八咫烏は勘違う (新装版)   作:マスクドライダー

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いきなりですが、今回より数話に渡ってイベントをこなします。
タイトルの通りにシャルロット関連ですね。
なんと言いますか、その場しのぎで放置するのも気持ち悪いので……。


第55話 デュノア社潜入大作戦!Ⅰ

「ん~……快適な空の旅だったね。……ってあれ?どうしたの皆、なんだか元気がないみたいだけど。」

「……自家用機チャーターされたら気を遣うに決まってるじゃないですか。」

「なんかもう、黒服の護衛みたいな人たちがいかにもって感じで……。」

 

 此処はフランスのシャルル・ド・ボー空港。そのエントランスホールで、鷹兄は背伸びをしながらそう言う。……が、俺含めた3人は全く同意が出来ない。イッチーとマイエンジェルの言う通り、近江重工の自家用ジェットである事、鷹兄の護衛らしき人達が構えていた事。この2つの要因から全く落ち着かなかった。

 

「そんな今から疲れていたら始まらないよー?」

「近江先生がそんな気楽なのがおかしいんですよ……。」

「まぁ、デュノアくんは特に落ち着かないだろうけどね。そんな暗い顔してたら、上手くいく物もいかなくなっちゃうんじゃないかな。」

 

 何をしにフランスへやって来たかと言いますと、マイエンジェルの枷を外しに来たんだ。俺達はこれからデュノア社へ潜入する。父親と会うと決心はしたろう。だがマイエンジェルが尻込みしてしまう気持ちは良く解る。それを承知の上で、鷹兄は気楽にいこうと言っているのだろう。

 

「とはいえ、僕だって気を引き締めてないわけじゃないから安心してね。僕が言いたいのは―――」

「メリハリ、ですよね?シャル、確かに近江先生の言う事にも一理あるぜ。」

「そう……だね。皆が協力してくれてるんだもん……僕が弱気になってちゃダメだよね!」

(よく言ったマイエンジェル!キミがそんなだから俺らは協力したくなるんだよ。)

 

 気持ちは楽に、だが油断はせずに。鷹兄が言いたいのは、つまりそういう事だろう。イッチーもそれを理解しているのか、言われるまでもないと鷹兄の言葉を遮る。そしてイッチーが優しい声色でマイエンジェルにそう言うと、フンス!と鼻息を鳴らしながら両手で小さくガッツポーズ。可愛い。

 

「じゃ、時間も無いし行こうか。これから人と合流しなくちゃならないし。」

「人って、これは俺達4人でするべき作戦……って言ってませんでした?」

「それはあくまで学園内での話だよ。流石に僕ら素人じゃキツイ部分もあるからね。その道のスペシャリストに声をかけておいたから。」

 

 そうやって鷹兄が移動を促すと、歩き出そうとするその背にイッチーが質問を投げかけた。鷹兄はいったん足を止めてイッチーの質問に答えると、その道のスペシャリストが知り合いに居ると言う。つまり、スパイか何か?マジで居るんだそういう人達って……。

 

 じゃあ改めてと、歩を進め始める鷹兄の後を追う。空港前のタクシーへと乗り込めば、見事にフランス語ペラペラで運転手に行先を告げた。鷹兄……何ヶ国語を話せるんだろうね。まぁそれはさておき、タクシーでの移動中はマイエンジェルの名所小話へと耳を傾けた。俺とイッチーは、しきりにへぇ~……とか、ほぉ~……とか言いっぱなしだ。俺は心の中だけどね。

 

「さぁて、着いたね。」

「つ、着いたって……ここですか?パリでも有名なカフェですけど……。」

「木を隠すなら森の中……みたいなやつか?」

「多分そうだろうと思うよ。さて、教えて貰った特徴はと……。」

 

 タクシーが止まったのは、テラス席が目立つごく普通のカフェだ。下手をすれば日本でも似たような光景を目の当たりに出来るかもしれない。その事に困惑したであろうマイエンジェルは恐る恐る鷹兄に聞くが、イッチーが先にそれらしい事を言う。しかし……鷹兄の言葉が気になるな。知り合いなのに、どうして特徴を教えて貰わないとなんだ?

