ISー無限の軌跡ー(スランプ中につき更新速度低下中)   作:ハマトラ

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ここからさらに時間をキング・クリムゾンして原作開始直前になります


灰の騎士と蒼の騎士
第9話 不測の事態は唐突に


亡国機業の本社ビル地下には広い技術棟が存在し、ISの整備用ハンガーからトレーニングルームまで完備されている技術顧問である束にとって自慢の城だ。

 

束「ふーん、デュノア社が第三世代機『シュピーゲル』の試作機と国家代表候補生用専用機『ラファール・リヴァイブカスタム』を発表か・・・・・・・確かにアリさんから頼まれてちょっとだけ手貸してあげたけどここまで仕上げるとはね~」

 

束はコンソールをいじりながら世界中のニュースを見ていた。以前までの束は重度を上回る人見知りで付き合いのある千冬や一夏とマドカ、それと千冬経由で知り合ったオータムとスコール、そして妹の篠ノ之箒以外の人間を認識することが出来なかった。

しかし、亡国機業の技術顧問を受けた後、スコールとオータムの優しい?講義もあり今では人見知りも軽度にまで下がり他人を認識出来る様になった。

それからの習慣でこうして世界情勢をチェックする様になっていた。ちなみに講義の内容を聞こうとすると部屋の隅にうずくまってカタカタ震えるらしい。

 

束「一時期はイグニッション・プランから外されるかって言われてたけど、これで問題無いかな?後は社長さんが復帰すれば・・・・・・・・・・ん?」

 

ニュースを閉じて作業にかかろうとした時、偶然見つけたのは一昨年に誘拐された後の一夏の診断書だった。

 

束「これはまた懐かしいな~・・・・・・・・ってあれ?」

 

診断書に目を通した束は一つの項目を思わず注視してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏サイド

 

冬休みの事件から一年と数ヶ月になった。

シャルとの関係は今も続いている、向こうはテオさんの意識は戻ったもののまだ療養が必要でシャルが学校の合間に付き添っているらしい。

アリアさんは事件の対応から混乱するデュノア社の立て直しまで全て担当し、社内では『裏のボス』と呼ばれる様になったと呆れ半分で話していた。

最近国家代表候補生になれるかも知れないと聞いて、国家代表を目指している友人を思い出したがIS学園の入学は遅れてしまうらしい。

俺の身辺で変わったことがいくつかある。まず千冬姉が帰国後、IS学園に教師として赴任したことだ。

もちろん日本政府に不信感を抱いている為最初は断ったが、後にあれが政府の女尊男卑主義者達による独断であることを説明し彼女達を懲戒免職処分にしたことが伝えられ渋々了承したらしい。

もう一つが、小学高学年からの付き合いだった鈴が親の離婚で中国に帰ってしまったことだ。

特にマドカは仲が良かった為誰よりも別れを惜しんでいた。

そんな周囲の変化もあったが、俺は今日高校受験を控えていた。

 

千冬「一夏、今日は受験だろう?家事なんてしてる場合か?」

 

一夏「受験勉強は万全を期したし、余程のことが無い限り落ちはしないよ」

 

マドカ「兄さん、頑張ってたからね。弾や数馬に教えながら」

 

一夏「あいつらはギリギリだろうな、昨夜も完徹で頑張ってるって言ってたし」

 

マドカはサイレント・ゼフィルスのテスターでもある為、この春からIS学園に入るらしい。受験勉強の心配が無い事を羨んだ弾が騒がしかった為鈴とダブルラリアット・・・・・・・・はもう無理だから数馬のジャーマンスープレックスからのパイルドライバーのツープラトン攻撃で黙らせた。

こういう時鈴がいない事に寂しさを感じてしまい、どうしようも無い感じを弾に四の字固めを決めて晴らしていた。

無論、好きとかそういうのでは無い。俺にはシャルがいるからな。

 

マドカ「またしばらく兄さんとは会えなくなるな・・・・・・」

 

千冬「そう落ち込むな。外出届けがあれば会えるしな」

 

落ち込むマドカを千冬姉が宥める。またこういう風に一緒に生活出来るこの時が一番平和だと思っていると凄まじいバイクのブレーキ音が家の前で止まった。

慌てて玄関を開けると、そこには自身の専用機と同じカラーリングのバイクに乗ったオータムさんがいた。

 

オータム「一夏!よかった~探す手間省けた」

 

そんな事を言っていると、オータムさんはアラクネを部分展開して・・・・・・・・・・・俺を糸で拘束したってなんで!?

 

オータム「千冬、ちょっと一夏拉致るぞ!」

 

オータムさんは答えを聞くより速くエンジンを回して俺を後ろに固定するとトップスピードで飛ばした・・・・・・・・・せめて法定速度は守ってください・・・・・

 

 

千冬「・・・・・・・・マドカ、お前何か聞いてるか?」

 

マドカ「何も・・・・・・」

 

一夏サイド終了

 

 

 

一夏は亡国機業本社に連れて行かれた。オータムは一夏を担いだ状態で地下に下りる、出迎えたのは嫌という程よく知るウサミミマッドだった。

 

束「オーちゃんお疲れ様~そしていっ君ようこそ我が城へ~」

 

オータム「いい加減説明しろ、いきなり『一夏拉致ってこい』とか言ってよ。こいつ今日受験だろう?間に合わなかったら私ら千冬に殺されるぞ」

 

