八咫烏は勘違う (新装版)   作:マスクドライダー

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第37話 一夏の再起

「まったく、教えろと言うからそうしたろうに……。」

「あれ以上解りやすく教えれるわけないでしょ。」

「わたくしが詳しく説明して差し上げたのではだめだったのかしら。」

(ダメだこりゃ……。)

 

 イッチーがマイエンジェルから射撃武装についてのレクチャーを受けている最中、そこから少し離れた場所にいるモッピーを筆頭にした3人は、ぶつくさと文句を零していた。というのも、イッチーは前々から射撃武装について詳しく教えて貰おうと励んではいた……んだけど、聞く相手が悪かったとしか言いようがない。

 

 モッピーは説明が擬音だらけ、鈴ちゃんは感覚でやれと言い張って聞かない。頼みの綱であるセシリーは、理論的かつ細かすぎる故……常人には理解できない代物とだけ言っておく。ちなみに俺は、聞かれ掛けたけど止めた。ま、俺に至っては喋れないですし、武装も刀7本という謎構成ですし……。

 

 いやね、投げナイフなら教えたげるよ。紅雨と翠雨を扱って長いからさ、的が人間サイズなら百発百中な自信がある。……動いていない場合に限定されるけど。う~ん……投擲だけど、偏差射撃?とかそこらはちゃんと習った方が良いのかな。俺もそこだけマイエンジェルに教えを乞いたいかも。

 

 それにしても、マイエンジェルの事とか……もうちょっと真面目に考えといた方が良いのかな。IS学園は外界からの干渉を一切断つ……。正体がばれたマイエンジェルに対して、イッチーがじっくり考えろという事でこの提案を出すわけだが、それは事実の先延ばしでしかない。

 

 ぶっちゃけ一個人である人間には、マイエンジェルの抱えている問題を解決する事は出来ないだろう。だからこそ、俺には頼れる人が1人だけ居る。近江重工の御曹司にして現社長代理……そう、近江 鷹丸さんだ。でもなぁ……そんな事で鷹兄を頼るのはお門違いな気もするんだよねぇ。

 

「へぇ~へぇ~……。珍しいじゃん……やっぱ黒乃も少しはジェラシー感じてる?」

(ほえ?何の事やら。)

「しらばっくれなくても良いじゃない。ほら、一夏とデュノア……最近仲良いし。」

 

 無意識の内に視線がマイエンジェルへと集中してしまっていたらしい。そんな俺の事が気になったのか、鈴ちゃんが肘で突きながらそんな事を言う。ジェラシーねぇ……それはもうちょっとどころじゃないんだよなぁ。今後マイエンジェルにフラグを建てるイッチーが、羨ましくて仕方ない。

 

 今の身体は女の子だし……とうにそんな感情は消え失せていたと思っていたんだけど。それがそうでもないと言うのは、やっぱり俺が前世でシャルロッ党であった事が大いに関係していそうだ。俺は思わず、鈴ちゃんの言葉に肯定を示してしまう。

 

「うっそ……マジ?アタシ、冗談半分のつもりだったんだけど……。ちょっ、聞いてよ2人とも!」

「騒がしいぞ鈴、いったい何だと言うのだ……。」

「わたくし、今はあまり戯れる気分では……。」

「良いから聞きなさいって!黒乃がね……。」

 

 俺が首を縦に振ったのが、鈴ちゃんからすればよほど意外だったらしい。すると鈴ちゃんは、からかうような笑みを終始浮かべつつ、モッピーとセシリーに集合をかけた。ま、まずったな……もしかしてこれは、茶化されるパターンなのではないだろうか。そう思っていると、茶化すような笑みが3つに増殖してしまう。

 

「ほぅほぅ、そうかそうか。黒乃、お前もなかなか可愛い奴だな。」

「フフッ、黒乃さんだからこそ……微笑ましいお言葉ですわね。」

「アタシらなんていつも嫉妬全開だしねー……。うん、逆にアタシ達は黒乃を見習わないと。」

 

