八咫烏は勘違う (新装版)   作:マスクドライダー

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第40話 変則的タッグ×2

「なぁ黒乃、少し話が―――」

「黒乃、頼みがあるのだが―――」

「黒乃さん、お時間よろしくて?」

「黒乃!アンタにお願いがあって―――」

「ねぇ黒乃、僕と―――」

「「「「「…………。」」」」」

 

 ラウラたん襲撃事件の翌朝、ホームルームが終わると同時に一斉に詰め寄られた。メンバーはだいたいいつもの5人で、その手にはそれぞれA4サイズの紙を携えていた。というか、本当に同時に喋るもんだから……黒乃って名前だけしっかり聞き取れた感じだ。まぁ……だいたい何を言いたいかは解ってるけど。

 

「……ボーデヴィッヒと決着をつけるなら、俺と黒乃がベストだ。」

「同じく剣の道を往く者として、私こそパートナーに相応しい。」

「わたくしの専用機の特性からして、わたくしと黒乃さんが組むべきですわ。」

「アタシ、やっぱ黒乃と一緒にボーデヴィッヒをぶっ飛ばさないと気がすまなさそうなのよね。」

「僕、黒乃と一緒に戦いたいな。」

 

 ……これはアレですか?モテ期って奴でしょうか。やっぱり皆は、俺と学年別トーナメントのタッグを組みたいらしい。と言うのも……もともとは1on1の方式だったんだが、急に2on2にルール変更がなされた。今回のトーナメントに参加予定だった人達は、こぞってパートナーを探しるって事なんだけど……。

 

 どうして俺にその話を持ちかけて来るのか、コレガワカラナイ。確かに俺は勝率は高い……ってか、負けた覚えはない。けれど、それはやっぱりあの笑みで動揺を誘っちゃってる訳で。まぁ……単純に、俺を誘ってくれるのは嬉しいんだけどね。しかし、いい加減に反応を示さないと……今にも5人は激しい言い争いを始めそうだ。

 

 そう考えた俺は、イッチー、モッピー、鈴ちゃんから参加申請書を奪った。イッチーの紙には、マイエンジェルの名を。原作がずれちゃったら困るからね。鈴ちゃんの紙には、セシリーの名前を。遠距離武器を1つも持たない俺よりか、セシリーは鈴ちゃんの方が相性いいよ。つまり、残り1枚の紙には―――

 

「く、黒乃……私はお前を信じていたぞ!」

「……なんでよりによって箒よ。」

「よりによってとは何だ失礼な!」

 

 モッピーから奪った紙に書かれた藤堂 黒乃と篠ノ之 箒という文字を見て、モッピーは心から嬉しそうな表情を見せた。それに対して皆は残念そうな感じだが、特に鈴ちゃんは不満そうだ。きっとだけど、同じ幼馴染組として思うところがあるんだろう。ヤバイね、死ぬほど嬉しい。俺は思わず鈴ちゃんの頭を撫でた。

 

「わ、解ったわよ……。今回は我慢するから、子ども扱いは止めて。」

「まぁとにかく、黒乃がそう言うんじゃ仕方ないよな。」

「そうだね。黒乃が考えたチームバランスも良いと思うし。」

「どうせならわたくしが一夏さんと……。いえ、黒乃さんは男性同士という部分も配慮なされたのですね。」

 

 うん、まぁ……そうだった……マイエンジェルが男として此処に居るの忘れてた。危ない危ない……ラッキーパンチだったな。まさか原作遵守で行動しようとしたのが、納得してもらえる材料になるなんて思いもしなかった。ケンカも無しで、完璧に丸く収める事が出来たなら俺も満足だ。

 

 しかし、チームバランスか……。それを言うと、俺とモッピーの組み合わせはあまりよろしくは無いんだが。後に登場するモッピーの専用機ならまだしも、今のモッピーは打鉄ユーザーだからなぁ。打鉄にもれっきとした射撃武器はあるが、モッピーが使ってるところを見た事が無い。

 