束「ん~それには役者が足りないんだよね~」

 

思わせぶりな態度の束にオータムがアイアンクローを決めていると部屋の外から話し声が聞こえてきた。

 

??「あの~ボス?俺イラクの任務から今帰国したばかりなんスけど・・・・ってかなんです?あの検査」

 

??「文句は束に言って、私もこれがどういう事か聞いて無いの」

 

部屋の自動ドアが開き、入って来たのは元アメリカ国家代表で亡国機業の社長、スコール・ミューゼルと白い髪にバンダナをしたロングコートを来た少年だった。

 

スコール「束、言われた通り本社と全支部の検査をしたわ。そうしたら彼から見つかったけど・・・・・」

 

蒼也「どうも、亡国機業エージェント部の烏丸蒼也ッス。俺イラクから帰って来た途端に変な検査受けたんスけど、何がどうなってるんスか?」

 

束「束さんもわからないんだよね~・・・・・・・・・・ちょっとついてきて」

 

束に連れられ、奥に向かうと奥は整備室になっており黄色い繋ぎを着た太った青年が整備用コンソールを操作していた。

ハンガーには灰色の機体と蒼い機体が置かれていた。

 

??「ああ、篠ノ之博士、その二人が?」

 

束「うん、この出来たおデブ君が私の弟子のジョル君!」

 

ジョルジュ「出来たおデブって・・・・・・・・まあいいや。亡国機業IS整備担当のジョルジュだ。まず篠ノ之博士の説明を聞いてくれ」

 

束「えっと、まずきっかけはいっ君の一昨年馬鹿共に拉致された後の医師の診断書を見つけたことなんだ。この項目見て」

 

束はプリントアウトした診断書の一部分を指差した。その項目とは『IS適正値』だった。

本来この項目は男性の場合空欄となるはずなのだが、その空欄となるべき項目に『A』記載されていた。

 

オータム「おいおい、こりゃなんの冗談だ?」

 

束「束さんもそう思ったからスゥちゃんに頼んでとりあえず亡国機業所属の男全員にIS適正検査受けてもらったんだよ。そしたら・・・・・・・」

 

スコール「蒼也からもIS適正が見つかったのよ。私も思わず目を疑ったわ」

 

束「さて、その結果が間違いか試してみようか。そこにあるのは束さんお手製の最新型、騎神シリーズだよ。いっ君は灰色の『灰騎士』、ソウ君は青い『蒼騎士』ね」

 

束に促され一夏と蒼也はそれぞれハンガー上のISの前に立つ。二人は頷き合うと、同時にISに手を触れた。

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、ISが光り触れた箇所から二人の手にラインが伸びる。そして光りが収まると、そこにはISを纏う二人の騎士がいた。

 

スコール「な・・・・・・・・」

 

オータム「おいおい・・・・・・・・・」

 

ジョルジュ「ほぉ・・・・・・・・」

 

一夏「・・・・・・・・・・へ?」

 

蒼也「・・・・・・・・・・は?」

 

各々が目の前の事態に呆然となる中、束はコンソールを操作してデータを採取していた。 

 

束「お~これは本当に驚いた!まさか今のISに男が反応するとはね~」

 

オータム「まさか男性操縦者が現れるとはな・・・・・・」

 

ジョルジュ「これはマズイですよ!早く手を打たないと」

 

束「手を打つって・・・・・・・IS学園に入学しか無いじゃない?」

 

スコール「でしょうね、何の保護も無しじゃ私達だけで守るには限界があるわ」

 

オータム「となると色々根回し必要だろ?はぁ・・・・・・・・仕事が増えた」

 

束「その心配は無いよ~ポチっとな」

 

束がリモコンの電源を付けると丁度昼前のニュースがやっていて『臨時ニュース』と表示されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『テレビの前の皆さん、繰り返しお伝えします。これはCGでも合成でもありません!匿名の「鏡の国の兎」という人物からリアルタイムで送られて来た映像です。女性にしか動かせないパワードスーツ、ISに男性操縦者が現れました!!』

 

そこにはリアルタイムでこの整備室が映されていた。ちなみに束はちゃっかりカメラの死角に隠れている。音声は遮断されているからか音は聞こえない。

束がコンソールを操作するとテレビの映像も消えたが送られた映像が連続再生で流されていた。

 

束「説明の時間を減らせる為にテレビ局にここの映像リアルタイムで流していたのだ~」

 

 

スコール・オータム「「何やってんだ(のよ)この馬鹿兎!!!!!!!!!!」」

 

そしてオータムとスコールによるダブルラリアットからの連続ツープラトン攻撃が炸裂したのは言うまでも無い。




その時織斑家では



マドカ「姉さん、コーヒー飲む?」

千冬「ああ、ブラックで頼む」

新学期の準備も済み、二人は昼前の一時を寛ごうとしていた。





『テレビの前の皆さん、繰り返しお伝えします。これはCGでも合成でもありません!匿名の「鏡の国の兎」という人物からリアルタイムで送られて来た映像です。女性にしか動かせないパワードスーツ、ISに男性操縦者が現れました!!』


何気なくつけたテレビにて、ISに乗った弟、織斑一夏と見知らぬ少年が映し出され・・・・・・



マドカ・千冬「ブフゥッ!!!!」


二人同時に飲みかけたコーヒーを吹き出したのは言うまでも無い


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