ハイスクール・フリート―Double Girls Story― 作:有栖川アリシア
「機雷か…」
随伴潜水艦、伊168からの報告によると、この先の航路に機雷が敷設されているとのことだった。
今、伊168がソナーで周辺のおよび爆発させその機雷を取り除いていた。光近は、艦橋からその光景を双眼鏡越しに眺めていた。
ズドドドドドドォォオンッ!!
あっちでもこっちでも問答無用で爆発処理させていく艦隊たち。
「結構派手にやってるな~」
「だね~あぁ~撃ちたい~」
同じく双眼鏡をもってその光景を眺めているメイちゃん。
「提督、どうですか掃海状況は?」
二人で眺めている中に、副長の真白が来た。
「伊168の話だと、連鎖爆発処理させているからさほどかからないとさ」
「では、そろそろ機関を始動させても?」
「あぁ、それともし可能であれば安全確認もかねてスキッパーで航路を先行して走ってほしい」
「えぇ、かまいませんよ艦長を呼んできましょうか?」
「頼む」
そういうと、すぐに下に戻っていく。それから、無事に掃海を終え先行航路確認も終え晴風は航路を進んでいくことになった。
数日後――今まで晴れ晴れとした空が一転し、今度は大低気圧に突っ込んでいた。
『提督さん、艦隊司令部より連絡です、晴風の周囲に低気圧あり、965hPaだそうです』
「そうか、しけに備えよう、荒天準備となせ、各艦距離4000を維持、連絡を密にせよ」
「了解」
光近の指示で副長の真白やココちゃんが動いていく。それから当番が変わり、今度は艦橋は光近と明乃とミケちゃんになる。そこからさらに荒天はひどくなり
「すごい・・・」
「こりゃ大しけの大しけ、まさに嵐ってところだな」
「そうですね」
艦がすごい動きをしていく。同時に雷までなり始めそうになる。そんな中
「岬さん、どうかしたの?」
見れば明乃はかなりおびえていた。
「大丈夫――」
光近の言葉とともに雷が落ちる。
「うわぁ!」
突如叫んでしゃがむ明乃。
「(こりゃ、ただ事じゃないな…)」
「明乃さん、ここは任せて休んでいな?」
「えっ、けど――」
こう始まると結構長いので
「太平洋艦隊司令長官として命ずる、荒天が収まるまで少し副長の部屋で休んでおけ」
「…はい」
そういうと、艦橋を折り下に向かっていく。
「提督、いいんですか?」
「いいんだよ?誰しも弱点はある、彼女は雷だった、それだけさ」
そんな中、ココちゃんがやってきた。
「納沙さん、どうも」
「交代でやってきました」
「助かります」
そういいながら晴風は南に向けて、航行していく。そんな中だった。
『提督さん!扶桑さんより緊急連絡、ウルシー環礁にて救難信号を確認、至急確認されたしです』
「救難信号!?明乃さんを呼び出してくれ、私は通信室に向かう」
「「はい!」」
そういうと光近は通信室に向かった。通信室では、メグちゃんがヘッドセットをしつつ、その通信を聞き逃すことなく注意深く聞いていた。
「て、提督さん」
「いきなり来て申し訳ない、すぐに扶桑につないでくれ」
「あっ、はい!」
慣れた手つきで操作盤を操作し、通信をつないでいく。
「扶桑、聞こえるか米内だ、状況を報告してくれ」
『扶桑です、座礁したエリアはウルシー環礁、どうやら暗礁に乗り上げたようです』
「艦種は?」
『大型貨客船、新橋商店街船です、全長135m、総トン数14000です』
「かなりデカいのが暗礁に乗り上げたな、第三艦隊、各艦に下令、緊急航行船舶表示灯および国際信号旗掲揚はじめ!これよりウルシー環礁の座礁船の乗組員救出に向かう」
『了解しました』
「葛城に連絡、至急偵察隊彩雲を現場海域に急派、現場状況を逐一報告するように」
『了解!部署発動します!海難救助用意!海難救助用意!』
通信越しで扶桑の艦内に艦の鐘の音が鳴り響き、第三艦隊が一糸乱れぬ艦隊運動をしていく。まさに訓練の賜物だ。そして、それに続くように護衛の駆逐艦や軽巡洋艦が続いていく。そして、針路が安定したと同時に、晴風の艦橋に戻っていった。