ハイスクール・フリート―Double Girls Story― 作:有栖川アリシア
光近の提案で第二艦隊とそしてこの晴風との合同作戦会議が行われることになり、この晴風の教室に、艦娘達が出向いていた。無論、艦娘達は、生徒たちの間に座ってもらっており、提督である光近は教室の壁に寄り掛かっている。
「具体的な手順を――」
「本気か?ド本気か!?」
「当然です!」
ミーナの言葉にこたえるように言うココちゃん。そして、部屋が暗くなり、シュペーの図が現れる。
「燃料中間タンクを加熱するための蒸気パイプが、甲板上に露出しておる、そこなら破壊可能じゃ、それを破壊すれば足止め可能じゃが」
「確かに、シュペーは比叡に比べると、砲力も速力も装甲も下だ」
「それに、小回りをきくし、28㎝主砲は要警戒のものだ、危険は大きい」
真白の言葉に続くようにいう光近。
「だが、そのための第二艦隊だ、で、艦長どうするんだ?」
光近は長門率いる第二艦隊の面々に視線を配らせ、そのあと明乃の方を見る。
「ミーちゃんはどうしたい?」
「儂は――儂は我が艦、アドミラルシュペーの乗員を、そして艦長ティアを助けてほしい」
そういうと頭を下げてくるミーナ。
「晴風の皆、それに太平洋艦隊の方々を危険にさらすと思うが――」
「大丈夫!」
「やってみましょうよ!」
「やろうやろう!」どうやら、クラスの面々は半ば問題なさそうだ。それから、太平洋艦隊としての作戦を晴風側に伝える。そして、それも話し終り、光近が音頭を取ることになった。
「では作戦開始、といきたいところだが、晴風の皆、それにミーナに良い報告がある」
「良い報告?」
「あぁ、今回の作戦、我々第二艦隊と一つ艦隊が参加することになった」
「もう一つ?」
「あぁ、そうだ、入ってくれ」
そういうと、前の扉が開かれ、中に入ってくる面々。
「Guten Tag!」
現れたのは、金髪に灰色の軍服少女二人に、水兵服の少女に、天真爛漫そうな顔した少女、それに他とは少し違った風貌のツインテールの少女だった。
「では、自己紹介をしてくれ」
「はじめまして、Bismarckよ!」
「ろーちゃんです!」
「Admiral・グラーフ・ツェッペリンだ」
「プリンツ・オイゲンです」
「Z1だよ」
「Z3、よろしく」
現れたのは、ドイツ艦の面々だった。
「ビ、Bismarckじゃと!?」
「あら、あなたドイツ人ね?名前は?」
「アドミラルシュペー副艦長、ヴィルヘルミーナ・ブラウンシュヴァイク・インゲノール・フリーデブルクです」
「そう、シュペーのことは聞いたわ、まぁ、そのために来たんだけどね?」
そういうと、Bismarckはこちらをちらりと見て、アイコンタクトを送ってくる。
「そういうことだ、今回の作戦には第二艦隊他、ドイツ艦が所属する第八艦隊も参加する」
「だ、第八艦隊じゃと!?」
第八艦隊、それはブルーマーメイド太平洋艦隊指揮下の一艦隊である。第八艦隊は、第九艦隊とともに、外洋遠征艦隊やNATO艦隊という呼称でも呼ばれていたりしている。だが、その指揮権は光近の下にあるものの、実質的には、ドイツ政府とドイツにある海上安全委員会の意向が強い。
「ミーナさん知っているんですか?」
「まさか、おんしら海の勉強をしておきながら第八艦隊をしらんじゃと!?第八艦隊は、北大西洋の実質的な海洋任務を担っている、ドイツの誇る艦隊で、ドイツ国内のその名を知らんのはいないほどの艦隊じゃ!」
「ふふふ、もっと褒めてもいいのよ!」
「
調子に乗り始めるビスマルク達。
「ま、ということよ、私たち第八艦隊と第二艦隊が合わされば怖いものなしだわ」
「おう、そうだな!では、作戦を始めよう」
『おー!』
光近は、やはりということではないが、晴風艦橋で艦隊全般の指揮を執ることになった。
作戦は、アドミラルシュペーの燃料中間タンクを加熱するための蒸気パイプを破壊、シュペー速力低下後、何かしらの方向で近づき、そこから強襲揚陸艇で、艦に乗り込むということだ。
晴風乗員には知らせていないが、水面下には潜水艦19と呂500が海兵隊特殊作戦部隊をスタンバイさせている。
『報告!アドミラルシュペーの後方につきました』
「了解、各艦対空警戒を厳にせよ」
視線の先にはアドミラスシュペー。
「野間さん、シュペーの仰角は動いているか?」
『いえ――シュペー仰角動いています!』
「撃ってくる!岬さん!」
「とーりかーじ!」
「とーりかーじ!」
晴風の船体が動いていく。同時に、その指令を察知した艦隊が動いていった。