八咫烏は勘違う (新装版)   作:マスクドライダー

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一夏のターンです。
時間軸的には黒乃がみんなに会ってる頃。
そして前話で黒乃が寝た後くらいになります。


第123話 一夏の未練

「父さん、母さん、久しぶり」

 

 決戦を明日に控え後悔のないよういいつけられた俺は、父さんと母さんの墓参りに訪れていた。本当は黒乃と訪れるべきだったのかも知れないが、少し1人になりたかったってのはある。なにも黒乃が負担とかそんなふざけたことをいっているのではないが、今の心境は少しばかり複雑だ。

 

 狙われているのは黒乃であって、束さんからすると俺たちは部外者以外の何者でもないだろう。そうなると、黒乃はきっと俺たちを巻き込んでしまったと思っている可能性がある。戻ったらしっかり想いは伝えるつもりだが、やはり自分の時間は互いにあるべきだって考えた。

 

 1人で向かいたい場所があると今朝伝えると、黒乃は俺を快く送り出してくれた。黒乃には自分のことに集中してもらうとして、代わりに2人の元にやってきたというわけだ。前に来たのは、俺たちが付き合い始めた報告をしにだったかな。

 

 2人の墓に買っておいた花を添えると、訪れるまでに起こった出来事を語りかける。黒乃が昏睡状態になった件については、心底から謝っておいた。生きていたら俺のせいなんかじゃないといったのだろうけど、2人の大事な黒乃を預かっておいての体たらくだ、謝っておかないと筋が通らない。

 

 ただ、あまり気負うと逆に心配させてしまうというのは理解してる。代わりといってはなんだが、黒乃と必ず幸せな家庭を築くと誓っておいた。そうすれば、きっと2人も喜んでくれたと思う。父さんも母さんも、孫の顔を楽しみにしているかも知れない。

 

「全部終わったらまた来るよ。今度は必ず黒乃と一緒に」

 

 最後に力強くそう語りかけると、俺は立ち上がって墓場を後にした。吹きすさぶ寒風の中歩を進めることしばらく、さてこれからどうするかと考えが浮かんだ。残るであろう悔いは今ので済ましたが、黒乃の元に戻るにはあまりにも早すぎる。

 

 だからといってアレをやっておきたいとか、コレをしておきたいということがあるわけでもない。別に黒乃と共にあれれば後悔なんて浮かぶはずもないしな。とはいえ黒乃の時間を確保するためにも出かけたのは間違っていないのだから、無意味でも街へ繰り出してみることにしよう。

 

 そうして電車に揺られることしばらく、俺たちがよく利用している繁華街まで辿り着いた。冬休み最終日ということもあってか、学生らしき少年少女が多くたむろしている。最後だから思い切り楽しもうというのは解かるが、本当に最後になってしまうかもと思うと少しやるせない。

 

 いや、なにを縁起でもないことを。終わらせないために俺たちが頑張るのであって、みんなにとっては単なる日常だ。まぁ、黒乃との未来を生きていくためっていうのが俺の戦う動機なんだけど。前もいったが、結果的にみんなも救われるんだからオッケー……だよな?

 

「あれ? おい、一夏じゃねぇか」

「弾、それに数馬。奇遇だな」

 

 特に目的もなく人込みを縫うように歩いていると、バッタリ数少ない男友達と出くわした。毎度ながらお約束のように行動を共にしている弾と数馬の2人。曰く、やはり冬休み最終日だからということらしい。蘭も誘ったらしいのだが、向こうは向こうで友達と遊んでいるそうだ。

 

「しかしどうしたよ、1人で出かけて。黒乃はどうした?」

「あっ、さてはケンカとかして――――」

「なわけないだろ、殺すぞ」

「いやっ、冗談で――――め、目ぇ怖いってば!」

 

 俺が1人で居ることが不思議なのか、弾はイジる目的でそう聞いてきた。数馬もそれに便乗しようとしたらしいが、ワードのチョイスが悪かったな。俺と黒乃がケンカなんかするわけないだろ、馬鹿か。それはつまり俺が黒乃になにかしらの不満を抱かないと起き得ない。

