ISー無限の軌跡ー(スランプ中につき更新速度低下中)   作:ハマトラ

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いよいよ彼女の出番です!

その日、1組の教室は阿鼻叫喚に包まれた


第24話 ラウラの謝罪と愛しき人

SHRの後、一夏とマドカと蒼也、そしてラウラは職員室の千冬の元へ来ていた。無論、小さくとも騒ぎ起こした為、ラウラは宝具『制裁下す書物』を受けて涙目になりながら頭を抑えている。

 

千冬「全く・・・・・・まあお前も悪気があったわけじゃ無いわけだから大目に見よう。さっきも言った通り、こいつは特殊な出自でな。今回の様に突拍子も無い行動に出る事があるが、根は純粋な奴なのだ。仲良くしてやってくれ」

 

マドカ「びっくりしたよ、いきなりナイフ出して来るんだもん」

 

ラウラ「む・・・・・・・・・すまない」

 

千冬「まあいい、話は終わりだ。授業に遅れない様にな」

 

職員室を出た4人はすぐに自分達の教室に戻る。その途中、突然立ち止まった。

 

蒼也「ん、どうした?」

 

ラウラは床に座り込み、おもむろに頭を下げた。突然の土下座に3人共困惑してしまう。

 

ラウラ「・・・・・・・・織斑一夏、お前にドイツの軍人として政府に代わり謝罪させてくれ!」

 

一夏「し、謝罪?」

 

ラウラ「約2年前、モンド・グロッソに出場していた教官の応援で来ていたお前が、教官を狂信する女性利権団体に拉致された時の事だ。私も当時、新兵として捜索に当たっていた。にも関わらず、見つけ出す事ができなかった!もし亡国機業に協力を要請していなかったら、お前は奴らに殺されていただろう、本当に・・・・・・・・済まなかった」

 

あの日、一夏が"ヴァルキュリアの槍"に拉致された時の事だ。当時ドイツ軍は新兵を含む集められるだけの戦力を投入して一夏の捜索を行った。

しかし、敵の隠蔽工作にはまり見つけ出せず、犯人達の性格上、一夏の命の危険を察知した軍はすぐさま亡国機業に捜索、救助の協力を依頼した。

当時のラウラはただ与えられた使命をこなしている程度にしか思っていなかったが、千冬の元で教えを受けて、次第に罪悪感を抱きはじめた。

これはラウラにとって誠心誠意を込めた謝罪だった。

 

一夏「・・・・・・・・・頭を上げてくれ、ラウラ。何もラウラやドイツ軍の人達が悪いわけじゃ無い。それに俺はこうして生きてる。だから顔を上げてくれ。」

 

ラウラ「織斑・・・・・・」

 

一夏「俺の事は一夏でいいよ。改めて、これからよろしくな」

 

ラウラ「・・・・・・・・ああ、こちらこそよろしく頼む。一夏」

 

指し述べられた手を取り立ち上がるラウラ。その表情は少し晴れやかになっていた。そして丁度予鈴が鳴り、4人は慌てて教室へと戻って行った。

 

 

 

 

 

マドカ「ところでラウラ、なんで土下座?」

 

ラウラ「日本では誠心誠意謝罪する時はDO・GE・ZAをするものだと私の副官が言っていた」

 

蒼也「間違っちゃいないとは思うが・・・・・・・何かがズレてるような・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、地下の懲罰房にて、扉が開いて臨時養護教員のトワが箒のいる部屋に入った。

 

トワ「おはよう、箒ちゃん!昨夜はよく眠れた?」

 

反応は返ってこない、何度も訪れているが、箒はずっと部屋の隅でうずくまったまま一歩も動いていなかった。

すぐ傍の食事も手付かずのままトレーの上に置かれていた。

人は心に深く傷を負うと、頭のスイッチを切って思い出や空想の中に閉じこもる。まさに今の箒がそうだった。

 

トワ「箒ちゃんはずっと剣道やってたんだね、全国大会優勝なんて凄いよ!部活でも頑張ってたって聞いたよ?」

 

一瞬ピクリと反応するが、それだけだった。以降、トワが一方的に箒に話しかける状態が延々と続いた。まるで物言わぬ人形と話している様にも見えた。

 

トワ「ふぅ・・・・・・・随分話し込んじゃったね。それじゃあ、私は今日この辺で失礼するね」

 

トワはひとしきり話した後、切り上げて部屋を出る。部屋の入口で立ち止まり、振り向くと、箒が今だ光の灯っていない瞳でこちらを見つめていた。

 

トワ「いつか、箒ちゃんが"その中"から出てきてくれるって信じてるよ」

 

扉が閉まり、箒は再び顔を伏せる。そして、在りし日の一夏との思い出に浸りながら、閉じこもった。

 

 

 

 

 

 

 

放課後、蒼也はぼんやりと空を眺めていた。ゴールデンウィークの間、蒼也は本社に戻り統括のオータムの仕事の手伝いをしていた。

ふと思い出すのは、オータムに拾われた時の事だった。

 

 

 

オータム『大丈夫か?わりぃな、加減する余裕無くてな』

 

蒼也『IS・・・・・・』

 

オータム『おいおい、そんな睨むなよ。何もしねぇって』

 