 ん~……まぁ、俺がビュンビュン飛び回って場を荒らせば何とかなるかな。どちらにしたって、このタッグ決めなんて意味がなくなるんだし……深く考えるべきじゃないか。とにかく、この場はこれで解散の流れになった。で、時間は流れて昼休みに。俺とモッピーは、揃って申請書を提出に職員室へ向かっているところだ。

 

「黒乃、私は嬉しいぞ……。まさか専用機持ちでない私を選んでくれるとは。」

「…………。」

「ああ、嬉しいと言えば……未だに篠ノ之流を使ってくれているな。父さんもきっと喜ぶと思う。」

 

 あ、解るんだ……流石はモッピー。半ば我流剣術になりつつあるが、しっかり篠ノ之流剣術をベースとしている。なんて言うのかな、地が出来ている?だからこそ俺は、今まで7本の刀でやってこれた。嫌々ではあったけど、やっぱり剣道やってて良かったなと思いましたまる

 

「おい。」

「貴様……!まだ何か黒乃に仕掛けるつもりか!?」

「煩いぞ。腰ぎんちゃくに興味は無い。」

「な、何だと!?」

(ど、どうどう……。とりあえず落ち着こうかモッピー。)

 

 そんな感じで朗らかに職員室を目指していると、俺達を呼び止める声が。振り返ってみると、そこにはラウラたんが居た。ラウラたんの姿を確認した途端に、モッピーの顔付はまるで親の仇を見るようなものに変わる。どうやらラウラたんは俺に用事があるみたいで、キツイ物言いでモッピーにそう言う。

 

「手短に言うぞ。今回のタッグトーナメント……私と組め、藤堂 黒乃。」

「ふざけるな!今まで黒乃に攻撃を仕掛けておいて……そんな虫のいい話があってたまるか!」

「私は貴様に興味は無いと言ったが?で、どうだ……藤堂 黒乃。」

「残念だったな、黒乃は既に私とタッグで……って、聞いているのか貴様!?」

 

 ラウラたんは、名前の欄が空白の申請書を俺に見せながらそう言う。まぁ……当然モッピーは噛み付くよね。なんだろうか、これこそ俺の知ってるモッピーな気がする。それにしても、モッピーの言い分は一理ある。いやいや、今更何言ってんだふざけんなって事では無いよ?

 

 あれだけ俺と戦いたがっていたラウラたんが、俺と組んで出場しようってのが不自然というか……。ラウラたんは逃げも隠れもしない性格だし、そこを踏まえるとまだ俺やイッチーを認めたって事では無いだろう。……駄目だ、それらしい理由が思いつかない。一か八か、質問を投げかけてみよう。

 

「意図を知りたい。」

「……説明をする必要はない。とは言わせんぞ。」

「……良いだろう。私は、とある課題を教官から出されている。その答えを探る為には、貴様と戦う事こそが近道だと私は考えた。」

 

 なんとか考えを口に出す事が出来て、モッピーが俺の言葉に補足のような物を入れてくれた。ラウラたんには悪いけど、どういうつもりなのか知れないとウンともスンとも言えないし。ラウラたんもあまり建設的ではないと思ってくれたのか、俺にこの話を持ちかけたわけを語る。

 

「が……貴様は逃げ回ってばかりで、文字通り勝負にもならん。そんな折だ、学年別トーナメントがタッグ方式に変わったと言うではないか。」

「つまり、何が言いたい……?」

「日本風に言わせれば、渡りに船か?つまり、貴様が私と戦おうとしないのならば、近くで貴様を観察する方が効率的だと考えたまで。決着は課題が済んでからでも遅くは無い。」

 

 なるほど、ちー姉から出された課題ってのは、別に俺を倒して見せろって事では無いんだな。最悪俺を見てればクリアできる課題なら、主人公たるイッチーを観察した方が良い気がしなくもないけど……。でも、これで一応の理由は聞けたな。さて、これからどうしようか……。

 

