八咫烏は勘違う (新装版)   作:マスクドライダー

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第48話 水と油な兎と鷹

「じゃあ藤堂さん、早速だけど始めようか。」

 

 鷹兄の言葉に確と頷いて見せる。臨海学校2日目の朝、課外授業の主目的とも取れる活動が行われていた。一般の生徒達はISの装備試験を、専用機持ちは専用パーツのテストが課題になっている。とりわけ、高空域での戦闘を想定したパッケージの運用テスト……だったかな。

 

 近江重工から予算が降りたか、はたまた鷹兄のポケットマネーか。どうやら刹那にも追加パッケージが開発されたようで、どうにも背後にあるコンテナが件のソレらしい。通常の刹那が近接のみだからね……射撃形態みたいなのだと有難いんだけど。

 

「さて藤堂さん。ぶっちゃけちゃうと、刹那での高空域戦闘は想定してないも同然なんだよね。」

(うん……こんな燃費の悪い機体で、広いフィールドを駆け回るのは無理があると思う。)

 

 完全にアリーナ内というか、ある程度は逃げられる箇所が限定されている場所で刹那は真価を発揮する。しかし高空域となれば、状況にもよるけど……すぐエネルギー切れになるはず。戦闘空域への急行に関しては、刹那が到達するのが速いだろうが……その時点で恐らく数割のエネルギーが削られてしまうだろう。

 

「だったらどうするか。燃費を良くしちゃえばいいじゃない。」

「…………?」

「と、いうわけで……雷火の低燃費バージョンを造っておいたよ♪名前は飛電(ひでん)って命名しました。」

(え、えぇぇぇ……?)

 

 ガコン!プシュー……なんて音をたてながらコンテナが開くと、そこには見た目だけで言うと雷火と遜色のない翼が出てきた。なんだか鷹兄は、努力する方向を間違えているようにしか思えない。まずその翼へのこだわりをどうにかすれば良いんじゃないんですかねぇ……?

 

「詳しく説明するのは……換装してからにしようか。藤堂さん、雷火を外してくれないかな」

 

 造っちゃったものはしょうがないと思うし、鷹兄の指示にすぐさま従った。なるべく姿勢を低くし、コンソールを操作して雷火をパージ。雷火や飛電は非固定のスラスターなので、ハンガーに引っかけてある飛電に背中を向けるように近づく。再びコンソールを操作すると、刹那と飛電の接続がオンラインになったのを確認。実行ボタンを押すと、飛電は俺の背中付近にフワフワと浮いた。

 

「オーケー、じゃあ少し飛んでみてくれない?操作感覚が雷火とじゃ一目瞭然だろうから。」

(了解!)

 

 鷹兄はインカムを装着すると、飛行してみてと要求してくる。俺はすぐに飛び立たず、スゥーッとエレベーターのように一直線に高度を上げる。だいたいいつも飛んでる高度まで辿り着いたら、とりあえずは通常の飛行速度で試運転を開始した。

 

(ん……?これって、いつもより速い……?)

『気が付いたかな?飛電は雷火よりも速度が出るよ。でもそれは通常運用の話だけどね。』

 

 まだトップスピードでは無いというのに、雷火で出せる最高速度近くまで達している事に気が付いた。鷹兄からの通信を聞いてから、更に刹那の速度を上げてみる。するとどうだ、威力を少し押さえたOIB(オーバード・イグニッションブースト)程の速度が出るじゃないか。しかし、OIB(オーバード・イグニッションブースト)みたいに背中をグンッと押される感覚は無い。

 

『此処まで言えば解ると思うけど、QIB(クイック・イグニッションブースト)OIB(オーバード・イグニッションブースト)を試してね。』

 

 鷹兄は通常運用と前置きした。それはつまりQIBとOIBにも何か変化があるという事だろう。俺は早速だけど、鷹兄の指示に従い……まずはQIBから使ってみる。む、むっ……?いつもみたいな勢いがないうえに、緊急離脱用にしては弱く感じられる。

 