 

「おーい鷹丸サーン!こっちデース!」

「ああ、居た居た。時間通りですね、グロリアさん。」

「オゥ鷹丸サン。それは前会った時の名前デース。今は……今は……そうですネ。エヴァ・マルタンとでも呼んでくだサイ!」

「「…………。」」

 

 テラス席の1つでロングヘアの金髪、深い海のような碧眼をした女性が、日本語で鷹兄を呼んだ。居た居たって言いました……?その時点で嫌な予感が全開だった俺達3人だが、鷹兄が何の躊躇いもなくその女性に近づいて行くのを見て……何とも言えない表情を浮かべるしかない。

 

 そして鷹兄は当然のように席へ着く。呆然としている俺達を眺めると、早く座りなよなんて手招きしながら言う。俺達3人は、無言で顔を見合すと……恐る恐る席へと着いた。そんな俺達の様子を、金髪碧眼の女性はニッコニッコしながら見守る。

 

「じゃあ紹介するね。この人、僕のちょっとした知り合いでスパイやってるんだ。今回はエヴァ・マルタンって名乗ってるみたいだよ。」

「み、みたいだよって……あまり意味がよく解からないんですけど。と言うか、ちょっとした知り合いでスパイっていうのも良く……。」

「ンー……説明するとですネー。ワタシ、本名も国籍も何もかもこの世界に存在しませン。所属してる組織の同僚とかも、だいたいワタシと同じ感じデス。」

「僕ですら本名も素顔も知らないんだよねぇ。唯一解るのは性別くらいで……。……女性ですよね?」

「トップシークレットデース!」

 

 とんでもねぇ事をサラッと言いやがりますよこの大人達。エヴァさん……そんな軽いノリで自分達はこの世に存在しない人間だなんて言わんといて下さい。ほら見なよ!開始1分なのにイッチーの脳ミソがオーバーヒートを始めているんですよ!?

 

「その口調……今回は似非外国人ってところですか?」

「YES!イグザクトリー!誰もこんな頭悪そうな女スパイ思いまセーン!」

「そ、そうか……いつもその口調なわけないよな……。な、なんだか混乱する……。」

「演技だとすれば凄いよね。僕もこのくらい出来ればバレずに済んだのかなぁ……?」

 

 大声でスパイスパイ言ってて大丈夫なんですかねぇ……(困惑)もうなんだか俺やイッチーは着いて行け無さそうだ。かと言って、作戦会議とかもするかも知れないんだし……意識を集中させておかなくては。そう思った俺はエヴァさんに視線を集中させる。

 

「え~……ウォッホン!ワタシと鷹丸サン、まぁ……ぶっちゃけ皆サンには言えない縁なので、そこはお気になさらズ。ワタシ達、鷹丸サンに潜入用の機械モロモーロ……沢山力貸して貰ってマス。ワタシ達の生存率、グイグイ右肩上がりデス。」

「持ちつ持たれつ……って事で良いんっすかね?」

「イエース。鷹丸サン、ワタシにお仕事頼みまス。ワタシ、機械の提供してもらいまス。ですが、今回は例外ですヨ。鷹丸サン困ってる聞きましタ。ワタシ、デュノアサンの力なりまス。」

「あ、ありがとうございます!」

 

 俺がエヴァさんをジッと見ていたせいか、そんなの良いから早く話を進めろや……という意味で捉えられたらしい。エヴァさんはわざとらしく咳払いすると、ほとんど何もわかりはしないが、鷹兄との繋がりを語ってくれた。……変にカタコトで聞き取り辛いとか言ってはならない。

 

「今回の件、妥協一切なしデス。鷹丸サン、デュノアサン……言い訳全然効きマス。けど……一夏サン、黒乃サン……貴方達そうはいきまセン。」

「方や日本代表候補生。方や世界で唯一の男性IS操縦者……だからねぇ。」

「妥協……。だからって、人殺したりはしませんよね?」

「映画の観すぎですヨ?一夏サン。人殺すスパイ一流言えまセン。」

 

 そりゃそうだ……仮にも日本所属の俺が加担している事がばれたらと思うと……。イッチーも半分日本所属みたいな扱いになってるから同じく。妥協しないと言ってくれるのは有難いんだが、それは手段は問わないと言う風にも聞こえた。それが気になったらしいイッチーが質問するが、すさまじい正論が帰ってくる。

 

 スパイなんて、本来はすっごく地味~な仕事に決まってるよな。周りに溶け込むと言うか、自分を殺すと言うか。でも今回は1発勝負に等しい……。だから妥協ナシってところかな。……その変装は個性ありまくりんぐなんですけど本当に大丈夫ですか?

