ハイスクール・フリート―Double Girls Story― 作:有栖川アリシア
「へ…?」
「…ふぁ!?」
まさかの声をあげる明乃と光近。これは本格的に困った。
「ねぇねぇ、提督さんいけないの?」
「今回、私服もってきていないから目立つぞ?」
「となると、私たちか~」
メイちゃんの意見に返す光近。
「それで、どうするんだ?」
「うーん…」
そして明乃は悩んだ末に
「トイレットペーパー募金にご協力お願いしまーす」
「(こうなったか!?)」
とはいえそんなに集まらないので
「…しゃあない」
とつぶやくと光近はポケットから財布を取り出し、その小切手にさらさらと書いていく。
「うはぁ~本物の小切手書く人、初めて見たよ」
「うわぁ~かっこいい~」
「マジイケメン」
「バキュンときたかも」
「提督さん、いいの?」
聞いてきたのは、操舵手の知床鈴だった。
「んじゃあ、一万預けるから、これで必要物資買ってきな」
「はい、ありがとうございます」
「あぁ、少し待っていてくれ」
そういうと、紙を貰いそれにサラサラととある事を書き記していく。そして、それを封筒に入れ、同じく艦長の明乃に渡す。
「これだが、もし万が一ブルーマーメイドに捕まった時にこれを見せてくれ」
「わかりました、ちなみに内容は?」
「不逮捕特権に関して書いてある」
「また、とんでもないものをおんしは作ることができるんじゃな」
「まぁ、提督ですから」
それから、スキッパーに乗り込み、明乃たちはオーシャンモール四国沖店に向かっていく。
それで艦長である明乃がいない間、艦の管理は誰がやることになったのかというと
「それで、やはり俺ですか」
「まぁ、そういうことになるんですよね」
さも当然のようにいうココ。
「本来なら副長じゃが、副長も辞退するとなると」
「序列的に俺って、おかしくないですか?」
「どの口が言っているんじゃ?あれほどやっておいてよく言う」
ミーナにまで言われる始末だ。隣では、真白さんがウキウキしている。
そう、まさかの光近は晴風の代理艦長になっていた。一応、艦の代表ということで、白の海軍服に白の帽子が栄えている。
というか、なんでこうなったかというと、艦長である明乃ちゃんが艦を一時的に離れる中、一体誰が艦長の役目をするのかという議論になり、投票したら全会一致で"光近"にやってほしいということになり、こうなった。
「…ま、頑張るんじゃよ」
「おう」
ちなみに、第二艦隊の面々からは死ぬほど笑われた。
「んじゃあ、俺は少し艦の見回りに行ってくる、副長、頼んだぞ」
「はい!」
どこか威勢がいい。光近は艦の見回りに向かった。
機関室
「おっす、調子はどうだい?」
「んぁ?提督じゃねぇか」
「あら、珍しい」
こっちに先に気づいたのは、機関長の柳原と機関助手の黒木のだった。
「おう、機関の調子は?」
「ばっちしだ」
「そりゃいい、いつ何が起こるかわからないから、準備はしておいてくれ」
「おう!がってんでぃ!」
「えぇ、わかったわ」
そういうと、機関室を離れ、ほかのところを見回る。
主砲の所にいくと、砲雷科の二人が主砲の整備を行っていた。
「お疲れ様、主砲はどうですか?」
「あ、艦長お疲れー、予備砲身が無いと無理みたい」
「わかった、可能な限りの出来る所を修理してくれ、期待しているよ」
「わかったよー」
光近は激励の言葉を掛け、他の所に向かう。それから後部に向かった。