ハイスクール・フリート―Double Girls Story― 作:有栖川アリシア
丁度第二艦隊と第八艦隊、そして晴風とアドミラルシュペーが御蔵島に入港したころ、とある艦隊が横須賀港に入港していた。金剛を旗艦とした、太平洋艦隊第七艦隊である。
第七艦隊は金剛、加賀、雲龍、愛宕、鳥海のほかに第十二水雷戦隊の阿武隈、村雨、春雨、そして第十三水雷戦隊秋月、照月、初月がいる。普通の艦隊と違い規模が小さいが、この艦隊に投入されているのが八八艦隊計画の実験艦10隻が入ってくる。そのため、この艦隊は太平洋艦隊の中でも最も近代化された艦隊であった。と同時に、艦娘以外が艦長を務める艦が艦隊に参加している太平洋艦隊としては珍しい艦隊なのだ。
そして、水雷戦隊は、猿島沖に敷設された簡易港に、大型艦艇と実験艦艇は横須賀本港に入港していた。
金剛の艦橋では、金剛自身がその入港指揮を執っていた。
『入港よーい!』
ラッパの音がし、横須賀に入港していく。その大きさから加賀は逸見岸壁に横付けされ、金剛は泊町第三桟橋に入港していく。
「ふぅ~久しぶりの横須賀デスネー」
艦橋の右ウィングからその風景を眺めていると、下士官がやってきた。
「艦長、後続の秋月、照月、初月入港しました、実験艦は桟橋の関係上吉倉桟橋に入港することになりました」
「オッケーね~司令部からは?」
「特に何もありまセーン」
「まぁ、久しぶりに横須賀でも楽しむとしましょう、特になにも言わないので、ゆっくりしてくださーい」
「はい、了解しましたー」
そういうと、艦から降りる面々を眺めていると、ポケットに入った個人用の携帯が鳴った。見れば、相手は加賀からだった。
「Oh,加賀~どうかしたネー?」
『これから横田と厚木にアメリカから完成した機体を受領しにいくのですが、それまで時間があるので、せっかくですし、どぶ板通りでお昼でもどうですか?』
「おぉ~それはいい提案ネ~ぜひ行くネ~」
『えぇ、では出口でお会いしましょう』
「オッケーねー」
電話を切り、艦長室に向かい自分の私服(Tシャツにホットパンツにカーディガン)に着替え、金剛は横須賀港入口に向かった。
「待たせたネー」
「いえ、問題ないですよ」
横須賀港の入口に到着すると、実験艦『こんごう』『ちょうかい』『いずも』の艦長と加賀がいた。それから外出許可状を受付でもらい、外に出る。
「それでーなに食べマスカ?」
「ほんとどうしましょうか?アメリカンバーガーの店でも行きます?」
「いいですねーハワイ以来食べてないですからネー」
「そうですね、そうしましょうか」
そういうと、横須賀のどぶ板通りの店に向かう。店の名前はバーガー゛サラトガ゛だ。
「いらっしゃーい」
「5名なんだけど席ありますカー?」
「No,ploblemだ、奥の席へどうぞ~」
とこじんまりしたいかにもアメリカンな机に案内される。
「んじゃあ、どうしマスか?」
「私はもちろんサラトガバーガーで」
そういうのは加賀だ。ちなみにサラトガバーガーはこの店で一番量の多いハンバーガーだ。
「私はカリフォルニアバーガーで」
「ナチョチーズとアメリカンサラダで」
「ロコモコで~」
実験艦の面々も決まったようだ。
「んじゃあ、ネイビーバーガーで」
決まったようなので金剛はまとめて注文していった。
「それで、どうですか?実験艦の方は?」
金剛は、実験艦『こんごう』の艦長、火野夏音の方を見る。
「最新鋭機器搭載で結構快適ですよ?」
「とはいえ、誘導兵器の積み込みあったんですよね?」
「そうなんですよね、ここにきて夕張さんから搭載兵器の変更だなんて、というか、そのための入港なんですよね?」
「ぶっちゃけるとそうなんダヨネー」
「けど、確か、補給艦の予定って、まさかねじ込んだんですかね?」
「それは違うわ」
そう口を開けたのは加賀だった。
「違うってどういうことネー?」
「赤城さんの話だとというか、今回C-5を飛ばしたらしいわ、たぶん私が横田に呼ばれているのもそれが理由ね」
「…加賀さん、けど今回の搭載ってそんな多くないですよね?そんなギャラクシーじゃなくても、最悪C-17でもいいですよね?」
「えぇ、たぶんそれ以外の積み荷があるんだわ」
「…忙しいですね、本当に」
「赤城さんに比べればですよ」
そういうと、注文したものがやってくる。
「ま、食べましょうかねー」
金剛の掛け声とともにいただきますという声が店内に響いた。