当たり前だって思ってたのがまず間違いなんだよな。そうかそうか……。だからと言って、ここからどうすれば良いってんだろう。黒乃に俺達夫婦みたいだなって言ってみるとか……?いや、無い。いきなりそれは困らすだけだ。

 

(いや、でも……地を固めるのも大事なわけだし……。それとなく黒乃に意識してもらう為には―――)

「…………。」

(ぐ……やっぱりきついぞ……。)

 

 黒乃が俺に抱く印象なんて、家族の域を出てやしないだろう。そうなると、それなりにアピールしていくのも大事な事であって……。そう思って黒乃を横目で見てみるが、俺は思わず言葉を詰まらせた。言えない……。完全に今まで家族として過ごしてきた弊害が出ている。

 

「…………。」

「お、悪い悪い。少しボーッとしてた……。」

「…………?」

「いや、違う……熱とかじゃないんだ。大丈夫、大丈夫……。」

 

 ツンツンと脇腹を突かれたと思えば、黒乃がジッとこちらを見つめている。黒乃は食器を布で拭く係なのだが、俺の手が止まったせいでストックが尽きてしまったらしい。すると黒乃は、俺の額に手を当てて……まるで心配するように首をかしげる。それで体温が上がりそうだ……。

 

 なんというか、やっぱり黒乃は卑怯だ。きっと俺を弟としてカウントしているんだからしょうがないのだろうが、そんな事をされると動悸が激しくなってしまうではないか。……この間まで何も感じなかった俺は本当になんなんだ。まぁ……俺が変に意識してしまっているだけなのだろうけど。

 

 そう、まずは黒乃に俺を意識してもらうところから始めないと。今は夏休みだから、それには絶好のチャンス。まずはこの家族同然ってところから脱却しないと!デート……そう、デートとやらに誘ってみる事にしよう。暇なら遊びに行こうぜ、じゃあダメだ……俺とデートしようと……言う!

 

「な、なぁ……黒乃。その……せっかくの夏休みなんだしさ。デートしないか、俺と……。」

「…………。」

「速攻で首を横に振られた!?や、やっぱり俺じゃ―――」

「用事。」

「へ、あ、はぁ……?よ、用事……?用事な!は、ははは……。そうかそうか、用事か……。」

 

 危ない……!今の黒乃が喋ってくれなかったら絶望しか無かったぞ……。好きだと気付いた掛け替えのない大事な人に、デートを即断で断られるとか……トラウマになるっての。それにしても用事か、何の用事なんだろうな。……もしかして、俺以外の男との約束だったりするのだろうか。

 

 ……むかっ。それはなんかムカつくな……。別に誰を責めようってわけではないけど。……このまま何もせずに取られたくはねぇ。俺はこれからも黒乃と一緒に居たい。違う意味の家族として、ずっと隣に居たいんだ。だから俺は、ここで下がるわけにはいかない。

 

「ちなみにその用事って……。」

「…………。」

「メール?え~っとなになに……。『アンタ今夏休みでしょ?たまには顔出しなって。アタシもアンタの顔長い事拝んでないわよ~?』……これ、確か黒乃がISの事で世話になった人だよな?」

「…………。」

 

 俺がそう聞くと、黒乃は携帯を操作してメールフォルダを開いた。そして言った通りの内容が書かれたメールが1通届いている。差出人の名は、対馬 昴。黒乃がISに乗り始めてから名前と人柄は千冬姉から聞いた事がある。となれば、これはチャンスだな……。黒乃はこの人に会う用事なんだろうし。

 

「その人に会いに行くんだよな?それだったら、悪いけど俺も着いて行かせてくれよ。」

「…………?」

「ほら、黒乃が世話になってたのに、ちゃんと挨拶した事とかなかったろ?この際だからって思うんだけど、どうだ?」

「…………。」

 

