ハイスクール・フリート―Double Girls Story― 作:有栖川アリシア
「あっ、艦長~」
「やっほ~」
歩いていると、左舷側で女子たちがお茶会をしていた。問題なのはその服装で、思いっきりスク水だ。
「(おぉ~これは眼福眼福…いかんいかん)」
荒ぶる心を落ち着かせる光近。
「お茶会ですか?」
「そうですよ~艦長も飲む?」
「いいのですか?」
「いいよ~座りな」
「では、失礼します」
ぽんぽんとシートをたたいてくるので、そこに座らせてもらう。
「(両手に水着の少女とは…前世じゃ考えられなかったな)」
とすこし鼻血の出るようなイベントに興奮している光近。
「提督さんって、主になんの仕事しているの?」
「そうですね、メインは書類仕事、あとは暇だと荷物の積み下ろしとか手伝ってやっています」
「へぇ~」
「荷物の積み荷ってなんでやっているの?」
「まぁ、荷物積み荷をやっているのって下士官や水兵の方なんですよ、自分はそういう人も大切にしたいので、あまり提督だと悟られないように手伝って、その人たちの意見を聞いています」
「おぉ~」
「それで提督さん、それで一番楽しかったのは?」
「まぁ、ハワイでの積み下ろしですかね、あれは心地よかったですよ」
「提督さん、ハワイいったの!?」
「えぇ、何回か行っていますよ」
「おぉ~ハワイってどんなところなの?」
「まさに南国でアメリカって言ったところですね、気候も温暖でいいところですよ」
「へぇ~」
とキャッハウフフなお茶会は続いていき、それからひとしきり喋る。ちなみに内容は光近に関しての話からすべらない話になっており、ことネタに事欠かない光近の圧勝で終わった。それから、彼女たちと別れ光近は艦橋に戻った。
「戻った」
「提督、どうでした?」
「目下の問題は主砲に関してだな、さすがに戦闘火器の主要な部分が損傷しているのは痛い」
「それで、今後どうしますか?」
「改修だな、明石が到着し次第、予備砲身に換装あるいは主砲の交換だな」
「わかりました」
「あぁ」
それから警戒監視を続けて数分。だんだんと雲行きも怪しくなり、少し艦が揺れてきた。
「ふむ…海が荒れてきたな」
「そうですね」
「――全艦、荒天準備となせ」
光近は艦長らしく指示を出す。
「にしても、そろそろ艦長が戻ってくる時間だよね」
「確かに、そろそろ時間だよな」
「ここで合流することにしたんですけどね…」
光近はメイちゃんと言葉を交わす。すると、艦長の真白が戻ってくる。
「艦長はまだか?」
「まだだよ、副長」
「なに呑気に買い物をしているんだか…」
「さぁな…何もないことを祈るまでだ、ん?」
見れば猫の五十六がネズミを捕まえてきた。
「おっ、銀蠅か、さすがやるな五十六」
光近は五十六の頭を撫でる。見れば、五十六の加えていたネズミもどきをシマちゃんが可愛がっている。
そんな中だった。
ヴォーンッ!!ヴォーンッ!!
汽笛が二回鳴らされた。それにこおするように第二艦隊が汽笛を鳴らす。
「汽笛が鳴った!?ど、どういうことだ?」
慌てる真白。その直後
『間宮、明石、護衛の航洋艦二隻、右六十度二〇こちらに向かう!』
「お、来たな」
『さらに左七〇度三〇、間宮明石同型艦および、護衛の駆逐艦および軽巡洋艦、多数接近』
「どっちかが太平洋艦隊艦隊兵站軍所属の間宮と明石で、もう一つが学園が寄越した艦だな」
そんな中だった。
『艦長が戻ってきました…ブルーマーメイドの小型艇もいます』
「なにっ!?」
その言葉に艦内に衝撃が走った。