 くっ……!なんというか、こんな話題で茶化される時が来るとは思ってもみなかった……。いや、俺の場合は茶化されるという行為自体がレアケースだな。これはこれで悪くない気がするけど、どうしても恥ずかしさの方が勝っちゃうや……。それ言うと、皆が照れ隠しに手が出ちゃうのが解るかも。今だって、俺の恥ずかしさを受け止めてくれる何かを求めてしまっている。

 

 羨ましさついでに、イッチーを攻撃してやろうかしら?いや、この距離でいきなり刹那を展開して襲いかかるとか、流石にご乱心と思われる。殿中、殿中でござるぅ!藤堂どの、気が狂いおったか!……なんて言われて。もし言われるとしたら、モッピーが似合いそう(小並感)

 

「ねぇあれ……。」

「もしかして、ドイツの第3世代機!?」

 

 そうこうしていると、周囲の女子達が声を潜ませコソコソやってる。あ〜……ラウラたんの仕掛けるセカンドインパクトな。まぁ……傍観、だよね。ラウラたんの事はマイエンジェルが止めてくれるわけで、それに割って入るとそれでなくても低いラウラたんの好感度がダダ下がり―――

 

「おい。」

(あるぇ〜……ここでもやっぱり俺っすか?)

 

 なんとラウラたんが話しかけたのは、イッチーではなく俺の方だった。ラウラたんはシュヴァルツェア・レーゲンを展開して、俺の前に立ち塞がる。対して俺は刹那すら展開してないんですがそれは。あ、これヤバイかも……ロリっ娘とは言え、軍人特有……かも知れない迫力が凄くて動けない。

 

「貴様も専用機を持っているだろう。ならば私と戦え。」

(いやゴメン、それ今は無理っぽい……。)

「何をしている。そのチョーカーは飾りか?」

 

 なんとかラウラたんの正面に立つくらいはできたけど、まともに刹那を展開できる精神状態ではない。だが、これで良い……はず。だって、ラウラたんの目的はあくまで俺やイッチーを倒す事で、決して殺したいわけじゃない。実際は殺したいくらいなのかもだけど……。

 

 とにかく、俺が戦う意識を見せなければ……寸止めくらいで済むんじゃないの?半分賭けみたいなものではあるが、俺は刹那は展開せずにラウラたんをただ見据える。解っていた事ではあるけれどラウラたんはだんだんと機嫌が悪くなってきたみたいで、眉間には似合いもしない皺が寄る。

 

「貴様、嘗めているのか……!?それとも、私程度は相手にするまでもないとでも言いたいのか!」

「アンタ、さっきから聞いてれば……!」

(は~い落ち着こうか鈴ちゃん。それはキミの悪い癖だよ。)

「黒乃……。」

 

 まぁまぁ落ち着きなって鈴ちゃん。心配してくれるのは嬉しいけど、鈴ちゃんが割って入る事じゃないよ。そう……これは、俺とイッチー……そしてラウラたんの問題だ。……俺がもう少ししっかりしてれば、防げない事件ではなかった。俺がこんな事を思うのは筋違いだって解る……けど、責任は感じてる。

 

「よかろう……ならば、相手をせざるを得ん状況にしてやる!」

(へぁ……?ちょっ、ちょっ……プラズマ手刀を振り上げちゃって……。ハ、ハハハハ……寸止めしてくれるよね、ラウラたん。)

「黒乃……何故避けん!?」

「黒乃おおおおっ!」

 

 ずああああ!あっぶ……危ない!し、しっししし……死ぬかと思ったぁ!何、なんだよラウラたん……今のはマジだったの……?イッチーが後ろから猛スピードで迫ってプラズマ手刀を弾いてくれてなかったら……首チョンパになるところだった。ふぃー……ありがと、イッチー。

 

