ISー無限の軌跡ー(スランプ中につき更新速度低下中)   作:ハマトラ

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タグに亡国機業は味方とありますが、アンチってわけでも無いので付けませんでした


第1話 亡国機業

ーーーードイツ

 

ドイツの国際IS競技場は凄まじい熱気に包まれていた。第2回の開催となるISの世界選手権、モンド・グロッソの決勝戦が今日行われようとしていた。

何より、この決勝戦に前回の優勝者、織斑千冬が出ることもあり当日チケットも1時間足らずで完売となっていた。

しかし、当の織斑千冬の控え室はそんな会場とは別の意味で騒がしかった。

 

千冬「放せ!私は一夏を助けに行く!!」

 

決勝戦を控えた千冬を数名の黒服の女性が抑えていた。その目の前には女性達の上司らしきいかにも偉そうな女がドアの前を陣取っていた。

 

「それは許しませんよ、貴女にはこのまま決勝戦に出て優勝してもらわなければいけません」

 

千冬「貴様!一夏を見捨てろと言うのか!!!!!」

 

「大義に犠牲はつきものですよ、何より"たかが"男の1匹死のうと我々には関係ありませんし」

 

千冬「貴様!!!!!」

 

??「先輩!落ち着いてください!!」

 

激昂した千冬が自身のISを起動しようとすると、横から小柄な少女に止められた。日本の代表候補生で千冬にとっては後輩的存在の山田麻耶だ。

 

千冬「放せ麻耶!こいつだけは!!!!!」

 

麻耶「今ここで熱くなっても弟さんは見つかりませんよ!!」

 

麻耶に宥められ渋々ISから手を離すと拘束していた黒服も拘束を解く。

 

「それでいいんですよ、貴女にはこれからも日本の為頑張ってもらわなければなりませんからね」

 

部下に監視を任せるとどこか満足げに意気揚々と控え室を出て行った。

 

 

 

 

 

 

麻耶「・・・・・・・すみません、先輩。まさか政府の女尊男卑主義者がこんな横槍を入れてくるなんて・・・・・」

 

千冬「お前が謝る必要がどこにある、私はそれよりも無力な自分が憎い!」

 

千冬は近くの壁を勢いよく殴りつける、壁にヒビが入り、震える拳から血が滲み出る。

 

千冬「何が世界最強だ!何がブリュンヒルデだ!!私はたった一人残った大切な家族も守れないのか!!!!!」

 

かつて織斑千冬には両親と二人の弟妹がいた。しかし、ある日両親は唐突に妹を連れて消えた。

玄関に乱雑した妹の所有物から無理矢理連れて行かれたことはすぐ理解出来た。

それから千冬は残った弟だけでも守ろうと苦学しながらも友人に支えられながら生活費を稼いだ。日本の国家代表となってからも自分のことより弟のことを大切にした。

弟の為ならどんな辛い事もやってきた、前回のモンド・グロッソで優勝したのもその為だ。がさつな自分の代わりに家事をしながら自分の勝利を信じてくれてる弟の為に勝ち進み優勝の栄冠を手にした。

 

このまま決勝戦に勝ち、はるばるドイツまで応援に来てくれた弟に優勝台の景色を見せてやるつもりだった。

そんな時、現地スタッフから信じられない情報が入ってきた。

弟、織斑一夏がISで武装した集団によって拉致されたとのことだった。千冬はすぐドイツ政府に捜索を依頼して自分も行くつもりだった。

しかし、それを許さない政府の横槍で控え室に軟禁された。

己の無力を嘆く千冬にプライベートチャンネルの通信が入った。開くとそこには見知った顔があった。

 

??『よう千冬、柄にもなくしみったれた面してるじゃねぇか』

 

千冬「お前・・・・・・・・・オータム!?」

 

オータム『久しぶりだな、去年のモンド・グロッソ以来だな・・・・・・・っと前置きはいいか。事情は政府の馬鹿共から掻っ攫った情報で理解してる。千冬、お前は決勝戦に出ろ』

 

千冬「!!お前も一夏を見捨てろと言うのか!?」

 

オータム『そうじゃねぇよ、さっきドイツ政府から正式に要請を受けた。一夏の捜索、救助は私ら亡国機業(ファントムタスク)が請け負った!』

 

亡国機業、去年のモンド・グロッソ終了後、当時のアメリカ国家代表のスコール・ミューゼルによって設立され、各国に構成員を派遣し要人警護から女性利権団体の様なテロ組織の鎮圧まで短期間で幅広く実績を残す世界規模の民間軍事企業だ。

