ハイスクール・フリート―Double Girls Story―   作:有栖川アリシア

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海面下の動きとお金

硫黄島沖海中――伊401

 

ピコーン…ピコーン…

硫黄島沖の200mの海中には、巨大な潜水艦がその指令のため息を潜めていた。伊号401である。この艦は、太平洋艦隊潜水艦隊の旗艦である。彼女の下には、伊168や伊58、それに伊8の他にも、新型の潜水艦を従えていた。

 

「艦長、訓練海域に到着しました」

「ありがとう、潜望鏡深度まで無音浮上…悟られないようにね」

「了解、浮上します」

そういうと、艦が浮上し潜望鏡深度まで浮上していく。

 

「艦長、艦隊作戦司令部より通信です」

「ありがとう」

しおいは士官から電文の紙を受け取る。

 

「(…学生艦が叛乱、尚且つ航路を逸脱しており、その学生艦がすべて西之島にいた)」

しおいは、その紙を読み進めていく。

 

「(当該海域の原因を調査するため、西之島の海底調査に向かわれたし)」

最後まで読み終えるしおい。

 

「航海長、現在地をGPSで取得してちょうだい、正確な位置が知りたい」

「はい」

そういうと、取得され電子海図に表示される。

 

「ここか…」

しおいは、考えをめぐらす。

 

「艦長、第三艦隊との訓練は明朝0200からです」

「…ありがとう、海面に浮上、第三艦隊に連絡、訓練中止」

「訓練中止するんですか?」

「うん、すぐに艦内喚起準備、それと酸素の補給を、終わったらすぐに潜航、西之島に向かうよ」

 

「わかりました、浮上!」

ヴーンッ!!ヴーンッ!!ヴーンッ!!

そういうと、しおいは夜の海に浮上した。そして

 

「潜航、深度088」

「了解」

艦内警報と共に、すぐさま潜航をはじめるしおいであった。

「航海長、針路作成、目標西之島」

「了解、最大船速!進路130よーそろー」

がこんという音と共に、速度を上げていくしおいであった。

 

 

 

晴風艦橋――

 

「ふむ、物資の状況はこんなところか…確かにこれは要請をした方がいいだろうな」

「えぇ問題なのは、晴風には補給が必要、これは間違いないですね」

「これから学校に戻るとすると、二日はかかる、何とか物資の補給がしたいところだ」

「そうだな、補給の目途もないからな」

「しかし米内さん、入港できませんよ?」

「わかっている、少し策を考えてみよう」

と補給について、今後のことを考えていた時だった。どたばたと艦内の方が騒がしい。その直後

 

「た、大変っす!大変っす!」

飛び込んできたのは、応急・美化委員の和住 媛萌と青木 百々だった。

 

「どうした、そんな慌てて」

「艦長、それに提督さん――ト、トイレットペーパーが切れたっす」

「何・・・だと・・・」

いろいろな意味で衝撃的なことであった。

 

それから、教室にクラスメイトが集められ

 

「もうトイレットペーパーがありません!」

『えぇー!』

まさかの事実を知ることになる光近。クラスメイトからは、やれちょこっと使っただの、色々と出てきたが、兎にも角にもトイレットペーパーがないということだった。

 

「現在地は御蔵から離れているからな」

場所と規模と針路だけに御蔵島に寄港することはできないのが現状だ。光近はココちゃんのタブレットを借り、物資を確認する。

 

「燃料と弾薬に関しては管轄事項があるので学校だが、問題は日用品だろうな」

「うん、最低限の日用品だけ確保したいよね」

光近の意見に同調する明乃。

 

「戦闘禁止令が出ているとはいえ、他の艦には遭遇したくないよね」

「位置がばれるんで通販は出来ないですし」

「買い出し行こう!買い出し!」

メイちゃんがそういう。確かにそういうのもありだ。

 

「確かに、それも手でもあるがな…それで、買い出しっていっても目処はあるのか?」

「えぇーと、この近くにオーシャンモール四国沖店があります」

「そうだな、とはいえ、この人数で行くとめんどなことになりかねん、明乃さん、目立たないように少数精鋭で行かれた方がいいのでは?」

「そうだね、そうしようか」

「艦長!もう一つ、重大な問題が…」

等松美海(ミミちゃん)が声を上げた。

 

「お金が…たりません」

「へ…?」

「…ふぁ!?」

 


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