「お前……いったい何のつもりだよ!」

「黙れ!貴様らさえいなければ、教官は今でも頂きへ立っていた……間違いなくな!」

「……もしかして、あの事件の事を言ってんのか!?ふざけんな、アレは俺達も被害者だ!」

『そこの生徒、何をしている!?所属と氏名を述べよ!』

 

 模擬戦でもなく試合でもなく、ましてや付近に生身の俺氏が居れば嫌でも異常事態だと悟られる。スピーカーから大音量で監督官の声が響くと、ラウラたんは自ら雪片との競り合いを止めた。そうして吐き捨てるように興が冷めたと呟けば、俺達の前から姿を消していく。

 

「クソッ、なんなんだよ……!黒乃、怪我はないか!?」

(こ、怖かった事を除けばオールオーケーかな……。)

「藤堂さん……どうして無抵抗だったの?」

「そうですわ、黒乃さん。ああいった場合、多少の反撃ならば許されていいはずですもの。」

 

 マイエンジェルが怪訝な表情を見せ、セシリーはまるで俺を怒るみたいにそう言った。いや〜……普通に怖くて身体が動かなかっただけなんだけどね。って言ったら、皆はどんな反応をするだろう。呆れられるだろうか、それとも更に叱られるのだろうか。でも、事情を知らない面子は困惑してるでしょうね。

 

「私には何がなんだかサッパリだぞ。数日前にも黒乃が叩かれたが、アレと何か関係してるのか?」

「……無闇に話すような事じゃない。どうしても気になるんなら、鈴にでも聞いてくれ。」

「一夏さん、いずこへ!?」

「……悪い、しばらく放っておいてくれると助かる。」

 

 ……イッチーはイッチーで、俺やちー姉に申し訳ないって思っているみたいだからね。イッチーは必死に感情を抑えるようにして、足早にアリーナから出て行く。まぁ……得策か、俺達事件の当事者が居るだけ、この場の雰囲気を悪くするだけだ。じゃあ……俺も今日のところは帰ろうかな。

 

「黒乃さん、貴女まで……。」

「凰さん、平気なら話してもらえないかな?」

「ゴメン、少し待って……。じゃないと、今にも爆発しちゃいそうだから。」

 

 俺が遠ざかる前に、そんな会話が背後から聞こえた。鈴ちゃん、俺達の為に相当怒ってくれてるんだな……。嬉しい反面、やっぱりラウラたんへのヘイトが半端じゃない。出来れば、そっちの問題も解決したいんだけど。流石の俺も、知らんぷりってわけにもいかなそうだし。……部屋に戻って、ゆっくり考える事にしよう。

 

 

 

 

 

 

「…………。」

 

 部屋に戻ってしばらく経つが、シャルルが顔を見せる気配は無い。俺に気を遣ってくれているのか、はたまた他に用事があるのか。それは知るところじゃないが、現状……俺の気分はあまり晴れはしていないと言う事だ。考えれば考えるほどに、様々な苛立ちが募ってくる。

 

(……少し出かけるか。)

 

 行く当てがあるわけではない。それでも部屋に閉じこもっているよりはマシだと、そんな考えが浮かぶ程度には落ち着けてはいるみたいだ。俺はハンガーに引っかけてあった制服の上着を引っ掴むと、袖を通しながら部屋を後にする。……今ごろ黒乃はどうしているのだろうか。

 

 強く気高い黒乃の事だ、俺ほど気にしてはいないと願いたい。だが、黒乃はボーデヴィッヒに対して何の抵抗も見せなかった。……単なる暴力を嫌う黒乃なら、防ぐないし避けるくらいするはず。それをしないとなると黒乃は、全てを受け入れるつもりなのだろうか。

 

「…………。」

 

 キリリと胸の奥に痛みが走った。痛い……黒乃がそうやっているところを見ると、俺はとても痛いんだ……。どうして黒乃は、俺を頼ってくれないのだろう。確かに頼りはないのかも知れない。それでも俺は、お前がそうしてくれたように……お前の隣に居たいんだ……。

 

「どうしてこんな場所で教師などを!」

 