 OIB(オーバード・イグニッションブースト)にも違和感を感じた。何と言うか……飛電でのトップスピードよりはもちろん速い。だけど、雷火でのOIB(オーバード・イグニッションブースト)と比べればまるで遅い。……それでも既存のISが追いつけない速度が出てるけどね。どうやら俺は毒されているらしい。とりあえず、止まって鷹兄の解説を聞こう。

 

『キミが実感してる通りに、飛電でのQIB(クイック・イグニッションブースト)OIB(オーバード・イグニッションブースト)はあまり出力は出ないよ。」

(ふんふん……。)

『刹那の何が燃費悪いかって、やっぱりあの2つだからさ。単純に出力を落して、通常の飛行にエネルギーを割くようにした……ってだけの話だよ。でも逆を言えば、刹那はたったそれだけで高空域仕様になれるって事さ。』

 

 なるほどねぇ……。出力調整っていう単純な変化で、こうも飛び方に差をつけられるんだ。だったら、本当にQIB(クイック・イグニッションブースト)OIB(オーバード・イグニッションブースト)はオマケってくらいに考えた方が良いみたい。でもやっぱり……操作感覚は雲泥の差だ。エネルギー切れまで飛べば慣れるかななんて思ったけど、鷹兄が降りて来てくれと言う。

 

(鷹兄。どうかしたん?)

「うん……なんだか向こうが騒がしくて。少し気になるからさ、一緒に様子を見に行かない?」

 

 鷹兄が指差した方向を見てみると、そこには確かに人だかりが出来ていた。そのせいか、まともに試験運転なんかしてるのは俺達くらい。あ~……多分だけど、これはあの人が襲来しているのだろう。それなら、あの人が心を開いている人間は多いに越した事はない。

 

 コクリ。そう頷いてから、刹那を待機形態に戻した。ザッザッと砂浜を踏み鳴らしながら歩いて近づくと、徐々に甘ったるい声が聞こえてくる。人ゴミを大回りするようにして避けると、そこには……ウサギの耳を生やした天災さんが居た。あぁ……やっぱりな。そう思う前に、向こうも俺の事に気が付いたらしい。

 

「あっ!くろちゃ~ん!く~ろ~……ちゃ~ん!」

 

 はい……ご存知皆のアイドルたば姉が居ましたよっと。数年ぶりに会うわけだが、特に見た目の変化は感じられない。たば姉はく~ろ~……と言いつつ力を溜めて、ちゃ~ん!の部分で勢いよく俺に飛びついてくる。別に避けられない事も無かったが、砂浜とは言え女性を地面にこかすわけにもいかんしね。

 

「ひっさしぶり~。会いたかったよくろちゃん!おっほ~……大きくなったねぇ。」

(大きくなったって……ちょっとまっ!胸揉みながら言う台詞じゃない……いっ……!?)

「止めんかこの馬鹿が。」

「あいたっ!?」

 

 大きくなったとは、勿論身長でなくおっぱいの事を言っているようだ。何やら感心したかのように俺のおっぱいを揉むたば姉……。公衆の面前と言うか、大勢の生徒が居るせいか余計に恥ずかしく感じられる。しかし、たば姉が揉み始めてすぐちー姉が鉄拳制裁を見舞う。ふ、ふぅ……事なきを得たな……。

 

「はぁ……わざわざセクハラをしに来るほど暇じゃないだろ。何の用件があるかさっさと言え、そして去れ。……の前に挨拶くらいしろ。」

「ちーちゃんったら注文が多いなぁ。はろはろー、篠ノ之 束でーっす。」

 

 まるで猫をつまむようにたば姉の襟を持つちー姉は、見た限りで頭が痛そうだ。そしてこれまた猫を扱うかのように、ポイッとたば姉を放り投げる。しゅたっと華麗な着地を見せると、そのままテキトーな挨拶を生徒達に送った。するとどうだ……果敢にも鷹兄がたば姉に近づいて行くじゃないか。……止めといた方が良いと思うけど。

 

「お目にかかれて光栄です、篠ノ之博士。僕は近江 鷹丸と言います。一応は科学者の端くれなので、貴女の事を心から尊敬してますよ。」

「は?何?何話しかけてんの?お前の名前とか別に興味ないんだけど。というか男のくせして束さん尊敬してるとか、マゾヒスト?ちょっと近寄らないでくんない。変な性癖移っちゃうから。」