 

 俺はいつの間にやらエヴァさんの事をジーッと見つめてしまう。やっぱり睨んでいるとか、そんなマイナスイメージを思わせるらしい……。人の反応とか見るのは特化している俺だ、エヴァさんの汗にはすぐ気が付いた。いやぁ……なんか申し訳ないです。

 

「とにかくですネ、皆サンの安全保障しまス。ですが、それにはまず作戦会議欠かせませン。」

「じゃあ、成功させるべく作戦会議を始めましょうか。」

 

 口調はともかくとして、エヴァさんは何処か真剣な面持ちでそう言った。そこのあたりはエヴァさんのプロ意識だろう。とはいえ……俺達も失敗は許されないんだからしっかりやらないとな。俺達3人は鷹兄の言葉に首を頷かせると、集中力を高めて作戦会議へと身を投じた。

 

 

 

 

 

 

 フランスはパリの北西部の大通りに位置する大通り、シャンゼリゼ通り。フランスで最も美しい通りとされ、世界的に見ても観光名所の1つだろう。人ゴミの激しいシャンゼリゼ通りを、とある目的があってフラフラと進んでいた。私は小汚い格好をした男と肩をぶつけるふりをして、その一瞬にマイクロチップを受け取る。

 

「すみません。」

「いえ、こちらこそ。」

 

 面倒な事だが、私達のしている仕事柄必要な事だ。何気ない日常に潜むには、こうして演じながら生きていかなければならないから。小汚い男へ謝罪を述べると、特に何を言われるでもなく立ち去って行く。と言う事は、他に補足事項は無いと思って良いらしい。何かあれば、怒ったふりをしながら私に何かを伝える手筈だ。

 

 目的を達成した私は、現在の住処にしている安っぽいマンションへとすぐさま帰った。そして部屋に入ってまずやる事は、監視カメラと盗聴器が仕込まれていないかの確認だ。文字通り隅から隅までを確認するが、特にそれらしい物は見当たらない。……が、目視で取りこぼしがあると一巻の終わり。

 

 私はポケットから携帯電話を取り出すと、とあるアプリを起動する。それは磁場を感知するアプリで、彼の援助で完成した物だ。見覚えのない反応は……なし。ここで私はようやく安心した。とはいえ面倒な事には変わりなく、小さく鼻を鳴らしながらマイクロチップを取り出した。

 

 それを携帯へ挿入すると、空間投影型のディスプレイが表示される。複雑に暗号化されたパスワードを解除していくと、ようやく今回の任務の内容へと辿り着いた。しかし……随分と厳重な事だ。何か大きな仕事になるのかも知れない。私は拭いきれない嫌な予感と共に、任務の内容が書かれたファイルを開く。

 

「これは―――」

『任務概要 ターゲットの監視』

「クロノ・トウドウ……。」

 

 ターゲットとして映し出されているのは、いかにも日本人らしい綺麗な黒髪をした少女。名は……恐らく知らない人物の方が少ないはず。そんなビッグネームがターゲットと言う事もあってか、私は思わず彼女の名を呟いた。この依頼は……また厄介な事になりそう。

 

 詳しい内容としては、彼女が不穏分子であるかないかの判断。大方、彼女を女尊男卑を覆しかねないジョーカーと思っているIS委員会あたりからの依頼だろう。ただ、彼女が篠ノ之 束と同等に警戒すべき人間である事もまた確かである。私達の仕事は、一応世界の安寧の為に動く事だから。

 

 しかし気に入らない。彼女が警戒すべき人間であるからと言って、それを大義名分にして監視しろなどと。警戒すべきと判断しても虚偽の報告をしてやろうか。いや……それをやると間違いなく私は消されてしまう。さて、彼女はIS学園に所属しているわけだが……。孤島に等しいIS学園で、どうやって彼女と接触すれば良いだろう。

 

ピリリリリ……

「!? ……もしもし?」

『どうも、鷹丸です。』

「なんだキミか……。驚かせないで頂戴。」

 

 ふと、フランスに潜伏中に使う私用の携帯電話の方が着信を知らせた。ディスプレイを確認すると、そこには非通知の文字が。私はフランスに長期旅行中という体で生活している。友人らしい友人も居ないので、こちらの携帯に電話がかかって来る事はまずない。警戒して出てみると……その必要は全くなかったらしい。

 

「キミは毎回、どうやってこっちの電話番号を調べているの?」

『企業秘密でお願いします。ところで、仕事……お願いしても良いですか?』

「……聞くだけ聞きましょう。」

 

 声の主は近江 鷹丸。世界を誇る近江重工の御曹司だ。それでいてただのボンボンではなく、天才の名をほしいままにしている男。先ほどのアプリも彼が開発した。私と彼の間にある縁のおかげで、彼には様々な面で私達の仕事をサポートして貰っている。

