ハイスクール・フリート―Double Girls Story― 作:有栖川アリシア
4月10日――
東舞鶴男子海洋学校――教官艦隊
「教頭先生、哨戒船より入電です、発五分隊二号船、旗艦あおつき 武蔵発見、北緯19度41分、東経145度0分にて巡航中、無線で呼びかけるも応答無し」
「ん…」
「ビーコンの反応も消えていますし、無線も含めおそらく電装系の故障かと思われます」
「武蔵の位置を横須賀女子海洋に連絡しよう、ま、見つかってよかった、ずいぶんと心配しているだろうな、生徒の安全確保は最重要だというのに、複数同時に実習艦が不明になるとは…」
「幸い伊201に乗艦していた我が校の生徒は無事に確保できましたが――」
「晴風は、教員艦とも撃ち合いになったというし、一体何が…」
いやな胸騒ぎがする教頭。
「いや、何が起きたにせよ、直ちに武蔵の保護に向かおう――哨戒船を呼び戻せ」
飛行船が飛んでいる遥か上空。その上空から彼らが補足しえない飛行機が一機同じ方向に飛んでいた。
side 第三艦隊 ――旗艦゛武蔵゛
大和型戦艦2番艦"武蔵"を旗艦とした第三艦隊は、練度向上のため、演習航海に出ていた。
その旗艦武蔵の艦橋では、武蔵が演習の指揮を執っていた。
「艦長、艦隊司令部から連絡です」
「読み上げてくれ」
「発、太平洋艦隊作戦司令室、宛 第三艦隊旗艦武蔵――横須賀女子海洋学校の直接教育艦『武蔵』が演習航海途中に音信不通、武蔵捜索に迎え、です」
「…妙高と時雨と夕立、それと蒼龍を出してくれ」
「了解」
威勢のいい返事と共に、妙高と時雨と夕立が出た。
「聞こえるか?」
『はい、聞こえます、どうしましたか?』
『聞こえるよ』
『聞こえるっぽい』
「司令部からの命令だ、妙高は時雨と夕立を連れて、音信不通となった横須賀女子海洋学校の直接教育艦『武蔵』の捜索に向かってくれ」
『『『了解(っぽい)!』』』
そういうと、第三艦隊の戦列から妙高と時雨と夕立が離れていく。
「蒼龍、聞こえていたか?」
『んもぅ、ばっちり、すぐに彩雲を出すわね』
「頼む」
そういうと、通信を入れてからすぐに航空機が飛び立っていく。その様は、まさにスクランブル状態だ。
「さて、教員艦の発砲といい、一体どうなっているんやらな…」
「それは私にもわかりませんよ」
艦長の椅子の隣に立っていた士官に話しかけるが、イマイチ良い答えは来ない。
「まぁ、我らは我らの演習をするだけだ、演習メニューB05より実施するぞ」
『了解!』
それから演習を続けていき、丁度お昼に差し掛かろうとした時だった。
『艦長、東舞鶴男子校の艦隊が武蔵を目視で確認したようです』
「そうか」
『現場上空の偵察機彩雲からのリアルタイム映像出ます』
そういうと、武蔵に新設された通信ディスプレイを見る。そこには、教育艦『武蔵』が一方的に教員艦隊を攻撃しはじめる姿が映し出される。
「…全艦に戦闘準備発令、レッドアラートだ。主砲および火器に火を入れろ……演習に非ずと」
武蔵の緊張した声がマイク越しで全艦に響き渡った。同時に、武蔵の主砲に火が入る。同時に、全航空部隊の搭載火器が演習用模擬弾から、実弾に変わった。
side 晴風
晴風と第二艦隊は乗務員の休息もかねてとある小島に来ていた。
イヤッホォオオォウ――
「(おぉ~平和だ~)」
何処からか女子のそんな声が聞こえる。光近は晴風の艦上で彼女らの遊んでいる姿を見ていた。その姿は、男子用の水着に、アロハシャツという何とも南国のような格好である。
「おーい、あんまり飛び込むな~それと柔軟してから入れよー」
『はーい』
気分はまさに男子高校生保護者である。目の前には水着の美少女ばかり正直なこと言うと
「(これなんてエロゲ…)」
某ゲームも十分であるが、それ以上である。目の前のキャッハウフフしている彼女らを見るのは光近にとってもいろいろな意味で目の保養になっている。そんな中だった。
「おう・・・」
「あ、司令官」
光近はいい意味で衝撃的なものを見た。