 

 そうなると、俺にとっては侮辱に等しい言葉だ。たとえ本人が冗談のつもりだろうと、許容してやる気になれない。数馬の冗談にかぶせるようにして遮れば、殺気が漏れてしまったらしく酷く怯えてしまった。ひっ、なんて声を漏らしつつ、弾の後ろに隠れるほどだ。

 

「あ~……とりあえず落ち着け、マジで恐ろしい。ホント勘弁してください」

「わ、悪い……。そこまで怖がらせるつもりはなかったんだ」

「く、黒乃のことになると人変わり過ぎなんだよバーカ!」

「威勢のいい言葉を俺に隠れながら言うな」

 

 なにやら弾も頬を引きつらせ、手をブンブン振りながら落ち着くよう促してくる。こちらに関しては冗談のようにはみえず、今の俺は本当にそれくらい怖かったのだろう。とりあえず心を落ち着かせてみると、数馬が元気になったから大丈夫みたいだな。

 

「えっと、なんかホントにスマン」

「じゃあなんか奢りな!」

「お前すぐそれだよな。まぁ構わないけど。臨時収入もあったし」

「臨時ってもしかしてお年玉か? いいのかよ」

 

 数馬があまりのも怖がるもので、重ねて謝っておいた。すると弾の背後から横へピョンと飛び出しながら、俺に対価を要求してくるではないか。悪く思っているのは本当だし、数馬がそれを望むのなら応えなくてはならないだろう。言葉通りに財布に余裕があるからってのはあるが。

 

 弾はそれがお年玉だと察して遠慮気味なようだが、正直なところお年玉で済ませていいのか難しいような額を確保できているから問題はない。近江重工社長に貰いましたと話すわけにもいかないから、そこは適当に誤魔化しておくことにする。

 

 で、当然だけどそれからは行動を共にする流れに。よくある男子高校生の休日というか、複合型アミューズメント施設へ直行。施設内のゲーセンで遊んだり、ボウリングで遊んだりだ。それら全てを俺が奢りということではなく、むしろ俺たちの間でそういうのなら――――

 

「いやぁ、一夏やっぱスポーツは強ぇな」

「ま、そのぶんゲームがイマイチだけど」

「うるさいな。黒乃についてけるレベルのお前らがおかしいんだよ」

 

 奢りといえば基本的に飯になるというか、昼時ということでファミレスにて金を払うことに。もうそれぞれ食事そのものは終わり、後はドリンクバーを利用しながらグダグダ会話を続けていた。本当は店側に迷惑だろうから止めた方がいいのだろうが、久しぶりの友人との会話には華が咲いてしまう。

 

「で、どうなんだよ?」

「いきなり過ぎるし主語がないぞ。なにがどうなんだよ、弾」

「しらばっくれんなよ、黒乃との惚気を聞いてやるつってんだ」

 

 弾がニヤニヤしながら切り出してきたからなんとなくの察しはついたが、話は俺と黒乃の諸々についてとなった。惚気って、弾と虚さんはどうなんだよ――――って返してもよかったんだが、今回は止めておこう。俺も嫁自慢したくなかったといえば嘘になるし……。

 

「まぁ、答えられる範囲ならな」

「じゃ、黒乃とどこまでいったか白状しろ」

「いきなりかよ。いくともまでいった。後は籍入れて式やるだけだな」

「こんチクショオオオオオオっ!」

 

 弾は俺の照れを狙っていたかも知れないが、残念ながらそういうのは無意味だ。俺からすれば恥ずかしいことでもないのでサラッ語ると、弾はうわコイツつまんねぇみたいな顔して返してくる。数馬に至っては叫びながらテーブルに突っ伏す始末。他のお客さんにみられてるから止めなさい。

 