 

 新開発したガジェットがあれば、彼は私に1番早く声をかけてくれるのだが……仕事の依頼は随分と久しい。詳しく話を聞くと、どうやらフランスのデュノア社への潜入を手伝って欲しいようだ。なんでも、御令嬢と社長の因縁に決着をつける為だとかなんとか……。

 

『……という事なので、どうか貴女の力が借りたいんです。』

「解ったわ。貴方には沢山の借りがあるもの。」

『ありがとうございます。それじゃあ日取りは―――』

 

 先ほど仕事が舞い込んできたばかりだと言うのに、私は二つ返事で彼の依頼に応じた。これには勿論だが理由というものがある。藤堂 黒乃は、近江重工製の専用機を扱っている……とだけ言えば解るだろう。彼の依頼を手伝っておけば、ターゲットとの接触も比較的容易になるはずだ。

 

 まぁ……向こうも私が打算ありで依頼を受けているのはお見通しだろうけど。残念ながら私はそこまで暇じゃない。とにかく、運命的とも言っていいほどに都合は良かった。私は彼と言葉を交わしながら、スラスラとメモ帳にペンを走らせた。

 

『それで、織斑 一夏くんと藤堂 黒乃さんも参加する事になってますから。』

「その2人は必要かしら。」

『ええ、彼らなくして成功なしだと僕は思ってます。』

 

 織斑 一夏の方は割とどうでも良いが、藤堂 黒乃が参加してくると聞いて動揺した。が、こんな事でそれを露呈させていたらスパイ失格である。私は特に何も感じてはおらず、邪魔になるのではと質問したように取り繕う。これで99%の人間は騙せるだろうが、彼相手には無意味に等しいけれどね。

 

「貴方がそう言うのならそうなんでしょう。」

『ご理解いただきありがとうございます。あ、それともう1つ。』

「何かしら?」

『黒乃ちゃんに余計な事しようとしてるなら、止めておいた方が良いと思いますよ?』

「……それは、貴方が私に何か仕掛ける事になる……と解釈すればいいの?」

『いいえ、僕は何も。大切な友人にそんな事はしませんよ。ただ……貴女だって知っているはずだ。』

 

 話し合いが終わりに向かおうとすると、彼は私にそう告げた。……やっぱりばれていたようだ。何の事かしらと言っても無意味なのならば、諦めて質問に質問で返す事にした。すると彼は、皆までは言わないが私に彼女の噂を知っているだろうという旨を伝える。……黒き翼の八咫烏。だけれど、彼女がそう呼ばれているからこそ見極めなくてはならないのだ。

 

「御忠告どうも。けれど、こっちも仕事なのよね。」

『でしょうね。まぁ……内容は聞きませんけど。』

「……もう良いかしら?」

『はい。お時間取っちゃってすみませんでした。では、よろしくお願いします。』

 

 あくまで私の仕事は彼女の監視。尋問とかでは無いし、彼女に直接的危害を加える事はしない。それを話せばなんだそんな事かと拍子抜けされるだろう。けど、そんなプロ意識に欠ける行為は認められない。仕事だから我を通すしかないと返せば、彼は特に何を言う訳でもなく通話を終了させた。

 

「はぁ……面倒な事になったわ。とりあえず……この顔は使えないか……。」

 

 今の私は使えないとなると、その日限定……たった1度しか使えない顔でいくしかない。ようやくこのクールキャラにも慣れて来たのだが。時々だけど何を演じているのか解からなくなるのが問題だ。当日はゴチャゴチャになって変な事にならなければ良いけど……。

 

 

 

 

 

 

「おーい鷹丸サーン!こっちデース!」

「ああ、居た居た。時間通りですね、グロリアさん。」

「オゥ鷹丸サン。それは前会った時の名前デース。今は……今は……そうですネ。エヴァ・マルタンとでも呼んでくーだサイ!」

「「…………。」」

 

 というわけでして、ワタシが思いついたのはこんなキャラデス。これなら早々キャラ被りしないし、何より完全に使い捨てできマス。ワタシはいかにも元気な様子で、待ち合わせ場所に現れた鷹丸サン達に手を振ル。これだけ大きな声で呼べば、すぐさまワタシと理解してくれたみたいデス。

 

 鷹丸サンはワタシの名前を呼びますが、言った通りに前会った時のものデス。確か……アメリカに居た時の名前ですネ。そこまで考えて、このキャラに名前を定めてなかったと思い出しましタ。こんな使い捨てキャラなら適当で構いまセン。パッと思いついた名を名乗る事にしましょウ。