「さぁ、理由は話したぞ。解ったらさっさと貴様の名前を書け。」

「ちょっと待った!黒乃は理由を話せば組むとは言っていないぞ!」

「貴様もいい加減にしつこいぞ、篠ノ之 箒。専用機持ちでもない者は下がっていろ。」

「お、お前!人が気にしている事を抜け抜けと……!」

 

 これからどうしようかって、タッグの件以外にはない。う~ん……出来ればモッピーと組みたいってか、なるべくならラウラたんとは組みたくない……。でも、そんな風に思ってくれているのなら……無下に扱うのも何か忍びない。そうだなぁ……こういう時は、やっぱりちー姉を頼ってみるべきかな。

 

「ん……?うわっ!?く、黒乃……何処へ連れて行くつもりだ!」

「貴様、この……離せ!」

 

 モッピーとラウラたんの手をギュッと握ると、職員室向けてズンズンと進みだした。俺が強引に連行しようとするもんだから、2人は若干の抵抗を見せる。だが、先制攻撃を仕掛けたのは俺だ。2人の抵抗は虚しいだけで、最終的に大人しくなってくれた。

 

 そして職員室に着くと同時に、昼休みにも関わらずデスクワークへ勤しんでいるちー姉へと近づく。何と言うか、俺がモッピーとラウラたんを引き連れている時点で嫌な予感しかしないらしい。眉間に皺を寄せて溜息を吐いて見せてから、ちー姉の方から俺に話しかけてきた。

 

「なんだ……何の用件だ?」

「…………。」

「学年別トーナメントの出場申請書?これがいったい何―――」

「織斑先生。私が黒乃と組むというのに、ボーデヴィッヒが横入りを―――」

「黙れ、貴様の事情など私の知った事では―――」

「職員室で騒ぐな、この馬鹿共が。」

 

 俺がラウラたんの持ってた空欄の方の申請書を見せるが、ちー姉は俺の意図が解からなかったみたい。そもそも俺がここへ来たのは、どうするべきかを相談したかっただけだ。それを何とか解ってもらおうと考えるが、モッピーとラウラたんがそれぞれの主張を繰り広げる。

 

 だけど、ちー姉の前では自殺行為だった。バシン!バシン!と、2人の小気味よく叩かれる音が耳に心地よい。しかし、ちー姉は出席簿を肌身離さず持ってる気がするが……。いや、そんな事よりも……2人がずっとこんな調子で困っているんだよ。だからヘルプミー……ちー姉。

 

「はぁ……なるほどな、藤堂の言いたい事は解った。だがその前に……近江先生。」

「ん……?珍しいですね、織斑先生が僕に用事なんて。」

「少し刹那の事で質問が。刹那のエネルギー補給は、どのくらいの時間で可能です?」

「燃費の悪い機体ですからね、そのぶん補給に関しては拘ってますよ。エネルギーの減り方にもよりますが、ほとんど一瞬で済みますね。」

 

 意図は解った。そう言いつつちー姉は、何故か鷹兄を呼んで刹那の事に関して質問した。そうなんだよね、恐ろしい事にエネルギー補給が一瞬なんだよね、刹那って。なんか、雷火に残ってるエネルギーを本体に回してうんたらかんたら……。一応説明はされたけど、全く理解が出来なかった愚かな私でございます。

 

「ならば問題は無いか……。どうもありがとうございます。」

「いえいえ、今後も何かあったら気軽にどうぞ。」

「あの、織斑先生……。いったい、黒乃の考えとは?」

「藤堂、つまりお前が言いたいのは―――」

 

 質問の回答を終えた鷹兄は、俺達3人に手を振りながら自分のデスクへと戻った。するとちー姉は、俺の持ってた申請書を奪って何か名前を書き始めた。今朝は俺が全く逆の事をしたと思うと、なんだかどんな事が起きるのかドキドキしてしまうな……。

 

「こういう事だな?」

「なっ、黒乃とボーデヴィッヒの名前……!?」

「流石は教官、私の考えを推して下さるとは―――」

「早まるなガキが。篠ノ之、お前の申請書も寄越せ。」

「あ、は……はい。」

「……良しっ。確かに申請は通した。これで文句は無いな、藤堂?」

 