「畜生っていわれてもなぁ……」

「うっ、ぐぅ……! 俺は俺なりに気持ちに整理はつけたんだ……。黒乃が幸せならそれが1番ってぇ……! 今のなしだ……大切にしろよ馬鹿野郎ぉ……!」

「……ああ、ありがとな」

 

 数馬は数馬なりに、本気で黒乃に惚れていたんだと思う。顔を上げた数馬は鼻声だし涙ぐんでるし、泣く手前というのは察しが付く。それでも、俺と結ばれることが黒乃の幸せならと、俺たちを応援する言葉をくれた。なんというか、俺まで泣いてしまいそうだ。

 

 正直なところでそんなことはいわれなくても解かっているが、俺が思っているそれ以上に大切にしないとならなくなったようだ。数馬はどうしようもない奴だが、こういうところがあるから憎めない。そう思うと、出会えてよかったなって心から――――

 

「式には呼べよな。あっ、そういえば爺ちゃんがガキの顔もみたがってたぜ」

「ああ、いってたな……嬢ちゃんの子をみるまでは死なねぇって」

「爺ちゃん、黒乃の爺ちゃん気分みたいだからなぁ」

 

 先ほど冷静に数馬のことを考えたせいか、今度は弾に注目してしまう俺が居た。なんというか、クール気取ってるけどいろいろ残念なやつ。だけどただ残念なんかじゃなく、江戸っ子気質なとこも持ち合わせていて情に厚い面もある。

 

 俺が黒乃のことで悩んでいるとき、最も相談に乗ってくれたのは弾だった。それも俺から乗ったのではなく、弾はそれとなく話をそういう流れに持っていくのが上手いし聞き上手でもある。今思えば、兄貴みたいな存在だったのかもなぁ……。

 

「なぁおい、大丈夫か一夏」

「へ、なにが?」

「心ここに非ずってやつだな。数馬くん優しいからね、黒乃が恋しいなら解散でもいいんだぜとか提案しちゃう」

 

 ふと、とある考えが浮かんだせいでボーっとしてしまったらしい。気づけば、2人はどこか心配そうな表情を浮かべていた。あぁ、やはり俺の考えは間違っていなかったようだ。この2人も、俺にとっての数少ない友人は――――間違いなく後悔だった。

 

「なぁ」

「なんだよ」

「俺、弾と数馬に出会えてよかったよ」

「ヘッ、感謝しろよ~? 俺らみたいなダチ他にいねぇぞ。な、弾」

「おうよ、野暮だから同じことは言ってやんねぇかんな」

 

 2人が俺の言葉をどう受け取ったのかは図りかねるが、なんだか得意気な表情を浮かべながら肩を組んでみせた。あぁ……本当に、後から悔やむ前に伝えることができてよかったな。感謝はしているけど、こういう時でもなければそれは叶わなかっただろうから。

 

 この星の元に産まれ集った俺たちだが、これが奇跡であることをこういうタイミングでしか実感できないというのはとても贅沢な話だ。……これはどうやら、全て終わったら会いに来なければならない人が増えたな。弾や数馬だけじゃなく、蘭や厳さんも……。

 

「んなことより続きだ続き! 根掘り葉掘り聞いてやるからな」

「涙目になるくらいなら止めとけっての……。つーか、数馬もそろそろ新しい恋を始めろよ」

「ざっけんな、告ってもない癖に勝ち組気取んなやクソヘタレ!」

「あ? やんのかコラ。この際だから言っとくけどな、お前かなり黒乃に――――」

「止めとけ弾、それいったら数馬がショック死する」

 

 話の続きをと数馬はまくし立てるが、空元気なのか目元には僅かながら涙が溜まっていた。それを呆れた様子で弾は指摘するが、どうやらいい方が気に入らなかったらしい。まぁ……デートはしたと小耳に挟んだが、友達以上の状態をキープしているのに上から目線は気に障るかも知れない。

 

 数馬はそれを端的にヘタレと称するが、そしたら今度は弾が喧嘩腰に。弾、あまりに気に障ったからってそれだけは本当にいってやるな。割と黒乃に迷惑がられてたなんて聞いた日には、本当に数馬の明日は何処へ向かってしまうか解からない。

