ハイスクール・フリート―Double Girls Story―   作:有栖川アリシア

32 / 65
晴風代理艦長の役目

 

「へ…?」

「…ふぁ!?」

まさかの声をあげる明乃と光近。これは本格的に困った。

 

「ねぇねぇ、提督さんいけないの?」

「今回、私服もってきていないから目立つぞ?」

「となると、私たちか~」

メイちゃんの意見に返す光近。

 

「それで、どうするんだ?」

「うーん…」

そして明乃は悩んだ末に

 

「トイレットペーパー募金にご協力お願いしまーす」

「(こうなったか!?)」

とはいえそんなに集まらないので

 

「…しゃあない」

とつぶやくと光近はポケットから財布を取り出し、その小切手にさらさらと書いていく。

 

 

「うはぁ~本物の小切手書く人、初めて見たよ」

「うわぁ~かっこいい~」

「マジイケメン」

「バキュンときたかも」

「提督さん、いいの?」

聞いてきたのは、操舵手の知床鈴だった。

 

「んじゃあ、一万預けるから、これで必要物資買ってきな」

「はい、ありがとうございます」

「あぁ、少し待っていてくれ」

そういうと、紙を貰いそれにサラサラととある事を書き記していく。そして、それを封筒に入れ、同じく艦長の明乃に渡す。

 

「これだが、もし万が一ブルーマーメイドに捕まった時にこれを見せてくれ」

「わかりました、ちなみに内容は?」

「不逮捕特権に関して書いてある」

「また、とんでもないものをおんしは作ることができるんじゃな」

「まぁ、提督ですから」

それから、スキッパーに乗り込み、明乃たちはオーシャンモール四国沖店に向かっていく。

 

 

 

それで艦長である明乃がいない間、艦の管理は誰がやることになったのかというと

 

「それで、やはり俺ですか」

「まぁ、そういうことになるんですよね」

さも当然のようにいうココ。

 

「本来なら副長じゃが、副長も辞退するとなると」

「序列的に俺って、おかしくないですか?」

「どの口が言っているんじゃ?あれほどやっておいてよく言う」

ミーナにまで言われる始末だ。隣では、真白さんがウキウキしている。

そう、まさかの光近は晴風の代理艦長になっていた。一応、艦の代表ということで、白の海軍服に白の帽子が栄えている。

というか、なんでこうなったかというと、艦長である明乃ちゃんが艦を一時的に離れる中、一体誰が艦長の役目をするのかという議論になり、投票したら全会一致で"光近"にやってほしいということになり、こうなった。

 

「…ま、頑張るんじゃよ」

「おう」

ちなみに、第二艦隊の面々からは死ぬほど笑われた。

 

「んじゃあ、俺は少し艦の見回りに行ってくる、副長、頼んだぞ」

「はい!」

どこか威勢がいい。光近は艦の見回りに向かった。

 

 

 

機関室

 

「おっす、調子はどうだい?」

「んぁ?提督じゃねぇか」

「あら、珍しい」

こっちに先に気づいたのは、機関長の柳原と機関助手の黒木のだった。

 

「おう、機関の調子は?」

「ばっちしだ」

「そりゃいい、いつ何が起こるかわからないから、準備はしておいてくれ」

「おう!がってんでぃ!」

「えぇ、わかったわ」

そういうと、機関室を離れ、ほかのところを見回る。

 

主砲の所にいくと、砲雷科の二人が主砲の整備を行っていた。

「お疲れ様、主砲はどうですか?」

「あ、艦長お疲れー、予備砲身が無いと無理みたい」

「わかった、可能な限りの出来る所を修理してくれ、期待しているよ」

「わかったよー」

光近は激励の言葉を掛け、他の所に向かう。それから後部に向かった。

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。