ハイスクール・フリート―Double Girls Story― 作:有栖川アリシア
――アドミラルシュペー
「――乗り込め!」
「「「了解」」」
自動小型艇から、ワイヤーを使って乗り込む特殊作戦部隊。隊長のブラックバーン、グライダー、フィオナ、ガウェインの4人だ。とはいえ、
「隊長――」
甲板にいたのは、自我を抑えられなくなった生徒たち。
「提督の言うとおりだ、ここは――」
特殊作戦部隊の横から飛んでくる海水弾。見れば撃ったのは、晴風の野間マチコだった。
「そうだったな、俺らの武器は、今日は〝コイツ〝だったな」
ブラックバーンの言葉とともに、生徒が襲い掛かってくる。
「撃てぇ!!」
ブラックバーンたちは何のためらいもなくトリガー を引いた。
「左、clear」
「右、clear」
「後ろ、clear」
「正面、クリアー」
最後だけマッチである。
「これより艦内に突入するぞ」
「「「了解」」」
晴風の乗員とともに、乗り込んでいく。そして、細々とした艦内はというと、やはり感染した生徒がたくさんいた。
「――こっちの弾薬は、そろそろだな、ってことは、CQCか」
残弾を見ながら言うブラックバーン。
「荒いことは、するなよ言われていますよね?」
「わかっているさ」
前に立つブラックバーン。すると、その後ろから万理小路が、木の薙刀をもって現れる。
「万理小路流薙刀術、ごらんあれ」
「ぜひ」
そういうと、見事な薙刀裁きであっという間に制圧していく。とはいえ、そのとき通路にいた連中だ。
ブラックバーンは、彼女より一歩前に出て、身構える。
「できるだけお手柔らかに頼む」
そういってくるのは、このアドミラルシュペーの副長ミーナだ。
「りょーかい、善処する――オラァァアア!!」
まさにブラックバーンはCQCの嵐だった。突っ込んでくる生徒たちを物理的にねじ伏せ、艦橋に向かっていく。
「clear!」
「clear!」
「走れ!」
ブラックバーンの声とともに面々は走っていく。そして、
「あそこが艦橋に通じる階段じゃ!」
「わかった、グライダー、フィオナ!上がってこさせるな」
「「了解」」
そういうと、ブラックバーンたちは階段を駆け上がっていく。
「ウー・・・」
フィオナとグライダー、それに晴風の生徒である等松 美海は、軽く顔を見合わせる。
「上には、隊長と艦長様がいるんだ、一歩も通すわけにはいかない、こっちから出る必要はない、この階段を死守するぞ!」
「「了解!!」」
フィオナの声で士気が上がり
「「「オラァァアアア!!」」」
三人の雄たけびが響く。そして、数刻もたたずに 制圧完了という声が通信機に流れた。
「提督、白旗あがりました!」
「――ひと段落だな」
光近は、晴風艦橋から双眼鏡をのぞき込み、胸をなでおろす光近。
「やった!」
「いぇーい!」
光近は真白とハイタッチし
「左舷につけるぞ――」
そう指示を出すのであった。それから、シュペーの艦長の要望でシュペー艦上でささやかな宴が催されることになった。