 

 とりあえず弾は制しておいて、強引に惚気を告白するという形で仲裁を取った。なんとか2人も食いついてはくれたのだが、何が悲しくて仲裁目的で惚気なければならんのだ。その後しばらく話を続けてから、どうにもいたたまれなくなり俺は逃げるように帰ることになってしまった……。

 

 

 

 

 

 

(15時頃か……。ま、妥当なとこだな)

 

 近江重工地下施設に戻った頃には、時刻は15時を指していた。もともと暇を潰すつもりではあったし、このくらいの時間なら黒乃も十分に自分の時間を過ごせたろう。他のみんなも気になるところだが、そこは各々が好きにしたと思うしかないか。会いに行っても迷惑な可能性もある。

 

 それなら、残された時間を黒乃と過ごすことにしよう。あ、もしかしたら黒乃も出かけてるかも知れないな。それならそれで、黒乃を探しにまた出かけてもいいんだが。とりあえず話は自室に戻ってからだな。何度か迷子になったりしたが、2週間もすれば慣れたものだ。

 

 アリの巣のように複雑な通路を、なにも考えずにスイスイと歩いていく。そしたら俺の目の前にあるのは自室へ繋がる扉だ。ロックがかかっていないことをみるに、どうやら黒乃は中に居るらしい。昼寝したりしていることを考慮しつつ、あまりうるさくならない程度に入室した。

 

「ただいま、黒――――」

 

 すると、俺の視界に映ったのはとんでもない光景だった。黒乃がベッドへうつ伏せになり、まるで縋るようにシーツをギュッと掴んでいる姿だ。こんなもの、黒乃が今どんな状態かなんてすぐ解かる。これはどこからどうみたって、明日の決戦を前にナーバスになっているに決まって――――

 

 その瞬間、とんでもない罪悪感のようなものが俺の全身にのしかかった。やはりずっと寄り添うべきだったろうか。1人の時間なんて必要なかったのだろうか。もしそうなら許されることじゃない。世界なんかよりよほど大切な存在を、不安にさせてしまったということなのだから。

 

「黒乃」

「…………!?」

 

 黒乃の甲へ優しく手を重ね、指を滑らせることでそれとなく閉まっていた手を開かせた。どうやら黒乃は俺に気づいていなかったようで、ビクリと身体を跳ねさせてから慌ててうつ伏せの状態を解除する。俺はそれに合わせて、靴を脱いでスプリングを軋ませながらベッドへ乗った。

 

 そして黒乃の顔を覗き込み、柔らかな頬に指の背を這わせた。……涙の痕もなければ泣き腫らしたような様子も見当たらない。涙が出るほど追い込まれている、とまではいかないようだ。黒乃は相変わらずの無表情で、そうであろうということしかいえないのだが。

 

 そんな自分を歯痒く不甲斐ないと思うのと同時に、なぜこんなにも愛しいのだろうと思ってしまう。他の男はどうだろうか。表情を上手く出すことのできない黒乃を、真に愛することができただろうか。もしもできたと仮定したとして、それでも黒乃をここまで想うことができるのは――――

 

(絶対に俺だけに決まってる)

「…………!」

 

 黒乃を横抱きで持ち上げると、俺の膝に座るような状態にさせた。羽のように軽い、というのは流石に誇張表現だが、腕や膝にかかる黒乃の体重はちゃんと食べているのか心配になるほどだ。しかし、この絶妙な重量がなんとも心地よい。

 

 俺の意図は黒乃に伝わらないだろうが、とにかく黒乃を見つめることに終始したかった。ジッとその美貌を眺めてみるも、やはり表情は微塵と変わらない。そうさ、きっとそこらの連中はこの感じに物足りなさを覚えるに決まってる。なにをそんなもの感じる必要があるんだ。こんなにも愛しい女性が、腕の中に居てくれるのだからそれで十分じゃないか。

 

