ハイスクール・フリート―Double Girls Story― 作:有栖川アリシア
第二艦隊‐旗艦長門、前部甲板
「戻ったぞ、大変だったな」
「まぁ、そうだったな」
そういいながら長門と歩いていく。向かう先は後部甲板だ。
「それで、要請した部隊と武装は連れてきてくれたか?」
「あぁ、連れてきた"あきつ丸"の肝入り部隊だ」
「本気ってわけか、それで部隊名は?」
「海兵隊特殊作戦部隊-ラウンズだ」
「・・・いいのか?」
「あきつ丸がぜひともということだ、既に武蔵の後部甲板でトレーニングしているよ」
「生徒を殺さないようにいってあるよな?」
「そこいら辺は問題ない、信頼できないならあってみるか?」
「まぁ、あきつ丸の部隊を信頼しないわけにはいかない…にしても物騒な連中を連れてきたものだ、一体何を想定しているんだか」
「さぁな?そこいら辺はあきつ丸に聞いてくれ、それと乗り込むことに関して、川内と江風も立候補している」
「ほぅ、もしかして指揮を川内が?」
「そういうことだ、どうする?」
「許可しておいてくれ、それと私は晴風に戻る、第二艦隊はどうする?」
「無論、提督の下にある」
「ありがとう」
そういうと、晴風に戻ることにした
「お前たちはどうする気だ?」
晴風に乗り込むと弁天が出航間近に迫っていた。光近は副長と艦長の下に歩いていく。
「どうしますか?艦長」
「学校からの指示は、武蔵探索です、みんなの異存がなければそれを続けたいと思います」
「よーし、良く言った!ただ、無理はしないように、無理だと思ったら我々に連絡し、避難しろ、本来これは私たちブルーマーメイドの仕事だからな」
「はい」
明乃がそういう。そして、光近は三人の下に姿を現す。
「真冬さん、大丈夫ですよ、そのための太平洋艦隊ですから」
「おぉう、戻ってきたようだな」
「お久しぶりです、真冬姉さん、お元気そうでなによりです」
「こっちこそ、元気そうでなによりだ」
軽く握手を交わす。
「それにしても、晴風に乗艦されていたとは本当だったみたいだな?」
「えぇ、今は晴風は、学校所属艦であると同時に、太平洋第二艦隊の指揮下に入っていますからね」
「ま、そうだったな」
そんな中だった。
「か、艦長!それに提督さん!」
電信員のツグミちゃんがやってきた。
「どうした?」
「広域通信に正体不明の大型艦目撃情報が複数入っています」
「南東二百マイル、トラックとアドミラルティ諸島か」
光近は目配せをし
「よし、我々はトラック諸島に向かう」
「こっちは必然的にアドミラルティ諸島ですね、艦長、行きましょうか」
「はい!」
そういうと晴風は、弁天とともにアドミラルティ諸島に向かっていく。その直後、偵察機彩雲からもたらされた情報は、その艦がアドミラル・グラ―フ・シュペーということだった。
翌日――
side other
晴風の食堂はどことなく雰囲気が暗かった。原因は言うまでもなくミーナだった。
「今度は、シュペーか」
副長の宗谷真白がため息をつくように言う。
「ミーナさんが乗っていた艦っすよね?」
「あの時、大変だったなぁ・・・」
「そうっすよね」
無言の食堂にふたりの声が響く。
「艦長、どうします?」
「作戦は、えっと――」
暗い面持ちのままいう明乃。しかし、その直後彼女の言葉をさえぎるように食堂の扉が開かれる。
そして、現れたのは艦橋要員で記録員の納沙幸子や万里小路、それに鏑木などの同じ晴風の乗員たちだった。
「勝ちこみです!」
『おー!』
幸子の言葉に合わせるようにいう乗員たち。その行動に驚く明乃。
「助けにいきましょう!」
「――儂の為に」
ミーナがそういう。そして、食堂にいた面々が彼女らの提案に同調しはじめる。
「うん!助けに行こう!」
明乃がそういうのであった。