「そうですか、それは残念です。ですが……僕は信じてますよ、いつか必ず解りあえるってね。」

「…………。」

 

 い、意に介さねぇ……流石は鷹兄、マジで大人な男だ。……単に気にする神経を持ち合わせてないだけか?日ごろのヘラヘラ&ニヤニヤが貫き通す姿勢はある意味関心というか……。そんな鷹兄の反応が新鮮なのか、たば姉は無言でジッと見つめていた。鷹兄が白衣を翻しながら離れると、たば姉はいつものテンションへ戻る。

 

「ってかさーってかさー。くろちゃんあんなのの造った専用機乗ってんだよね?今度束さんが造ったげるからそっち乗りなよ。」

(やー……なんやかんやで刹那も気に入ってるんで。)

「う~ん……じゃあ、考えておくってとっとくね!」

 

 うん、それは俺もずっと思ってた。束さんに気に入られた時点で俺用の専用機造っちゃうかなって思っていたけど、他に忙しい事でもあったのか刹那で落ち着いちゃった。まぁ……正直なところで天災産の専用機はノーサンキューだったから調度いいや。でも俺は否定も肯定も出来なかったので、たば姉は自分の都合のいい方に解釈する事にしたらしい。

 

「で、用件ってのは~……いくつかプレゼントがあってね。まずはくろちゃんから……はいこれ!」

(……たば姉と同じウサ耳カチューシャ?」

「……そんな物をどうするつもりだ。」

「コレね、脳の信号を読み取って~……音声にして発する機械!耳のところがスピーカーになってるんだよ!」

 

 ……あ、ホントだ。で……でもたば姉……コレを俺に着けろと?いや、黒乃ちゃんの身体だしそりゃり合うと思うよ。けど無表情の面でこれはちょっとどうなんだろ……。まぁたば姉のせっかくの厚意だし……有難く受け取っておこう。もしかすると、これで会話が出来るようになるかもしれないんだから。

 

「えへへ、お揃いだねくろちゃん!」

「こ、これはなかなか……。」

(ちー姉、余計な事言わんとって。)

「え~っとね、喋りたい事を強く念じれば音声が出るよ。慣れたら意識しなくても扱えるようになると思うから。じゃあ……ちーちゃんに向かって何か一言!」

 

 俺がウサ耳カチューシャを着けると、たば姉は大喜びだ。しかし、ちー姉からすればシュールな光景みたいで……口元を押さえて楽しそうにしている。はぁ……高校生にもなってコレは痛い……。まぁ良いや、ちー姉に一言……ね。俺は黒乃ちゃんになってからずっと……ちー姉に言いたい事があったんだ。

 

『おっぱい揉ませて下さい。』

「「…………。」」

「イヤーッ!」

「グ、グワーッ!?な、なんで……なんで束さんを殴ったの!?」

「黙れ、期待したらこれか!悪ふざけにも程があるぞ!」

「この件に関しては真剣そのものだよ!束さんだってくろちゃんとお話したいもん!」

「ならば今の言葉は何だ!?黒乃が私に向かってそんな事を言うはずがなかろう……!」

「ちょっ、ゲフッ!?タ、タイム……ちーちゃん……首……首はやばいから……!」

 

 いや、コレ成功作だよたば姉……ちー姉……?だって、思いっきり考えてた事が音声になって出たんだもの。どうやらちー姉は、俺がそんな事を言うキャラじゃないと思ってるみたいで……思いきりたば姉を殴り飛ばした。さらに吹っ飛んだたば姉を立たせると、ネックハンギングツリーといって……要するに首を掴んで持ち上げる技を仕掛けた。

 

「まぁまぁ織斑先生、少し落ち着きましょうよ。」

「くっ……フン!束……貴様はどうだ。黒乃があんな事を言うとでも?」

「お、思いませんです……はい。」

「ならばあの耳に欠陥があった証拠だ。出直してこい。」

「は、はい。む~……おっかしいなぁ、束さんが設計ミスなんてするはずが……。」

 