 なんというか、少しでも黒乃と一緒に居ようとするために利用するようで気が退ける……。けど、礼儀を重んじる黒乃だから、こう言えば承諾を得られるのが簡単なんて事は良く解っている。想像通りに、黒乃は首を縦に振った。まぁ……デートはまた今度にお預けって事にしておこう。

 

 

 

 

 

 

「お~……ここがそうなのか。なんか、どことなく雰囲気が学園に似てんだな……やっぱ。」

(……おかしい、イッチー絶対におかしいよ……。)

 

 俺のかつての学び舎を見てイッチーは呑気にそんな事を言ってるが、そんなのにリアクションしている暇じゃないんだよなぁ……。あ、朝のあの一言はどう解釈すれば良いんだよ。俺とデート行こうって、ば馬鹿ですか本当に……。平常心を良く保てたよ……。なんだか、皆が照れ隠しに手が出る気持ちが解った気がする。

 

 思わずグーでいきそうになったからね、グーで。けどそこは何とか耐えたと言いますか。でも……確実に男に対して照れるようになってきてるな。でも不思議な事にイッチーに対してだけなんだよなぁ……イミワカンナイ。はぁ……まぁ良いか、とっとと行く事にしよう。俺が前に進むと、少し遅れてイッチーも着いて来た。

 

(さて、昴姐さんは……っと。ま、どうせ仮眠室だろうな。)

「黒乃?そっちは仮眠室とか書いてあるけど……。」

(まぁまぁ見てなって、基本的に昴姐さんはここで寝て……ない!?あれ、昴姐さん居ないじゃん!?)

 

 何気に失礼なのかも知れないが、俺にとっては衝撃の事態なのである。だってあの人、俺が講義受けに来た日とかでも普通に仮眠室でグースカしてたからね。……此処を住処にしているみたいだし、実家に居るとかの線はないだろう。昴姐さんは変なところで真面目だったりするし、戸締りはちゃんとするからなぁ。

 

「はうぁ!?」

(ん……?)

「あの、俺達は怪しい物じゃなくて。ここの対馬さんに―――」

「せっ、先生ーっ!先生ーっ!?」

「げっ、怖がらせちゃったか……?黒乃、とにかく追いかけよう。」

 

 その時、驚くような声が聞こえた。そちらに目を向けてみると、だいたい小学6年生くらいの女の子が。イッチーが釈明をするためか話しかけると、更に驚いた様子で何処かへと駆けだした。そっちは教室の方だけど……それに先生って……。まぁとにかく、イッチーと共に小さな背中を追いかけた。

 

「先生、先生、先生!」

「遅い!アンタ何回迷子になんの!?トイレはすぐ近くだっていつも言って―――」

「そんな事より先生!何故かこんな寂れた施設に有名人が2人も来てます!」

「寂れた施設は余計!ってか有名人……?……おお、黒乃!そっちのアンタは……千冬の弟!」

 

 少女は想像通りに教室の方へと向かっていたらしい。そこでまたしても先生と叫ぶと、教室から1人の女性が顔を出した。なんと、昴姐さんである。相変わらずダルンダルンのジャージ姿だが、もしや本腰入れて教師を始めたって事か!?ま、まぁ……その真相もすぐに解るはず。

 

「おお、やっぱどことなく似てるわね……。つーか何、美男美女の姉弟とか話出来すぎじゃない?」

「は、はぁ……それはどうも。と言うかすみません、貴女が対馬 昴さんですか?」

「そうそう、これでも元国家代表よ。今度アタシの名前で検索でもしてみな。」

「えっと、機会があれば。あ、俺は織斑 一夏です。」

 

 昴姐さんはジロジロと一夏を見て、遠まわしに男前だと評した。イッチーは良く解っていないようだけどね。2人は互いに自己紹介するが、結局はいずれも状況を飲めていない。というわけで、教室に入れて貰って互いの近況報告をする事に。すると教室には、最初の子の他に2人の少女が居た。

 

