ハイスクール・フリート―Double Girls Story―   作:有栖川アリシア

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突入作戦、始動!!

DDG-A『きりしま』

 

「艦長、総旗艦より武蔵主砲に向けての、トマホークおよび対艦ミサイル発射命令です」

「承認コードを参照して頂戴」

艦長の梅津岬は、下士官が持ってきた紅いカードを確認する。

 

「承認コード、読み上げます――alpha four Echo Charlie」

「このコードは、コード1、海上の戦時におけるトマホークおよび対艦ミサイル各種発射命令です、発射の承認を」

「発射を承認する、この命令は、総旗艦からの命令だと確認された――無線室、これよりトマホークと対艦ミサイルの発射用意にかかる」

『無線室了解』

そういうと、艦長の梅津は、胸につけていた鍵をその鍵穴に差し込む。同時にビーッっという警告音とともに、システムが起動する。

 

「目標 直教艦武蔵主砲!」

「VLSトマホーク準備よし――」

「|一番発射≪ファイヤ・ワン≫!」

ゴゴゴゴゴォッ!ガスンッ!バシュゥゥンツ!!

 

前方のVLSが開き、ミサイルの音と共に、『きりしま』『こんごう』『ちょうかい』『あたご』からトマホークが発射され、『あきづき』『すずつき』『てるづき』『しまかぜ』『あまつかぜ』からハープーンが放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

晴風side――

 

キュイィイイィィンッ!!ゴオォオオォォオオォオッ!!

 

耳とつんざくような音が艦橋に響いていた。

 

「艦長――これは!?」あまり聞きなれない音に驚いている艦橋の面々。見れば、晴風の上空をブルーマーメイドが放ったのと比にならないくらいに大量のミサイルが空をかけていた。同時に、武蔵の攻撃は先ほどのが嘘のように止んでいた。そして、そのミサイルが電波妨害の影響を受けずに飛んでいき、武蔵の主砲とセイルを次々と破壊していく。同時に、そのミサイルの煙幕によって武蔵が煙に包まれる。

 

「今だ!最大船速!」

晴風はその速度を上げていく。目標は武蔵だった。

 

 

 

 

DDH-H83いずも

 

イージス艦と空母の間には、巨大な一隻の艦がその役割を果たすために待っていた。その艦は全通甲板であるが、戦闘機などを離陸させるものではない。その甲板にあるのは洋上迷彩が施されたヘリコプターだ。

そして、この艦こそ、実験艦の中で最大級を誇る艦。同時にヘリを6機運用できる大型艦DDH-H183いずもだ。この艦の艦長、吉野美香はその指令がまだかと待ち望んでいた。

 

「艦長、ヘリボーン部隊準備完了です」

「すぐに発艦できるように準備して頂戴」

「はい」

そういうと、着々と準備が進められていく。

 

『航空母艦赤城より、制空権掌握との報あり』

『大和より、直教艦武蔵へのヘリボーンを要請してきました』

通信室から大和の要請が伝わる。

 

「吉野殿、すこしマイクをお借りしてよろしいでしょうか?」

「あきつ丸さん?えぇ、いいですよ」

そういってきたのは、美香の隣の席に座っていたあきつ丸からだった。美香は特に躊躇うこともなくマイクを渡す。

 

「海兵隊全隊員諸君、司令官のあきつ丸だ、たった今、総旗艦である大和よりヘリボーン要請が入った、我ら、太平洋艦隊海兵隊の存在意義とその真価が試される時が来た、西之島の一件以来、武蔵内部で抵抗し沈静化を図っている乗組員の生命の如何は、ひとえに、諸君の成否にかかっている。細心に、そして大胆に胸のウィングに恥じぬ働きを期待して、訓示とする」

そして、一旦あきつ丸はマイクを起き

 

「今も武蔵で抵抗している勇気ある彼女らを救え!海兵隊!出動!」

そういうと、いずもの格納庫から、雄々しい雄たけびが上がり、そして、飛行甲板にいたヘリに続々と隊員が乗り込んでいく。

 

「艦長!」

「わかったわ!発艦はじめ!」

艦内があわただしく動いていき、すぐにその指令がいずもの航空艦橋に伝わりヘリ部隊が上がっていった。

 

 

 

Brr!!

『こちら艦隊総旗艦、武蔵の全攻撃火器は沈黙、繰り返す、武蔵の全攻撃火器は沈黙、特殊部隊、突入せよ』

ブラックバーンは、チヌークから、眼下の武蔵を見ていた。そして、耳元には艦隊総旗艦からの通信が流れていた。そして、ヘリからのヘリボーンで武蔵に降り立つ。見上げると、第三艦橋では、特殊部隊の が手を振っていた。どうやら、突入の際の合図を待っているみたいだ。

ブラックバーンは、ハンドサインで部下たちに武蔵艦内へ続く扉に近づくように指示をする。

 

「行くぞ」

ブラックバーンの命令で、武蔵の艦内へ続く扉が開かれる。素早く、内部へと侵入していくブラックバーン率いる特殊部隊の隊員たち。まさに機械仕掛けのような正確で素早い動きだ。

もちろん、今回の制圧は彼らだけではない。同じく海兵隊第一師団第1大隊と晴風の突入部隊との半ば共同作戦だ。

晴風の面々は、この後、特殊部隊と合流し、艦橋に上がり、艦長一同を確保。その間に、第一大隊が武蔵の全乗組員の制圧に向かうのだ。

 

「前に出すぎるな、晴風の面々と攻撃のタイミングを合わせるぞ」

音もなく、艦内を進んでいくブラックバーン。途中途中にいる学生を海水が詰まった弾で静かに無力化処理を行っていった。


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