 

 ワタシと鷹丸サンのやり取りを見てか、本当にコイツ大丈夫かみたいな目で見てくるのが2人。片方は織斑 一夏サンで、片方は例の御令嬢ですネ。藤堂 黒乃サンは……解かりませんネー。見た目である程度は考えを読めるだろうと踏んでいましたガ……。

 

 その後はしばらくワタシと鷹丸サンの繋がりや、ワタシ自身の紹介を色々と話す事になりましタ。どうせ同じ顔で2度と会う事は無いだろうから、無意味に等しいんですけどネー。そして話はやがて、ワタシが今回どういうキャラなのかと言う事を説明しなくてハ。絶対に一夏サン達、ワタシが常日頃からこんなだと思ってマス。

 

「その口調……今回は似非外国人ってところですか?」

「YES!イグザクトリー!誰もこんな頭悪そうな女スパイ思いまセーン!」

「そ、そうか……いつもその口調なわけないよな……。な、なんだか混乱する……。」

「演技だとすれば凄いよね。僕もこのくらい出来ればバレずに済んだのかなぁ……?」

 

 鷹丸サン……ナイスフォローデス。やはりお2人は勘違いしていたみたいですネー……。演技とは別に違うのですが、今回そこは言いっこなしデス。というかなんでしょうねー……御令嬢サン、そもそも人を騙す事に関して向いて無さそうに見えまス……。デュノア社長は、どうして彼女を日本へ―――

 

(…………!?)

 

 見られてマス……凄く黒乃サンに警戒されてマス……。確かにワタシはスパイなんてやってますけど、御令嬢サンに協力しているわけですから……間違いなく味方デス。なのに何故、どうして彼女はワタシを警戒しているのでショウ。鷹丸サン、貴方余計な事を彼女に言ってはないでしょうネ。

 

 いえ……鷹丸サンの性格上、それはありえないと見ていいはズ。でしたら考えられる可能性はただ1ツ……。彼女は、本能的にワタシが自分を監視していると悟っていル……。……ワタシの考え過ぎならば良いのですが、何やらこの子はそうだと思わせる気迫のような物がありますネ……。

 

「…………。」

(My God……。ガン見言う奴デース……。)

 

 ワタシ、ボロ出してないはずです……そこは絶対的自身有りまス。ですが、どうして黒乃サンは話が進むにつれてワタシをジッと見てくるのですカ……。冷や汗……どころか、ワタシの頬に汗が伝いましタ。ワタシもこの業界長いです……修羅場も数多くくぐって来ましタ。ですが、汗出る経験初めてデス……。

 

 それも対面しているだケ。それだけでこんなプレッシャー感じる……とんでもないデス。これは本当に、ワタシの目論見はお見通し思った方が良いですネ……。しかし、仕事放棄するわけにはいきまセン。今回の仕事……御令嬢サンの件含めて、なんだか大変な事になって来ちゃいましタ……。そう軽く後悔するワタシがいまス……。

 

 

 




黒乃→今回ばっかりは真剣に話を聞かなくちゃ!
エヴァ→なんかスッゴク警戒されてマース!?



藤堂 黒乃氏 セカンド・シフト達成か

 日本国代表候補生 藤堂 黒乃氏が、セカンド・シフトを成し遂げたとの報告が寄せられた。現在の近江重工社長代理である近江 鷹丸氏によると「詳しくは明かせないが、確かに彼女は次なる段階へ上り詰めてみせた」「日本のこれからにとって、大きな躍進となるだろう」と語る。
 一方IS委員会側は快く思っていない模様。以前より藤堂氏を危険視する発言を重ねてきた委員会会長は「資料を社長代理から頂き拝見したが、個人が持つには危険すぎる力を手にしてしまっている」「今後本格的に藤堂氏の専用機剥奪も検討する必要がある」との事。
 会長がそう語る背景には、藤堂氏を女尊男卑を覆すジョーカーとなるのを恐れているという事が伺える。事実、これにより藤堂氏はより男性の支持を確固たる物とするだろう。真っ向から食い違う近江氏、会長の意見。今後両者の動向が注目される。




外部における黒乃の扱いが解りづらいとの意見を頂きました。
それに伴って、ネットニュース風に経緯を書いてみたのですがどうでしょう?
必要、不必要かは別にしまして、とりあえず試験的に継続させて下さい。
毎回必ず載るという事でもございませんので。

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