 意識を深くまで潜らせていたせいか、突然の大声にいくらか驚いてしまう。声の主は、廊下の曲がり角……ボーデヴィッヒだ。悪いとは思ったが、こっそりと様子を窺う事に。話し相手はどうやら……千冬姉みたいだ。千冬姉は俺と黒乃の誘拐事件の際、情報提供の見返りにドイツに居た時期がある。思えば2人はその縁なのかも知れない。

 

「しつこいぞ、今の私は教師……それだけだ。私は自分の道は自分で選ぶ。私の道に立札を建てる権利は誰にもない。」

「…………。」

「なんだその目は?言いたい事があるならハッキリ言え。」

「……それでは僭越ながら。教官、貴女は……織斑 一夏と藤堂 黒乃に拘っていらっしゃる。」

「それがどうした?拘るのは当然だろう……家族だからな。」

「っ!?」

 

 ……どういうつもりなんだよ千冬姉。仮にそう思ってくれているとして、わざわざそんな事を言う人では無いんだが。千冬姉のそれはまるで、ボーデヴィッヒを挑発するかのようにも聞こえた。そしてそう言われた当の本人は、全身という全身に力を籠めて、悔しがっているのが見て取れた。

 

「貴女の栄光を台無しにして、何が家族です!特にあの八咫烏……私の行動に何もやり返して来ない臆病者に!貴女の愛弟子を名乗る権利などあるはずが―――」

「ハッ、見当違いも甚だしい。数日前の平手打ち……あの程度の速度、本気で藤堂が避けられなかったとでも?」

「…………。」

 

 それは絶対にノーだ。黒乃を知っている人物ならば、避けられなかったわけがないと答えるはず。だからこそ、あの平手打ちをわざと受けたという事の裏付けだ。ボーデヴィッヒもきっと冷静では無かったのだろう。千冬姉にそう返されて、反論の余地を見いだせないらしい。

 

「ならば何故、あの女は私に何もしてこないのですか。」

「さぁな、自分の頭で考えろ。……と言うよりは、そこが解からん時点でお前は藤堂に勝てんさ。何回やってもな。」

「…………!私とあの女の……いったい何が違うのです!同じなはずだ……ただ純粋に力を求め、高みを目指して覇道を進む……。私とあの女は同じなのに、どうして貴女は―――」

 

 千冬姉は、ボーデヴィッヒに足りていない根本的な何かを指摘しているように見える。それを踏まえて、黒乃と何度戦おうが勝てない……そう言いたいに違いない。しかしボーデヴィッヒは、納得がいかないのかあくまで食い下がる。その様はどこかかまって欲しい子供みたいだ。

 

「違うな、お前と藤堂は全く違う。ついでに言えば、私と藤堂も違えば……お前と私も違う。」

「…………?」

「はぁ……ではこうしよう。私からの宿題だ……お前に足りない何かを見つけてこい。それが出来れば、まぁ1歩前進といったところだろ。」

「宿……題……。」

「ああ、そうだ。解ったらもう行け。私もそれなりに忙しいんだ。」

 

 その物言いは教師そのものだが、やっぱり相手が小学生とかそこらの対応に聞こえて仕方がない。一応は千冬姉からの命令だと捉えたのか、敬礼を見せた後に何処かへと消えて行く。……?どうして千冬姉は、その場にとどまったままなのだろうか。その答えはすぐに解った。

 

「……で、いつまで覗き見をしているつもりだ?」

「あ、バレたか……流石はちふゆね―――」

「ここでは織斑先生だ。」

 

 授業は終わったうえに人影も無いんだが、それは許されなかったようだ。千冬姉は俺の頭を出席簿で叩くと、何回言わせるんだこの馬鹿が……とでも言いたそうな視線を送る。これでもな、ちゃんと気をつけてはいるつもりなんだぜ?意識してなかったらもっと叩かれていそうだ。

 

