ハイスクール・フリート―Double Girls Story― 作:有栖川アリシア
光近はシュペーの艦上に赴いていた。
「明乃、真白、それに光近」
「みーちゃん」
「みーちゃん?」
やってきたのは、ミーナとシュペーの艦長のテアだった。
「紹介する、こちらが――」
「艦長のテア・クロイツェルだ、話しは聞いた、我々を救ってくれて感謝する」
「晴風艦長の岬 明乃です、こちらが」
「副長の宗谷真白です」
ふたりに握手するテア。
「そしてあなたが」
「はい、はじめまして、太平洋艦隊司令長官の米内光近です」
「お会いできて光栄です、司令長官」
「ありがとう、艦の乗員は無事でしたか?」
「現状は、ただしこれからゼ―アドラー基地に戻って補給だ」
「ってことは、ミーちゃんも?」
「あぁ、当然我々と行きたいのだが――」
そういうとやってきたのは、ビスマルク率いる第八艦隊の面々だった。
「あなた方は!?」
「Guten Tag、―あなたがシュペーの艦長のテアね、はじめまして太平洋艦隊第八艦隊旗艦のBismarckよ」
「艦長のテア・クロイツェルです」
「まぁ、今後の話は後でという事で、今は交流と行きましょう」
「あぁ、そうしよう」
そういうと、テアの挨拶が始まる。
「我々の不断の努力により艦と自らの制御を取り戻した、このめでたい日に際して、晴風の艦長から乾杯の音頭をいただきたい」
「じゃあ、みなさん――乾杯!」
『乾杯!』
交流会という宴が始まったのであった。
「(ま、皆馴染めているかな?)」
第八艦隊と第二艦隊の面々は、やはり艦娘というだけあってか、それとも人の目を引くからか、生徒たちと楽しく談笑していた。その中を見まわる光近。
「へぇ~その子猫、多聞丸っていうんだ~」
「はい、そうなんですよ」
真白は飛龍と楽しそうに話している。光近はグラスを持ちながら歩き回る。
「戦艦!かっこいい!」
「ははは、ビックセブンだからな」
長門は芽衣ちゃんと話している。当の長門もうれしそうだ。その光景をみて思わず嬉しくて頬が緩んでしまっている。
「(にしても、あまり被害がなくてよかった)」
シュペーの周囲には艦隊が取り囲んでいる。
「おう、しみったれた顔をしてんなぁー」
やってきたのは、機関科の二人、柳原と黒木だった。
「おう、柳原さんと黒木さんか」
「提督さん、飲み物のむ?」
「いんや、大丈夫だよ黒木さん」
「にしてもどうしたんだい?」
「まぁ、無事でよかったなってね、あとは彼女らは彼女らで交流するのが一番だと思ってな」
「全く、功労者だっていうのに、しみったれてんなぁ」
「こういうのは眺める楽しみもあるのさ」
グラスを傾ける光近。そんな中、光近の携帯が鳴る。
「――久しぶりだな、この携帯が鳴るのは」
そういって携帯を取ると、相手は超大物からの連絡だった。光近はそれを取る。
「もしもし、お久しぶりです、"総統"殿」
電話をとる光近であった。
「我々とともに、ゼ―アドラーに修理を受けたらどうだ?」
「いえ、我々は明石と合流するように連絡を受けています」
「そうか、ではここでお別れだな」
「はい」
そういって、握手をかわそうとしたときだった。
「いんや、まだお別れじゃないぞ?」
「・・・光近さん?」
「おう、楽しんでいるかい?」
「提督殿、まだお別れじゃないってどういうことだ?」
「あぁ、ゼ―アドラーのドックが一杯だからシュペーはこれから一旦、第二艦隊と共に御蔵島に行くことになった」
「御蔵島に?もしかして、太平洋艦隊の?」
「事実上の母港で、極東管区最大の軍港さ」
「あの名高い御蔵島に入れるのは光栄だ、ぜひよろしく頼む」
「あぁ、こちらこそ」
軽く握手を交わしたのであった。