蒼也『信じられるか!!お前らIS乗りなんて皆同じだ!!!!男を奴隷にして、見下して、死ねばゴミの様に簡単に捨てる!お前らなんか皆地獄に堕ちればいいんだ!!』

 

オータム『お前もか・・・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今でも思い出す光景だった。故郷に溢れかえる女尊男卑主義者、奴隷の様に強制労働を強いられる男性、町中に転がる男性の死体とそれを道端のゴミの様に踏み付けて歩く女達、嫌な記憶が蘇り顔を歪めていると、背後から近付く気配を感じた。

 

??「だ~れだ!」

 

目を隠されるより早く振り向き、拡張領域からクロスレイヴンを取り出して銃口を後ろの人物に向けた。

 

蒼也「いきなりなんだよ、生徒会長」

 

楯無「あら残念、背後取れると思ったのに」

 

背後の人物、学園の生徒会長の楯無があの謎の扇片手に立っていた。その扇には「鋭い!!」と書かれていた。

 

蒼也「んで、今日はなんだ?」

 

楯無「偶然貴方を見かけたから追ってみただけよ、大丈夫?ちょっと顔色悪いけど」

 

蒼也「大丈夫だ、ちょっと嫌な昔を思い出していただけだ」

 

楯無「・・・・・・・・そう、聞くのは野暮だったわね」

 

蒼也「気にすんなよ、俺は大丈夫だ」

 

蒼也はそう言って、楯無の横を通って寮に帰って行った。

 

楯無(大丈夫、ね・・・・・・・)

 

楯無はただ小さくなって行く蒼也の後ろ姿を見えなくなるまでずっと見続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、一夏と蒼也が教室に入ると、女子達がISスーツの話で盛り上がっていた。理由は、今日から本格的にISの実技訓練が行われるからだ。

 

相川「ねえ、織斑君達のはどこのメーカー?」

 

織斑「俺達のは亡国機業が特注でオーダーしてくれたんだ。男性用は無かったからな」

 

そこに真耶が話に加わり、ISスーツの詳細を教えるが、女子達から癒しキャラ認定されている真耶は複数のあだ名で親しまれている。

ただし『ヤマヤ』というあだ名にはトラウマがあるらしい。

 

千冬「おはよう諸君、今日からISによる本格的な実技訓練が行われる。各自、支給されたISスーツを忘れない様に、忘れた者は・・・・・・まあ、下着でも問題あるまい」

 

一夏・蒼也「「問題大ありです!!!!!!」」

 

千冬「真に受けるな、冗談だ。さてその前にボーデヴィッヒに続き、また転入生を紹介する。本来ならば春から入学の予定だったが、家庭の事情で入学が遅れてしまったのだ。では、入ってくれ」

 

教卓側の扉開き、入ってきた生徒に一夏は目を見開いた。見覚えのある金髪、そして吸い込まれそうな綺麗なアメジストの瞳、忘れるはずが無い。

自分の心に残る傷を理解して、それでも好きと言ってくれた愛しき人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャルロット「フランスから来ました、シャルロット・デュノアです。これからよろしくお願いします!」

 

中性的で女子でも見入ってしまう容姿に教室中が見とれてしまった。そして、シャルロットは一夏のすぐ隣に行くと一夏もすぐ立ち上がった。

 

シャルロット「・・・・・・・・・久しぶり、一夏」

 

一夏「・・・・・・ああ、本当に久しぶりだ。」

 

シャルロットは一夏に身を預けて、一夏はシャルロットを抱きしめる。あの日と同じ温もりが伝わってきたのを感じた。

 

シャルロット「・・・・・・・・ずっと会いたかった。」

 

一夏「ああ、俺もだ。こうしてまた会えて・・・・・・・君をまた抱きしめることが出来て、本当に嬉しいよ」

 

二人だけの世界に浸っているが、ここは教室である。当然、周囲は呆然となりマドカは開いた口が塞がらず、セシリアは微笑ましそうに見ていた。そしてーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

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この日、1組の教室は阿鼻叫喚に包まれた。

 

 




割と平和な亡国機業③ギャンブル、ダメ、絶対!


これは亡国機業が日本に移設する前の事、路地裏で若い男達がたむろってポーカーをしていた。

「カラスマ!お前今日は羽振りいいな!!」

蒼也「解る?ボーナス入ったからな~今日は稼ぐぜ!」

「ほ~何でだ?」

蒼也「そりゃもちろ、ん・・・・・・・・・」

聞き覚えのある声に蒼也は硬直し、顔から冷や汗が滝の様に流れる。ゆっくり後ろを振り向くと、そこには鬼が立っていた。

オータム「よぉ・・・・・・・・・・珍しい所で会うな、蒼也」

蒼也「と、統括・・・・・・・・どうして?」

オータム「んなこといいだろう、賭けはやるなって・・・・・・・・・言ってるよなぁ」

蒼也「え、えっと・・・・・・・・・その・・・・・・・」

オータム「・・・・・・・ちょっと裏来い」

蒼也「すんませんしたぁああああああああ!!!!!!!!」

直後、全身ボロボロの蒼也を引きずるオータムの姿が目撃され、以降蒼也が賭けに手を出す事は無かった。

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