 うん……うん……?つまり……どういう事だってばよ。ちー姉は、モッピーの方……つまり俺とモッピーの名が書かれた申請書に認可の判を押す。かと思いきや、ラウラたんの方にも同じく認可の判を押した。俺含めて、モッピーもラウラたんも意味を良く解ってないみたいだ。

 

「藤堂の望みは、篠ノ之ともボーデヴィッヒとも組む……だろう?かなり異例の事態だが、まぁ藤堂なら問題ないだろう。」

「黒乃、お前と言う奴は……優しいにも程があるぞ。」

「……まぁ、そう言う事ならば妥協してやろう。」

 

 違ああああう!違う、違うよちー姉!?誰もそんな事の望んじゃいない!なんでさ、よりによって2回も出なきゃなんなくなるよ。でもなんだこの……今朝みたいな丸く収まった感は。おかしい……こんなの絶対おかしいよ!つーか何、藤堂なら問題ないだろうって!?俺の何処にそう思わせる要素があるんです!

 

「ですが織斑先生。私と藤堂 黒乃、そして藤堂 黒乃と篠ノ之 箒のタッグが当たってしまった際はどのような処置を?」

「その時は篠ノ之とボーデヴィッヒが1対1で戦え。勝った方のタッグが勝ち進む方式だ。」

 

 ラウラたんが至極真っ当な意見を述べるも、ちー姉はもはや俺が2人とタッグを組む形で揺るがないらしい。ああ、逃れられない!(カルマ)……なんて思わず叫びたくなってしまいそうだ。く、くそ……!ラウラたん、勝ち上がる条件が自分に利があるからって納得しないで!ほら、モッピーも何か反論してよ!

 

「……大会の運営目的に反していませんか?」

「数あるタッグの中で、1つくらい特例があっても文句は言われんさ。」

「そうですか。なら、私はもう何も言いません。」

「これで全員用は済んだな?ならばとっとと戻れ。」

 

 良いぞモッピー!なんて思ったのは束の間。この大会はタッグ戦に重きを置いていると言うのに、ちー姉は1つくらいの特例なら気にすんなと返す。それにモッピーはすぐさま納得してしまって、この場がこれでお開きになってしまった。……解かりました……もう諦めます……。

 

 く、くそぅ……最近どうしたよ、俺の望む日常とはかけ離れている気がするぞ……。いやね、イッチーの幼馴染、IS学園に入学してる、代表候補生って3要素のせいでそれは難しいって解ってはいるよ。だけどもっとこう……せめてどちらか1人と組む形で済ませたかったと言うか……。

 

 まぁ、発言が出来ない俺がこれ以上考えてもどうしようもない。俺はちー姉に頭を下げると、踵を返して職員室を後にした。後ろを確認してないから解からないが、どうやら2人もしっかりついて来ているみたいだ。しかし、職員室から遠くなると、すぐにラウラたんは輪を外れてしまう。

 

「貴様と組む事にはなったが、決して認めたわけでは無い。それをゆめゆめ忘れない事だ。」

「大丈夫。」

「…………。ならば良い。せいぜい私の足を引っ張ってくれるなよ。」

 

 俺がたまに喋れる事は知ってたみたいだけど、こう短い間に2回も返事が返ってくるのは意外だったみたいだ。ラウラたんは少し面食らった表情を見せてから、更にそう続けて去っていく。まぁ喋れた時って、多分だけど俺が1番驚いてるんだろうけどね。

 

「黒乃、何やら済まない事をした。私が感情的になったばっかりに、黒乃に負担をかけてしまって……。」

 

 いやいや良いよ別に、そうなっちゃったもんは仕方がないし。それで良かったかどうか聞かれれば、まぁ……絶対にノーなんだけど。どのみちラウラたんが折れる事は無かったろうし、どう足掻いたってこうなったかも知れない。とにかく、理由がどうあれモッピーが謝るのは筋違いって事だよ。

 