 鷹兄がちー姉を嗜めると、仕方がないとでも言いたそうな表情を見せ、たば姉を地上に降ろした。ゲホゲホ言いながらむせ返っていたが、よほど怖かったらしくちー姉の質問に正座でたば姉は答えた。本当に成功してるんだけど、たば姉はぶつぶつ言いながら俺のウサ耳カチューシャを外す。

 

「まぁ良いか……今度ゆっくり見てみないと。で、ちーちゃん……。」

「もう1つの件か……。篠ノ之、前に来い。」

「は、はいっ!」

 

 むっ……コレはアレか、ギクシャクした姉妹関係が繰り広げられるパターンの奴か。今から胃が痛くなるのご容易に想像できたので、俺はさりげなく束さんとの距離を置いた。そしていきなり名前を呼ばれたモッピーは、少しばかり怪訝な表情で前へとやって来る。

 

「やぁやぁ箒ちゃん、久しぶり!」

「…ええ、そうですね。」

「箒ちゃんも大きくなってるね~。何処とは言わないけど!」

「殴りますよ。」

 

 あらら……ハイテンションのたば姉に対して、モッピーはあくまで淡泊な態度を貫き通す。人の家の事情に口出しするのは良くないけど、なんとか仲直りして欲しいものだ。かと言って、喋れない俺に何が出来るかと聞かれれば……大した事なんて出来やしないんだけど。

 

「今日はね~箒ちゃんにもプレゼントがあるんだよ。さぁさぁ皆さんお立ち会い!上にごちゅうも~く!」

 

 束さんが頭上を指差すと、巨大なコンテナが空から降ってきた。ズドォン!という轟音と共にコンテナは地面へと到達。その衝撃のおかげか、ぶわっと砂が巻き上がる。たぁーたた!砂粒が肌に当たって痛い痛い!というか、なにより鷹兄の白衣がはためいてペシペシ当たるのが痛いですぅ!

 

「これは……?」

「これはねぇ、箒ちゃんの専用機だよ。名前は紅椿!」

「っ……!?貴女は……貴女という人は、やはり何も解かってはいない!私がいつこんな物を頼んだというのです!」

 

 モッピーはワナワナと肩を震わせると、恨めしい目でたば姉と紅椿を見た。余計なお世話だ。そういったニュアンスで、こんな物は必要ないと叫んだ。た、頼んでないって……どうしてだろ。確か原作だと専用機が無い自分に焦りを感じて、たば姉に造ってもらったとかじゃ……?

 

「貴女は私に与えるばかりだ……それは、私にとって奪っている事だと考えもせずに!私は自分の力で黒乃や一夏の隣に立とうと……精進して来たんです!自分の専用機は自分で勝ち取ります……だから今すぐ私の前から―――」

「篠ノ之さん。」

「なんです?!」

「僕も割に与えられる立場だからね、君の言いたい事は良く解る。けど……利用すべきものは利用すべきだと僕は思うな。……言ってる意味、解るよね?」

「…………。解りました……。」

 

 与えられる立場……か。鷹兄の背負ってる近江の名、それだけ重い物だという事は理解している。鷹兄とモッピーはやっぱり似たような経験をしてここまで来てるのかな……。合理主義者っぽい鷹兄は、利用できるものはなんでも利用するタイプ。けれど、モッピーは武士道精神一直線な性格だしね。

 

 それでも君の言いたい事は良く解るって台詞が効いたのか、渋々ながらも紅椿に乗る事を了承した。モッピーが怒っても特に様子の変化が無かったたば姉だが、乗るとなればテンションがマシマシだ。しかし……いくら鷹兄とはいえ、あの台詞だけでモッピーを説得できるとは思えんけどなぁ。なぁーんか引っかかる。

 

 鷹兄だったらもっとこう……紅椿をボロクソに貶してでももっと説得力のある台詞をツラツラ並べそうなもんだけど。う~ん……やっぱり鷹兄でも、持って生まれてしまった者の苦しみがあるって事かな。その辺り、きっとたば姉には理解できないんだろうけど。

 

