ハイスクール・フリート―Double Girls Story― 作:有栖川アリシア
Brrr--
光近は小型艇に乗って、一路、集合場所に向かっていた。視線の先の集合場所は、聯合艦隊旗艦の艦艇だ。
巨大な45.6㎝砲3門を3基を搭載した艦艇、大和だった。
「(リアルだと初めてだな)」
小型艇からその威容を見上げる。正に黒鋼の城の名が相応しい威容の戦艦大和。海にはその巨大な影が出来ている。
「(あれが46㎝砲か――)」
その巨大な砲塔に驚きつつも、本物を見ることが出来て、軍事オタクとしての血が騒ぐ。
それから、小型艇は大和のラッタルに横付けされ、そこから大和の艦上に上がっていく。光近はその一歩一歩を踏みしめていく。すると、歓迎の笛の音が鳴り響く。そして、ラッタルを上ると
「お待ちしておりました、提督」
そこには紅い傘を差した美少女、大和が其処にいた。
「あなたが光近提督ですね?」
「あぁ、はじめまして大和、さて通信通り、皆集まっているかな?」
「皆食堂に集まっています」
「では、案内してくれ」
「はい」
光近は大和の後ろをついて歩いていく。すると食堂に到着した。教室に入っていると、艦娘がざわざわとしていた。
「皆さん、整列してください!」
大和がそういうと、艦娘達が整列し、前を向く。
「光近提督に挨拶を!敬礼!」
一糸乱れぬ敬礼だ。流石、大日本帝国海軍の艦娘だけある。
「ようこそ我が艦隊へ。我々艦娘一同はこれより光近提督の指揮下に入ります!」
光近も、最新の注意を払いながら敬礼し、それにこたえる。
「俺は本格的な君たちの運用には疎い故にこれから迷惑もかけるだろうがよろしく頼む、それと君たちとは出来るだけ早く仲良くなりたいと考えている、こちらも積極的に話しかけに行くが、君たちも積極的に話しかけてきてくれ」
凛とした声で言う。我ながらこんなことが出来る自分が不思議だ。
「今回に関しては、事情が事情だ、今日は皆休んでくれ、明日から様々なことを始めよう」
「了解しました。では明日よりよろしくお願いします」
「あぁ、では、総員、解散」
「総員、解散!」
大和の号令でそれぞれが散り散りになる。だが、何人かの艦娘達がこちらにやって来た。
その中でも、一番目に着いたのは初期のころからいるメンバーだった。
「画面越しの付き合いと思っていたら、こうなるとはね」
特徴的な声、真ん中にいるのは吹雪型の駆逐艦だ。そしてやって来たのは特徴ある三人だった。
「――叢雲、比叡、赤城」
初期艦の叢雲、初めてきた戦艦比叡、そして空母の赤城だった。
「はじめまして、でよろしいのでしょうか?」
「あぁ、こうして顔と顔を突き合わせるのは初めてだな、みんな」
赤城の言葉にそう答える光近。
「えぇ、そうですね――にしても、提督の髪が金色だったとは驚きです」
比叡が光近の髪をマジマジと見ながら言う。
「そんな珍しいものか?」
「まぁ、私達の頃にはそんな髪の人はいなかったからね」
「そういわればそうか」
「んで、どうするの?解散させちゃったけどいいの?」
叢雲が各艦種を一瞥していう。
「いいのさ、まずは休養と各艦の把握が必要だからな」
「さすが提督ですね」
赤城が微笑みながら言う。
「問題は明日からだな、明日から忙しくなるぞ、状況の把握、および艦の補給などがあるからな」
「…確かに」
一気に真剣な表情になる三人。
「ま、とはいえ、少々の危機感がいいだろう、絶望感は戦力低下につながることもある、各自明日に備えるってところだな」
「そうですね、にしても、提督はこの後どうされるのですか?」
「何も決めていないさ、しいて言えば、明日決めることを決めるぐらいだ」
「では提督お暇なら、折角ですし、色々な方と話し合われてみれば?」
「そうだな…それもありだな」
赤城からの提案を受け、そのことについて考えているとこちらにやって来たのは、珍しい組み合わせの3人だった。
「おぉ、Верныйに金剛、それに間宮か」
「ハラショー、名前を間違えずに言ってくれて嬉しいよ」
「間違えるわけないだろ?そんで、三人ともどうしたんだ?」
そういうと間宮が出てくる。
「大したことではないんですか、折角ですし皆さんと食事をとられては如何かなと思いまして、どうでしょう?」間宮がそういってくるが、願ってもいないことだ。ちなみに、赤城はかなり顔をぷるぷるさせている。もしかしてなんかあったのだろうか?いや、何も特に変わったことはない。
「願ってもいないことだ、頼む間宮、だが、いいのか?というより、やる場所あるのか?」
「はい、ここの食堂であれば可能です」
「では、そうしよう、頼むぞ」
そして、パーティーをやることが決まった。