 

千冬「オータム・・・・・」

 

オータム『ウチのエージェントナメんなよ、"手土産"が二つあるからよ。優勝トロフィー持って弟に見せてやれ!』

 

千冬「ああ・・・・・・・もちろんだ!!!!!」

 

プライベートチャンネルを閉じて涙を拭う、千冬の目に光りが戻っていた。

 

麻耶「いい友人を持ちましたね、先輩」

 

千冬「まったくだ、そろそろ時間か。さて、さっさと片付けて一夏に優勝トロフィー見せびらかしてやるか!」

 

千冬が控え室を出ると、先程の女と部下が政府の人間によって取り押さえられていた。先程オータムの言っていた手土産の一つが、これだと理解して千冬はピットに立つと自身の専用機を展開した。

ピットの向こうから歓声が聞こえてくる。

 

千冬「織斑千冬、"暮桜"出るぞ!!!!!」

 

千冬は愛機と共にピットから飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

???side

 

夢を見た、遠い日の・・・・・・・・姉と妹と楽しそうに笑いあっていた頃の夢を、こんな楽しい日々がいつまでも続くと思っていた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー千冬姉?マドカは?

 

一夏・・・・・・マドカが・・・・・マドカがーーーーーーー

 

 

 

両親が妹を無理矢理連れて消えたと聞かされた時のあの日の千冬姉の泣きじゃくった顔が今でも忘れられない。

 

 

 

 

 

冷たい何かをかけられて意識が覚醒する、それが水だと理解した瞬間全身から痛みがはしる。

後ろ手に拘束されて身動きが出来ない。

そうか、俺は目の前のISを使う集団、多分女性利権団体に手も足も出せず拉致されてリンチを受けてたんだったな。

 

「呑気なものね、捕まったのに寝てるなんて」

 

「低脳な男は危機感も無いんでしょうね」

 

「静かに!もうすぐ千冬様の試合が始まるわよ!!」

 

テレビにはモンド・グロッソの実況生中継が映し出され、ピットから勢いよく飛び出した千冬姉が映し出された。

 

「ああ・・・・・・・千冬様」

 

「いつ見ても凛々しい・・・・・・」

 

「そう、千冬様は我々の崇拝する神に等しきお方、その千冬様にこの汚点は不要!」

 

 

リーダーらしき女性はヒステリックな口調で喋りながらISの銃をこちらに向けてくる。

そうか、俺はここで死ぬのか・・・・・・・

 

「織斑一夏、貴様という異物を排除して、やっと千冬様は崇高な存在となられる!」

 

そういえば鈴や蘭に今度買い物付き合えって言われてたっけ・・・・・・・・謝りたかったな

 

「男の分際で千冬様の寵愛を受けるなんて分不相応な愚行の罪を我等が裁く!」

 

数馬が貸してくれたDVDも返し損ねたな・・・・・・・・・弾に貸した「零の軌跡」も返してもらってなかったな・・・・・・・・

何より・・・・・・・・・

 

「男の分際でこのISの力で銃殺刑にしてやることを光栄に思うがいい!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マドカ・・・・・・・・・せめて最後に・・・・・・・お前に会いたかったな・・・・・・・

 

 

 

 

 

???終了ーーー

 

 

 

 

 

???「やらせるか!!!!!」

 

発砲されるより早く部屋の窓が一斉に割れて何かが侵入する、それは12機ものビットだった。

そして次に、壁が破壊されて、蝶のようなデザインと蜘蛛のようなデザインのISが入ってきた。

 

オータム「よし、生きてるな!M!!私は一夏を連れて離脱するから好きに暴れてから帰ってこい!」

 

オータムは先程の衝撃で気絶した一夏をISから飛び出した糸で保護すると後退した。

 

???「さて、あの人に手を出して無事でいられると思うな!!!!!」

 

Mと呼ばれた少女の怒りの咆哮と共にビットが踊り、四方八方からの集中砲火を浴びせて収まる頃には全員半死半生の状態になっていた。

 

???「任務完了、合流ポイントに移動します。」

 

少女は女性利権団体を拘束するとドイツ軍が解る様にビーコンを設置して急ぎ合流ポイントに向かった。

 

???「・・・・・・・・兄さん」

 

 

 




今作では亡国企業設立を第1回モンド・グロッソ後にして世界規模の民間軍事企業ってことにしました

次回は・・・・・・再会の時です

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