「んじゃ箒ちゃん、フィッティングやらうんたらかんたらを始めようか!この束さんにかかればチョチョイのチョイやで!」

「…………。」

「ありゃりゃ、無視されちゃった。まぁ良いか!じゃあじゃあ箒ちゃん、紅椿に乗ってね。」

 

 うんたらかんたらって……ISを世に出した人がそれで良いんだろうか?まぁ……出した人だからこそなんでも許されるってのはあるかも知れん。たば姉が何やらリモコンを操作すると、紅椿が自動でひざを折り、いつでも操縦者が乗れる体勢となった。

 

 手早く作業を終わらせたいのか、モッピーはせっせと紅椿に乗り込んだ。……なんか、原作よりもモッピーがたば姉を嫌ってる……?ここまで無視してなかったというか、受け答えくらいはしてた気がするんだけどな。それでもたば姉は、まったく動じることなく作業を進めて行く。

 

 モッピーに紅椿の説明をしながらも、全く手が止まる事が無い。俺の隣の鷹兄は、その光景を食い入るように見つめていた。尊敬してるって言葉に嘘は無いみたいで、技術を見て盗むつもりなんだろう。向上心あるなぁ……俺も少しは見習わないと……。

 

 その後セクハラ交えつつイッチーとの漫才を交えつつ……見る見るうちに作業は進んで行く。あ、後鷹兄に対する態度を見ていたせいか、セシリーがたば姉に話しかけに行く事は無かった。まぁね……興味ない人と接してる時のたば姉は怖いからね。

 

「ほいさ、終わりましたよ~っと。じゃ箒ちゃん、試運転も兼ねて飛んでみよっか。」

「……解かりました。」

 

 モッピーはそっけない態度のまま、紅椿を動かす。すさまじいスピードで、あっという間に紅椿は上空なわけだが……これならまだ刹那のが速いな。……って思ってしまうのは贔屓目も過ぎるかな。何より、たば姉に知られると面倒なことになりそうだ。

 

 その後は紅椿の武装、雨月と空裂のテストも行われる。それぞれ刺突、斬撃で攻性エネルギーが飛ぶって仕組み何だけど……刹那の武装のいずれかもそんな感じにしてほしかったなぁ。ミサイル同時に何発も撃ち落とせる威力はいらないけどね。つまり空裂は、それが可能って事だ。

 

「ね~、凄いでしょ箒ちゃん。」

「そう……ですね……。」

 

 ミサイルの撃ち落とされた爆煙が舞う中、モッピーは密かに紅椿の性能に震撼しているように見えた。はぁ……それはそれとして、もうすぐアレが始まるって事かぁ。そんな考えを巡らせていると、自然にちー姉と山田先生が目に入る。2人は、ハンドサインで何か話しあっている。

 

「了解した……。全員、注目!現時刻を持って、我々は特殊任務行動へ移る。今日のテストは中止。各々、ISを片して随時花月荘へと戻れ。連絡があるまで室内待機だ。」

「ちゅっ、中止……?なんで?」

「状況が全然―――」

「良いからとっとと行動へ移せ!許可なく余計な行動を取った物は身柄を拘束する……いいな?次は無いぞ!」

 

 はぁ……来ちゃったかぁ……。刹那の機体性能からして、意地でも戦地に赴かなくてはならなくなる展開が……。1人でゲンナリとしている間も、皆は慌ててちー姉の指示に従う。まぁ……半分は脅しみたいなもんですしね。身柄の拘束は誰だってヤだよ。

 

「専用機持ちは集合しろ。……篠ノ之、お前もな。」

「わ、解りました……!」

 

 モッピーも専用機持ちになった訳で、呼ばれるのは当然だ。でも本人は意外そうで、少しばかり生返事っぽく返す。……モッピー……浮かれてる様子は無いな。だったら、全部上手くいくのかな?いや……常に最悪の状況は想定しておかないと、いざって時に困る。……こんなところで死ぬわけにはいかない。俺はそんな決意と共に、専用機持ち達の背中を追いかけた。

 

 

 




黒乃→おっぱい揉ませてください(真剣)
千冬→黒乃がそんな事を言うかバカタレ!

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