ハイスクール・フリート―Double Girls Story―   作:有栖川アリシア

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ブルーマーメイドの来訪

「ブルーマメイドって、私達を捕まえにきたの!?」

「んなわけないだろ、落ち着け、いざとなればこちらで沈めれる」

「うわ、エグイ」

ココちゃんにそういわれ、すこし傷つく光近。

 

「ま、万が一の事も考えるか」

そういうと、航洋艦がこちらを囲んでくる。光近は今すぐにでもブルーマメイドに連絡入れたくなるが、それを抑える。

 

 

「第三水雷戦隊、念のため、学園艦を包囲しろ」

『あいよ』

ここは我慢し、その言葉で晴風を包囲していた艦を取り囲む。

 

「ほんとにエグイ」

「これは儂も同感じゃな」

艦橋に戻ってきたミーナからも言われる。そんな中

 

「カレー食ってる場合かぁぁ!」

突如、艦橋に木霊する声。見れば、シマちゃんが声を荒げていた。

 

「た、立石さん!?」

「そ、それより逃げなきゃ…」

「何言ってんだ、逃げてたまるか!砲撃だぁああ!」

「お、おう、撃つか」

引きながらも同意するメイちゃん。

 

「やめろ、戦闘禁止だ」

「だまれ!」

ゆっくりと立ち上がる光近。

 

「・・・すまんな、立石」

そういうと、光近は立石の胸元を掴み上げ小声で言う。

 

「は、離せ!」

「少し頭を冷やせ!!立石!」

光近は右ウィングに出て彼女を海に放り投げる。

 

「なっ!?」

「……」

艦橋はあまりの光近の行動に驚いていた。なにせ、艦橋から放り投げたからだ。

 

「副長、此処を任せる」

光近は帽子を外し、副長のシロちゃんに被せ、艦橋を後にした。

 

「たていしぃぃぃいいいい!」

海面に向かって叫ぶ光近。すると

 

「ふぁっ!?」

今度は波に乗って彼女が飛び上り戻ってくる。光近はキャットウォークを走っていき、

 

「ぐふっ!」

飛んでくる彼女を受け止めた。そして、体勢的に彼女をお姫様抱っこをする。

 

「も、戻ってきた」

驚きたいのはこちらだといいたい。

 

「立石、大丈夫か?」

受け止め、抱きしめる光近。そして、ゆっくりと頷く彼女。見れば艦橋のメンバーも集まってきた。

 

「Oui」

いつもの調子に戻っている。見れば、彼女のスカートの近くにねずみもどきがいた。

 

「タマちゃーん、だいじょーぶ?」

やっと本当の艦長の明乃ちゃんが戻ってきた。

 

「一番送れ」

光近は艦橋から接舷の指示を出していた。

 

「続いて二番送れ、三番巻け」

慎重に艦を動かしていく。これも訓練のたまものだ。

 

「左舷、明石までどれくらいだ?」

『10mです』

「二番回せ、左舷側監視員、どうだ?」

『問題ないです』

「よし、一番巻け」

ゆっくりと艦同士が近づいていく。

 

「納沙さん、一気に近づけるんで」

『了解でーす』

「1,2,3番、巻け」

そういうと、少し速度を上げて近づいていく。

 

『20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8――』

「巻き付け停止」

一気に巻き付けが終わり、艦がゆっくりと止まっていく。

 

「艦停止、ラッタルおろします」

「頼む」

そういうと、ラッタルがおろされた。見れば、丁度第二艦隊の方も補給が始まっていた。

 

「(あっちも何とか始まったか)」

少し安心しつつ、光近は艦橋内部に戻った。


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