「……ボーデヴィッヒともめたらしいな。」

「……ああ。昔の事を言われて、ちょっと冷静じゃいられなかった。」

 

 良く……解かってるつもりなんだ。俺と黒乃が、千冬姉の連覇をなかった事にしてるなんて。解っているからこそ、人に指摘をされると反発してしまう。それに俺も黒乃も被害者……という事を盾にするつもりはないが、それもまた間違ってはいない。俺はどうするのが正しかったんだろうな……。

 

 人間対話する事を忘れてはいけない……が、ボーデヴィッヒが聞く耳を持ってくれるとも思えない。どうすれば、黒乃の荷を一緒に背負えるのだろう。ずっと一緒だった、ずっと痛みもわけあってきた。だから今回も、1番の被害者だろう黒乃の手助けになってやりたいのに。

 

「黒乃の様子は?」

「……ボーデヴィッヒが何して来ても、それを全部受け止める気なんだと思う。俺や皆を巻き込まないように……。」

「はぁ……アイツは、相変わらず人に気を遣い過ぎる奴だ。」

「でも織斑先生……。だから黒乃は―――」

「ああ、強い。だからアイツは強いんだ。……あの顔は抜きにしてな。」

 

 ボーデヴィッヒの足りないところって、きっとそれだ。アイツはきっと、人の為の何かをした事がないんじゃないかな。それが悪い事だとは言わないが、少し考えれば見えてくるはず。いや、見て見ぬふりをしているのかも知れない。アイツのあこがれが千冬姉なら、一見そんな部分は想像しがたいだろう。

 

「ボーデヴィッヒは、単に藤堂へ嫉妬しているだけだ。」

「俺達への反感と、嫉妬と五分五分ってところか……。」

 

 黒乃の八咫烏というあだ名は、畏怖と嫉妬の入り混じったものだ。ボーデヴィッヒは千冬姉に格別な憧れを抱いている。更にはその嫉妬の対象が千冬姉の栄光を邪魔したとなれば、黙っていられるはずもない……という事なのだろうか。きっと黒乃もそれを解ったうえで、ボーデヴィッヒの仕打ちを甘んじて受け入れると……?

 

「ホントにそれで良いのかよ……黒乃……。」

「……悩むな馬鹿。所詮お前は馬鹿なんだ……馬鹿は馬鹿なりに、己の信じる道を往け。」

 

 なんて事だ、ほんの数秒に4回も馬鹿と言われた。これはもしや、ギネスワールドレコードなんじゃないだろうか。だが……悲しいかな、千冬姉の言葉は否定できない。だからこそ千冬姉は、悩む暇があるのなら動けって、そう言いたいんだと思う。この時俺は、小さな頃に言われた言葉を思い出す。

 

「俺の出来る事を精一杯やる……だったよな。」

「…………。」

「千冬姉、俺……とにかく頑張ってみるよ。精一杯……黒乃の為に。」

「ああ、たまには男らしいところでも見せてやれ。そうすれば黒乃もお前を……。」

「俺を、どうした?」

「……いや、なんでもない。」

 

 俺が千冬姉と呼んでも怒られなかったところをみるに、途中から姉としての言葉だったのだろう。そして千冬姉は、何か言いかけて……止めた。黒乃が俺になんなんだろう?凄く気になるが、追求するとまた厄介な事になりそうだ。じゃあとりあえずは、前半の部分だけ有難く受け取っておこう。

 

「ではな、励めよ劣等生。」

「お、おっす!」

 

 激励の言葉なのだろうが、少しは言い方を考えてほしいものだ。だけど、千冬姉なりというやつだろう。俺は元気な返事をすると、千冬姉はよろしいとでも言いたげに去って行く。……出かけてみてよかった。おかげで、なんとかモヤモヤはもうない。ありがとう千冬姉。俺は去り行く姉の背に、呟くようにそう告げる。

 

 

 




黒乃→怖くて動けなかった……。ラウラたん恐るべし。
ラウラ→あの女!何の抵抗も見せんとは癪に障る……!

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