 なんとか気を取り戻してほしかった俺は、モッピーの肩をポンポンと叩く。本当は頭撫でようかと思ったけど、鈴ちゃんはとにかくモッピーにそれはなんか合わない気がした。するとモッピーは、無理矢理にでも納得しようとしているように見える。

 

「黒乃、お前と言う奴は……昔から変わらんな。」

(アッハッハ……。変わらないただ1つのアホンダラだからね~。)

「変わらず優しい……。どうしてお前は、そこまで人に優しく出来る?」

 

 なんでって、なるべく波風立てずに生きて行くには他人に優しく……って思ってるだけだけど?打算ありありだからそんな言い方されると良心がズキズキしてしまう。あ~……だけど、黒乃ちゃんの身体を使わせてもらって生きてきて、多少はその考えにも変化はあったかな。

 

 何と言うか、この身体は俺に悪気があろうとなかろうと……他人に迷惑をかけてしまう。それはきっと、俺が罪に思う事ではないはず。だけどさ、イッチーやちー姉を始めとした皆は……俺に優しくしてくれる。俺とは違って打算なんかなしに、心から俺の事をサポートしてくれる。

 

 俺が罪悪感を感じるのは、皆がそうやって優しくしてくれるから……きっとそれの裏返しだ。そんな裏返しの感情を抱いた俺は、本気で皆に恩返ししたいって思ってる……んじゃないかな。だから……多分だけど、もし俺が打算なしで皆に優しくしてるのなら……俺は、皆の事が大切で仕方がないんだって、そう思いたい。

 

 まぁ……今回の件に関しては打算ありだし、何とも言えないかな。それでもだ、モッピーが俺を優しいって感じてくれてるなら言う事無しだ。でもこんな複雑な感情、俺に表現できるはずもない。ずっと俺が黙っていたせいか、モッピーは申し訳なさそうに言った。

 

「済まない、聞くまでもない事だったか。人が人に優しくする事に、理由なんか必要ではない……だろう?黒乃。」

「…………。」

 

 おお、モッピー……アンタ良い事言うね。アレだ、ファイナ〇ファ〇タジーの主人公が言ってたっけ。誰かを助けるのに、理由がいるかい?……ってさ。うん……俺もそう生きられれば良いんだけどね、やっぱ臆病者だからさ……。いや、前世では薄情だって良く言われて―――

 

 ……あれ?そうだった……け?自然とそんな気がしたから呟いたけど、なんかイマイチしっくりこない。いや、どちらかと言えば……思い出せない?そんな感覚に近い気がする。まぁ……数十年も昔の事だしな、忘れてても仕方がないような気もする。

 

 その割には、ISに関しては良く覚えてるって?ハハッ、だから薄情だって言われてたのかもね。趣味に関しては覚えられるって、それ1番言われてるから。と・に・か・く・だ、なんかもうモッピーもラウラたんも満足そうだしやっぱりこれで良いや~。

 

「それでは、せっかくだからコンビネーションについて意見でも交わしてみるか?なんなら、私達2人ならではの必殺技を考えてみるのも面白いかも知れんぞ。」

(おっ、それ良いね!ロマンってか、そんな感覚がウズウズするよ。)

「ん、肯定か。それでは場所を変えるとしよう。……普通に教室で構わんな。」

 

 モッピーの提案は、本当に大事な事だ。タッグ戦に置いては、相手との意思の疎通が大事になるが……それと同じくらいに、あらかじめ作戦を立てておくのも大事だ。後者は……あ、あくまでオマケ程度にしか考えてないから。ほ、本当だからね。

 

 そういうわけで、俺とモッピーは連れ立って教室を目指した。……が、自分の前世がイマイチ思い出せないでいる。この事態に、もっと深く考えておけばと後悔するのは……かなり先の話だ。何も考えていない能天気な俺は、今日も元気に……そこにある日常を謳歌する。それが、とてつもなく愚かである事も知らずに。

 

 

 




黒乃→違う違う!相談しにきただけで、2人と組もうなんて思ってないってば!
千冬→相変わらず人の事を気にしてばかりだな……アイツは。

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