「で、あのメールで顔見せに来てくれたって事で良いのかしら?」

「そうですね。俺は黒乃が世話になってたんで、挨拶がてらに。」

「律儀だねぇ……やっぱ千冬の弟だわ。それにしても、並んでると絵になるわねアンタら。これまた美男美女のカップルか……。」

「お、俺と黒乃はそういうのじゃないですから。」

 

 イッチー、昴姐さんに対してそういう返しは逆効果だよ。ほら、どうからかってやろうかとでも言いたげにニヤニヤし始めた。根っからのいじめっ子体質だからねぇ……。俺の場合は喋れないからほとんどそういう事は無かったが、この人のイジリはなかなかしつこそうだ。

 

「それでその、昴さんの方は……。」

「アタシ?ハハッ、黒乃はさっきから違和感バリバリでしょう。まぁなんつーの?ちゃんと教師すんのも悪くないかなって思ったりしてね。アンタ達、挨拶。」

「「「こんにちは!」」」

 

 やっぱり……昴姐さん更生したんだ!なんというか、元生徒としては感慨深いものがあるな。どうやら俺がここを巣立った後、本腰入れて教師をする気になったらしい。この子達は未来のIS操縦者って事だね。なんだか、昔の自分を見ているみたいで少し微笑ましい。

 

「先生が言った事って本当だったんだね。藤堂 黒乃は自分の教え子だって!」

「ねー。普段の先生を見るに信じられないよねー。」

「というか、先生って適当な上にすぐ嘘つくから……。」

「アンタら、拳骨いっとく?」

 

 少女達はキャイキャイはしゃぎながらそんな事を話す。まぁ俺も一応は代表候補生だし、名はそれなりに知れている事だろう。けど、そんな憧れみたいな言い方されると少しこそばゆいな……。うーん、これは下手な事は出来なくなってしまったな。子供の夢を壊すのは気が退けるし。

 

 というか昴姐さん、体罰はいかんよ体罰は。まぁちー姉みたく出席簿とかで叩くよりはまし……なのかな?でも昴姐さんの拳骨はなんだか痛そうだ。子供達もその威力が身に染みているのか、今度はギャーギャーと反省の意を述べる。……必死過ぎて何言ってるか解んないや。

 

「……ったく。あぁ……そうだ黒乃、せっかく顔出してくれたのに悪いんだけどさ。」

(はい、どうしました?)

「この子達に飛行技術を披露してあげてくれない?参考にはなんないだろうけど、いい刺激にはなると思うからさ。」

(うっす、そういう事なら任せてよ。後輩の為なら一肌脱ぎますとも!)

「ええっ、良いんですか!?」

「凄い……あの藤堂さんの動きを生で観れるなんて!」

「ISの操縦技術で藤堂さんの右に出る人はいないとかなんとかー。」

 

 昴姐さんの頼み事は断れない。しかも飛ぶだけとくれば、本当に楽勝なもんだ。俺が立ちあがると、一斉に子供たちに囲まれてしまう。ハッハッハ……そう慌てんでも俺は逃げんよ。調子に乗るつもりはないが、こうやってちやほやされるのも悪くはない。子供達だから尚の事……かな。

 

「一夏の相手はアタシがしとくから、刹那がエネルギー切れになるまで飛んでやって。」

「黒乃、頑張れよ。あっ、でもはりきり過ぎないようにな。」

(了解!確かに、イッチーの言う通り気楽にいかんと……。)

「藤堂さん、更衣室はこっちですよ!」

「……藤堂さんって私達の先輩でしょ?そのくらい言わなくたって……。」

「まーまー……。代表候補生を前にして興奮してるんでしょー。」

 

 イッチーと昴姐さんの言葉に頷くと、最初に出会った子が俺をグイグイと引っ張っていく。クールっぽい子の言う通り、案内される必要はなかったりするが……此処は大人しく連行される事にしておこう。こうして俺は、子供達と共に教室を後にした。

 

 

 

 

 

 