「…………」

「顔、逸らさないでくれ」

「…………」

「そうだ、真っ直ぐ俺を見ていてほしい」

 

 無言でそのまま眺めていると、ふいに黒乃は顔を頷かせた。恥じらいということは理解できるが、それを推してもまだみつめていたい。黒乃にみつめられていたい。そんな想いが先行し、俺は思ったことをそのまま口に出した。少し躊躇う様子も垣間見えたが、再び俺たちの視線はぶつかる。

 

 頼んだのはこちらの方だというのに、黒乃の熱い眼差しをまえにすると、全く同じように逸らしてしまいそうになる。俺はそんな感情をグッと堪えて、まるで我慢比べのように凝視を続けた。だが時が経つにつれ顔に熱が集まり、心臓の鼓動も激しさを増していく。

 

 ……今思えば、俺って全然慣れる気配がないな。何度も愛を囁き、何度も唇を重ね、身体すら何度も重ねたというのに、黒乃との触れ合いで動機が速まらないことがない。本当に、いつだって心臓がうるさくて仕方がないんだ。それに、切ない感じがして痛みすら覚える。

 

「……聞こえるか?」

「…………」

 

 俺は自然と黒乃の頭を抱き込むようにして、左胸に耳が当たるような体勢をとった。きっと黒乃の耳には、ドクドクと高鳴る鼓動が届いていることだろう。気恥ずかしくはあるのだが、なぜか黒乃に聞いて欲しい俺がいた。そう、俺が黒乃の隣で生きている証を――――

 

 ……そういえば、前に黒乃の鼓動も聞かせてもらったことがあったな。響く心音を耳にしていると、なんだかとても安心できたのをよく覚えている。なるほど、本能的に黒乃を安心させようって思ったのかも知れないな。よしよし、ファインプレーだ俺。

 

「生きてるよ」

「…………」

「俺はここで、黒乃の隣でちゃんと生きてる」

「…………!」

 

 だから心配しなくていい、不安にならなくていい――――というのは止めておく。いくら俺の想いが本物だって、ターゲットにされている黒乃からすれば無責任な言葉でしかないだろう。だから伝えるのは、俺は大丈夫という言葉のみ。黒乃の隣ならばどこでも生きることができるから。

 

「――――たい」

「ん?」

「ひとつに……なりたい……」

 

 ボソリと、蚊の鳴くような音量で黒乃の声が響いた。流石に聞き取れなかったのでそれとなくもう1度と促すと、相変わらず小さな音量だが黒乃は確かに俺を求める旨の言葉を放った。その瞬間、まるで全身の毛が逆立つような感覚が身体を走り抜ける。

 

 黒乃の言葉はまるで魔法かなにかのようで、俺を一瞬にして男から獣に変えたのだ。気づけば俺は黒乃を組み敷き、柔らかな唇を強引に貪っていた。口内から分泌される甘美な唾液を求め、必死に舌を暴れさせ夢中で吸い尽くす。それを飲み下したと同時に思う。本当に獣と変わらない――――って。

 

「黒乃」

「…………?」

「最初に謝っとくな、本当に悪い。なんかいろいろ我慢できなさそうだ」

 

 唾液まみれになった口元を拭いながら、蕩けた様子の黒乃を見下ろす。するとどうだ、いつも以上の劣情を感じずにはいられない。……最低な考えかも知れないが、正直なとこしおらしくしている黒乃が可愛くて仕方がなかった。構わずにいられないというか、慰めずにはいられないというか――――

 

 多分、正確に表現するのならこうだ。不安なんて感じてはいられない程の快楽の中で溶け合いたいとか、そんなところだろう。……己の欲望を理解したところで、それはより己を興奮させる材料でしかないのだが。もうダメだ、我慢できない――――という旨は黒乃に伝え、俺は己が欲望へ完全に身を任せた……。

 

 

 




黒乃視点がないのはとある理由から。
まぁ、別のところで続きを書く可能性があるので。
もし書いた場合はそちらで描写します。
特に重要でもないので問題はないかと思われます。

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