「さぁ~て、ようやく2人になれたわね。」

「な、なんですかその……不吉な笑みは。」

「いやぁ、アンタにいろいろ聞こうと思ってさぁ。アンタ、黒乃の事好きでしょ?」

「げふっ!?」

 

 昴さんは、黒乃達が出ていくなり身を乗り出しながらそう言った。千冬姉がいろいろ面倒な奴とか言っていたけど、これはそういう事なのだろうか?嫌な予感が全開な最中、昴さんはニタリニタリと笑みを浮かべながら俺にそう聞く。いきなり図星を突かれたせいか、思い切りむせ返ってしまった。

 

「おーおー解り易いねぇ。そういう所は流石に千冬とは違うか。まぁ、アタシとしては一夏みたいなのが好印象だけど。」

「あの~……そんなに解り易いですか、俺。」

「そりゃあもう解り易いわよ。アンタが俺と黒乃はそんなんじゃない~って言った時には丸わかりだわ。」

 

 決して顔に出辛い方だと思っているわけではないが、こう簡単に見抜かれるのもなかなか……。昴さんのからかうような笑みは、二カッとした物に変わる。微笑ましいとか、青春してるなとか思ってるのだろうか。そのくらいは別に良いと言うか、からかわれるよりはよほどいい。

 

「で、黒乃のどのへんが好きなの?」

「いきなりそれ聞きますか!?」

「そこ聞かないでどうすんのよ。ほら、吐かないとアタシはしつこいわよ。」

 

 それは確かにしつこそうだ。素直に答えておく方が得策なのかも知れない。さて、黒乃の何処が好きか……か。漠然と好きである事は自覚したが、思えばそこは深く考えた事がなかったかも知れない。だが、そんなものは始めから解っていた事だ。俺の答えは1つ―――

 

「全部好きです。」

「あぁ……?ちぃっと理由にしちゃ適当過ぎやしないかしら。」

「全然適当じゃないですよ。俺は黒乃の全部が好きなんです。優しいところも好きですし、綺麗なところも好きですし、ああ見えて意外とポカをやらかすところも可愛いと思いますし。」

 

 昴さんはいまいち俺の回答がお気に召さないようだが、本当に黒乃の全てが好きで仕方がない。それそこ、挙げていけばキリがなくなってしまう。だからこそ簡潔に全部が好きだと纏めたのだ。藤堂 黒乃という少女は、俺にとってそれほどの存在であるという証明だ。

 

 俺としてはこれの他に回答しようもないのだが、どうにも昴さんは釈然としない様子だ。やっぱり俺の言葉がお気に召さないのか……?いや、それとも違うような表情だ。何か……俺に対して言うべきか言うべきでないのか、それを迷っているようにも見える。

 

「一夏や千冬には遠く及ばないだろうけど、アタシもそれなりに黒乃の事を大切に思ってんのよ。」

「それは、ありがとうございます。」

「感謝が出るっつー事は、知ってんのね。あの子は敵が多い。適当に人生過ごしていろんな人を振り回しちゃってるアタシなんかよりよっぽど。」

「昴さんは、自分が嫌われて当然だって思っているんですか?」

「まぁアタシの場合はね。それそこ最近は反省してっけど……それは置いといて。あの子は……アタシと違って理解できてないかも知れない。どうして自分がこうも恐れられているのか……。」

 

 ……黒乃が多重人格の可能性があるのは知ってそうな口ぶりだ。黒乃は……常に自分の出せる全力を出しているだけなのだろう。だが、それは周囲の人間からすればとてつもなく驚異的な事で……理解してはもらえない。それでも黒乃は全力を出す事は止めない。それも全て、自分の中にあるもう1人の自分に打ち勝とうとしているから。

 

 ……理解してもらえないのは、とてつもなく苦しい事に違いない。黒乃が頑張れば頑張るほど、それは顕著に表れる。苦しみ、悲しみ、虚しさ……。自分がそれらを周囲の人間から受けるのは、どうしてなのだろうと……黒乃がそう思っていたとして、昴さんは俺にいったい何を……?

 

「アタシもね、正直あの子が怖かった時期がある。長くあの子に触れてそんなんじゃないって認識できたけど……。それでも、それでもまだ……多分あの子の事は全然理解してあげられてないんだと思う。」

「…………。」

「ってか、ぶっちゃけ一生かかっても無理かもしんないわね。だからこそ、あの子と共に進むのは茨の道。あらゆる棘に裂かれながら進む事になるだろうよ。」

 

 一生かかっても理解してやれない……。悔しいが、それは全面的に肯定するしかないのかもな。黒乃の苦しみは、黒乃にしか解からない。解ったつもりだろうと、黒乃からすれば知った風な口をきくなと思われるかもしれない。それでも俺は……。

 

「覚悟、ある?あの子と一緒に歩いてく覚悟……。もし生半可な覚悟で黒乃の全部が好きとかほざいてんなら、アタシは全力でアンタを認めない。……アタシにとってそのくらい大事なのよ、あの子は。」

「……出来てますよ。黒乃が自分を守ってくれって言うんなら、俺の身を差し出します。痛みを分かち合おうって言うんなら、絶対に隣を離れません。逆に黒乃が自分から傷を負おうとするんなら、それは絶対にさせない。全部俺が引き受けます。黒乃との道が茨の道っていうんだったら……喜んで血みどろくらいなってやりますよ。」

 

 周りが茨の棘に覆われていようとも、俺にとっては黒乃が隣に居てくれるだけで幸せなんだ。いつか黒乃にもそう思って欲しいところだが、何もそれを強要するつもりは毛頭ない。とにかく俺は、黒乃と共に歩む事を躊躇わない。黒乃を愛する事を躊躇わない。愛って、躊躇わない事そのものだろうから。

 

「ブッ……!フッ……アハハハハハハハハ!」

「はい……?」

「アンタ面白いわねぇ!普通真顔でそんな恥ずかしい事言えないわよ!いや、アタシも全部心からの言葉だったけどさぁ。うん、アンタの事気に入ったよ!」

 

 確かに恥ずかしい事を言っている自覚はあったが、それは雰囲気的にノーカンにしてくれても良いんじゃないだろうか。大笑いされると急に恥ずかしくなってくるというか、本当に顔が熱くて仕方がない。つまり昴さんは、俺が何処まで本気か試していた……という事だろうか?

 

「よっしゃ、アタシは一夏の恋を全力で支持するよ!アンタほどあの子に相応しいのは居ないでしょうね。今この会話で確信したわ!」

「あ、ありがとうございます!」

「いやぁ……それにしても、黒乃もイイ男を捕まえたもんだねぇ。うん、めでたい!え~っと酒酒酒は~っと。」

「酒!?なんで教室に酒を仕込んでるんですか!」

「固い事言わない!今日は一夏と黒乃の門出を祝ってだね―――」

「き、気が早過ぎますから!というか、呑む口実が欲しいだけですよね!?」

 

 イッチー知ってるよ、大人ってのは何かとつけてすぐに呑む口実にするんだって。正月や花見の季節はさることながら、クリスマスとかもそうなってしまう。昼間から……いや、時間帯としては全然朝だ。とにかくそんな時間帯から呑まさせるのもなんなので、説得しながら昴さんを止めようと試みる。

 

 しかし、力及ばず……。昴さんは教室内のロッカーに隠してあったであろう酒瓶を取り出すと、栓を開けるや否やガブガブと飲み下していく。当然ながらそんな速度で飲むと酔いも早い。黒乃達が戻って来るまでのしばらくは、とにかくひたすら地獄だったとだけ言っておこう……。

 

 

 




(勘違い要素は)ないです。
すみません、今回はどう捻っても思いつきませんでした。
代わりに一夏がペラペラ恥ずかしい事を言ったので許してください!何でも(ry

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。